【アマプラ】ドラマ『クロエマ』の世界観に浸る。現代的アンティークな美しさと、パフェが繋ぐ二人のリアル

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Amazonプライム・ビデオで配信が始まったドラマ『クロエマ』海野つなみさん原作、今泉力哉監督という瑞々しい布陣から生まれる空気感に、第1話から一気に心を掴まれてしまいました。

「とにかくこの世界観にずっと浸っていたい」――そう思わせる、この作品が持つ圧倒的な魅力について、少し個人的な備忘録を交えながらデザイナー視点で紐解いてみたいと思います。

クロエマ

① 「現代的アンティーク」な空間とファッションの美しさ

画面を眺めているだけで幸福感に満たされるのは、徹底的に作り込まれた視覚的な美しさがあるからです。多部未華子さん演じるクロエが住む古い洋館のインテリア、探偵・占い店「Sort(ソール)」の空間デザインは、まさに「現代的なアンティーク」という言葉がぴったり。古いものが持つ重厚さと、現代的な洗練されたセンスが絶妙なバランスで同居しています。

さらに、クロエとエマのキャラクターを雄弁に物語るファッションの対比も見事です。二人の佇まいや身にまとう衣服の色彩・シルエットが、そのまま美しいグラフィックピースのように空間に溶け込んでおり、デザインの視点から見ても、隅々までこだわり抜かれた造形美にハッとさせられます。

② 下に見ている関係から、心地いい影響へ。二人が描く変化のグラデーション

物語の序盤、クロエはどこか杉咲花さん演じるエマのことを「下に見ている」ような雰囲気を漂わせています。綺麗事だけではない、この人間のちょっとした傲慢さやリアルな心理描写が実に今泉監督作品らしく、物語の生々しいフックとなっています。

しかし、エマが持つまっすぐで素直な価値観に触れるうち、クロエの頑なだった心に少しずつ変化が訪れます。自分のやり方に固執するのをやめ、エマの意見をだんだんと受け入れ、日常に取り入れていく。そのグラデーションのような心の変化が、本当に丁寧に、かつ軽やかに描かれていて暖かいのです。

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人と一緒にいるのは疲れるし、自分のテリトリーを崩されるのは怖い。けれど、他者の素直さに触れて自分が少し変わっていくことは、こんなにも心地よくて、温かいことなんだと気づかされます。この「軽やかさの中にある人間のリアルさ」があるからこそ、私たちはこの物語に深く共感し、その世界にいつまでも浸っていたいと感じるのかもしれません。

③ 毎話の主役?美しすぎる「パフェ」の色彩設計

そして、このドラマを語る上で絶対に外せないのが、毎回劇中に登場する、ため息が出るほど美しいパフェの存在です。

特に強烈なインパクトだったのが、第1話に登場したパフェ。劇中の占いで登場するラッキーカラー「黄色と茶色」が、グラスの中で見事に美しく調和しているのです。黄色と茶色という組み合わせは、一歩間違えると重たくなったり、地味に見えたりしがちな配色。ですが、このパフェはモダンで洗練された完璧なグラデーションとして完成されていました。

その中にちょこんとあしらわれたマカロンの佇まいが、全体の造形をきゅっと引き締める素晴らしいアクセントになっていて……。画面の前で思わず釘付けになり、「この色彩設計とバランス感覚はアートだ!」と震えてしまいました。

もしこのパフェが実際に食べられる「クロエマ・コラボカフェ」があったら、間違いなく初日に駆けつけたいレベルです。多摩センターあたりに、こんなコンセプチュアルなパフェを出す、静かで居心地の良いカフェができないかな……なんて、つい贅沢な妄想を膨らませてしまいます。

おわりに

劇中の音楽(LAUSBUB)が作り出す少しビターでダークな空気感も相まって、『クロエマ』は単なる癒やし系ドラマに留まらない深みを持っています。

観終わったあと、自分が普段過ごしている部屋のインテリアや、何気ない人との距離感、あるいは一人の時間の過ごし方が少しだけ愛おしくなる。そんな素敵な作品です。みなさんもぜひ、この美しい世界観にゆったりと浸ってみませんか?

【追記】最終回を終えて——まさかの展開と、ずっと見ていたかった「あの食卓」

以前この記事を書いた時は3話あたりまでしか観ていなかったのですが、ついに最終回まで見届けました。
まさか、あんなサスペンス展開が待っていたとは……! 事件の顛末には、クロエやエマと同じように私もゾッとしてしまいました。
そんなハラハラする展開の中で、個人的に最高だったのが最終回での「クロエ、エマ、下門(岩瀬洋志)」の3人が食卓を囲むシーンです。ここがあえて、とても長く映されているんですよね。
すんと澄ましながらもエマにしっかり心を許しているクロエ。
ニコニコと嬉しそうにパフェを食べるエマ。
2人のやり取りを微笑ましく見守る下門。
なんてことない会話をしてパフェを食べているだけなのに、そこには「ずっとこの時間を見ていたい」と思わせるような、本当に尊い時間が流れていました。

質感とパフェを際立たせる、計算された「絵作り」

グラフィックデザイナーの目線として、この食卓のシーンは映像のコントロールが本当に素晴らしいなと感じました。
部屋には余計な派手なインテリアが一切置かれておらず、非常にシンプル。そして光の入り方がとてもニュートラル(均一で自然)に設計されているんです。
背景の主張を極限まで減らし、光をフラットに回すことで、クロエとエマが食べている「パフェの美しさ・色鮮やかさ」が画面の中で主役として一気に際立つような絵作りになっていました。
凄惨な事件の恐怖やハラハラ感があるからこそ、この「引き算された美しい日常」のカットがより一層引き立ち、私たちの胸に深く響きます。
正直、全5話では全然物足りません……! ぜひこの3人のその後を描いた、続編の制作を強く希望します!

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