こんにちは。
毎週木曜日の夜の楽しみになっている『Nontitle Season 6』。ここまで全話を通してハズレ回がなく、「過去最高の完成度では?」と感じていましたが、第11話はまさにその期待を大きく上回る神回でした。
いつもなら番組の前半に行われることが多い「売上バトル」を、デモデイ直前のこの最終盤にもう一度持ってきた構成の妙。これは単なる目先の売上争いではなく、自分たちのビジネスが一般ユーザーにどう映るのかをリアルに突きつけられる「究極のユーザーインタビュー」としても機能していました。
今回は、グラフィックデザイナーとしての視点も交えながら、現場で繰り広げられたリアルな営業戦略と、そこから見えた人間ドラマについて深く考察していきます。
単価と客層のリアルな壁:12万円の産後ケア vs 4万円の家系図
ルールは「1個でも予約を販売できればクリア」。しかし、両チームのプロダクトにはあまりにも大きな「単価と性質のギャップ」がありました。
各チームの事業がわかる、前回の感想はこちら 👉️ 【ネタバレあり】Nontitle Season 6 第10話感想:人脈の化け物・ゆいちゃんの熱量と、昭和世代が仕掛けたデザインの魔法
- Z世代チーム(産後ケアホテル):12万円(旅行要素あり)
- 昭和世代チーム(家系図作成):4万円
Z世代の12万円という高単価は、休日をカジュアルに楽しみに来ているアウトレットの客層に対して、あまりにもハードルが高すぎます。衝動買いできる金額ではない上に、ターゲット(ケアを必要とするほど困っている妊婦さんやその家族)がその場にいる確率も低い。
一方、昭和世代の4万円は絶妙な価格設定に見えますが、アプローチが非常に難しいプロダクトです。高齢者に向けて「家系図はいりませんか?」と声をかける姿は、どうしても昨今の「オレオレ詐欺」的な警戒心を抱かせやすいというリスクを孕んでいました。さらに、「すでに作ったことがある」という人が多く、市場のリアルな障壁にぶつかることになります。
この「簡単には売れない条件」の中で、両チームの戦略の差が明確に現れました。
「見た目」と「空間」のトンマナ:アウェイで戦うためのTPO
デザイナーとして特に目が向いたのが、営業時の「ビジュアルとTPO(Time, Place, Occasion)」の関係です。
ここで明暗を分けたのが、昭和チームのりゅうけん氏のスタイルでした。
ラフな私服で行き交う休日のアウトレットという空間において、彼は「濃い色のスーツにマスク」という出で立ちで営業に臨んでいました。(りゅうけん氏はネット上で知名度があるのでマスクは身バレ対策でしょうか。)
客側の視点に立つと、せっかくの休日のリラックスした空気を「あからさまなビジネス臭」で壊されたくないという心理的ブロックが働きます。あのスーツ姿は、遠くからでも「営業の人(警戒対象)」に見えてしまい、話しかけられる前に心を閉ざしてしまう要因になっていたと感じます。デザインでいう「トンマナ(世界観)が空間と合っていない」状態です。
対照的だったのが、Z世代チームのかんちゃんの接客です。
沖縄のかりゆしウェアを着た姿はアウトレットに馴染みます。さらに、物腰が柔らかく、相手の懐にスッと入るような「良い感じの空気感」を作れており、空間に自然に溶け込んでいました。営業において、まず「警戒心を解くビジュアルとスタンス」がいかに重要かを痛感させられます。
「NO」から始まるコミュニケーション:むっちゃんの営業にシビれた理由
今話のハイライトであり、私自身最も心を動かされたのが、昭和チーム・むっちゃんの圧倒的な営業力です。
正直、これまでは「強引な営業」や「押し売り」に対して心理的な苦手意識がありました。しかし、むっちゃんの食い下がる姿勢や言葉選びを見て、「営業って、こんなに面白いものなのか!」と目から鱗が落ちる思いでした。
彼女は一度断られても食い下がり、二度断られても決して諦めません。それでいて、相手に不快感を与えない絶妙なラインを保ち、去り際にもパッと印象のいい一言を残して立ち去る。その引き際の美しさは、まさにプロフェッショナルでした。
昭和チームの残金は残り60万円ほど。
このミッションで売れなければ、100万円没収か誰か1人をクビにする、というルールでした。
むっちゃんは「ここで負けたら自分がクビになるかもしれない」という極限の必死さがあったからこその熱量だったのかもしれませんが、相手へのリスペクトを忘れないあの粘り強さは、フリーランスとしてクライアントワークを行う身としても、ものすごく勉強になりました。
営業とは無理に売りつけることではなく、「相手との関係性をその場でデザインする高度なコミュニケーション」なのだと気づかされました。
4. 属性の掛け算:「ネイルやタトゥー」が信頼に変わる瞬間
Z世代チームのドラマも非常に深いものがありました。
結果的に、ミッション終了直前に産後ケアホテルを販売できたのですが、購入してくれたお客さんは、どこかゆいちゃんにシンパシーを感じるような雰囲気を持った方(御夫婦)でした。「いい意味で類は友を呼ぶ」を体現した瞬間です。
前回の放送では、「ゆいちゃんの派手なネイルやタトゥーは、産後ケアというデリケートな事業をやる人間として相応しいのか?」という議論が激しく交わされていました。万人受けという観点ではマイナスに見える要素かもしれません。
しかし今回、実際に購入に繋がったことで、「万人受けを狙う必要はない。自分たちと近い属性や価値観を持つペルソナに深く刺されば、それは強力な信頼に変わる」というマーケティングのリアルな答え合わせを見せてもらった気がします。
完璧じゃなくていい:昭和チームの絶妙な凸凹バランス
昭和チームは、りゅうけん氏の熱狂的なファンが現れるという嬉しい誤算もありつつ、3人のバランスが非常に上手く機能していました。
営業単体で見れば、ぺぇ氏は決して声掛けが得意なタイプではありません。しかし、彼には「行政書士の資格」というプロダクト(家系図)に対してこれ以上ない強力なバックボーンがあります。
むっちゃんが持ち前の営業力で突破口を開き、ぺぇ氏が専門知識で信頼を担保する。そしてあの「ダブル土下座」のシーンに象徴されるような、チームとしてのなりふり構わない必死さ。
それぞれの得意と不得意が綺麗に噛み合った、素晴らしいチームビルディングの形がここにありました。
※ちなみに、プレミア公開のチャット欄で「どうせ仕込みだろ」というコメントが溢れた際、公式アカウントからすかさず「仕込みは一切ございません」とリアルタイムでコメントが入ったのは最高にしびれました。この生々しさとガチ感こそが、Nontitleが多くの人を惹きつける理由です。
結び:真逆の二人が生んだ変化と、最高のデモデイへ
バトルの緊迫感のあとに訪れた、最後の食事会シーンには胸が熱くなりました。
これまで「あまり人を信じられなかった」と語るかんちゃんが、自分とは全く真逆の属性であるゆいちゃんと出会い、ぶつかり合い、共に過ごす中で、少しずつ心を開き変わっていくことができた。ビジネスの枠を超えた人間としての成長のドラマが、そこには確かにありました。
次回はいよいよ運命のデモデイです。
ここまで全ての回が驚くほど面白く、ドラマとしてもビジネスの教材としても過去最高の完成度を誇るSeason 6。彼らがどんな結末を迎えるのか、期待を胸に画面の前で待ちたいと思います。


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