エッシャーの師匠!「メスキータ展」を観に行きました。写真的な明暗表現とグラフィックデザイン的な構図が印象的な木版画の世界

東京ステーションギャラリーで2019年6月29日から8月18日まで開催されている、オランダの版画家「メスキータ」の作品展へ行ってきました。

とても木版画とは思えない写真的な明暗表現と、グラフィックデザイン的な構図感覚がすごくカッコ良くて刺激を受けました。

エッシャーの師匠として素晴らしい作品を残してきたメスキータですが、ヒトラー政権になり、ユダヤ人であった彼はアウシュヴィッツの強制収容所でその最期を迎えます。
考えさせられる展示になっています。

アーティストとして生きることとはどういう事なのか?

とても色々な事を考えさせられる展示でした。

会場写真 ※写真OKのブースがあったのでそこで撮影

展覧会情報

公式サイトhttp://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201906_mesquita.html

「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」国立新美術館で開催された日本最大規模の個展を鑑賞

フランスを代表する現代アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーの個展「Lifetime」を国立新美術館へ観に行きました。

「生と死」をテーマにしたダイナミックなインスタレーションは鑑賞者に様々な事を考えさせてくれます。

日本の美術館では過去最大規模のボルタンスキーの回顧展について、撮影OK箇所で撮った写真を中心にご紹介します。

どんな展示?

フランスを代表する現代アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキー(Christian Boltanski)の活動を紹介する、日本では過去最大規模の回顧展です。

作家について

クリスチャン・ボルタンスキーは、フランスの彫刻家、写真家、画家、映画監督、現代アーティスト。

1944年にナチス占領下のパリで生まれました。

父親がユダヤ人であったため、ナチスによる迫害や強制収容所の話が幼いボルタンスキーの身近にありました。

この事が彼のトラウマとなり、後の作品制作に影響することになります。

私が展示を観に行った動機

10年ほど前に新潟の越後妻有で開催された大地の芸術祭にて、廃校を利用した超ビッグスケールの展示に大変感動して、ボルタンスキーが好きになりました。
※大地の芸術祭は2018年にも行き、ボルタンスキーの展示を再訪しました。その時のレポートは以下の記事にまとめています。

大地の芸術祭2018|一日バスツアーで里山と現代アートのコラボレーションを堪能! | WATANABEDESIGN.Blog

「最後の学校」大地の芸術祭2018での作品(クリックで該当の記事に移動します)

その後、東京都庭園美術館で開催された展示も観に行きました。

2019年の春に大阪の国立国際美術館で大規模な個展が開催され、そちらもぜひ行きたかったのですが惜しくもタイミングが合わず……

今回、大阪での展示が東京に巡回されると聞き、ぜひ行かねば!と思い前売りチケットを買いました。

会場について

会場は六本木にある「国立新美術館」。2階の展示スペースを大きく使った展示になっていました。

国立新美術館
国立新美術館

展示の内容

会場では写真撮影OKの場所がありましたので、そこで撮影した写真と共にご紹介します。

廊下の幽霊

廊下の幽霊

今回の東京展のために制作された作品。

長い廊下にかけられたカーテンに、幽霊のような不気味さと可愛さを兼ね備えた影絵が揺れ動きます。

廊下の幽霊
廊下の幽霊

ぼた山

ぼた山

大型の作品!

たくさんの黒い服が積み上げられて山になっています。

服に与えられた人の個性が消え去り、黒い塊だけになっているオブジェを見ると「人が死ぬこと」や「人を人たらしめている個性」とは何なのかを考えさせられます。

ぼた山
ぼた山
かなり巨大です
近寄ると黒い服が積み重なっています

発言する

発言する

吊されている服に近寄ると、死についての問いかけが様々な言語で聞こえてきます。

スピリット

スピリット

ボルタンスキーがこれまでの作品で使用したイメージの中から人が写っている写真を布に印刷し天井から吊した物。

風に揺れるベールによって、展示空間内に霊魂が飛び交っているように感じられます。

アニミタス(白)

アニミタス

カナダ北部の厳しい気候の中で撮影された10時間におよぶ映像作品。

ひたすら風が吹きすさび、風鈴の音が鳴るこの映像によって、ボルタンスキーは神話を作り出そうとしています。

ミステリオス

ミステリオス

本展示のメインヴィジュアルにも使用されている映像作品。

南米のパタゴニアで撮影された映像を3スクリーンで展開しています。

ボルタンスキーはラッパ状のオブジェを海岸に設置し、クジラとコミュニケーションを取ることを試みました。

パタゴニアでは、クジラは時間の起源を知る生き物と信じられています。

実際にクジラの声が採取できたかは不明ですが、静かな映像と「ヴォォォォォー」という名状しがたい音の組み合わせによって、海にいる神聖な生物の声を聞いているような気持ちになります。

土曜日だったので学生も多かったです

こんな人にオススメの展示です

  • 現代アートが好きな方、興味がある方
  • 生と死など、作品を通して様々な事を考えたい方
  • 空間を大きく使ったインスタレーション作品を見たい方

会期情報

  • 2019年6月12日(水)~9月2日(月)
  • 毎週火曜日休館
  • 10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は、6月は20:00まで、7・8月は21:00まで ※入場は閉館の30分前まで
  • 国立新美術館 企画展示室2E
  • 展覧会HP:https://boltanski2019.exhibit.jp/

日本でも人気のあるアーティストですが、これほど大規模な個展が次にいつやるかはわかりません。

興味のある方にはぜひ観ていただきたい素晴らしい現代アートの展覧会です!

会期終了間際の週末は混雑が予想されるのでできるだけ早めに行った方が良いと思います。

アートブックの祭典「Tokyo Art Book Fair 2019」へ。会場の雰囲気と購入した本などを紹介!

2019年の7月12日から15日まで、東京都現代美術館で開催されたアートブックの祭典、Tokyo Art Book Fair 2019へ行ってきました。

約2年ぶりの開催で、更に昨年末リニューアルオープンした東京都現代美術館での開催という事もあり、イベントは大盛況。

会場の雰囲気と購入した本などをご紹介します。

会場の雰囲気

私は中日の14日日曜日、オープンの11時丁度に会場に着くよう出掛けました。

東京都現代美術館は清澄白河駅から徒歩10分程度。オシャレなカフェや雑貨屋さんがたくさんある地域なので、街の雰囲気を見ながら向かうのも面白いです。

美術館に着くとすでにたくさんの人が並んでいました!

雨の日だったのですがアートブックファンの方々のエネルギーはすごいです。

オープン当初から大盛況!

出展者とお客さんがお喋りしたり、コミュニケーションを取りながら本と出会えるのがこのイベントの醍醐味です。

今回は美術館での開催という事もあり、本にまつわる展示もいくつか開催されていました。

海外書籍の展示
テキスタイルなども。ディスプレイデザインの参考になります
「ニューススタンド」と書かれた屋台のようなブースも
横断幕による展示
屋台にはZINEやグッズなどが。中には店主のような男性がいました

イギリスの写真家、スティーブン・ギル(Stephen Gill)の展示ブース。

ギルのこれまでの出版物が並んでいます
プリントも

購入したもの

Vinca Petersen写真集『Future Fantasy』

flotsambooksさんのブースで購入。

韓国生まれのイギリスのヴィジュアルアーティストVinca Petersenのアートブック。

作家が幼い頃から撮影していたアーカイブ写真や、思春期に作っていた日記(スクラップブック)に収録されていたチラシやステッカーなどがコラージュ的なデザインでレイアウトされています。

サイケデリックな世界観が、思春期の夢と儚さを表現しているように感じられてとてと面白いと感じました。

初版が出た時にかなり話題になった本作。第2版が出たので、このタイミングで購入しました。

ブックデザインもフューチャリスティックでとても素敵です。

「ZA」ステッカー

グラフィックデザイナーの中屋辰平さんとGUCCIMAZEさんによるブース。

GUCCIMAZEさんのタイポグラフィはインスタや雑誌などで見ていてとてもかっこいと思っていたので、こちらのブースで販売されていたステッカーを購入!

どこに貼ろうか、悩むのも楽しいです。

ZAのロゴステッカーは中屋さんによるデザイン。

中屋さんとは以前、写真雑誌IMAのワークショップでご一緒させていただきました。ロゴやタイポグラフィを軸とした素晴らしいグラフィックデザインを作られる方です。


東京都現代美術館の会場は天井も高く、広いので、これまでのアートブックフェアの会場では一番良かったと思います。

これほどの規模のイベントを定期的に開催するのはとても大変だと思いますが、ぜひこれからも続いて欲しいと思います。

横田大輔展「Room. Pt. 1」:写真を再定義するイメージのオブジェ

2019年5/14~6/22まで、銀座のガーディアンガーデンで開催される横田大輔さんの写真展「Room. Pt. 1」へ。

「The Second Stage at GG」と題された展示企画シリーズで、ガーディアン・ガーデンの公募展入選者たちのその後の活躍を紹介する内容になっています。

今回の横田さんの展示、写真とは何か?に挑戦するかのような圧巻の展示でした。

個々の作品解説は殆ど無いにも関わらず、作品自体がメッセージを発しているようなオーラを感じました。

会場奥に展示されていた黒いモノリスのような作品がディストピア感抜群で、この展示を象徴しているように感じました。

入り口看板
会場風景
モニターを複数台使用した映像作品
動画
動画
まるで鉱物の様なテクスチャーを持つ写真
写真の集合体
写真(イメージ)が融解して混ざっている様なグラフィック
人らしき物が見える
有機的なだけでなくデジタルノイズの様なジャギーも入っている
奥にある黒いモノリス
もはや写真というよりオブジェです
黒いモノリスの表面

横田大輔さんの写真集

CORPUS

site/cloud

MATTER/BURN OUT

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ピョートル・ズビエルスキ「Push the Sky Away」展 at RPSギャラリー

Reminders Photography Strongholdギャラリーで4/6-21に開催していた、ピョートル・ズビエルスキ(Piotr Zbierski​)の写真展「Push the Sky Away」を観に行きました。

ピョートルは同ギャラリーが開催したコンペティション「第17回 Reminders Photography Strongholdグラント」の受賞者。

あえてチープなカメラを使用することで、意図せずに漏れ入った光やノイズ感が幻想的なイメージを作り上げています。

展示もギャラリーの広い空間を活かした軽やかな配置で心にスッと入ってくる内容でした。