今回の記事ではこちらのお題に答えます。
私のこれまでのグラフィックデザイナー人生において、非常に影響を受けた3冊の本をご紹介します。
1.構成的ポスターの研究―バウハウスからスイス派の巨匠へ
ポスター共同研究会(著/文), ポスター共同研究会・多摩美術大学(著/文), 多摩美術大学ポスター共同研究会(著/文)
ISBN: 978-4-8055-0413-0 283頁
発行: 中央公論美術
奥付の初版発行年月: 2001-11
美術大学を目指して浪人している時に買ったポスターデザインの作品集です。
受験の勉強のためという事もありましたが、物事を抽象化して表現するする、とはこういうことなのか、と刺激を受けました。
ただ作品を掲載しているだけでなく、構成(コンポジション)やモチーフ、色などについても指針を作って分類、研究している本なので、ポスターデザインについて論理的に学ぶことができました。
当時の私にとっては金額的にかなり背伸びして買った本ですが、印刷も非常に美しく、今でも大切にしています。
その後の自分の好きなグラフィックデザインの傾向にかなり影響を与えた本です。
2.RE DESIGN―日常の21世紀
竹尾【編】/原 研哉/日本デザインセンター原デザイン研究所【企画・構成】
朝日新聞出版(2000/04発売)
サイズ A5判/ページ数 237p/高さ 23cm
商品コード 9784022574954
紙の商社、竹尾が主催するイベント『竹尾ペーパーショー』の展示をまとめた本です。
グラフィックデザイナー・アートディレクターの原研哉さんディレクションによる『RE DESIGN』という企画展。
トイレットペーパーやゴキブリホイホイ、マッチや出入国スタンプなど、私たちの生活の中で見慣れたプロダクトが、一流デザイナーの手によってリ・デザインされる企画。
まず、リ・デザインという考え方が衝撃的でした。さらに姿を変えたそれぞれのプロダクトは斬新なアイデアと美しさに満ちており、非常にインスパイアを受けました。
特に印象に残っているのは、プロダクトデザイナー、深澤直人氏による、まるでフルーツの表皮のようなジュースのパッケージデザインです。
また、造本のデザインも非常に美しいです。
写真をふんだんに使い、グリッドシステムによってレイアウトされた誌面は、平面の中にレイヤーを感じさせるデザインでした。綺麗に見える写真の撮り方も非常に参考になります。
そして、ブックデザインは、紙でできているにも関わらず、彫刻の様な存在感がありました。
本というのは立体のオブジェクトなのだと、この本のデザインで気づかされました。
プロジェクトのまとめ方の参考書として、今見ても非常に多くの発見があります。
3.デザイン解体新書
工藤 強勝(監修) ISBN: 978-4-948759-91-6 271頁 発行: ワークスコーポレーション 奥付の初版発行年月: 2006-03
本ブログでも何度が触れていますが、私が勤めていたデザイン事務所「デザイン実験室」の工藤強勝さんの著書。
工藤さんはご自身ではパソコンを使わず、写植の時代から使われていた「指定紙」というデザインの指示書を作成し、それを私達スタッフがデジタル化する、というデザインの方法を取っていました。
工藤さんのデザインのエッセンスが詰まった指定紙を惜しみなく公開し、本人による解説が書かれた贅沢な本。エディトリアルデザインやブックデザインをする方に取っては必読と言っても過言ではない本だと思います。
私は、工藤さんの事務所に勤める前からこの本を持っていたのですが、入社してから、先輩についていこうと必死でこの本を読みました。なので、家にある本書はカバーも無いですし、線を引いたりページを折ったりして使い込まれた感じになっています。
それでも耐久性が出るようにと、のデザイン設計により本書は糸かがり綴じ(糊ではなく糸での製本)になっているため、ページが取れたりすることはありません。
恐らく私が人生で一番集中して読んだデザインの本です。
まとめ
今回ご紹介した3冊の本は、掲載されているデザインが素晴らしいことに加えて、時代が変わっても色褪せない普遍的なデザインの考え方が書かれています。