この日は、私が活動に携わっているペンニョンのイベント、関東大震災朝鮮人虐殺100周年 映画「隠された爪跡」&「In-Mates」同時上映会の日でした。
会場は早稲田奉仕園スコットホールです。
イベント自体は18:30開場ですが、スタッフなので16:30に早稲田奉仕園へ。
早稲田奉仕園
早稲田奉仕園は、学生寮『友愛学舎』と、キリスト教の『早稲田奉仕園信交協会』(早稲田教会の前身)が起源となり、100年以上の歴史を誇る施設です。
キリスト教の精神を基盤とした場所で、現在では国際学生センターや教会、キリスト教に関連する団体・企業などが敷地内に多く存在しています。
この施設に来ること自体、私は初めてだったのですが、建物がとても素敵でした。
イベント配布用のチラシの丁合作業などをしたり、看板や受付のセッティングをしたりしました。
配布物の一つ、ブックリストは、ペンニョンのメンバーによるオススメの本の推薦文を掲載したもの。
私はレイアウトを担当しました。
皆さんの推薦文がすごく良くて、オススメされた本を読みたくなります。
スコットホール
映画上映会場のスコットホールの建築が素晴らしく、感動しました。
今回、会場としてスコットホールを選んだことには以下の様な理由があります。
スコットホールは、戦前期から朝鮮人留学生の集いの場となってきた空間です。なかでも震災から1年後の1924年には、虐殺犠牲者の追悼集会が開かれましたが、なだれ込んできた警察隊によって弾圧を受けてしまいます。このような歴史的背景のあるスコットホールで映画を観て、同じ歴史を繰り返さない未来を一緒に築いていきましょう。
Study Hall vol.39|早稲田奉仕園 https://www.hoshien.or.jp/program/manabiya/studyhall/vol39.html (2023/05/30アクセス)
この様な歴史ある建築の空間で映画を見る体験は、とても特別な思い出になりそうです。
会場から上映までの時間は受付を担当しました。
約120席の定員がわりとすぐに埋まったということで、関東大震災の虐殺や、飯山由貴さんの作品に興味を持たれている方がこんなにいるのだ、と心強い気持ちになりました。
来場された方の年齢層も学生からシニアの方まで幅広かったです。
「隠された爪痕」/監督:呉充功(1983年)
1923年9月1日マグニチュード7.9の大地震が、関東地方をおそった。
死者10万人にもおよぶ、関東大震災である。
この時、6500名以上の朝鮮人が軍隊、警察、そして日本の民衆の手によって殺されていることはあまり知られていない。
そのうえ、今なお遺骨が埋められている事実があった。
昨年9月、東京の荒川河川敷で地元の古老の証言をもとに、遺骨の発掘作業が始まった。
映画学校に通う朝鮮と日本の若者たちがカメラを持ってかけつけた。
真実が隠されてきた60年の歴史を、この映画は追う。当時、押上に住んでいた曹仁承(チョ・インスン)さんはじめ、多くの証言が真実を語る。
この映画は、隠されてきた歴史の爪跡を明らかにする貴重な記録映画である。
隠された爪跡 払い下げられた朝鮮人 http://kenpou-eiga.com/?p=1991 (2023/05/30アクセス)
ずっと見たいと思いながら機会が無く、今回始めての視聴となりました。
作品の中で、1982年の荒川河川敷での遺骨発掘の試掘の映像を初めて見ました。写真などでは見たことがあった風景なのですが、映像で見ると情報量がまた違う、、、!臨場感がありました。
最後、虐殺現場から生き残った在日コリアンのおじいさん(曹仁承さん)が語りながら涙するシーンが非常に印象に残りました。
私は自分の身の回りで、お年寄り、それも男性が涙を流す場面を見たことが無かったので、撮影されたのは事件から60年がたった時ですが、思い出しても涙が出てしまうくらい凄惨な出来事だったのかと、衝撃を受けました。
「In-Mates」/監督:飯山由貴(2021年)
本作は、戦前に都内の私立精神病院に入院していた2人の朝鮮人患者の診療日誌のことばをモチーフに、ラッパー・詩人のFUNIの声と身体を映像化したものである。
都は「関東大震災時の朝鮮人虐殺」を歴史的事実とすることへの懸念などを理由に上映を禁止した。
「飯山由貴《In-Mates》の上映禁止が問いかけるもの:検閲/コロニアリズム/ジェンダー」 : 東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS) http://haps-kyoto.com/events/doshisha20230429/#:~:text=%E5%86%85%E5%AE%B9%EF%BC%9A,%E5%8C%96%E3%81%97%E3%81%9F%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82 (2023/05/30アクセス)
展覧会での公開中止のニュースなどで知ってはいましたが視聴は初めてでした。
在日コリアンの若者が、友達と話しながら自分のアイデンティティに悩むシーン。「民族」「日本人でも無く、朝鮮人でも無い」といった言葉が非常に印象に残りました。
私自身、これまでの人生で自分の「民族」についてほとんど考えたことがありませんでした。
それは裏返せば、日本で純粋な日本人として生まれて、恵まれた環境にいたことだったのかもしれない。
この作品を見てそう感じました。
上映後の舞台挨拶で、飯山由貴さんが東京都とのやりとりのお話をされていました。
この作品を見て、東京都の言い分を聞いても「上映中止にするほど問題な表現があっただろうか?」と感じました。
ただ、もしかしたら、都は、上映することで過激なレイシストの様な人が押し寄せる事を危惧して、「触らぬ神にたたり無し」的な考えで上映させない方針にしているのかもしれない、とも感じました。
今後の動向も見守りたいと思います。
上映後は片付けなどをして、早稲田のサイゼリアでペンニョンの皆さんと打ち上げ的な夕食会。
私がペンニョンに参加して初めての大きなイベントだったので、皆で協力して大成功し、一体感と達成感がありました。
また、9月の追悼式に向けて頑張っていきたいと思います。