2023年の夏に観に行きたい展示/美術館―国立公文書館、高麗博物館、国立ハンセン病資料館、など

2023年の夏に観に行きたい展覧会や美術館を備忘録としてメモしておきます。

「大正時代―公文書でたどる100年前の日本―」, 国立公文書館

会期:令和5年7月22日(土)〜9月18日(月・祝)
会場:国立公文書館 東京本館
Webサイト:https://www.archives.go.jp/exhibition/index.html

 今から約100年前、大正時代(1912~1926)には、政党を基盤とした議会政治の確立、男子普通選挙の実現、女性の社会進出、教育の充実と子どもの保護、国際連盟の発足といった、現在の私たちともつながりのある動きが生まれていました。一方、第一次世界大戦や、発生から100年を迎える関東大震災など、現在も多くの人々に記憶される出来事も起きています。  本展では、今から約100年前の日本がどの様な時代だったのか、国立公文書館が所蔵する資料からご紹介します。

https://www.archives.go.jp/exhibition/index.html

関東大震災について調べているので、こちらの展示は気になります。大正時代は期間が短かったこともあり、他の時代と比べて資料が少ないので色々見られると良いなと思っています。

関東大震災100年ー隠蔽された朝鮮人虐殺, 高麗博物館

会期:2023年7月5日(水)~12月24日(日)
会場:高麗博物館
Webサイト:https://kouraihakubutsukan.org/

1923年の関東大震災朝鮮人虐殺から100年。
虐殺の起きた背景には何があるのか、
そして事実の隠蔽行為はなぜ今も続いているのか。
高麗博物館は関東大震災朝鮮人虐殺をテーマとした企画展を過去3回行い、資料の蓄積があります。
さらに今回は、新たに発見された
淇谷「関東大震災絵巻」を本邦初公開します。
100年の記憶と歴史を継承するための多角的な展示です。
高麗博物館は今回の企画展を通して、
いわれなく殺された人々を追悼すると同時にご来場の皆さんと一緒に考える時間と空間を提供したい。

https://kouraihakubutsukan.org/

今年は関東大震災、そしてそこで起きた朝鮮人虐殺事件から100年。新大久保にある高麗博物館でも大々的な展示が開催されます。

本邦初公開の「関東大震災絵巻」という資料も展示されるとのこと、非常に楽しみです。

国立ハンセン病資料館

Webサイト:https://www.nhdm.jp/

ハンセン病問題に関する中核施設として、各療養所と連携を図りながら、医学的知識、治療の歴史、患者・元患者とその家族に対する偏見・差別の歴史、その苦難の体験についての情報を社会に示し、ハンセン病問題への理解を広く伝えています。そして、それをもとに来館者が人権等の問題について考えていただける場を提供しています。

https://www.nhdm.jp/

こちらは、企画展というよりも、前々から気になっていたので常設展を観に行きたいと思っています。

偏見、差別、人権といった問題にどのようにアプローチしてくか、展示の参考になりそうだと感じています。

まとめ

ひとまずは以上です。

また気になる展示や美術館があったら追加していきたいと思います。

Header: Gerd AltmannによるPixabayからの画像

アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)とアール・デコ(Art Deco)、2つの芸術様式の違いをまとめてみました

芸術・デザインのムーブメントであるアール・ヌーヴォー(Art Nouveau)とアール・デコ(Art Deco)。
この2つの違いについて、改めて調べたのでまとめてみました。

アール・ヌーヴォーとアール・デコは、19世紀末から20世紀初頭の異なる時期に生まれた2つの異なる芸術運動です。
美学と芸術表現を重視するという点では共通点があるものの、スタイル、影響、歴史的背景の点で異なっています。

アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)

1.時代

アール・ヌーヴォーは19世紀後半に誕生し、20世紀初頭まで栄えました。

Alfons Mucha - F. Champenois Imprimeur-Éditeur Alphonse Mucha, Public domain, via Wikimedia Commons

2.様式

アール・ヌーヴォーの特徴は、花や植物、流れるようなラインなど、自然の要素からインスピレーションを得た有機的で曲線的なフォルムです。
建築、装飾芸術、グラフィック・デザインなど、さまざまな芸術形態を統合した総合的な芸術作品の創造を目指しました。

Alphonse Mucha - Zodiac, 1869 Alphonse Mucha, Public domain, via Wikimedia Commons

3.影響

アール・ヌーヴォーは、日本美術、アーツ・アンド・クラフツ運動、自然界など、さまざまなものからインスピレーションを得ています。
日常生活における芸術とデザインの一体化を目指し、「総合芸術」の考え方を取り入れました。

The Peacock Room Freer Gallery of Art and Arthur M Sackler Gallery, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

4.装飾

アール・ヌーヴォーは、複雑で精巧な装飾を重視し、しばしば様式化された花や植物のモチーフが用いられました。
そのデザインには、しなやかな線、非対称の構図、繊細な曲線が用いられた。

Castel Béranger, February 16, 2013 Groume, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

5.素材

アール・ヌーヴォーは、鉄、ガラス、陶器、ステンドグラスなど、さまざまな素材を用いました。
伝統的な職人技と近代的な工業技術を融合させ、職人技と技術の融合を称えました。

Philippe Wolfers, Plumes de Paon, KMKG-MRAH Philippe Wolfers, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

アール・デコ(Art Deco)

1.時代

アール・デコは1920年代に誕生し、主に2つの世界大戦の間の1930年代に最盛期を迎えました。

‘Lady with Panther’ by George Barbier for Cartier, 1914 George Barbier (1882–1932), Public domain, via Wikimedia Commons

2.スタイル

アール・デコは、すっきりとしたライン、シンメトリー、大胆なフォルムを中心に、幾何学的で流線型のフォルムを取り入れました。

よりモダンで洗練された豪華な美学への転換を象徴しています。

Secession 2016, Vienna Thomas Ledl, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

3.影響

アール・デコは、キュビズムの大胆な幾何学模様、工業時代、古代のエキゾチックな文化(エジプト、アステカ、アフリカなど)、機械時代や大量生産の台頭など、さまざまなものからインスピレーションを得ています。

JesterCoverGWBridge Unattributed., Public domain, via Wikimedia Commons

4.装飾

アール・ヌーヴォーが複雑な装飾を賞賛したのに対し、アール・デコはより合理的で簡素なアプローチを好みました。

幾何学模様、サンバースト、ジグザグ、階段状のフォルムを用いて、現代性と洗練を表現しました。

Chrysler Building 1 (4684845155) Tony Hisgett from Birmingham, UK, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

5.素材

アール・デコは、クローム、ステンレス、ベークライト、ガラスなど、機械時代の新素材を取り入れました。

磨き上げられた表面、鏡面仕上げ、象牙、漆、希少な木材など、豊かな色彩とエキゾチックな素材がしばしば用いられました。

Lurelle Guild. Vacuum Cleaner, ca. 1937. Lurelle Guild, No restrictions, via Wikimedia Commons

まとめ

アール・ヌーヴォーは自然から着想を得た有機的で曲線的なフォルムを特徴とし、アール・デコはモダンで豪華な美的感覚を備えた幾何学的で流線型のデザインを取り入れています。

アール・ヌーヴォーは19世紀後半から20世紀初頭にかけて隆盛を極め、アール・デコは1920年代から1930年代にかけて台頭しました。

今回の記事で興味を持たれた方は、より深く知れる以下のような西洋美術史の本を読んでみてください。

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「パブリックドメイン(Public Domain)」とは? その意味と価値について考えてみた

最近、デザイン資料などを作る際にリサーチをしていると、「パブリックドメイン(Public Domain)」の素材にたどり着くことが増えてきました。

よく聞く言葉ですが、ちゃんとした意味は知らなかった、と思い、パブリックドメインについて調べてみたので、その内容をまとめました。

Mummy’s Bedtime Story Book Pl.14 (1929), Jessie Marion King (Scottish, 1875-1949)

はじめに

デジタル時代において、パブリックドメインという概念は非常に重要です。

パブリックドメインとは、著作権の制限や所有権のない作品や知識の領域を指します。

パブリックドメインとは?

パブリックドメインは、著作権が消滅したり、放棄されたり、存在しなかったりする作品を指します。

許可や支払いなしに誰でも、これらの作品を使用できます。

パブリックドメインには、古典文学や歴史的な芸術作品、民話、古代の科学的なテキストなどが含まれます。

Study of a Tree (1830s), Caspar Scheuren (German, 1810-1887)

パブリックドメインの利点

文化の保存とアクセス

パブリックドメインの作品は、文化遺産を保存し、誰もがアクセスできるようにします。

過去の時代を知り、多様な芸術形態や歴史的な出来事に触れることができます。

教育と研究

パブリックドメインのリソースは教育や研究にとって貴重です。

知識の普及を促し、教育の壁をなくします。

インスピレーションと創造性

パブリックドメインの作品は現代のクリエイターにインスピレーションを与えます。これらの作品をベースに新たな作品を制作することで、社会を豊かにし、イノベーションを促進します。

The Creation of the World and the Garden of Eden (1560)

共同プロジェクト

パブリックドメインは、共同作業の基盤となります。異なる背景を持つ人々が協力し、新しい作品を創り出すことができます。

制限と考慮事項

パブリックドメインにはいくつかの制限や法的な考慮事項があります。

作品のステータスを判断することや、二次的な著作物の制限について注意が必要です。

パブリックドメインの維持

最近では、著作権期間の延長や制限的な知的財産権法により、パブリックドメインの縮小に対する懸念が高まっています。

バランスの取れた著作権政策を提唱し、パブリックドメインの持続的な拡大を支援することが非常に重要です。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスやオープンアクセス出版プラットフォームなどのイニシアチブは、パブリックドメインの資源プールを広げるのに役立ちます。

Maquettes de Théatre 13 (1930), Alexandra Exter (Ukrainian, 1882 – 1949)

まとめ

パブリックドメインは、アイデア、創造性、知識の広大な遊び場であり、探求、学習、革新のための豊かな機会を提供しています。

私たちはパブリックドメインを大切にし、保護し、貢献することで、人類の努力の証として、過去の成果を基により良い未来を形作っていくべきです。

次の世代に豊かさを引き継ぐために、パブリックドメインの管理者としての役割を果たさなければなりません。

パブリックドメインのリンク集

パブリックドメインおよびクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで使用可能な
素材まとめサイト集 | utelecon
https://utelecon.adm.u-tokyo.ac.jp/articles/copyright/copyright-free-resources

パブリックドメインで無料!世界の名画600万枚をダウンロードできる
美術館サイト21個まとめ【2023年版】 | PhotoshopVIP

https://photoshopvip.net/111868#tip23

Artvee
https://artvee.com/
※パブリックドメインの画像を検索、ダウンロードできるサイト。

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読書感想|「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

書店などでよく見かけていたこちらの本を購入して読みました。

「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

私は自分がデザイナーということもあり、デザイン思考については本を読んだり、自身の経験と照らし合わせたりしてなんとなく分かっていたのですが、アート思考については明確には理解していませんでした。

この本を読む事で、アート思考につながる有名なアーティストの作品や思考法の根幹を知る事ができました。

13歳からの…という枕詞がタイトルについているので、子供向けの本かな?という印象を抱いていたのですが、アート(美術)に興味が無くなる年齢が13歳が多い、ということで本の内容自体は子供からビジネスマンまで学びのある内容になっています。

取り上げられているアート作品も、作家も作品も知っていましたが、この本を読むことでなんとなくではなく、なぜそれらの作品がアートの歴史で大きく評価されているのかも知る事ができました。

とても面白い本なので2日くらいで一気読みしてしまいました。

デザイン思考やアート思考に興味がある方はぜひ読んでみて下さい!

熱海のホテルニューアカオ本館でのアートイベント「Standing Ova tion 四肢の向かう先」を観に行きました!

静岡県・熱海の歴史有るホテル・ニューアカオの本館が2021年11月をもって宿泊営業を終了しました。

その施設をアートの展示会場として活用した特別キュレーション展「Standing Ovation|四肢の向かう先」を観に行きました。

会場の様子を写真でご紹介します。

土曜日に行ったので40分くらい並んで待ちました

とにかくニューアカオの建物がすごく、そのしつらえに圧倒されました。

また別の展示がおこなわれる事があれば、今度は熱海に泊まりながら行ってみたいと思います。