[映画感想]「首」北野武 監督|現代のコンプラに全て引っかかる血みどろ時代劇

北野武監督の映画「首」を観ました。

北野映画は結構好きで、これまで観たことがあるのは以下の作品です。

  • その男、凶暴につき
  • 3-4X10月
  • ソナチネ
  • みんな〜やってるか!
  • キッズ・リターン
  • HANA-BI
  • 菊次郎の夏
  • BROTHER
  • 座頭市
  • アウトレイジ
  • アウトレイジ ビヨンド
  • アウトレイジ 最終章

私は普段そんなに映画を観ていないので、北野作品はかなり多く観ていると自分でも思います。

アウトレイジビヨンドが2017年の作品なので、今回の「首」はおよそ6年ぶり!に観た北野映画ということになります。

ストーリー

天下統一を掲げる織田信長は、毛利軍、武田軍、上杉軍、京都の寺社勢力と激しい戦いを繰り広げていたが、その最中、信長の家臣・荒木村重が反乱を起こし姿を消す。信長は羽柴秀吉、明智光秀ら家臣を一堂に集め、自身の跡目相続を餌に村重の捜索を命じる。秀吉の弟・秀長、軍司・黒田官兵衛の策で捕らえられた村重は光秀に引き渡されるが、光秀はなぜか村重を殺さず匿う。村重の行方が分からず苛立つ信長は、思いもよらない方向へ疑いの目を向け始める。だが、それはすべて仕組まれた罠だった。

果たして黒幕は誰なのか?
権力争いの行方は?
史実を根底から覆す波乱の展開が、
“本能寺の変”に向かって動き出す―

映画『首』公式サイト https://movies.kadokawa.co.jp/kubi/
ショッキングなシーンがあるので注意してください

鑑賞に際しての注意点

今の時代を考えると、多くの人に勧められる映画ではありません!
時代劇版アウトレイジ、とも呼ばれる本作。北野映画としてはこれまでのお約束(?)を踏襲していて、ファンは納得だと思いますが、この6年間で時代が大きく変わったと感じます。

新型コロナウイルスや、世界的に大きく広まったSDGs、エンターテイメント作品に対するポリティカル・コレクトネスの徹底など、昨今の時代背景を考えると、本作品はかなりアウトだと思います。
なので、そういった点が気になる方は観ないほうが良い作品だと思います。

しかし、こういった人権意識は時代とともに変化していくものなので、この作品の舞台となっている時代が1580年代ということを考えると、ある意味でリアリティがある描き方だとも感じます。

感想

本作は、過激なシーンの中に、コメディアンである北野監督ならではのユーモラスなシーンがたくさん挟まれています。

私はこの作品を見て、昭和のお笑い番組を見ている気持ちになりました。
今のテレビではNGな要素がてんこ盛りです。
北野武は今のテレビではできなくなってしまったお笑いを、映画作品で実践しているのではないでしょうか。

戦国時代の話なので、起こる出来事は殺伐としています。
そんな中でも随所に登場人物達によるコントの様なお笑い要素が入っています。
お笑いの部分は創作だと思いますが、意外と当時の武将たちも、生きるか死ぬかの日々の中で冗談を言い合っていたのかもしれません。
悲劇と喜劇は常に共にあるのかもしれません。

時代劇としては、有名な秀吉や信長、明智光秀周りの出来事なのでストーリー自体に大きな驚きはありません。
脇を固める武将たちは、私が知らない人物も結構いたので、映画を観た後でその武将たちについて調べてみることは面白かったです。

  • 荒木村重
  • 黒田官兵衛
  • 徳川家康
  • 服部半蔵

などは、この作品ならではの魅力が描かれていて、改めて興味を持ちました。

北野武もわりと良い年になっていますし、アウトレイジなどの過激な北野映画に抵抗が無い方は観たら楽しめると思います!

書籍

調べたら本(文庫)も出ているんですね。作品が面白かったので読んでみたいです。

首 (角川文庫)

Header: DanielによるPixabayからの画像

2023/12/12追記

客層について

私が訪れた時間帯は、土曜日の午後でした。

完全に見た目での印象ですが、いらっしゃっているお客さんは、私よりもわりと高齢の男性が多かったです。私が若い方でした。

女性は高齢の男性のつきそいで来ている方が多かった印象です。

歴史物で過激なシーンも多いので人を選ぶ作品だと思います。

満足度

85点/100点満点中

監督インタビューなどの動画

映画を見た後でYouTubeでこちらの完成披露会見の動画を観ました。

北野武監督が戦国時代を描こうとした理由:西島秀俊&加瀬亮&中村獅童&浅野忠信&大森南朋戦(映画『首』完成報告会見)

北野監督の考えや、役者陣の制作秘話などが聞けて面白かったです。

映画版「82年生まれ キム・ジヨン」を鑑賞。感想や原作小説との比較など(ネタバレあり)

Amazonプライムビデオで、韓国映画「82年生まれ キム・ジヨン」を観ました。

原作小説がとても面白かったので、映画版もぜひ観たいと思っていたところ、Amazonにありました。

82年生まれ、キム・ジヨン(字幕版)

ネタバレも少々含む感想です。

小説と比較して映画版の良かったところ

実写映像ということもあり、リアリティがより強くなりました。

主人公の、育児の時と仕事の時の雰囲気や表情の差、夫の実家での様子など生々しさが強調され、ホラー感もありました。

女性が生きる上で抱える辛さが映像だとよりリアリティがあって伝わってきました。

小説と比較して映画版のイマイチだったところ

原作と比較すると、映画版は夫がより良い人として描かれている点と夫の母がより悪い人として描かれていることで、既存の男尊女卑の価値観が再生産されていたように感じます。

また、映画の終わり方もちょっと、、、、という感じで。

映画は多くの人が関わって多額のお金も動いているので興行収入を上げるために仕方ないのかなと思いましたが、小説で伝えたかったことの本質からずれている部分もあったと思います。


とはいえ、社会で生きる多くの女性が抱える生きづらさを正面から描き、さらにヒットしている作品として原作を読んだ人はマスト!そうで無い人も観ておくべき作品だと思いました。

梨泰院クラスのように、日本版も作られると良いなーと感じます。

原作小説は間違えのない傑作です!

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本) 

Header: 윤구 최によるPixabayからの画像

ネトフリで韓国映画:新感染、新感染続編、悪人、を観た。ク オリティの高さに感動!

Netflixで韓国映画をいくつか観ました。CGを使ったアクションシーンなど、クオリティがとても高くて驚きました。
作品をご紹介します。

新感染 ファイナル・エクスプレス

韓国版ウォーキング・デッドとも云えるゾンビ映画。
走り続ける高速鉄道の車内で展開されるゾンビウィルスの広がりはとても緊張感があります。
そしてゾンビが素早い!ウォーキング・デッドのゾンビは基本、走ったりしないのですが、韓国版のゾンビは動きがとても早く、怖さが倍増します。

ゾンビ物なのでグロテスクなシーンも多いですが、家族愛など感動するシーンもすごくあり、名作と云われる理由が分かります。

韓国映画を語る上では外せない作品では無いでしょうか。

オススメ度:★★★★★

新感染半島 ファイナル・ステージ

新感染の続編。これは、個人的にはイマイチな続編になってしまったという印象でした。
ゾンビ物にありがちなのですが、1作目はゾンビが未知の世界で、ゾンビ自身がとても恐ろしいのですが、ストーリーが続くほどにゾンビは添え物になり人間同士の争いになってしまう。 この新感染の続編でも、ちょっとその残念感がありました。
しかしアクションシーンはパワーアップ!ハリウッドの大作映画かと思うくらいのアクションシーンのクオリティで、クライマックスはしっかり引き込まれました。 続編のジレンマにとらわれてしまった感はありますが、見所はある作品です。

オススメ度:★★★

悪人伝

ノワールもの。ヤクザの組長とヤクザ顔負けの刑事がタッグを組み、猟奇殺人犯の逮捕を目指すストーリー。
この作品はすごく面白かったです!
新感染1作目に出演し、とても印象に残る良い演技をしていたマ・ドンソクがヤクザ組長役として主役を張っています。
シンプルなストーリーで爽快感もあります。
ヤクザや犯罪物が苦手な方でなければとても楽しめる作品だと思います。

オススメ度:★★★★★

他にも、気になる韓国映画がたくさんあるので、少しずつ観てみようと思います。

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映画「あなたの名前を呼べたなら」を鑑賞。メイドと雇い主、異なる身分の2人の恋を通じてインドの階級社会を描いた傑作

渋谷のBunkamuraル・シネマで映画「あなたの名前を呼べたなら」を鑑賞しました。

舞台は経済発展の著しいインドのムンバイ。

ファッションデザイナーを目指す農村出身のメイド、ラトナと、雇い主の建設会社御曹司アシュヴィン。

二人の仕事や生活、恋愛などの関係性を通して、インドの階級社会の抱える問題を描いた作品です。

インドに根強く残る階級社会・身分制度に変革を起こしたい!というロヘナ・ゲラ監督の情熱が込められた作品。

ですが、映画全体のトーンとしては重苦しい訳では無く、インド映画らしいポジティブさがあります。インド映画定番のみんなで踊るシーンもあり!

予告を見て感じたよりも、主人公ラトナがファッションデザイナーを目指すシーンの比重が高く、夢に向かって進む彼女の姿から元気をもらえます。私はデザイナーなのでこれらのシーンで共感する事も多かったです。

99分の展開の中でも二人の周囲は山あり谷ありで、まさに「人生」という感じがしました。

さわやかさと切なさがあり、見終わった後に様々な事を考えさせられる深い作品。とても面白かったです。


映画『あなたの名前を呼べたなら』予告編

公式サイト:http://anatanonamae-movie.com

ヘッダー画像: SuffixによるPixabayからの画像

『ジグソウ:ソウ・レガシー』を観ました

人気ホラー映画、ソウ(SAW)シリーズの最新作、『ジグソウ:ソウ・レガシー』を観ました。

遺体安置室の検視台に半裸の男。それは街中の公園で見つかった死体。死体を見つめる刑事のハロランとキース、検視官のローガンとエレノア。男が被っているバケツを外すと、顔半分がはがれ顎から上が無い。首の皮膚はジグソウパズル型に切り取られている。伝説の連続殺人犯“ジグソウ”のやり口――殺害したのはジグソウの模倣犯か?傷の奥から抜きだしたUSBスティックをパソコンで起動すると、「ゲームは始まった。4人の罪人が犯した罪が償われるまで終わらない」その声はまさしくジグソウ。彼は10年前に死んだはずなのに・・・。

Amazon.co.jp: ジグソウ:ソウ・レガシー(字幕版)を観る | Prime Video

展開はソウシリーズの王道という感じで、新しい驚きという物ははありませんが、お馴染みの器具や最後のトリックなど、基本は押さえており、ファンの期待にはしっかり応えている作りです。
特に、「あの人物」が出てくるシーンではとても上がりました。

今回のボスはあまり強くなかったですね。

何と言っても、7年ぶりの新作なので、シリーズが好きな人は観ておいて損はありません!

おすすめ度:★★★★★★ 6/10点