2025年Adobe値上げ|Adobe Creative Cloudが大幅変更!StandardとProの違いは?学割の価格はどうなる?

2025年8月1日以降、Adobe Creative Cloudの価格が改定されます。これにあわせて、「コンプリートプラン」は名称が変更され、新たにStandardプランProプランの2つに分かれることになりました。

今回は個人向け・学生/教職員向けの価格と機能の違いを、わかりやすい表でまとめてご紹介します。


🆕 どう変わる?3つのCreative Cloudプラン

プラン名対象特徴
Standard一般個人主要アプリを利用可能。AIは基本機能のみ。価格を抑えたい人向け
Pro(旧コンプリート)一般個人全アプリ+生成AIを無制限で使用可能。制作業務向けのフル機能
学生・教職員版学生/教職員Proとほぼ同等の機能を割引価格で提供。初年度はさらにお得

💰 新旧価格比較表(すべて税込)

プラン支払い方法変更前価格変更後価格
Standard(新設)年間契約(月々払い)¥6,480/月
年間契約(一括払い)¥72,336/年
月々プラン(縛りなし)¥10,280/月
Pro(旧コンプリート)年間契約(月々払い)¥7,780¥9,080/月
年間契約(一括払い)¥86,880¥102,960/年
月々プラン(縛りなし)¥12,380¥14,480/月
学生・教職員版年間契約(月々払い・初年度)¥2,180¥3,280/月
年間契約(月々払い・以降)¥3,610¥4,180/月
年間契約(一括払い・初年度)¥26,162¥39,362/年
年間契約(一括払い・以降)¥43,322¥50,160/年

※すべて2025年8月1日以降の更新から適用。


⚙️ 機能の違いは?比較表でチェック!

機能StandardPro(個人)学生・教職員版(Pro相当)
利用可能なAdobeアプリ✅ 全20種以上✅ 全20種以上✅ 全20種以上
モバイル/Webアプリ一部機能制限ありフルアクセスフルアクセス
生成AI Firefly(標準)⚠️ 月25クレジット✅ 無制限✅ 無制限
生成AIプレミアム機能(動画等)❌ 非対応✅ 月4,000クレジット✅ 月4,000クレジット
Firefly Board(ベータ)✅ 利用可能✅ 利用可能✅ 利用可能
GPTなど外部AIとの連携❌ 非対応✅ 利用可能✅ 利用可能
クラウドストレージ容量100GB100GB(追加可)100GB(追加可)

✍️ ブログ運営者のひとこと

個人で趣味や簡単なデザインをする方はStandardプランでも十分かもしれませんが、生成AI(Firefly)を本格的に使いたい、また動画やWebなど幅広い表現を行う方にはProプランが必要になってきます。

また、学生・教職員の方はProと同じ機能をかなり割安で使えるため、価格改定後でもまだまだお得です!

❗ 学生の方への注意点

学生の間に生成AIをたっぷり使ったデザインに慣れてしまうと、就職後に会社の契約がStandardプランだった場合、「あれ?この機能使えない…」ということも起こり得ます。

📷 Photoshopについて

表にある生成AI機能には、Photoshopの「生成塗りつぶし」も含まれています。背景を広げたり、人物を消したりといった便利な機能も、Standardプランだと月25クレジットまでと制限されるので注意しましょう。


🗓 いつから変わる?

新価格は2025年8月1日以降の契約更新時から適用されます。現在コンプリートプランを契約中の方は、自動的にProに移行されるので、実質値上げとなります。

Standardプランにしたい場合は事前に申請が必要になるようです。


🔗 参考にした記事

Adobe Fontsで追加したフォントが表示されないときの解決ガイド

Adobe Fonts のウェブサイトで使いたいフォントを「フォントを追加」ボタンでアクティベートしたにもかかわらず、Illustrator のフォント一覧に一部ウェイトが表示されないというエラーが起こりました。

いくつかの検証をした後に、解決しましたので、手順をご紹介します。

確認したこと

  1. Illustrator の再起動
  2. Adobe Creative Cloud の環境設定で「Adobe Fonts 全体の使用/不使用」をオン・オフ切り替え
  3. Adobe Fonts 上で該当フォントを削除 → 再追加

いずれも改善せず。

解決方法

  1. FontExplorer X などのフォント管理ソフトを確認
  2. Adobe Fonts で表示されないウェイト(スタイル)と同名のフォントが、すでにローカル環境にインストールされていることを発見
  3. ローカルの同名フォントを「使用停止」に設定
  4. 改めて Adobe Fonts から該当フォントを追加

→ Illustrator で全ウェイトが正しく表示・使用できるようになりました。


ポイント

  • 同名のフォントがローカルに存在すると、Adobe Fonts のアクティベートに失敗する場合がある
  • 問題発生時はまず、ローカル環境に同一ファミリー名のフォントがないかをチェックしてください。

以上の手順で、Adobe Fonts のフォントが表示されないトラブルは解消できるはずです。ぜひお試しください。

【Illustrator・Photoshop対応】『はじめてのAIデザイン』書評|Adobeユーザー向け生成AI入門書!【作例付き】

『はじめてのAIデザインー生成AIを用いた新しいデザインの作り方』という本を購入しました。

Adobeソフトで画像生成AIを使いこなすための基礎から応用まで勉強になる素晴らしい一冊でしたので、私なりの感想をまとめました。

はじめてのAIデザイン 生成AIを用いた新しいデザインの作り方

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2,079円(07/13 09:29時点)
発売日: 2025/03/27
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本書を買った理由

私が講師をしている専門学校で生成AIについての授業をしたいと思い、自身の理解を深めるために購入。

IllustratorやPhotoshopなどAdobeソフト上での画像生成AIに特化して、かつわかりやすく解説された本を探していたところ、本書に出合いました。

良かった点

  • 豊富な作例
    チラシやバナーなど実践的なサンプルが多数掲載され、デザイナー視点で書かれているため、すぐに取り入れられる内容でした。
  • AIの仕組み&著作権
    Adobeの生成AIの総称である「Adobe Firefly(ファイアフライ)」の基礎知識から、Illustrator、Photoshopとの違い、著作権まわりの仕様まで網羅。安心して商用制作に活用できます。
  • プロンプト後の調整テクニック
    これまで「プロンプトを入力→アウトプット」という流れしか知らなかった私ですが、本書では出力後のイラストのトーンや色の調整など、細かなカスタマイズ方法が丁寧に解説されています。
    設定項目が思っていた以上に多彩で、表現の幅が大きく広がる手応えを感じました。
  • クレジットについて
    Fireflyで生成AIを制作する際には「クレジット」という単位が必要になります。その「クレジット」の消費量や確認方法、リセットのタイミングについても紹介されていて、助かりました。

作例紹介

本書の内容を参考に私が生成したAI画像をいくつかご紹介します。

※詳しい作り方はぜひ本書を手に取ってご確認ください!

景色

桜並木の街並み

このような風景イラストがテキストを入力するだけで描き出せます。

Illustratorではベクターデータで描き出せるので拡大・縮小も自由です。

被写体

黄色いあひるのおもちゃ

キャラクターや動物も描けます。

アイコン

ドローン

インフォグラフィックスやUIデザインで使えそうなアイコンも描けます。

線画からのイラスト化

うさぎの顔のイラスト

幾何学図形を組み合わせたパスを選択し、「生成塗りつぶし」をすることで、パス内にうさぎの顔のイラストを描くことができます。

生成パターン

カラフルなチューリップの模様

Illustratorでは同じ模様をタイル状に繰り返し配置する「パターン」機能があります。

生成AIとパターン機能を組み合わせた「生成パターン」を使うとこのような繰り返し模様が簡単に描けます。

もちろん、パターンオブジェクトになっているので拡大・縮小も自在です。

水彩画風の模様

水彩画風のさくらんぼの模様

Fireflyではより細かく設定を調整できるので、このような水彩画風のイラストを描くこともできます。

テクスチュアのあるタイポグラフィ

赤い風船のテクスチュアの文字

文字にテクスチュアを追加することもIllustratorとFireflyを使うと簡単にできます。

タイトルデザインに非常に役立ちそうですね!

授業の感想

早速、学校の授業で本書の内容を取り入れてみました。

  • 学生の現状
    Adobe CC契約者は多いものの、生成AI機能を本格的に使いこなしている学生はまだ少数。ですが、本書を参考に授業を進めたところ、初めてでも楽しみながら高品質なグラフィックを制作してくれました。
  • 若い感性の素晴らしさ
    私の想像を超えるプロンプトの組み合わせから生まれるビジュアルに、学生の自由な発想力を改めて実感しました。
  • 期待と不安の声
    「こんなに簡単にクオリティの高いイラストが描けるのは、ある意味ちょっと怖い……」という意見も多く、AIとデザイナーのこれからの共存について、リアルに考えるきっかけになりました。

まとめ:本書をおすすめしたい人

  • デザイン学校で講師をされている先生
    →生成AIの最新事情をカリキュラムに取り入れる際のマニュアルとして最適。
  • デザインを学ぶ学生
    →AIを使った制作スキルをポートフォリオに加え、表現力を高めたい方に。

正直、デザイン学校の教科書として使用しても良いほど、基礎から応用まで丁寧にフォローされた一冊です。

AI技術を取り入れて、表現の幅を広げたいすべてのデザイナー&学生にぜひ手に取っていただきたいと思います!

はじめてのAIデザイン 生成AIを用いた新しいデザインの作り方

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【2024-2025年最新版】プロが選ぶ合成フォント10選|設定・制作レシピ完全ガイド

グラフィックデザインの現場で私が実際に制作・活用した合成フォントをご紹介いたします。設定画面や実際に使用した媒体についても具体例を交えながら解説していますので、ぜひ制作の参考にしていただければ幸いです。

【補足事項】

  • 複数ウェイトで制作した合成フォントもございますが、今回の記事では1ウェイトのみをご紹介しています。
  • 設定画面は業務で使用したそのままのものであり、必ずしも同様の設定が必要であるとは限らない点をご理解ください。
  • HelveticaやUniversなどの有名フォントは、販売しているメーカーによってデザインが異なる場合があります。本記事での設定例は、あくまで私自身の設定に基づくものであることをご承知おきください。
  • 設定画面はInDesignのものとなります。

明朝体の合成フォント

[和字]本明朝新がなBook + [欧数字]Adobe Garamond

設定画面

用途

写真集の本文書体として使用。

コンセプト

写真集の本文書体として読みやすい合成フォントを使いたいと思い、作成しました。

写真が主役として映えるようにしたかったので、明朝体としてクセが少ない本明朝新がなBookを選びました。

本明朝新がなBookは書籍用に設計された読みやすく、美しい書体です。欧文には活字の趣を残したAdobe Garamond Proを使用。欧数字は110%拡大して和字とサイズ感を合わせています。

[和字]秀英明朝 + [欧数字]Adobe Garamond

設定画面

用途

学校案内パンフレットの本文書体として使用。

コンセプト

文学系の歴史を学べる学校案内の本文書体として制作しました。

秀英明朝はかな文字(特に「に」や「は」などのひらがな)に流麗な筆の名残が反映されているデザインなので和風の雰囲気が出ます。そこにAdobe Garamondを組み合わせました。

横組のパンフレットだったので、可読性の点からも秀英明朝は優れていると感じます。

本文用書体としてより読みやすくしたかったので、カギ括弧やローマ数字にリュウミンを設定しています。

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

[和字]本明朝 + [英数字]Carmina

設定画面

用途

学校案内パンフレットの本文、および見出し書体として使用。

コンセプト

和字はオーソドックスで読みやすい本明朝新がなを使用。欧数字にはより、活字の雰囲気を出したかったのでCarminaを使用しました。

Carminaは多少クセがある欧文書体なので見た人の印象に残りやすい合成フォントになりました。

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

ゴシック体の合成フォント

[和字]こぶりなゴシック + [欧数字]OpenSans

設定画面

用途

学校案内パンフレットの本文書体として使用。

コンセプト

Open SansはGoogle fontsから無料でダウンロードできるフォントです。2011年にリリースされた比較的新しい書体。

Open Sans – Google Fonts
https://fonts.google.com/specimen/Open+Sans

こぶりなゴシックには普段、FrutigerやUniversを合わせることが多いのですが、この時は現代的な印象にしたかったので欧文にOpen Sansを使用しました。

[和字]こぶりなゴシック + [欧数字]Helvetica

設定画面

用途

写真展告知チラシの本文、および見出し書体として使用。

コンセプト

チラシの表面をスイスタイポグラフィっぽいデザインにしたかったので、フォント名がそのまま「スイス」を意味するHelveticaを使用。

和文はニュートラルなこぶりなゴシックと合わせました。

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

[和字]こぶりなゴシック + [欧数字]DIN

設定画面

用途

ビジネス書籍の本文、見出し、表紙書体として使用。

コンセプト

教育機関によるマーケティング理論をまとめた書籍のデザインのために制作した合成フォントです。

英文が多く登場するので、ややコンデンス気味で読みやすいDINを欧数字に使用しました。

Adobe fontに搭載されているURW DINはウェイトが非常に豊富なので、様々な場面で使用できます。

URW DIN | Adobe Fonts
https://fonts.adobe.com/fonts/urw-din#recommendations-section

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

本文レイアウトは以下のAmazonリンクより、数ページ分のデザインをご覧いただけます。

デザインアート思考 使い手のニーズとつくり手のウォンツを同時に実現する10のステップ

[和字]こぶりなゴシック + [英数字]Myriad

設定画面

用途

学校案内パンフレットの本文書体として使用。

コンセプト

本文ではなく、コラムや表組み、データ部分で使用しました。

FrutigerをベースにしたMyriadは文字サイズが小さくなっても読みやすく、視認性が高いです。

実際のデザイン作例(Behanceより)

二度目の紹介となりますが、以下パンフレットのデータ部分で使用しています。

秀英角ゴシック金 + Avenir

設定画面

用途

イベントチラシのキャプションテキストとして使用。

コンセプト

歴史にまつわるイベントチラシの、情報などのキャプションテキストとして、読みやすく、かつ、少し趣がある印象にしたかったため、活字のエッセンスを取り入れた秀英角ゴシックを使用。

秀英角ゴシックには金と銀がありますが、横組の際は金の方が読みやすい印象があるのでこちらの使用しました。

タイトルのフォントなどにクセがあるので、キャプション用の英数字にはニュートラルなAvenirを組み合わせました。

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

[和字]あおとゴシック + [英数字]Univers

設定画面

用途

写真展告知チラシのタイトルと本文に使用。

コンセプト

特殊詐欺をテーマした写真プロジェクトの展覧会チラシで使用。 ”痕跡を消す”ということをデザインコンセプトに、限りなくクセがないモリサワのあおとゴシックと、多彩なウェイトを持つ変幻自在なフォントであるUniversを組み合わせた合成フォントを作成しました。

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

[和字]くれたけ銘石 + [英数字]Ferryman

設定画面

用途

イベント告知チラシのタイトル、見出しとして使用。

コンセプト

悲劇的な事件にまつわる追悼式のチラシデザインに使用。重厚さと古風な印象を出したかったので、和字にはくれたけ銘石を使用しました。和字のデザインに合いつつ、さらに日付などの数字にインパクトを持たせたかったので英数字にはAdobe fontsのFerrymanというフォントを合わせました。

Ferryman | Adobe Fonts
https://fonts.adobe.com/fonts/ferryman

重厚でありながら現代的な雰囲気もある、良い合成フォントになったと思います。

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

まとめ

今回ご紹介した合成フォントは以上です。

合成フォント機能は、組み合わせや設定に手間がかかりますが、丁寧に作り込むことで、デザインにオリジナリティを加えることができます。

本記事を参考に、ぜひ皆様もオリジナルの合成フォント作りに挑戦してみてください。

合成フォントの作例が紹介されているオススメのデザイン書

文字組デザイン講座: 雑誌・書籍・ポスターにおける巧みな文字の使い方をリアルな指定紙から解説

バリアブルフォントとは?-メリット・デメリットからIllustratorでの使い方まで解説!

近年、ウェブやデジタルデザインの世界で注目を集めている「バリアブルフォント(Variable Font)」は、従来の静的なフォント表現を革新する新しいタイポグラフィのアプローチです。

バリアブルフォントは、ひとつのフォントファイル内で幅広いウェイトやスタイルを自由に調整できるため、デザインの柔軟性とパフォーマンス向上を実現します。

本記事では、バリアブルフォントの基本的な仕組みから、そのメリット・デメリットまで、詳しく解説していきます。

バリアブルフォントの基礎知識

バリアブルフォントは、従来のフォントが持つ複数のスタイル(例えば、レギュラー、ボールド、イタリックなど)をひとつのファイルに統合し、デザインパラメータを数値で細かく制御できるフォント技術です。

軸(Axis):

バリアブルフォントでは、フォントの見た目を変化させるパラメータを 「軸(Axis)」 と呼びます。軸を使うことで、1つのフォントファイル内でさまざまなバリエーションを生み出すことが可能になります。主な軸には以下のようなものがあります。

  • Weight(ウェイト)-フォントの太さを調整する軸(例:Thin から Black までの範囲で滑らかに変化)。
  • Width(ウィズ)-フォントの横幅を調整する軸(例:Condensed(狭い)から Expanded(広い)まで)。
  • Italic(イタリック)-通常のスタイルから斜体への変化を滑らかにコントロールする軸。
  • Slant(スラント)-イタリックとは異なり、角度だけを傾ける軸。
  • Optical Size(オプティカルサイズ)-フォントを使用するサイズに応じて、可読性を最適化するためのデザイン調整軸(例:小さいサイズでは太め、大きいサイズでは細めになる)。

技術的背景:

OpenType仕様の拡張として登場し、複数のフォントバリエーションを滑らかに補完できる機能を持っています。

普及状況:

最新のWebブラウザやAdobeのデザインソフトウェアは、バリアブルフォントのサポートが進んでおり、今後さらに利用が拡大すると予想されます。

メリット

バリアブルフォントには、以下のようなメリットがあります。

柔軟なデザイン調整:

単一ファイルで複数のスタイルをカバーできるため、細かなデザイン調整が容易です。

パフォーマンス向上:

Webデザインにおいては、必要なスタイルを個別に読み込む必要がなく、ファイルサイズの削減やロード時間の短縮に寄与します。

一貫性のある表現:

同一ファミリー内での連続性のある変化が可能なため、ブランドやプロジェクト全体での統一感を保てます。

クリエイティブな可能性:

デザイナーは、従来の決まりきったスタイルにとらわれず、動的なタイポグラフィ表現を実現できるため、インタラクティブなWeb体験を提供できます。

デメリット

一方で、バリアブルフォントにはいくつかのデメリットも存在します。

互換性の問題:

古いブラウザや一部のデザインツールでは、バリアブルフォントに対応していない場合があり、表示や編集に問題が生じることがあります。

実装の複雑さ:

パラメータを自由に調整できる反面、過剰な設定や不適切な利用が原因で、デザインが崩れたり、ユーザビリティに悪影響を与える可能性があります。

制作コスト:

従来のフォントに比べ、制作や調整に専門的な知識が求められるため、開発コストや学習コストが増大することがあります。

Adobe Illustratorでの使用方法

Adobe Illustratorでバリアブルフォントを使用する方法をご紹介します。

1.バリアブルフォントを選ぶ

今回はAdobe fontsに収録されている「百千鳥 VF」を使います。(※VFはVariable Fontsの頭文字です。)

Screenshot

百千鳥 | Adobe Fonts
https://fonts.adobe.com/fonts/momochidori

2. バリアブルフォントボタンでフォントの見た目を調整する

バリアブルフォントの場合、文字ウィンドウのウェイト表示の隣に下図の様なバリアブルフォント調整ボタンが表示されます。

バリアブルフォント調整ボタン(バリアブルフォントの場合のみここに表示される)

こちらをクリックすると、字幅、太さ、欧文イタリックを調整できるバーが表示されます。

このスライダーを動かすことでフォントのデザインを直感的に変更することができます。

字幅を細く、太さを太く
直感的にフォントの見た目を変更できる

欧文でも、下図のように調整が可能です。

「百千鳥 VF」では、欧文イタリックのバーは動かしても変化無しだった

*「百千鳥 VF」にはイタリック体は収録されていないようなので、ここは変化なしでした。

バリアブルフォントの探し方

Adobe Fontsのバリアブルフォント

Adobe Fontsでは、サイドバーに「バリアブルフォント」というボタンがあるのでこちらをクリックすることで、バリアブルフォントの一覧を表示させることができます。

バリアブルフォントを検索 | Adobe Fonts
https://fonts.adobe.com/fonts?browse_mode=japanese&cc=true&languages=ja&min_styles=1&max_styles=26&font_technology=vf

Adobe Fontsでのバリアブルフォント画面

Google Fontsのバリアブルフォント

Google Fontsでは以下のリンクにバリアブルフォントの一覧がまとめられています。

Variable fonts – Google Fonts
https://fonts.google.com/variablefonts#font-families

こちらはすべて無料で使用できるフリーフォントとなります。


まとめ

バリアブルフォントは、これまでのフォント設計の常識を覆す革新的な技術です。
日本語フォントにおいてはまだ発展途上の部分もありますが、幅や太さを自在に調整できるフォントが増えており、デザインの可能性を広げています。
今後の進化にも注目しながら、ぜひバリアブルフォントを実際のデザインプロジェクトで試してみてください。

Header: Shubham DhageによるPixabayからの画像