THOMAS DOYLE “HOLD YOUR FIRE ”をDIESEL ART GALLERY で鑑賞しました

彫刻家THOMAS DOYLE(トーマス・ドイル)の日本初の個展 “HOLD YOUR FIRE ” を渋谷のDIESEL ART GALLERYで鑑賞しました。

“HOLD YOUR FIRE”は、トーマス・ドイルのミニチュア彫刻作品と本人制作・撮影のミニチュアフィギュアの写真を通して、その幅広い芸術活動にスポットライトを当てる。
本展のタイトル“ HOLD YOUR FIRE”は、作品に含まれる心理的側面(誰もが抱える記憶や思い)と、不穏な時代の「疑いようのない不安感」に基づいています。
絶えず起きる戦争、自然災害、難民危機、環境汚染、抗議デモが続き、常に大惨事と隣り合わせで暮らしているように感じられる現代。
ドイルは、尽きない惨事が呼び起こす「心許なさ」を細やかで親密な彫刻で表現し、同時に「家」「家庭」「安定」への普遍的な願いを描いています。
作品から伝わるその「矛盾」こそが、多くのギャラリー来場者を惹きつけるでしょう。….

DIESEL ART GALLERY EXHIBITION HOLD YOUR FIRE

会場内は撮影OKでした。

家が地面に落下、地面が陥没するようなミニチュア彫刻。

ガラスケースに収められた彫刻作品。

片面から観ると森や木々などの自然、もう片面から観ると人間が出すゴミの山を観る事ができる。今回の展示では、このような2面性を持った彫刻作品が多い。

環境問題への警鐘を鳴らしているのだろうか。

ミニチュアの人物が持つプラカードには『Light no fires(火が無い)』『Power two the peephole(のぞき穴の2つの力)』といったメッセージが書かれている。

幸せそうな住居の前に掘られた戦争の塹壕。こちらも日常に潜む不安などを表している様に見える。

ミニチュア彫刻のポートレート。綺麗に作られている訳で無く、どこか、歪んでいたり、欠けていたりして不完全である。

街で暮らす人々が漠然と感じている言い様のない不安を表現した作品で、鑑賞者が色々と考えられるプロジェクトだと感じました。

現代アートの醍醐味ですね!

展覧会情報
会期 2018年11月23日~2019年2月13日
会場 DIESEL ART GALLERY
WEBサイト https://www.diesel.co.jp/art/thomas_doyle/

JESUS RAFAEL SOTO “PENETRABLE BBL BLEU” at ESPACE LOUIS VUITTON TOKYO

表参道のエスパス・ルイヴィトン東京で、2018年12月7日〜2019年5月12日まで開催されている展覧会。

ベネズエラ出身のアーティスト、ヘスス・ラファエル・ソト(JESUS RAFAEL SOTO)によるインスタレーション《Pénétrable BBL Bleu》を体験してきました。

天井から垂れ下がった無数のPVCチューブの中を歩く事が出来る作品。

この中を自由に歩く事ができます
立方体の中に自分が溶け込んでいく感覚

空間の中と外の境界線が融解するような不思議な体験ができます。

柔らかいので子供と一緒に来ても楽しめそう
展覧会情報
期間|2018/12/07(金)~2019/05/12(日)
時間|12:00~20:00
入場無料
アーティスト|へスス・ラファエル・ソト
会場|エスパス ルイ・ヴィトン東京
東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル 7F
URL|http://www.espacelouisvuittontokyo.com/ja/

他の方が作った物ですが、この展示をPV風に編集した動画がYouTubeにありました。かなりクオリティが高いので会場の雰囲気をつかめると思います。

千賀健史写真展「THE SUICIDE BOOM」 at RPSギャラリー

Reminders Photography Strongholdギャラリーで2018年11月3日〜25日まで開催された千賀健史さんの写真展「THE SUICIDE BOOM」を鑑賞しました。

メディアで有名人の自殺のニュースが報道された際に起きてしまう「後追い自殺」。

それら連鎖的な自殺や死の美化について、作者の千賀さんは脳を浸食する「自殺のマインドウィルス」があると考えました。

目に見えない自殺のウイルスをヴィジュアライズした展示です。

写真集の構造の様に様々なメッセージがレイヤー化されたような展示構成

脳を侵食する「自殺のマインドウィルス」。レントゲンのように発光する写真のイメージによって強く印象づけるような展示になっている。

右の柱に投影された動画は、街を行き交う人々の姿
旧字体でタイプされた「天国」の文字
スマートフォンを通してマインドウィルスが浸食するイメージ
自殺者が増えていくカウンターが回る映像
三原山の自殺にまつわる記事を抽出した壁面
新聞記事から煙のように拡散されていく目に見えないウイルス
手紙やネット掲示板からの具体的な文字情報と、抽象的なイメージが重なる事で新たな意味が生まれる

こちらの展示の告知フライヤーのデザインを担当させていただきました。


関連リンク

【作家のサイト】CHIGAKENJI.com
http://www.chigakenji.com/

【イベントレポート】[イベントレポート]千賀健史 写真展「The Suicide Boom」
http://reminders-project.org/rps/eventreport_kenjichiga_tsb/

【写真集の注文はこちらから】千賀健史 写真集「The Suicide Boom」ご注文受付中(58部限定、受注生産)
http://reminders-project.org/rps/thesuicideboomsalejp/

千賀健史 写真集「The Suicide Boom」 from REMINDERS PHOTOGRAPHY STRONGHOLD on Vimeo.

野村浩さんの「CAMERAer -カメラになった人々」を購入!- 写真+コミックという新ジャンル!

先週、代官山で開催されたDaikanyama Photo Fair。

中目黒の写真ギャラリー、POETIC SCAPEさんのブースで、アーティスト・野村浩さんの「CAMERAer -カメラになった人々」を購入。
発売前から野村さんのツイートなどをチェックしていてずっと欲しかった本をようやく買えました!

手に持ちやすいサイズ。おまけの御札がついてきます

写真+コミックという新ジャンルの作品。

こちらがカメラーくん

親しみやすいキャラクターとシニカルなストーリーはそのままでも楽しめますが、写真業界の事を知っていると、なお面白いです。
実在の人に似ているキャラクターも何人も登場して、クスッとできます。

マンブくん

とても面白くて、お昼を食べに入ったお店で読みふけってしまいました。

10月6日(土)からPOETIC SCAPEで開催される展示もとても楽しみです!!

展覧会情報

野村浩 展|“NOIR” and “Selfie MANBU”
http://www.poetic-scape.com/

ご購入はこちらなどから

野村浩作品集: カメラー: HIROSHI NOMURA: CAMERAer|flotsambooks
http://www.flotsambooks.com/SHOP/PH03892.html

今注目のバイオアート!「2018年のフランケンシュタイン」展が面白かった!

表参道のGYREにあるアートギャラリーで開催している「2018年のフランケンシュタイン – バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま 」という展示を観てきました。

近年注目されている、合成生物学や3Dプリントなど、バイオテクノロジーを用いたバイオアートの展覧会。

金沢21世紀美術館の方がキュレーションに携わっているだけあり、とても面白かったです。

写真撮影可だったので、気になった作品をご紹介します。

ティナ・ゴヤンク 「Pure Human」

ファッション界の鬼才、アレキサンダー・マックイーンの皮膚をファッションの素材にするプロジェクト。

彼の肌のシミやほくろ、刺青を、ジャケットやリュックのテクスチュアとして再現。ここで展示されているのは豚革を使用した精巧な試作品ですが、最終的には実際にDNAを採取し、幹細胞に移植して皮膚を作るという事までするそうです。

それも観たい!

どの位置から皮膚を採取したかが標本の様に描かれている。

平野真美「蘇生するユニコーン」

空想の生物であるユニコーンを骨格、臓器、血管、内蔵、皮膚という詳細な部位を制作して想像から現実へと回復しようとするプロジェクト。

ディムット・ストレーブ「Sugababe」

ゴッホが切り落とした左耳をゴッホの子孫の細胞と唾液から抽出したDNAで復元するプロジェクト。

DNAが正しければ本人と同一と言えるのか?という「死」の概念を問う。

マーク・ダイオン「タール漬けの鳥」

環境汚染でタール漬けになった鳥を彫刻に。

タールが鳥の表皮を垂れる様子まで再現していて、リアル!

本多沙映「Everybody needs a rock」

道端で拾ったプラスチックを溶かして磨くことで作成した人工の鉱物。

ハワイの海岸で実際に発見された「プラスティグロメレート」(溶けたプラスチック、火山岩、砂、貝殻が混じり合うことで出来た新種の鉱物)からインスパイアされた作品。

ロバート・スミッソン「Glue Pour」

AKI INOMATA「Why Not Hand Over a “Shelter” to Hermit Crabs?」

ニューヨークや東京、パリの街の形を3Dプリンタで作成した透明な容器。水槽の中のヤドカリはそれらを自分の「ヤド」として使用する。

ヤドカリが都市から都市へ引っ越しをするように見える。

純粋に、ヤドカリがヤドに入っている様子を透明な容器越しに見られるのがとても新鮮で面白い!

ヘザー・デューイ=ハグボーグ「Stranger Visions」

本展示でとりわけすごいと思ったのはこの作品!

路上に落ちているタバコの吸殻や毛髪からDNAを採取し、落とした本人の顔を復元するというプロジェクト。

かなり精巧に顔が再現されている。

これが採取した吸い殻や採取の場所を示す標本箱。これだけの素材からリアルな顔が再現される技術にゾッとしました。

この技術は「DNAスナップショット」と呼ばれる犯罪捜査ツールとしてアメリカでは既に実用化されているそうです。すごい技術…。

BCL「BLP-2000B:DNAブラックリスト・プリンター」

パンデミックを起こす危険性をもったウイルスのDNA配列をひたすら印刷していくプリンター。

人間が生命を容易に編集できるような時代になった事を暗喩し、警鐘を鳴らしている。

最新のバイオテクノロジーの技術を知ることができ、それを芸術家達がどのようなメッセージを込めて作品に落とし込むかを堪能出来る充実の展示。

入場無料という事もあり、私は二回、観に行きました。

とても面白いので、タイミングが合う方は是非!

展覧会情報

「2018年のフランケンシュタイン バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま」
会期 : 2018年9月7日(金) – 10月 14日(日) / 11:00 – 20:00 / 無休
会場 : EYE OF GYRE / GYRE 3F
webサイト:https://gyre-omotesando.com/artandgallery/bioart/

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