ありがたいことに、毎年継続でご依頼をいただけるパンフレットの案件。
デザイナーとしては本当に嬉しい一方で、毎年「今年はどんなあしらい(装飾)にしよう……」と、デザインの方向性に頭を悩ませる時間も増えていきがちです。
構成や文字量は大きく変えられない。だけど、去年とは違う新鮮なトーン&マナーにしたい。
そんな、文字だけを流した画面の前でフリーズしてしまう時間を減らすために、最近私が実践しているのが、Adobe Firefly(生成AI)を「カンプ(試作)制作の相棒」として活用する時短ワザです。
AIにデザインを丸投げするのではなく、自分のレイアウトの骨組みをベースに、デザインのアイデアだけをFireflyに出してもらう。この方法を取り入れてから、デザインのトーンに迷う時間が劇的に減りました。
備忘録も兼ねて、具体的なステップと、AIに綺麗に解釈してもらうためのプロのコツをまとめました。
1. AIに丸投げしない。だからこそプロのクオリティになる
最近のAIは進化していますが、Fireflyにイチから「エディトリアルデザインを作って」と頼んでも、実務でそのまま使えるような美しい文字組みや正確なレイアウトは出てきません。
そこで発想を逆転させます。
「骨組み(レイアウト)は自分で作り、肉付け(トーン&マナー)のアイデア出しをAIに任せる」。
最終的なデザインデータは使い慣れたInDesignやIllustratorで自力で正確に組み上げるのですが、その前段階の「どんな雰囲気にしようかな」と迷うフェーズを、AIにブーストしてもらうイメージです。手戻りも防げるため、結果として圧倒的な時短につながります。
2. 【超重要】準備が9割。AIに投げる前の「文字レイアウト」のコツ
この手法を成功させる最大のポイントは、一番最初の準備にあります。
💡 最大のポイント
最初に文字を配置する段階で、ただ文字を置くだけではなく、「見出し」「本文」「キャプション」などのフォント種類やサイズ感(ジャンプ率)は、ある程度ここで決めておくこと。
白黒の画面で構いませんので、囲みなどの線要素もこの時点で入れておきます。
文字のサイズ比率や強弱がしっかり設計されていることで、Fireflyが「ここが見出しで、ここが重要な要素なんだな」と正しく解釈し、的確な位置に的確なあしらいを提案してくれるようになります。
骨組みができたら、このレイアウトデータを画像(design.jpg など)として書き出しておきましょう。

3. Fireflyでデザインのトーンを導く5ステップ
準備ができたら、Adobe Fireflyの力を借ります。 今回は、Fireflyに「レイアウトの骨組み」と「目指したい世界観」の2つの画像を同時に読み込ませて、理想のカンプ(試作)を導き出します。
ステップ①:Fireflyの「画像を編集」を開く
Adobe Fireflyの公式サイトにアクセスし、サイドバーにあるメニューから 「作成」>「画像を編集」 を選びます。

ステップ②:2枚の画像をアップロードする
アップロード画面が開いたら、用意しておいた以下の2枚の画像を順番にアップロードします。

design.jpg(インデザやイラレで組んだ、白黒のレイアウト画像)参考.jpg(デザインテイストの参考にする、過去作などの画像)


ステップ③:プロンプトに「前提条件」を盛り込んで入力する
ここが一番のプロのコツです。ただ「デザインして」と頼むのではなく、媒体の特徴や判型などの情報をあらかじめ言葉で教えてあげることで、AIの解釈ミスを防ぎます。
今回は、以下のようにプロンプト(指示文)を入力してみましょう。
💡 プロンプトの入力例 テクノロジーやIoT系のパンフレット。A4縦位置の見開き2ページのレイアウトです。 参考.jpgを参照して、design.jpgにデザインを施して。
このように、「何のパンフレットか」「どんなページ構成か」を1文添えるだけで、生成されるデザインのクオリティが跳ね上がります。

ステップ④:生成ボタンを押す
条件が整ったら、生成ボタンを押します。Fireflyが 参考.jpg の色使いやあしらいの雰囲気を分析し、あなたの design.jpg のレイアウトを崩さないようにバランスよくデザインを施してくれます。
ステップ⑤:生成された「見本」を確認する
画面に、AIが提案してくれた誌面デザイン表示されます。

小見出しに色の帯がついたり、ページの背景に幾何学的な模様がレイアウトされたりしていますね。
4. まとめ:ゴールが見えれば、あとは手を動かすだけ
2026年現在の生成AIの力では、生成されたデザインをそのままデータにしても美しくありません。
ここからがデザイナーの本領発揮です。生成された画像はあくまでも参考に、デザインを仕上げていきます。
この方法を取り入れてよかったこと
- 「トーン迷子」の時間がゼロになる(ゴールが見えているので、迷わず作業に没頭できる)
- クライアントへのカンプ提示が早くなる
- 自分の過去の資産(過去作のテイスト)を有効活用できる
毎年恒例の案件だからこそ、自分の引き出しだけで戦おうとするとマンネリに悩んでエネルギーを消耗してしまいます。
文字の設計という「プロの仕事」はしっかり自分でコントロールしつつ、装飾のバリエーション出しはAIにちょっと手伝ってもらう。そんな風に道具としてAIを割り切って使うと、デザインがもっと楽しく、ラクになりますよ。
同じように定期案件のあしらいで悩んでいる方は、ぜひ一度試してみてください!


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