渡部周写真集『THE LAST SUMMIT』、スイスのVOLUMES Award 2021にエントリー!投票受付中です!

渡部周写真集『THE LAST SUMMIT』、現在、スイスのVOLUMES Award 2021というブックアワードにエントリーしています。
イベント公式サイトを下の方までスクロールすると私の本が現れます。

サイトを下の方までスクロールすると私の本が現れます

クリックしていただくと、本の情報と見開き写真が現れます。

本の情報と見開き写真

動画のリンクには英語のプレゼンテーション動画を入れました!

“THE LAST SUMMIT” Shu Watanabe’s Artistbook〈English Presentation〉

2021年12月12日まで、オーディエンスによる投票も受け付けているので、良いと思った方は是非投票をお願いします!

VOLUMES (@volumeszurich)
https://www.volumeszurich.ch/

渡部周写真集『THE LAST SUMMIT』〈日本語版〉
https://reminders-project.org/rps/thelastsummit_salejp/

Shu Watanabe’s artist book, “THE LAST SUMMIT,” is entering Switzerland’s VOLUMES Award 2021 book award.
If you scroll down to the bottom of the official event website, you will see my book.
If you click on it, information about the book and a photo spread will appear.
I’ve included a video of my presentation in English in the video link!
This site is also accepting votes from the audience until December 12, so if you think my book is good, please vote for it!

VOLUMES (@volumeszurich)
https://www.volumeszurich.ch/

Shu Watanabe’s artistbook “The Last Summit”
https://reminders-project.org/rps/thelastsummit_saleen/

“THE LAST SUMMIT” Shu Watanabe’s Artistbook

My first photo book, “THE LAST SUMMIT”, has been completed and is now on sale. Here is some information about this book.

My father passed away in July 2017 due to a slip and fall accident while climbing a mountain. What did mountain climbing mean to him? What did climbing mean to him? It is a photo book project where I attempted to dialogue with my late father by facing and reliving his last climb.

“THE LAST SUMMIT” Shu Watanabe’s Artist book

THE LAST SUMMIT

My father died in a slip-and-fall accident on July 15, 2017, at Mt. Ryokami in Chichibu County, Saitama Prefecture. At the beginning of that year, he was in the hospital to receive treatment and surgery for liver cancer, which was discovered in September of the previous year. After leaving the hospital in March, my father was diagnosed with cirrhosis of the liver, but he had gradually resumed working and continued his hobby of mountain climbing.

“Dad went out to the mountains yesterday morning and never came back. ……”

It was a sunny morning when I received a phone call from my mother, and then it felt as if the ground was crumbling beneath my feet. After filing a missing person’s report at the police station near my parents’ house, my father-in-law gave me a ride to Mt. Ryokami.

As much as I wanted my father to be safe, I couldn’t stop thinking about what would happen if I couldn’t find him. I was feeling hopeless. As if to reflect my feelings, it began to rain heavily as we approached the site. Before arriving at Mt. Ryokami, I received a call from the Ogano Police Station in Saitama Prefecture. They informed me that the body of someone matching my father’s description had been discovered at the bottom of the trail. When I checked the body that had been brought to the police station, it was unmistakably my father’s face. It was a hot summer day, so his body was cremated as it was. My family didn’t get to see his face on his last day.

When the nightmarish day for our family was over, what came to my mind as I was driving back to Tokyo from Chichibu, was not so much sadness over his death but rather anger over why he had gone climbing despite his health condition so soon after the surgery.

About a week after my father’s funeral, I remembered that I had family photos in a drawer of a cupboard in my parents’ house. I searched through the images, trying to find a glimpse of my father, and came across a large number of photos of him climbing mountains, which had never caught my attention before. The image of him in his mountaineering clothes and backpack, looking contented in nature as far as the eye could see, was different from the gentle father I knew at home.

I wondered why mountain climbing fascinated my father so much. To ease the resentment caused by accident, I began to look for what he saw in it. Relying on his notes, I started to purchase climbing gear, including clothing and food. I decided to climb the mountains he climbed.

Shu Watanabe


“THE LAST SUMMIT” artist book by Shu Watanabe

15,400 JPY
Language: Japanese or English
Page: 204page
Size: 215 x 312 x 24mm
69 editions only (all made to order)
Each edition will be signed and give the edition number by the artist
Photo / Edit / Binding / Print: Shu Watanabe
The book concept, storyline, and art direction developed: Yumi Goto at Reminders Photography Stronghold
English Proofreading: Sachie Takagi, Marc Kaufman
Photos provided: Katsumi Kawashima, Yuko Kawashima, Tomoki Sato, Kazuo Fukata, Mizuko Yamaoka, Norihisa Watanabe

Shu Watanabe’s Artistbook “The Last Summit” Is Now Available!

『THE LAST SUMMIT』by 渡部周|登山事故で亡くなった父の足跡を辿る写真集

私の最初の写真集である『THE LAST SUMMIT』が完成し、現在販売中です。こちらの本についてご紹介します。

私の父は、2017年7月に登山中の滑落事故により亡くなりました。「優しく、家族思いだった父にとって登山とは何だったのか?」。本作は、私が父親の最期の登山と向き合い、追体験することで亡き父との対話を試みた写真集プロジェクトです。

“THE LAST SUMMIT” Shu Watanabe’s Artist book

THE LAST SUMMIT

私の父は2017年7月15日、埼玉県秩父の両神山で、登山中の滑落事故により亡くなった。前年の9月に発覚した肝臓がん手術のため、年初に入院し、3月に退院。術後に肝硬変が発覚したものの、仕事や趣味の登山を少しずつ再開していた矢先だった。

「お父さんが昨日の朝、山に出かけたきり帰ってこないんだけど……」
快晴の朝に母からかかってきた電話の内容を聞いて、私は足元から地面が崩れていくような感覚がした。実家の近くの警察署で捜索願を出した後、妻の父が運転する車に乗せてもらい、私は両神山へ向かった。

父に無事でいてほしいと思う気持ちと同じくらい、このまま父が見つからなかったら、どうなるのだろうか?という考えが止まらず、絶望的な気持ちにもなっていた。私の気持ちを反映するかのように、現地に近づくにつれて激しく雨が降ってきたが、両神山に着く直前で現地の警察署から、父らしき人物の遺体が登山道の下で発見されたという連絡を受けた。警察署に運ばれてきた遺体を確認すると、それは紛れもなく父の顔だった。夏の暑い時期だったこともあり、父の遺体はそのまま火葬に回された。それゆえ、私以外の家族は、父の最期の顔を見ることがなく別れることとなった。

悪夢のような1日が終わり、秩父から東京へ帰る車中で私の頭に去来したのは、父が亡くなって悲しいという気持ちよりも、術後間もない体調を押して、なぜ父は登山に行ったのか?という憤りの気持ちだった。

葬儀など全てを終えて1週間ほどたった頃、私は実家の食器棚の引き出しに家族の写真が入っていたことを思い出した。父の面影を求めて写真を探してみると、これまで目に留まっていなかった父の登山写真が大量に出てきた。登山用のウエアやリュックを身にまとい、見渡す限りの自然の中で満足そうな表情をしている父の姿は、私が知っている、家庭での優しい父の姿とは異なっていた。

父にとって、登山とはどれほど魅力的だったのだろうか。事故で生じた憤りを消化するために、私は父が感じていた登山の魅力を知りたいと思うようになった。父の遺したメモを頼りに、ウエアや食事など登山に必要な装備をそろえ、父が登った山に登ることを決めた。

渡部周


渡部周 写真集「THE LAST SUMMIT」

・本文:204ページ
・言語:日本語または英語
・サイズ:215 x 312 x 24mm
・部数:69部
・写真・編集・印刷・製本: 渡部周
・コンセプト、ストーリーライン、アートディレクション:後藤由美(リマインダーズフォトグラフィーストロングホールド)
・英文校正:高木祥衣、Marc Kaufman
・写真提供:川島克巳、川島祐子、佐藤朝記、深田和夫、山岡瑞子、渡部紀久
・価格:15,400円(消費税込、別途送料についてはこちらをご確認下さい)、 全エディション署名入り

渡部周 写真集「THE LAST SUMMIT」ご注文サイト

RPSアーティストブックフェア2021で制作中の写真集についてトークをしてきました

RPSアーティストブックフェア2021というイベントのオンラインアーティストトークに登壇して、現在制作中の写真集についてお話をさせていただきました。

トークで使用したスライドの内容をこのブログにアーカイブしておこうと思います。

以下、スライド内容の転載です。


父が最期の登山で見た景色と、そこに至る過程を視覚化するプロジェクト

◎制作者プロフィール

渡部 周(Shu Watanabe)

職業:グラフィックデザイナー、専門学校講師
RPSでは、InDesignワークショップの講師や、企画展のフライヤーデザインを手がける。
実験的ワークショップアトラスラボ「AKINA BOOKSワークショップ」(講師:アレックス・ボチェット)〈2018年3月〉「過去の事象検証と再構築」(講師:千賀健史)〈2018年11月〉を受講。

◎制作の背景

2017年7月、父が埼玉県秩父郡の両神山で単独登山中の滑落事故によって亡くなった。父は2017年の年明けから肝臓がんの手術で入院しており、退院して数ヶ月後の出来事だった。

◎動機

父を失ったという悲しみと同じくらい、
「病み上がりの身体を押してまで父はなぜ一人で登山に向かったのか?」
という憤りの気持ちが強かった。
父にとって登山とは何だったのか?家族とは何だったのか?を理解したいと考え、本作りを始めた。

©️Shu Watanabe

◎伝えたいこと

大切な人が予期せず亡くなった時、たとえ後からでもその人について知ろうと行動を起こすことで、死別からの「喪失感」をやわらげられるのではないか。

◎視覚化の方針

  1. 父の若い頃からの登山、そして家族との関係性をアーカイブ写真を用いて表現。
  2. 病気〜退院〜最期の登山〜事故、とそれぞれの過程で父が見た世界を視覚化したビジュアルを新規に作成。

上記を複合させ、一冊の本の中でストーリーを展開する。

◎具体的なビジュアル

◆2018年3月のワークショップ参加時に手元にあった素材

父の登山写真

©️Shu Watanabe
©️Shu Watanabe

家族との写真

©️Shu Watanabe
©️Shu Watanabe

父の遺品の写真

©️Shu Watanabe
©️Shu Watanabe

◆ワークショップ期間中に撮影した素材

両神山の滑落事故現場へ行き、足を滑らせて落下するときの視界を再現したイメージを撮影。

©️Shu Watanabe
©️Shu Watanabe

◆ワークショップ後〜現在にかけて撮影した素材や試み

父の遺した登山メモを頼りに、父が登った山を自分でも登山をした。

©️Shu Watanabe
©️Shu Watanabe
©️Shu Watanabe

父が登頂できなかった両神山にも登山をし、山頂からの景色を撮影。

©️Shu Watanabe
©️Shu Watanabe

登山と対になる出来事として、父の病気(肝臓がん)にまつわるイメージを集める。(レントゲンや病院の写真など)

©️Shu Watanabe
©️Shu Watanabe

登山や病気の写真を、そのまま使うのではなく、より深く心情を感じられるように演出を加える。

©️Shu Watanabe
©️Shu Watanabe

◆編集について

読者に伝わりやすい構成になるよう、ストーリーラインを図にまとめて、意識しながら編集作業を行った。

©️Shu Watanabe

◎ダミーブックの現状

登山と人生に共通する不安定さやスリル、そこからくる爽快感を体験してもらうように、ページをずらした本文デザインをテスト中。

表紙を含めたブックデザインについても引き続き、試行錯誤を続けている。

ダミーブックの変遷|photo by Natsumi Hisamitsu

と、このような内容でお話をしました。ギャラリーのfacebookに配信アーカイブが残っているので(いずれ消えるかもしれませんが)そちらのリンクも貼っておきます。

私は 2:33:33 あたりから20分くらい話していますので興味を持たれた方はご覧下さい。

https://www.facebook.com/Reminders.Photography.Stronghold/videos/3843745502407139

写真集は引き続き制作を続けています!

『未来へつなぐ千年桜』大沼英樹さんのフォトエッセイ集。ブックデザインしました

仙台在住の写真家・大沼 英樹さんによるフォトエッセイ集『未来へつなぐ千年桜』(玄光社刊)のブックデザインを担当しました!

大沼さんが震災から10年間撮り続けた東北の桜の写真と、復興に向かう人々のストーリーを綴った一冊です!

未来へつなぐ千年桜