読書感想|『人新世の「資本論」』を読んで。デジタルデトックスの先にある、私が知りたかった「これからの豊かさ」

Book

1. きっかけはYouTube。本屋の「不穏な本」の著者が繋がった瞬間

最近、YouTubeチャンネル「ReHacQ(リハック)」の企画『恋愛病院 鑑賞会』という恋愛リアリティショーの感想会を観ていました。もともと出演されていた箕輪厚介さんに興味があって観ていたのですが、そこにゲストとして登場したのが、経済思想家の斎藤幸平さんでした。

実は、斎藤さんのお名前には少し見覚えがあったのです。

よく行く本屋の特設コーナーで、彼の著書『人新世の「資本論」』『人新世の黙示録』が山積みになっていて、表紙の顔写真が印象に残っていました。

「一体どういう本なのだろう? 『黙示録』なんて書いてあって、なんだか少し不穏だな……。でも『資本論』の割には、いわゆるビジネス書っぽくはないしな」

そんな風に気になっていた著者が、まさかYouTubeの画面に現れるとは。

しかもお話を聞いてみると、なんと箕輪さんの高校時代のサッカー部の後輩だと言うのです。現在は「左翼」を自称する東大准教授という、一見すると少し身構えてしまうような肩書き。

ですが、番組内での斎藤さんは、本の表紙の真面目なイメージとは打って変わって、恋リアの気になる出演者について楽しそうに語ったり、箕輪さんとまるで当時の部活の先輩後輩のような親密なやり取りを繰り広げていました。

「この人、面白いな」

そのギャップに一気に興味が湧き、あの山積みになっていた本を手に取ってみることにしたのです。

人新世の「資本論」 増補新版 (集英社シリーズ・コモン)/斎藤幸平

2. 先進国の「快適さ」の裏側にあるもの。グローバルサウスの衝撃

ページをめくってみると、そこに書かれていたのは、まさに私が「知りたかった分野の集大成」と言える内容でした。気候変動の今と未来、先進国と資本主義のあり方……。知的好奇心がこれでもかと刺激される中で、特に私の胸に深く突き刺さったのが「グローバルサウス」という言葉と、その構造でした。

本書では、日本を含む先進国が資本主義によって豊かな利益や快適さを享受している裏側で、その資本主義が生み出すあらゆる「デメリット」を、南の発展途上国(グローバルサウス)へそっくりそのまま押し付けている歪な構造が分析されています。

 大量生産・大量消費の裏側: 先進国で使う商品の資源を途上国からむしり取り、格安の労働力として人々を搾取している。

 「サスティナビリティ」の欺瞞: 先進国が「我が国はCO2削減に成功した」と誇っていても、それは単に汚染の原因となる工場や生産拠点を途上国に移転させただけに過ぎない。

 生活基盤の破壊: 先進国への供給を優先した森林伐採により、現地の人々が食料を現地調達できなくなる。さらに、温暖化によって住める場所自体が減っていく。

私たちが日々当たり前に享受している「便利で快適な暮らし」は、彼らの犠牲の上に成り立っている。この冷徹な事実を知ったとき、私はハッとさせられ、言葉を失いました。

3. デジタルデトックスと、これからの暮らし方

この本を読んだことで、日々のニュースの見方が大きく変わりそうです。

例えば、昨今よく耳にする「移民問題」「環境問題」も、表面的な現象ではなく、この資本主義の搾取の構造から地続きで起きていることなのだと捉えられるようになりました。

また、私が日頃から関心を持っている「AIの発展」についても、新しい視点を得ました。便利できらびやかに見えるAI技術ですが、それを支える膨大なデータサーバーや電子パーツは、結局のところ大量の電力を消費し、環境を汚染していく。どこまで行っても、私たちは地球に負荷をかけ続けているのだと気づかされます。

本書の終盤には、こうした危機の救いとして「コモン(共有財産)」という新しい(そしてどこか懐かしい)社会のあり方が提案されています。

この考え方に触れ、私は自分自身のこれからの暮らしについて深く考えさせられました。

日頃から意識している、スマホから離れて一人の時間を作ることや、自然の中を歩くデジタルデトックス。そうした時間を大切にしながら、これからはさらに一歩進んで、「日々の生活の中で無駄な廃棄をなくすこと」や、「不用品をお金を介さずに、本当に必要な人に届けるようなコミュニティのあり方」を模索していきたいなと思っています。

経済を無限に拡大させることだけが、人間の豊かさではないはず。

一度読み終えましたが、これからも手元に置いて、立ち止まりそうになったらちょくちょく読み返したい「お守り」のような一冊になりました。

さて、心地よい知的な興奮冷めやらぬまま、次はあの不穏で気になっていた『黙示録』の読解に挑戦してみたいと思います!

人新世の「資本論」 増補新版 (集英社シリーズ・コモン)/斎藤幸平

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