2016年11月11日(金) – 11月24日(木)まで、東京芸大の美術館で開催されたロバート・フランク展を観に行きました。

STEIDL社のゲルハルト・シュタイデル氏がキュレーションを務め、芸大の学生が展示と企画・運営をしたこちらの展示がとても良かったので写真でご紹介します。

当日は快晴。上野公園の側にあるのでとても気持ちが良い

この看板の文字は一文字一文字木で出来ていて、これも学生の手によるもの

芸大の美術館には初めて行きました。今回の展示では1回も2回もフルに使用していました。

1階

1階入ってすぐ、ロバート・フランクのこれまでの写真集が吊るされて展示されている。勿論、手にとって閲覧可

スチールの枠にテキストや写真がプリントされた用紙が貼られている展示構成。日本の『ふすま』を連想させる
映像を紙の裏から投影することで展示会場に違和感なく見ることが出来る

展示の紙はスチールのフレームに小さな磁石で止められている。キャプションの文字もタイプライター風で、フランクの写真集のイメージを踏襲している

2階に至る階段の踊場の壁面にも映像が投影されていた

展示方法に様々な工夫が凝らされていて刺激的だったのですが、1階のメインスペースに関しては、狭い中に詰め込んだ感じがややあり、何種類かの映像の音声も一斉に聴こえてしまうので、もう少しすっきりしたスペースで落ち着いて観賞出来たら良かったです。

2階

2階はこれまで出版した写真集のページをそのまま展示したものや、出版に至る途中のダミーブック、コンタクトシートなどが展示されていました。

2階の展示室は外光が良く入ってとても気持ちの良い空間
手書きの文字もラフな感じで味がある
写真集のページ構成を見開きでプリントアウトして展示している

ポラロイドカメラで撮影した写真による7冊1組の写真集
フランクが駆け出しの頃に持ち歩いたという「Portfolio(ポートフォリオ)」のダミーブック

展示の木の什器に鉛筆で書かれた手書きのキャプション。素晴らしい芸大生のアイデア

写真集のダミーブックに書かれた赤字。トリミング修正の指示などが書いてある

『THE AMERICANS』の編集に際してのコンタクトシート。どれを使用するか?という検討のメモがダーマトグラフで書き込まれている
連続するシーンの中でどの1枚を使用するか、似たような構図の家の写真、2点のうちどちらを使用するのかの検討のメモ
「?」のマークが気になる。フランクが迷ったものだろうか

2階は空間を広く使っていたので、ゆったりと展示を観賞出来ました。

上の様なコンタクトシートや、写真集のダミーブックなど、制作途中の物を見られたのは、フランクがどの様な事を考えながら写真集を編集していったのかという過程を知れたのでとても面白かったです。

–関連書籍など–

Students at TUA: Effort and Document May-November, 2016

今回の展示にあたり、芸大の学生達がどのように展示の企画をし、シュタイデル氏とやりとりをし、設営を進めていったかという記録がまとめられたドキュメンタリー。会場でドネーション制で配布されていたもので、これがとても面白かったです。

展示のアイデアがどのように変遷して行ったか、チラシのデザインの初期案などこういった制作過程が知れるのはとても興味深いですね。

展示に併せて完成していた点も素晴らしいです。

 

今回の展覧会の図録。新聞風のデザインです。

 

Robert Frank: Books and Films, 1947-2016
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2016/frank/frank_ja.htm
2016年11月11日(金) - 11月24日(木)
東京藝術大学大学美術館 陳列館1階、2階

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