アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)とアール・デコ(Art Deco)、2つの芸術様式の違いをまとめてみました

芸術・デザインのムーブメントであるアール・ヌーヴォー(Art Nouveau)とアール・デコ(Art Deco)。
この2つの違いについて、改めて調べたのでまとめてみました。

アール・ヌーヴォーとアール・デコは、19世紀末から20世紀初頭の異なる時期に生まれた2つの異なる芸術運動です。
美学と芸術表現を重視するという点では共通点があるものの、スタイル、影響、歴史的背景の点で異なっています。

アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)

1.時代

アール・ヌーヴォーは19世紀後半に誕生し、20世紀初頭まで栄えました。

Alfons Mucha - F. Champenois Imprimeur-Éditeur Alphonse Mucha, Public domain, via Wikimedia Commons

2.様式

アール・ヌーヴォーの特徴は、花や植物、流れるようなラインなど、自然の要素からインスピレーションを得た有機的で曲線的なフォルムです。
建築、装飾芸術、グラフィック・デザインなど、さまざまな芸術形態を統合した総合的な芸術作品の創造を目指しました。

Alphonse Mucha - Zodiac, 1869 Alphonse Mucha, Public domain, via Wikimedia Commons

3.影響

アール・ヌーヴォーは、日本美術、アーツ・アンド・クラフツ運動、自然界など、さまざまなものからインスピレーションを得ています。
日常生活における芸術とデザインの一体化を目指し、「総合芸術」の考え方を取り入れました。

The Peacock Room Freer Gallery of Art and Arthur M Sackler Gallery, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

4.装飾

アール・ヌーヴォーは、複雑で精巧な装飾を重視し、しばしば様式化された花や植物のモチーフが用いられました。
そのデザインには、しなやかな線、非対称の構図、繊細な曲線が用いられた。

Castel Béranger, February 16, 2013 Groume, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

5.素材

アール・ヌーヴォーは、鉄、ガラス、陶器、ステンドグラスなど、さまざまな素材を用いました。
伝統的な職人技と近代的な工業技術を融合させ、職人技と技術の融合を称えました。

Philippe Wolfers, Plumes de Paon, KMKG-MRAH Philippe Wolfers, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

アール・デコ(Art Deco)

1.時代

アール・デコは1920年代に誕生し、主に2つの世界大戦の間の1930年代に最盛期を迎えました。

‘Lady with Panther’ by George Barbier for Cartier, 1914 George Barbier (1882–1932), Public domain, via Wikimedia Commons

2.スタイル

アール・デコは、すっきりとしたライン、シンメトリー、大胆なフォルムを中心に、幾何学的で流線型のフォルムを取り入れました。

よりモダンで洗練された豪華な美学への転換を象徴しています。

Secession 2016, Vienna Thomas Ledl, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

3.影響

アール・デコは、キュビズムの大胆な幾何学模様、工業時代、古代のエキゾチックな文化(エジプト、アステカ、アフリカなど)、機械時代や大量生産の台頭など、さまざまなものからインスピレーションを得ています。

JesterCoverGWBridge Unattributed., Public domain, via Wikimedia Commons

4.装飾

アール・ヌーヴォーが複雑な装飾を賞賛したのに対し、アール・デコはより合理的で簡素なアプローチを好みました。

幾何学模様、サンバースト、ジグザグ、階段状のフォルムを用いて、現代性と洗練を表現しました。

Chrysler Building 1 (4684845155) Tony Hisgett from Birmingham, UK, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

5.素材

アール・デコは、クローム、ステンレス、ベークライト、ガラスなど、機械時代の新素材を取り入れました。

磨き上げられた表面、鏡面仕上げ、象牙、漆、希少な木材など、豊かな色彩とエキゾチックな素材がしばしば用いられました。

Lurelle Guild. Vacuum Cleaner, ca. 1937. Lurelle Guild, No restrictions, via Wikimedia Commons

まとめ

アール・ヌーヴォーは自然から着想を得た有機的で曲線的なフォルムを特徴とし、アール・デコはモダンで豪華な美的感覚を備えた幾何学的で流線型のデザインを取り入れています。

アール・ヌーヴォーは19世紀後半から20世紀初頭にかけて隆盛を極め、アール・デコは1920年代から1930年代にかけて台頭しました。

今回の記事で興味を持たれた方は、より深く知れる以下のような西洋美術史の本を読んでみてください。

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