表参道のGYREにあるアートギャラリーで開催している「2018年のフランケンシュタイン – バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま 」という展示を観てきました。
近年注目されている、合成生物学や3Dプリントなど、バイオテクノロジーを用いたバイオアートの展覧会。
金沢21世紀美術館の方がキュレーションに携わっているだけあり、とても面白かったです。
写真撮影可だったので、気になった作品をご紹介します。
ティナ・ゴヤンク 「Pure Human」
ファッション界の鬼才、アレキサンダー・マックイーンの皮膚をファッションの素材にするプロジェクト。
彼の肌のシミやほくろ、刺青を、ジャケットやリュックのテクスチュアとして再現。ここで展示されているのは豚革を使用した精巧な試作品ですが、最終的には実際にDNAを採取し、幹細胞に移植して皮膚を作るという事までするそうです。
それも観たい!
どの位置から皮膚を採取したかが標本の様に描かれている。
平野真美「蘇生するユニコーン」
空想の生物であるユニコーンを骨格、臓器、血管、内蔵、皮膚という詳細な部位を制作して想像から現実へと回復しようとするプロジェクト。
ディムット・ストレーブ「Sugababe」
ゴッホが切り落とした左耳をゴッホの子孫の細胞と唾液から抽出したDNAで復元するプロジェクト。
DNAが正しければ本人と同一と言えるのか?という「死」の概念を問う。
マーク・ダイオン「タール漬けの鳥」
環境汚染でタール漬けになった鳥を彫刻に。
タールが鳥の表皮を垂れる様子まで再現していて、リアル!
本多沙映「Everybody needs a rock」
道端で拾ったプラスチックを溶かして磨くことで作成した人工の鉱物。
ハワイの海岸で実際に発見された「プラスティグロメレート」(溶けたプラスチック、火山岩、砂、貝殻が混じり合うことで出来た新種の鉱物)からインスパイアされた作品。
ロバート・スミッソン「Glue Pour」
AKI INOMATA「Why Not Hand Over a “Shelter” to Hermit Crabs?」
ニューヨークや東京、パリの街の形を3Dプリンタで作成した透明な容器。水槽の中のヤドカリはそれらを自分の「ヤド」として使用する。
ヤドカリが都市から都市へ引っ越しをするように見える。
純粋に、ヤドカリがヤドに入っている様子を透明な容器越しに見られるのがとても新鮮で面白い!
ヘザー・デューイ=ハグボーグ「Stranger Visions」
本展示でとりわけすごいと思ったのはこの作品!
路上に落ちているタバコの吸殻や毛髪からDNAを採取し、落とした本人の顔を復元するというプロジェクト。
かなり精巧に顔が再現されている。
これが採取した吸い殻や採取の場所を示す標本箱。これだけの素材からリアルな顔が再現される技術にゾッとしました。
この技術は「DNAスナップショット」と呼ばれる犯罪捜査ツールとしてアメリカでは既に実用化されているそうです。すごい技術…。
BCL「BLP-2000B:DNAブラックリスト・プリンター」
パンデミックを起こす危険性をもったウイルスのDNA配列をひたすら印刷していくプリンター。
人間が生命を容易に編集できるような時代になった事を暗喩し、警鐘を鳴らしている。
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最新のバイオテクノロジーの技術を知ることができ、それを芸術家達がどのようなメッセージを込めて作品に落とし込むかを堪能出来る充実の展示。
入場無料という事もあり、私は二回、観に行きました。
とても面白いので、タイミングが合う方は是非!
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展覧会情報
「2018年のフランケンシュタイン バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま」
会期 : 2018年9月7日(金) – 10月 14日(日) / 11:00 – 20:00 / 無休
会場 : EYE OF GYRE / GYRE 3F
webサイト:https://gyre-omotesando.com/artandgallery/bioart/
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