私がデザイン業務で「欧文組版」をする際に参考にしている本・Webサイトを紹介!

普段使用している日本語と違い、ルールや作法に馴染みがうすい欧文での組版。

どんなにカッコイイデザインを作っても、英語圏の方が見たらありえないような文字組をしてしまっては、良いデザインとは言えません。

「正しく美しい」欧文組版をするために、私が参考にしている本とWebサイトをご紹介します。

Contents

書籍

Webサイト

書籍

欧文組版: タイポグラフィの基礎とマナー

欧文組版: タイポグラフィの基礎とマナー

新宿にある活版印刷会社「嘉瑞工房」の髙岡昌生さんによる欧文組版の解説書。

書体の選び方、文字間、ワードスペース(単語間)、組版の種類とルール、イタリック体やハイフンなど約物の扱い方まで、「正しく」「美しい」欧文組版の作法について丁寧に分かりやすく書かれています。

全ページ大変役に立つのですが、欧文組版の組見本に赤字を入れて添削しているコーナーが特に勉強になりました。

やりがちなミスや、基本的な文字の設定などについて知ることが出来て業務に役立ちます。

欧文やアルファベットの文字組をする機会がある方は持っておいて損のない一冊です。

〔増補改訂版〕 欧文組版: タイポグラフィの基礎とマナー

欧文書体 その背景と使い方

欧文書体 その背景と使い方

ドイツのフォントベンダー「ライノタイプ社」でタイプディレクターを務める小林章さんの著書。

代表的な欧文書体の種類とその歴史、使用シーンなど、書体にフォーカスした内容になっています。

BodoniやGaramondなど、名前は有名なフォントもその背景にある歴史や開発の目的を知ることで使う時の意識が変わってきます。

スクリプト体の効果的な使い方や、見出しと本文における2種類の書体の組み合わせまで、欧文だけでなく文字好き、フォント好きの人にとって楽しく勉強になる内容になっています。

欧文書体―その背景と使い方(新デザインガイド)

タイポグラフィ・ハンドブック

タイポグラフィ・ハンドブック

当ブログで何度も取り上げている本ですが、欧文タイポグラフィについての教科書なので今回もご紹介します。

この本は他の本に比べて、より「レイアウト」についての内容が充実しています。

グリッドシステムや版面の作り方、ノンブル、柱などのページを構成する要素まで、欧文タイポグラフィを用いて高品質なデザインを作る際には大変参考になる本です。

タイポグラフィ・ハンドブック

アシンメトリック・タイポグラフィ

アシンメトリック・タイポグラフィ

ドイツ生まれ、スイス・バーゼルで活動した偉大なタイポグラファ・グラフィックデザイナー、ヤン・チヒョルト(Jan Tschichold )の著書「Typographische Gestaltung」を日本語訳した本。

書体の選択、組版の理論はもちろん、タイポグラフィを主体的に使用したポスターや本の表紙紹介・その構造の分析など、ニュー・タイポグラフィのムーブメントを代表するデザイナーであったチヒョルトさんならではの「グラフィック」な分析がふんだんになされている一冊。

文字だけでグラフィックを作りたいデザイナーの方には色やコンポジション(構成)の解説がとても役に立ちます。

アシンメトリック・タイポグラフィ

Webサイト

I Love Typesetting: InDesignによる欧文組版の基本操作その1

http://typesetterkon.blogspot.com/2011/05/indesign1.html

英文・和文・和欧混合の書籍デザイン・組版の仕事に、約25年以上たずさわられている Rose Toyoko Kon さんの欧文組版についてのブログ。

こちらのブログの「InDesignによる欧文組版の基本操作」の記事はハイフネーションやジャスティフィケーションの細かい設定まで書かれていてとてもわかりやすいです。

私が業務で欧文組版をおこなう時は、毎回こちらのブログ記事の内容を参考にして設定を作っています。

デザインの現場 小林章の「タイプディレクターの眼」

https://blog.excite.co.jp/t-director/

「欧文書体 その背景と使い方」の著者、小林章さんのブログ。

ドイツ在住の小林さんが街中やご自身の仕事などから印象に残った文字・書体を写真で紹介されているブログです。

欧文書体が実際にどのように使われているのかを、ライトな読み物として知る事ができます。

まとめ

日本にいるとなかなか馴染みの少ない欧文組版ですが、その分、しっかりとした文字組ができるようになるとクライアントからの信頼も厚くなると思います。

今回ご紹介した本やブログを参考に、皆様のお仕事に役立てて頂ければ嬉しく思います。

ヘッダー画像:Willi HeidelbachによるPixabayからの画像

2018年に業務で活用した実戦的なタイポグラフィ本5冊

2018年の1年間に私がグラフィックデザインの業務で活用した実戦的なタイポグラフィの本を5冊ご紹介します。

駆け出しのデザイナーさんや文字に興味がある方に是非参考にしてもらいたい珠玉の5冊です。

1. 定番フォント ガイドブック

和文・欧文の定番フォント、和欧混植のフォントなど約700種類の定番フォントの組見本を収録したガイドブック。タイトル向けの大きいサイズ、本文用の小さいサイズ、五十音、記号、アルファベットなどの組見本を掲載…

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定番のフォントの書体見本が掲載されている本。業務でフォントを選ぶ時は、スケジュールの都合上、時間が無い時も多いので、こういった本の形になっているとパラパラとめくって、案件に合ったフォントを見つける事が出来ます。

自分のアンテナだけだと、どうしてもいつも使うフォントが偏ってきてしまうので、デザイン表現の幅を広げるという意味でも持っておくと良い一冊です。

おすすめ度:8点

2. 欧文組版 組版の基礎とマナー

『欧文書体』『欧文書体2』に続く、「タイポグラフィの基本BOOK」シリーズ第三弾。デザイナー、編集者、企業担当者向けに、実務的な欧文の組み方を指導した本。実際にコンピュータ上で欧文を組んでみる練習問題や、欧文を組むときの具体的な19の注意事項などを掲載。デザイナーが組む機会の多い名刺、レターヘッド、招待状などの組版事例や海外のいい組版事例も多数掲載…

Amazon – 商品の説明より

昨年くらいから業務で欧文の組版をする事が増えたので、前から持っていた本ですが、再度、制作時に熟読しています。英語がネイティブの国では無いので難しい部分もありますが、出来るだけ、英語圏の人が見てもおかしくないようなデザインにしたいので、こちらの本はとても頼りになります。

長い英文を組む機会の無い方でも、キャッチコピーなどで欧文を扱う事は多いと思うのでそういった時に、やはりこの本を一冊持っておいた方が良いと思います。

おすすめ度:9.5点

3. タイポグラフィ・ハンドブック

★欧文書体・組版(タイポグラフィ)のすべてが分かるハンドブック
★著者自ら組版も手がけた、まさに本そのものが「お手本」

Amazon – 商品の説明より

2016年の記事でもご紹介している一冊ですが、今年も何度となく参照してきたので再びご紹介します。

2016年に私が最も助けられたデザイン書トップ3

まさにタイポグラフィ本のマスターピース

紙や印刷媒体のみならず、文字を扱う全てのデザイナー必携の一冊です。

アルファベットの文字の構造、書体の種類、欧文組版の基礎、グリッドシステム、レイアウトフォーマット、伝統的な欧文書体のリストなど、文字を理解して使うための情報が凝縮されています。

タイポグラフィや文字組に苦手意識がある方でも、この本を熟読すればほぼ間違いなく上達出来ると思います!まだ読んでいない方はぜひ!!

おすすめ度:10点

4. 文字組デザイン講座

2012年よりデザインノートで連載した「文字組デザイン講座」を再構成し、大幅に加筆修正して工藤流の「文字組方法論」を多角的に解説した一冊。…(中略)…本書を隈なく紐解くことにより、グラフィックデザイナーとしての文字組の知識やスキルが確実にアップするプロ必携の一冊だ。

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グラフィックデザイナー、デザイン実験室主宰の工藤強勝氏による著書。こちらも以前の記事でも紹介しています。

『文字組デザイン講座』by 工藤強勝:超マニアックな文字組本が発売されました!

私が考える本書のポイントは、以下のような点です。

point 1. 実際の仕事で制作されたデザインを作例としている

こういったデザイン解説書では、本の為に作例を作っている様な物も見かけますが、その場合、仕事で制作されたデザインではないため、クオリティが今ひとつだったりします。

ところが、この「文字組デザイン講座」は、トップデザイナーの工藤氏が実際に仕事で制作した本や雑誌のデザインを、本人が分析しているのでクオリティは勿論のこと、超実戦的な内容になっています.

point 2. 判型が大きくて見やすい

本の判型(サイズ)が、天地286mm × 左右222mmのA4変形で大きいです。

本書は、工藤氏がスタッフに渡す指定紙と呼ばれるデザイン指示書を分析しながら解説していくスタイルで進むのですが、判型が大きいおかげで指定紙に書かれた緻密な指示(フォントやレイアウト、色など)を細部まで読み取る事ができます。

ルーペなどを使用して、指定紙に書かれている手書きの指示も読み込んでいったら、ものすごい量のデザインのノウハウを身につける事ができます。

point 3. 価格が安い

このサイズでオールカラー159ページ、この内容で2400円+税という価格はとても安いです。

本の紹介文ではプロのグラフィックデザイナー向けと書かれていますが、デザインを勉強中の学生さんにも十分買える値段ではないでしょうか。

情報の密度もものすごく高いので、デザイナーではないけど文字や本が好き、という方でも楽しめる内容だと思います。

おすすめ度:9.5点

5. Otl Aicher(オトル・アイヒャー作品集)

ドイツのデザイナー兼教育者、Otl Aicherは、20世紀のグラフィックデザインのパイオニアであり、数多くの企業のヴィジュアルアイデンティティとサインシステムに関する仕事で有名です。 この本は重要な記録資料を元に、Aicherの知的で重要なデザイン哲学を紹介しています。

Amazon – 商品の説明をGoogle翻訳で意訳

最後の1冊は変わり種、ドイツのグラフィックデザイナー、Otl Aicher(オトル・アイヒャー)のグラフィックデザイン作品集です。

20世紀ドイツを代表するグラフィックデザイナーとして、ドイツのルフトハンザ航空のロゴマークやミュンヘンオリンピックのサイン・ピクトグラムシステムRotis書体の開発など、後年のタイポグラフィデザインやインフォグラフィックスに大きな影響を与える仕事をしてきた偉大なデザイナーです。

本書にはポスターの作品もたくさん収録されていて、シンプルかつひと目を引く仕掛けを施されたデザインで見ていてとてもワクワクします。

洋書でボリュームもあるので、これまでの4冊に比べると値段は高いですが、グラフィックデザインに興味があるなら持っていて損は無い一冊だと思います。

おすすめ度:7.5点

どの本も、読んでみて損の無い内容です!

InDesign欧文組版: 設定覚書

InDesignで欧文組版をする際の設定をメモ替わりに覚書として残します。

・スラッシュ(/)の処理

スラッシュの前後は基本的にはスペースは入れない。
但し、そのままだと詰まりすぎるので前後に6分の1スペースを入れる。

・半角ダーシ

[option]+[-]

・全角ダーシ

[option]+[shift]+[-]

思いついたら随時、追加していきます。(最終更新日:2018/10/13)