【写真集】印刷コストを下げるコツ!相見積もりのメリット・デメリット【デザイン】

現在進めている写真集デザインの案件では、見積もりの手配もデザイナーである私が担当しました。
当初は1社のみに見積もりを依頼していましたが、最終的に3社に相見積もりを取り、最も条件の良い会社に印刷をお願いすることになりました。

その流れをまとめると、以下のようになります。

今回の相見積もりの流れ

  1. A社にざっくりとした装丁仕様で見積もりを依頼
  2. 予算オーバーだったため、仕様を調整し、再度A社に見積もりを依頼
  3. A社での装丁仕様と見積もり金額が固まる
  4. 関係者から「相見積もりを取ってみては?」とアドバイスを受ける
  5. B社・C社にも同じ仕様で見積もりを依頼
  6. 金額やその他の条件を総合的に判断し、C社に決定

相見積もりを取る理由(メリット)

相見積もりを取ることで得られるメリット、または理由は以下のとおりです。

1. 印刷料金の相場を把握できる

ネット印刷ならすぐに価格が分かりますが、一般の印刷会社に依頼する場合は相場が不透明です。相見積もりを取ることで、市場価格を把握しやすくなります。

2. 価格交渉がしやすくなる

他社の見積もり金額を提示することで、値引き交渉がしやすくなる場合があります。

3. 装丁仕様の優先順位が明確になる

相見積もりに限りませんが、予算内に収めるために何度か見積もりを取ることで、「譲れない部分」と「妥協できる部分」が整理されるというメリットがあります。

相見積もりを取る際のデメリットや注意点

1. 印刷会社への配慮が必要

見積もりを出してもらって最終的に依頼しない場合、対応してくれた印刷会社には申し訳ない気持ちになります。
最低限の礼儀として、お願いしない場合も丁寧にお断りの連絡を入れることが大切です。

2. 時間がかかる

印刷会社によりますが、見積もりの回答には3日〜1週間ほどかかることが一般的です。
特に、1社ずつ順番に依頼する場合は、見積もりを取るだけで数週間〜1ヶ月かかることもあるので、スケジュールに余裕を持つ必要があります。

3. 印刷会社ごとに見積書の書式が異なる

見積書のフォーマットは各社で異なるため、比較する際には以下の点に注意が必要です。

  • 納品時の送料が含まれているかどうか
  • 税込み・税抜き金額の表示形式(どちらが大きく表示されているか)

こうした違いをしっかり確認しないと、金額の比較を誤る可能性があります。

問い合わせの方法について

今回は知人の紹介で直接連絡を取った会社もありましたが、印刷会社のWebサイトから問い合わせたケースもいくつかありました。
「Webの問い合わせフォームからの依頼は、返信が遅いのでは?」と少し心配していましたが、どの印刷会社も迅速に対応してくれ、スムーズに見積もりを進めることができました。


写真集印刷の見積もりを取ろうと考えている方の参考になれば幸いです。

写真集デザインの備忘録:印刷会社との打ち合わせで学んだこと

私が現在進めている写真集デザインの案件について、印刷会社の八紘美術さんと打ち合わせをした際に初めて知った内容を、備忘録としてメモしておきます。

1)ホローバック製本にも、さらに開きが良い方法がある

上製本で背と本体を接着しないことで、開きを良くするホローバック製本。
近年は写真集などで「さらに開きを良くしてほしい」というオーダーが増えており、その対応策として花布を省略することで背を柔らかくし、より開きを良くする方法があるそうです。

ただし、本の強度とはトレードオフになるため、その分、耐久性は下がります。
また、開きを良くするとノドの部分にのりの跡がついたり、隣の折の図版が見えてしまうといった現象も起こるそうです。
「開きが良ければ良い」というわけではない、というのは意外な発見でした。

2)見返しは4/6判の130kg相当が適している

当初、見返しの用紙をNTラシャ 4/6判 100kg相当で提案していましたが、前述の開きを良くする製本にする場合、100kg相当では耐久性に不安があるとのこと。
そのため、4/6判 130kg相当程度の厚さにするほうが適しているとアドバイスを受けました。

3)データ入稿から納品までの目安

いくつかの印刷会社にも確認したところ、共通するスケジュール感がありました。
写真集の印刷において、データ入稿から印刷・製本・納品までの期間は、概ね1ヶ月半かかるそうです。
スケジュールを組む際の参考にしてください。


やはり、印刷の専門家である印刷会社の方と話すことで、初めて分かることが多いですね。

THE LAST SUMMIT |手作り本の製本手順(2024年5月版)

私のアーティストブック、「THE LAST SUMMIT」の製本手順を、以前本ブログに書いた時から更新したので、2024年版としてメモしておきます。

かなり特殊な、斜めに折る製本の手順ですが、本作りしている方の参考になればと思います。

主に本文ページの製本手順なので、カバーはできている前提です。

I have updated the binding procedures for my artist book, “THE LAST SUMMIT”, since I previously wrote about it on this blog, so I am making a note of them here for the 2024 version.

These are fairly unique binding procedures that involve folding diagonally, but I hope they will be helpful for anyone making a book.

These are mainly binding procedures for the main text pages, so it is assumed that the cover is already in place.

1. センタートンボで折り筋をつける

折り筋入れを一番はじめにおこないます。折り筋を入れる際は丸鉄筆を使っています。

丸鉄筆 小

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丸鉄筆だと、厚めの紙にもしっかりと折り筋を入れることができ、先が丸いことから紙が切れたりすることも無いので使いやすいです。

2.天地をトンボで切り落とす

天地のトンボをカッターナイフで切り落とします。

オルファ 大型カッター エックスハイパー L型 224BS

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3.折り筋に沿って折る

1.で入れた折り筋に沿って、ヘラを使って折っていきます。

4.糸を通す穴を開ける

千枚通しで穴を開けます。

SK11 千枚通し ステンレス針 アルミ柄 小 針長:約40mm SGN-5N

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5.扉と奥付を見返しに糊で接着する

ここではスティックのりを使っています。

トンボ鉛筆 スティックのり ピットハイパワー S 5個 HCA-511

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表/裏の見返しを扉と奥付に接着します。接着した後でこの折にも穴を開けます。

6.折丁の順番を整える

順番を間違えないようにデータに通し番号を振って印刷しています。

7.糸かがり綴じで折丁を縫っていく

リンクステッチという縫い方で縫っています。

針はカーブ針が使いやすいのでこれを使っています。絡まった糸をほどく時も使うので4本くらいあると便利です。

森川製針 カーブ針 2本 [22] CG206

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糸はこちらのダルマ糸を使用しています。

横田 ダルマ 家庭糸 手縫い糸 30番手 細口 100m巻 col.白 0115

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120円(07/15 07:47時点)
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糸には蝋引き用のワックスをつけてから縫います。

手縫いワックス 25g 手縫い糸用 蝋引きワックス

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8.台紙を使い、小口をカッターで切り落とす

私の本は、半折丁ごとに小口を切る必要があるので、この段階で小口をカッターで切ります。

9.背を糊付けする(背固め)

MDF板で束を挟み万力で固定。

背を製本用の強力な糊で接着します。

10.カバーを接着する

カバーは、フエキノリと木工ボンドを水で溶いたオリジナルの糊で接着します。

その後、MDF版で挟んで1日ほど置いておきます。

11.完成

これで完成。

My Favorite Photobook Store in Japan

As a lover of photo books, I would like to recommend some Photobook stores in Japan.
Please visit them when you come to Japan.

TOKYO

Flotsam books

Website: https://www.flotsambooks.com/

Address: 1 Chome-10-7 Izumi, Suginami City, Tokyo 168-0063

This store mainly deals in photo books.
The owner, Mr. Kobayashi, has a great sense of style and handles cool photo books and art books from all over the world.
Most of the books are new publications, but they also carry used books. The prices are inexpensive, and popular items sell out quickly, but we also carry many books that can only be purchased through this store in Japan.
We are strong in fashion-related photo books, and we also carry zines.
In addition to photo books, we also carry books on design, such as collections of works by overseas designers, exhibition catalogs, and typography books that you can find only at this store.
The store often holds exhibitions of artists and book events.

Flotsam books

Post

Website: http://post-books.info/

Address: 2 Chome-10-3 Ebisuminami, Shibuya City, Tokyo 150-0022

A gallery and bookshop in Ebisu.

The owner, Mr. Nakajima, also organizes the Tokyo Art Book Fair, so you can be sure of a good selection.

Book obscura

Website: http://bookobscura.com/

Address: 〒181-0001 Tokyo, Mitaka, Inokashira, 4 Chome−21−5 フジパークマンション 103

A new + used bookstore in Kichijoji (Inokashira Park) selling photography books and art books.

There is also a gallery (exhibition space) inside the store, where you can see exhibitions of photographers and artists.

Various photography books are displayed according to the owner’s classification of genres, so it is easy to browse, even though there are a lot of books. This bookshop is recommended for students and those who are beginning to be interested in photography books and art books.

Book obscura

Shelf

Website: http://www.shelf.ne.jp/

Address: 3 Chome-7-4 Jingumae, Shibuya City, Tokyo 150-0001

This is a well-established bookstore specializing in photo books.

So books

Website: https://sobooks.jp/

Address: 1 Chome-47-5 Uehara, Shibuya City, Tokyo 151-0064

SKWAT/twelvebooks

Website: https://www.skwat.site/AOYAMA

Address: 5 Chome-3-2 Minamiaoyama, Minato City, Tokyo 107-0062

This space is for twelvebooks, a distributor of MACK and other products in Japan.

Totodo

Website: http://totodo.jp/

Address: 〒150-0032 Tokyo, Shibuya City, Uguisudanicho, 5−7 第2ヴィラ青山1F

A long-established design-related antiquarian bookstore with a store in Shibuya.
The store carries many famous and rare books on architecture, design, and photography.

Utrecht

Website: http://utrecht.jp/

Address: 〒150-0001 Tokyo, Shibuya City, Jingumae, 5 Chome−36−6 ケーリーマンション

A bookstore located in Harajuku, Tokyo, offering a wide variety of zines and other publications.

Tsutaya books Daikanyama

Website: https://store.tsite.jp/daikanyama/

Address: 〒150-0033 Tokyo, Shibuya City, Sarugakucho, 17−5 代官山T-SITE 1号館~3号館 1階~2階

TSUTAYA’s Daikanyama branch. This store has a fairly large selection of photo books, both old and new.

OSAKA

Book of days

Website: http://www.bookofdays-shop.com/

Address: 〒550-0011 Osaka, Nishi Ward, Awaza, 1 Chome−10−2 ボンジュール阿波座 202号

A bookstore with a store in Osaka’s Nishi Ward.
They carry a large number of cool photo books.
They also have a discount service for members.
I visited the store when I was on a trip to Osaka, and the store is quite spacious, with many nice art books and photo books.

KANAZAWA

Iack

Website: https://www.iack.online/

Address: 〒920-0864 Ishikawa, Kanazawa, Takaokamachi, 18−3 IACK

A gallery, bookshop and distributor located in Kanazawa City, Ishikawa Prefecture.
The location is used as photographer Yukihito Kono’s studio, but on weekends it is open as a gallery.
Since 2018, they have been working as a distributor for international independent publishers such as JM Ramirez Suassi, Multipress, and Overlapse, as well as self-published works.
The books they carry are wonderful and I buy a book every time I see them at an event in Tokyo.


Art, Design, Photobook shop in Japan Map

The following Google map shows bookshops in Japan that sell the design, art books and photo books introduced in this article.

Art, Design, Photobook shop in Japan
https://goo.gl/maps/GEpytqKZjygcEhag8

Header: Lubos HouskaによるPixabayからの画像

2021年末、flotsambooksとIACKのコラボレーションイベントで写真集を買う

2021年末、代田橋のflotsambooksと金沢のIACKが急遽コラボレーションして写真集販売イベントをするということで、遊びに行きました。

flotsambooks

flotsambooksの小林さんはもちろん、IACKの河野さんもお店にいらっしゃったので今回の本のお話を詳しく聞けました。

その上で買ったのはこの2冊。

(左)『PLAY』Philippe Jarrigeonと(右)『O滞』梅田哲也/〈写真〉天野祐子

『PLAY』Philippe Jarrigeon

今回のイベントの商品。

フランス人写真家、フィリップ・ジャリジョン(Philippe Jarrigeon)による作品集です。

90年代を感じさせるカラフルでグラフィカルなビジュアルに溢れた本で、グラフィックデザイナーとしてもとても刺激を受けます。

IACKの店主、河野さんによる本書の解説がこちら

『O滞』梅田哲也/〈写真〉天野祐子

別府で開催されたアートプロジェクト(?)のレポート集です。

ジャンルとしてはレポート集なのですが、写真とテキストが入り交じった編集が凝っていてアートブックとしても観ることが出来ます。

本書に掲載されている写真は、写真家の天野祐子さんによるもの。

天野さんの写真はとても雰囲気があり、素敵なので私は写真を目当てに購入しました。

flotsambooksによる紹介がこちら

テキストも充実していて、読み解き甲斐がある本なので、年末年始にじっくり読もうと思います。

天野さんの作品集もぜひ出版して欲しい!

年末に良い本と出合えたので良かったです。