「横組みのレイアウトで200ページもある冊子データを『左綴じ』で作っていたのに、急遽、縦組みに変更になり、レイアウトも『右綴じ』に変更することになった……」
こんなとき、そのままドキュメント設定で綴じ方向を「右綴じ」に変えると、見開きが左右反転したり、ノド(綴じ側)の位置がずれてレイアウトが崩壊してしまいますよね。
InDesignの仕様上、「見開きの配置を維持したまま、綴じ方向だけを変更する標準ボタン」は存在しません。
しかし、標準の挙動 + 簡単なスクリプト(1点) を組み合わせることで、レイアウトを一切崩さずに一瞬で右綴じ化することができます!
今回はその具体的な手順と、実行後に必ずチェックすべき注意点(ノンブル・マスターページ等)、そして無料スクリプトを公開します。
なぜ普通に「右綴じ」に変えると崩れるのか?
InDesignには以下の絶対ルールがあります。
- 左綴じ:左ページ=偶数、右ページ=奇数
- 右綴じ:左ページ=奇数、右ページ=偶数
そのため、左綴じのデータを右綴じに変えた瞬間、InDesignは「右綴じのルールに合わせてページの位置を強制入れ替え」を行おうとします。これがレイアウト崩壊の正体です。
解決手順:スクリプトを使って一撃で直す方法
手順はたったの3ステップです。
STEP 1:「ドキュメントページの移動を許可」をONにする
ウィンドウ>ページでページパネルを開きます。- パネル右上のハンバーガーメニュー(三本線)をクリックします。
- 「ドキュメントページの移動を許可」にチェックを入れます(ON)。
💡 ここが重要!
ここで移動をオフにしてしまうと、ノドの位置が左端に押し出される「変形スプレッド」になってしまいます。必ずONにしてください。
STEP 2:ドキュメント設定を「右綴じ」に変更する
ファイル>ドキュメント設定を開きます。- 綴じ方を 「右から左(右開き/右綴じ)」 に変更して OK を押します。
(※この時点でノドの位置は中央に留まりますが、右綴じルールに従って左右のページが反転します)
STEP 3:配布スクリプト(FixRightBinding.jsx)を実行する
反転してしまった見開きの左右位置を、スクリプトで一括で元の位置に戻します。
📜 ダウンロード・コード(FixRightBinding.jsx)
以下のコードをテキストエディタに貼り付け、ファイル名を FixRightBinding.jsx にして保存してください。
JavaScript
// FixRightBinding.jsx
// InDesignで右綴じ変更後に左右のページ位置(レイアウト)を復元するスクリプト
var doc = app.activeDocument;
// ページの移動許可をONに設定
doc.documentPreferences.allowPageShuffle = true;
// 全見開きをループ処理して、左右のページ位置を入れ替える
for (var i = 0; i < doc.spreads.length; i++) {
var spr = doc.spreads[i];
if (spr.pages.length == 2) {
// 右側のページを左側のページの前に移動
spr.pages[1].move(LocationOptions.BEFORE, spr.pages[0]);
}
}
スクリプトをダウンロードする場合はこちらから
スクリプトの実行手順
- InDesignの
ウィンドウ>ユーティリティ>スクリプトパネルを開きます。 - 「ユーザー」フォルダを右クリックして「エクスプローラー(Finder)で表示」を選びます。
- 開いたフォルダの中に
FixRightBinding.jsxを入れます。 - InDesignに戻り、追加されたスクリプトをダブルクリックして実行します。
これだけで、200ページあるドキュメントでも見開きペア(ノド中央)を維持したまま、見た目通りの右綴じデータに変換されます!
⚠️ 変更後に「必ず」確認すべき3つのチェックポイント
データは綺麗に変換されますが、左右の概念(奇数・偶数)が入れ替わるため、書き出し前に以下の3点だけは必ず確認してください。
① ノンブル(ページ番号)が「ノド」に潜り込んでいないか
左綴じと右綴じでは、奇数・偶数の左右配置が逆転します。
自動ノンブルを使用している場合、ノンブルやヘッダー(柱)が小口(外側)からノド(綴じ側)に潜り込んでしまっていないか、巻頭・巻末・章の切り替わりなどを数ページピックアップして確認してください。
② 親ページ(マスターページ)の適用状態
A-親ページ(A-マスター)などで左右非対称のレイアウト(左ページに章タイトル、右ページにノンブルなど)を組んでいる場合、ページの左右が入れ替わったことで意図しない親ページが適用されている可能性があります。
反転している場合は、親ページを割り当て直すか、親ページ自体の配置を調整します。
③ 見開きをまたぐオブジェクト(写真・イラスト)の微ズレ
見開きの中央(ノド)をまたいで配置している写真や背景オブジェクトがある場合、ページの再配置によって1〜2ピクセルの微小な隙間や重なりが生じることがあります。念のため、見開きまたぎの箇所を拡大して確認しておくと安心です。
まとめ
InDesignで「左綴じ→右綴じ」の変更は事故が起きやすい作業ですが、以下の流れを押さえておけば怖くありません。
- 移動許可は「ON」のまま「右綴じ」に変更
- スクリプト(
FixRightBinding.jsx)で左右位置を元の見た目に戻す - ノンブルと親ページの適用状態を最終チェック
手作業で200ページをドラッグして直すのは修正事故のもとです。ぜひこのスクリプトを活用して、安全&スピーディに作業を終わらせてくださいね!


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