フランスを代表する現代アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーの個展「Lifetime」を国立新美術館へ観に行きました。
「生と死」をテーマにしたダイナミックなインスタレーションは鑑賞者に様々な事を考えさせてくれます。
日本の美術館では過去最大規模のボルタンスキーの回顧展について、撮影OK箇所で撮った写真を中心にご紹介します。
どんな展示?
フランスを代表する現代アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキー(Christian Boltanski)の活動を紹介する、日本では過去最大規模の回顧展です。

作家について
クリスチャン・ボルタンスキーは、フランスの彫刻家、写真家、画家、映画監督、現代アーティスト。
1944年にナチス占領下のパリで生まれました。
父親がユダヤ人であったため、ナチスによる迫害や強制収容所の話が幼いボルタンスキーの身近にありました。
この事が彼のトラウマとなり、後の作品制作に影響することになります。
私が展示を観に行った動機
10年ほど前に新潟の越後妻有で開催された大地の芸術祭にて、廃校を利用した超ビッグスケールの展示に大変感動して、ボルタンスキーが好きになりました。
※大地の芸術祭は2018年にも行き、ボルタンスキーの展示を再訪しました。その時のレポートは以下の記事にまとめています。
大地の芸術祭2018|一日バスツアーで里山と現代アートのコラボレーションを堪能! | WATANABEDESIGN.Blog

その後、東京都庭園美術館で開催された展示も観に行きました。
2019年の春に大阪の国立国際美術館で大規模な個展が開催され、そちらもぜひ行きたかったのですが惜しくもタイミングが合わず……
今回、大阪での展示が東京に巡回されると聞き、ぜひ行かねば!と思い前売りチケットを買いました。
会場について
会場は六本木にある「国立新美術館」。2階の展示スペースを大きく使った展示になっていました。


展示の内容
会場では写真撮影OKの場所がありましたので、そこで撮影した写真と共にご紹介します。
廊下の幽霊

今回の東京展のために制作された作品。
長い廊下にかけられたカーテンに、幽霊のような不気味さと可愛さを兼ね備えた影絵が揺れ動きます。


ぼた山

大型の作品!
たくさんの黒い服が積み上げられて山になっています。
服に与えられた人の個性が消え去り、黒い塊だけになっているオブジェを見ると「人が死ぬこと」や「人を人たらしめている個性」とは何なのかを考えさせられます。




発言する

吊されている服に近寄ると、死についての問いかけが様々な言語で聞こえてきます。
スピリット

ボルタンスキーがこれまでの作品で使用したイメージの中から人が写っている写真を布に印刷し天井から吊した物。
風に揺れるベールによって、展示空間内に霊魂が飛び交っているように感じられます。
アニミタス(白)

カナダ北部の厳しい気候の中で撮影された10時間におよぶ映像作品。
ひたすら風が吹きすさび、風鈴の音が鳴るこの映像によって、ボルタンスキーは神話を作り出そうとしています。
ミステリオス

本展示のメインヴィジュアルにも使用されている映像作品。
南米のパタゴニアで撮影された映像を3スクリーンで展開しています。
ボルタンスキーはラッパ状のオブジェを海岸に設置し、クジラとコミュニケーションを取ることを試みました。
パタゴニアでは、クジラは時間の起源を知る生き物と信じられています。
実際にクジラの声が採取できたかは不明ですが、静かな映像と「ヴォォォォォー」という名状しがたい音の組み合わせによって、海にいる神聖な生物の声を聞いているような気持ちになります。

こんな人にオススメの展示です
- 現代アートが好きな方、興味がある方
- 生と死など、作品を通して様々な事を考えたい方
- 空間を大きく使ったインスタレーション作品を見たい方
会期情報
- 2019年6月12日(水)~9月2日(月)
- 毎週火曜日休館
- 10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は、6月は20:00まで、7・8月は21:00まで ※入場は閉館の30分前まで
- 国立新美術館 企画展示室2E
- 展覧会HP:https://boltanski2019.exhibit.jp/
日本でも人気のあるアーティストですが、これほど大規模な個展が次にいつやるかはわかりません。
興味のある方にはぜひ観ていただきたい素晴らしい現代アートの展覧会です!
会期終了間際の週末は混雑が予想されるのでできるだけ早めに行った方が良いと思います。