Adobe Illustrator[.ai]形式で印刷入稿する際の私の入稿データ作成手順

Adobe Illustratorの[.ai]形式で印刷入稿する時の、私の入稿データ作成手順をまとめました。

データのパッケージやフォントのアウトライン化時の注意点など。また、私が新人デザイナー時代、印刷入稿時に起こしてしまったミスの中で特に気をつけたい4つについてもご紹介しています。

前回の記事(Adobe Illustrator 印刷入稿前に確認したいデータのチェック項目)の続きです。

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Adobe Illustrator 印刷入稿前に確認したいデータのチェック項目

Adobe Illustratorの「.ai」形式でデータを印刷入稿する際に、確認しておいた方が良いチェック項目をご紹介します。

「パッケージ」や「フォントのアウトライン化」をする前の段階でデータをどのように整えておくか、という観点で書いています。

Contents

  1. ドキュメントのカラーモードがCMYKになっているか
  2. アートボードやトンボのサイズが、仕上がりサイズ(用紙をトンボでカットした時のサイズ)と同じになっているか
  3. リンクウィンドウで画像の解像度とカラースペースをチェック
  4. 断ち落としになる図版や写真は、塗り足し3mm分まで絵が入っているか
  5. フチ文字など、アピアランス機能を使用している箇所は、アピアランスの分割を行う
  6. アウトライン表示にしてオブジェクトやパスを整理する

1. ドキュメントのカラーモードがCMYKになっているか

ファイル>ドキュメントのカラーモードで確認。

CMYKカラーにチェックがついていればOK。

※RGBカラーになっていると印刷できません。

2. アートボードやトンボのサイズが、仕上がりサイズ(用紙をトンボでカットした時のサイズ)と同じになっているか

アートボードサイズの確認方法

ツールバーにあるアートボードツールをクリック。

上部にあるアプリケーションバーにアートボードサイズが表示されるので、A4(210mm×297mm)やハガキ(100mm×148mm)など、印刷用紙のサイズと合っているか確認します。

トンボの作成方法

1.長方形ツールを選択し、ワンクリック。表示されたウィンドウにA4(210mm×297mm)やハガキ(100mm×148mm)など、仕上がりサイズの数値を入力し、長方形を作成。

長方形ツール
A4(297mm×210mm)やハガキ(148mm×100mm)などの仕上がりサイズを入力

2. 1.で作成した長方形を選択し、効果>トリムマークを作成でトンボを作成します。

3. リンクウィンドウで画像の解像度とカラースペースをチェック

*リンクウィンドウでは、リンク配置された画像も、埋め込み配置された画像も、ドキュメントで使用されている全ての画像情報を見る事ができます。

リンクウィンドウの見方

画像解像度とカラースペース(CMYK/RGB)のチェック

リンクウィンドウの詳細表示から配置されている画像全ての解像度とカラースペースをチェックします。

【画像解像度の目安】

  • 一般的な印刷物(チラシ、DMなど)……350〜400ppi
  • 離れて見るポスターなど……150〜200ppi
  • Webサイトなど……72〜96ppi

4. 断ち落としになる図版や写真は、塗り足し3mm分まで絵が入っているか

× この状態だとトンボでカットした際のズレによって、4辺に紙の白地が見える可能性があります。

裁ち落としにする際は塗り足し分、四辺3mmずつ図版を伸ばしましょう

5. フチ文字など、アピアランス機能を使用している箇所は、アピアランスの分割を行う

フチ文字など、便利なアピアランス機能

入稿前にはアピアランスの分割をおこないます。

【理由】アピアランス機能はIllustratorのバージョンによって動作が違うので、データを他の人に渡す場合は分割しておくのが安全です。

【注意】分割をかけるとアピアランスパネルからの再編集は出来なくなるので、デザインが決定してからおこないましょう。

※また、アピアランスの分割はフォントのアウトライン化をする前におこないましょう。

6. アウトライン表示にしてオブジェクトやパスを整理する

表示>アウトラインでアウトライン表示にし、背面にあって表示されてないオブジェクトを削除する。

また、同じ色の色面はパスファインダー>結合などを使用して一つのオブジェクトにまとめましょう。

このようなオブジェクトを、表示>アウトライン(command+Y)でアウトライン表示にすると…

同じ色面がいくつものオブジェクトに分かれていたり、背面に不要な形や線が見えます。

白い矢印のグループ選択ツールや、ダイレクト選択ツールで背面にある余分な形や線を選択して削除しましょう。

中央にあった円や余分な線を削除しました

同じ色の色面は選択し、パスファインダー>合体などを用いて1つのパーツにまとめます。

パスが整理されました

デザインがある程度決まったら、不要なオブジェクトを消したり余分なパスを整理しておきましょう。

パスが乱れていると後々の修正作業がしづらくなったり、印刷入稿などで他の人にデータを渡す時にトラブルが起こりやすくなります。

まとめ

印刷会社に入稿する前に、できるだけデータを整理しておく方が印刷時に思ってもいない様に出力されることも減るので安心できます。

今回ご紹介した方法を参考にデータをチェックしてみてください。

次回の記事では実際に入稿データの作成手順をご紹介します。こちらも合わせてご覧ください。

Adobe Illustrator 印刷入稿前に確認したいデータのチェック項目
http://watanabedesign511.info/2019/07/18/adobe-illustrator-check/

Eye catch image: WikiImagesによるPixabayからの画像

Illustratorでテキストにエンボス加工をかける方法(アピアランス機能使用)

Illustratorのアピアランス機能を使い、文字に立体的なエンボス加工をかける設定をご紹介します。

1.新規アートボードを用意。背景色を敷く

新規ドキュメントを作成。今回は 左右150mm × 天地100mm のサイズで作成しました。

アートボード全体に背景となる色を敷きます。

今回は[C:0% M:30% Y:100% K:0%]のオレンジ色で作成。作った色はグローバルスウォッチとして登録しておきます。

2.エンボス加工をかけたい文字をタイプする

文字の設定はこちらです。[Avenir Next Heavy 60Q オプティカル トラッキング+50]

3.アピアランス機能で文字に色を付ける

テキストを選択し、アピアランスパネルの「塗り」で文字に色を付けます。

背景色と同系統で薄い色だと効果的なので、背景色の50%にします。

4.文字をコピーし、太らせ、ずらす

アピアランスパネルで、塗りを選択した状態で、パネル左下の「新規塗りを追加」をクリック。

背景に新しい塗りがコピーされる。

背景にある塗りは、メインの文字の塗りよりも色を濃くします。[C:0% M:30% Y:100% K:20%]と設定しました。

パスのオフセットを使用し、背景の文字の塗りを太らせます。

濃い方の塗りを選択し、左下の[fx]ボタンより、[パス>パスのオフセット]

[オフセット:1mm 角の形状:ラウンド]に設定。

これで、濃い色のフチが付きました。

濃い色の塗りを変形でズラします。

濃い色の塗りを選択肢、[fx]>[パスの変形>変形]

変形効果パネルで、移動の値を[水平方向:0.25mm 垂直方向:0.25mm]の値を入力。

すると、背景の色の濃い文字が右下にズレて、このようになります。


この時点で少し立体感がありますが、さらに、仕上げをします。

5.ハイライトを入れる

オリジナル(薄い方)の文字の塗りをコピーします。

下にある文字の塗りをハイライト用として、色を白に設定します。

白い塗りを選択し、[fx]>[パスの変形>変形]

水平方向:-0.25mm 垂直方向:-0.25mm

これで、ハイライトが入って、立体的になりました。

6.ハイライトの角を調整

このままでも良いのですが、拡大して見るとハイライトの角が段になっているのが気になります。

ハイライトのコピーの設定を以下のように変更します。

水平方向:-0.01mm 垂直方向:-0.01mm コピー:25回

-0.01というコピー値の求め方は、

[ハイライトのサイズ(mm)]÷[ コピーを繰り返す回数]

こちらの計算式で求めています。

そうすると。。。。

角が自然になりました。これで完成です。

バリエーション

アピアランスで作成しているので、文字や色の変更が簡単に出来ます。

素材配布

今回作成した作例ファイルを、以下のページから無料配布しています。加工などをしてご自由にお使いください。
[無料DL素材]Illustrator、テキストにエンボス加工をかけるアピアランス

[作業環境]
Mac OSX 10.12.6
Adobe Illustrator CC 2018

関連書籍:オススメのIllustrator参考書

2019年3月20日追記

こちらの記事をAdobe Students JapanさんのTwitterにて紹介して頂きました。多くの学生さんのお役に立てれば幸いです。

Illustratorで作成した大判ポスターを分割してプリントアウトする / Illustrator split printout

Illustratorで作成した大判ポスターを分割してプリントアウトする方法です。
B1サイズのポスターをA3のプリンターを使用してプリントアウトするシーンを想定しています。

It is a method to print out by splitting a large format poster created with Illustrator.
This assumes a scene where B1 size posters are printed out using A3 printers.

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Word原稿に入っている複雑な数式をIllustratorやInDesignで使用出来るようにする方法

論文集などのレイアウトをしていると、以下の図の様な複雑な数式が入ったWord原稿を頂く事があります。

こういった数式入りの原稿を、IllustratorやInDesignなどのAdobeのソフトでレイアウトする場合、そのままコピー&ペーストしても、表示されない文字があったり、表示が崩れてしまいます。

また、数式ならでは独自の表記ルールがあるので、内容を理解していないのにフォントや字間を変更する事もかなり危険です。

そのため、出来るだけWord原稿に表示されているそのままの形でAdobeソフトにデータを持っていく事が重要になります。

Word原稿をPDF書き出し→AcrobatでPDF内のフォントを全てアウトライン→PDFファイルをIllustratorで開き、保存

という作業が必要になるので、その手順をご紹介します。

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