貧困家庭、虐待、毒親……。そんな重いテーマを描いた映画『未来』を鑑賞してきました。
ややネタバレ有りの感想となりますので、まだ見ていない方はご注意ください。
原作小説を読んでいたので結末(手紙のくだり)は知っていたのですが、途中経過を結構忘れていたこともあり、思いのほか新鮮な気持ちでスクリーンと向き合うことができました。

「原作を読んだし」と軽い気持ちで観に行ったのですが、ストーリーも役者陣の演技も素晴らしく、大満足の鑑賞体験になりました。上映中は何度も泣かされ、ただただ「子供が泣かない世の中にしたい」と心底思わされる内容でした。
私の世代だと、かつて安達祐実さんが演じていたドラマ『家なき子』の空気を思い出す方も多いかもしれません。
視覚化されることで腑に落ちる「時間のパズル」
原作小説では時間が飛んだり、大人と子供の「章子」が交互に登場したりするため、文章で読むと状況がやや把握しづらい部分がありました。しかし映画では、それが映像としてスッと入ってくるので非常にわかりやすかったです。
序盤は時系列が飛ぶことで少し混乱するものの、最後にはすべての伏線が綺麗に収束していくため、観終わったあとのカタルシスと満足感は格別でした。
また、映像の演出として非常にエモかったのが、スマホで撮影しているような「縦型動画」になるシーンが差し込まれていたこと。現代ならではの生々しい質感が、物語の解像度をグッと上げていました。
光る女性陣の演技と、ステレオタイプな男性陣
この映画を語る上で欠かせないのが、女性陣の光る演技です。
主人公・章子を演じた山崎七海さんの、必死さがひしひしと伝わってくる叫び。
章子のソウルメイトである亜里沙役・野澤しおりさんの快活な存在感。
そして、章子の母・真珠の子供時代を演じた近藤華さんの奥深い表現力。
彼女たちが主役として画面で躍動することで、作品全体が強く引き立てられていました。
一方で、登場する男性陣は、作劇上どうしても「主人公たちを搾取する側」として描かれるため、ややステレオタイプな「クソ男」に見えてしまったのも事実です。
作中で「良い人」風に描かれている男性であっても、現実にいたらストーカーのようで普通に怖いと思ってしまいました。
また、個人的にノイズになってしまったのが、章子の父・良太のキャスティング。
大人の姿を松坂桃李さんが演じているのに、高校時代を細田佳央太さんが演じていて、あまりにも似ていなかったため少し混乱してしまいました(感想サイトなどでも同じような声を見かけました)。
特にワクワクしたシーン
とはいえ、そんな過酷で重苦しい状況の中で描かれる「殺人計画を立てるシーン」が、少しユーモラスでどこかワクワクする場面として描かれていたのは非常に面白かったです。
小説でわかりにくかった部分を映像の力で見事に補強しつつ、激しく感情を揺さぶられる人間ドラマに仕上がっていました。劇場へ足を運んで本当に良かったと感じる、素晴らしい映画でした。


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