ポスターやフライヤーなどの制作時に参考にしている7冊のグラフィックデザイン書

私がポスターやフライヤーなど、一枚物のグラフィックデザインを制作する際に良く見ている、オススメのデザイン参考書を7冊ご紹介します。

オランダ、東欧、イタリア、スイスなど、ヨーロッパで活躍したデザイナー達の作品集はシンプルでありながら強さとユーモアを兼ね備えていてとても印象に残ります。

CONTENTS

  1. シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン
  2. ZWARTE BEERTJES: Book Cover Designs by Dick Bruna
  3. チェコの映画ポスター
  4. チェコ ポーランド ハンガリーのポスター
  5. 構成的ポスターの研究—バウハウスからスイス派の巨匠へ
  6. Max Huber
  7. Otl Aicher

シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン

オランダのグラフィックデザイナー「ディック・ブルーナ(Dick Bruna)」さんのポスターや本のデザインを集めた展覧会のカタログ。

日本ではウサギのミッフィーちゃんのデザインでお馴染み、ディック・ブルーナさんについては当ブログでも以下の記事でご紹介しています。

オランダのミッフィーミュージアム(Nijntje Museum)へ行きました
http://watanabedesign511.info/2018/12/14/nijntje-museum/

一見するとただ可愛いデザインに見えますが、対象が対象らしく見える極限まで構成要素を絞り、この場所以外ありえない、と感じさせるほどの緊張感を持ったレイアウトでデザインされています。

使用している文字のタイポグラフィや、紙を破ってコラージュの様にレイアウトするなど、テクスチュアも効果的に使っています。

オールカラーで価格も安いのでオススメの一冊!

ZWARTE BEERTJES: Book Cover Designs by Dick Bruna

こちらもディック・ブルーナさんの作品集。

ブルーナが手がけたペーパーバックスタイルの書籍シリーズ「ZWARTE BEERTJES(ブラック・ベア)」。彼が手がけた2000冊のカバーデザインの中から選りすぐりのデザインが掲載されています。

2000冊全ては掲載されていませんが本書の444ページに渡り、ブルーナさんの平面デザインの宇宙が広がっています。

彼のデザインを気に入った人は持っておいて損の無い一冊です。

チェコの映画ポスター

東欧チェコの映画ポスターデザインを集めた本。

なぜチェコ?と思われるかもしれませんが、チェコの映画ポスターは独特の構図感覚やタイポグラフィでグラフィックデザイナーには人気があるのです。

『羅生門』や『ゴジラ』など日本の映画作品のポスターをチェコ版にリ・デザインしている物も掲載されていて、日本版との違いに驚きを受けました。

以下のURLから2013年に東京国立近代美術館フィルムセンターで開催された『チェコの映画ポスター テリー・ポスター・コレクションより』という展示で掲示されたポスターデザインを何点か見ることが出来ます。

独創的なチェコの映画ポスター82点を紹介、世界各国の名作を豊かな想像力で大胆に異化 – アート・デザインニュース : CINRA.NET
https://www.cinra.net/news/2013/08/06/184403

本書に掲載されている作品も見られるので参考にしてみてください。

チェコ ポーランド ハンガリーのポスター

こちらも東欧のデザインシリーズ。

前述のチェコに加えてポーランドやハンガリーのデザインも掲載されています。

表4の紹介文によると、チェコスロバキア、ポーランド、ハンガリーなどの社会主義体制下にあった国々では芸術家が自由に表現活動を行うことが出来ないという背景があったようです。

そのため、ポスターなどのグラフィックデザインが芸術性を発揮できる数少ない場所だったようです。

判型は小さく値段も手頃ですが、オールカラーで233点の作品が掲載されているのでかなり充実した内容になっています。

構成的ポスターの研究—バウハウスからスイス派の巨匠へ

私が十代の美術予備校生だった頃に購入し、未だに参考にし続けているポスターデザインのマスターピース!

バウハウスやスイス派と呼ばれるポスターについて、デザインの構造や社会的背景、印刷技法に至るまで分析している1冊。

エル・リシツキー、モホリ=ナギ、ハーバート・バイヤー、ヤン・チヒョルト….といったグラフィックデザインのレジェンド達の名前と代表作について、私はこの本を見て学びました。

判型も大きめで印刷もとても綺麗なので、グラフィックデザインが好きな全ての人にオススメしたい本です!

Max Huber

前述の『構成的ポスターの研究』を読んで私が一番自分の感性でカッコイイ!と感じたデザイナー、Max Huber(マックス・フーバー)さんの作品集。

インパクトのあるタイポグラフィと透明感を活かした色使いで、シンプルながらも見ていて明るい気持ちになれます。

flotsambooksさんによる本マニアへのインタビュー記事『book-go-around』に答えた際にも好きな本として紹介しています。良かったらこちらも合わせてご覧下さい。

book-go-around #010|flotsambooks|note
https://note.mu/flotsambooks/n/ne0d84a068d6e

私が持っているのはハードカバーの物ですが今はペーパーバック版も出ているようで、そちらは少し価格が安くなっていますね。

Otl Aicher

ドイツのデザイナー兼教育者、20世紀のグラフィックデザインのパイオニアとも呼ばれたオトル・アイヒャー(Otl Aicher)さんの作品集。

こちらも以前、当ブログで紹介しています。

私が2018年にデザイン業務で活用した実戦的なタイポグラフィ本5冊
http://watanabedesign511.info/2018/12/23/2018-typography-books/

ポスターやブックデザインなどの一般的なグラフィックデザインに加えて、ピクトグラムやサインシステムなどのインフォグラフィックス、さらには書体の開発まで。

グラフィックデザイン博士ともいえる彼の活動を総合的に知る事が出来る一冊です。

こちらもペーパーバック版は安く買えます。

まとめ

グラフィックデザインの中でもポスターやフライヤーといった平面の媒体は、本の形態になったときにとても見やすいので、仕事とは関係なく眺めているだけでも楽しめます。

デザインに興味を持ったばかりの方も、今回ご紹介した様な本を読むことで自分の好きなデザイナーが見つかるとデザインの世界がより楽しくなります。

気になった一冊があれば是非読んでみて下さい。

良く忘れがちな紙にまつわる基礎知識「縦目(T目)」と「横目(Y目)」について

紙にまつわる基礎知識の中で、自分でもあいまいな用語などがあるので、備忘録としてまとめていきたいと思います。まず私がいつも間違えそうになる「縦目(T目)」と「横目(Y目)」について。

用紙に対してどのように入る物が縦目で横目なのか、図を作って覚えようと思います。

紙の目が常に垂直(上下)に流れると考えた場合、縦長の用紙に入るのが縦目(T目)、横長の用紙に入るのが横目(Y目)と覚えるのが良さそうです。

InDesignで正規表現検索を使い段落先頭に一文字空けを作る方法

InDesignで正規表現検索を使い、段落先頭に一文字空けを作る方法をご紹介します。

正規表現検索・置換する際にどのような文字列を入れれば良いのか、手順を記載。文字組アキ量設定や段落インデントなど他の一文字空け方法との違い(メリット・デメリット)もご案内します。

今回はこちらの文章をサンプルに使い、説明していきます。

1.検索と置換で「\r」を「\r」+「全角スペース」に置換

メニューバーから「編集」>「検索と置換」のウィンドウを開きます。

正規表現のタブを選択し、

検索文字列に「\r」

置換文字列に「\r」と「全角スペース」

を入力します。

\はバックスラッシュです。Macだとoptionキーを押しながら¥のキーを押すことで入力できます。正規表現では一般的にこのバックスラッシュを先頭に入れます。

「\r」の記号は「改行」を意味します。

つまり「\r」を「\r」と「全角スペース」に検索・置換することで、改行の次(新しい行の始まり)に全角スペースが入ることになります。

これで置換をかけるとこのようになります。

2.一行目は手動でスペースを入れる

この検索・置換だとテキストボックスの一行目にはスペースが入らないのでそこは手動でスペースを入力します。

3.全角スペースが2個連続している箇所を検索し、1個に置換する

基本的にはこれで完成です。ただしテキストデータの段階で全角スペースが入っていたりすると、スペースが重複たりする可能性もあるので全角スペースが2つ連続している場所を検索して、1つにします。

検索文字列に「全角スペース」+「全角スペース」

置換文字列に「全角スペース」(1つのみ)

これで完成です。

まとめ

InDesignで段落先頭の一文字空けを入れる際のやり方は他にも色々あります。

文字組アキ量設定や段落のインデントで段落スタイルとして設定する方法、などです。

今回ご紹介した正規表現で空ける方法は、編集の人とInDesignデータを共有する場合や一段落目だけ一文字空けない、などの時に私は使用しています。

設定で自動的に空ける方法の場合、イレギュラーな箇所(カギ括弧の時は一文字空けしない)やデザイナー以外の人とデータ共有する場合、設定を理解し変更するのが難しいというデメリットがあります。

今回のようにスペースを入れる方法であれば、融通が利きやすいです。

他にもオススメの方法などあれば、コメント欄で教えて頂けると幸いです。

今回の作業環境

  • mac OS Sierra
  • Adobe InDesign CC 2018

銀座で写真と遊ぶイベント「PHOTO Playground」を体感!

銀座にあるSony Parkで開催されていた「#005 PHOTO Playground -写真と出会う、写真と遊ぶ」という展示を観に行きました。関健作さんによるブータン×ラップ×トイレの作品「GOKAB」を中心に、興味深かった展示を写真でご紹介します。

イベント概要

写真のある豊かな暮らしを提案する〔IMA(イマ)〕をコラボレーターに迎え、”写真”の可能性を広げ、見るだけでなく新たな発見や体験ができる、アートフォトの立体展示です。
私たちにとってより身近な存在となっている”写真”。 「#005 PHOTO Playground」では、”写真”が持つ可能性や自由度に着目し、写真の可能性を広げ、写真と遊べるプログラムとなります。

Ginza Sony Park | Program | #005 PHOTO Playground – 写真と出会う、写真と遊ぶ –

本城直季さんによるメインヴィジュアルが目印。代々木公園をミニチュア風に撮影しています。


このように地上階から地下3階にかけて、様々な作家の作品が点在しています。

今回のお目当てはこちら。写真家・関健作さんの「GOKAB」です。

関健作「GOKAB」(2018)

公園といえば、公衆トイレ。地下二階の会場のトイレを模した扉を開けると、中の壁には写真の上にグラフィティが施された作品が現れます。これは2007年から3年間、ヒマラヤの麓の小国ブータンの小中学校で教鞭をとった関健作が、現地の若者たちの日常を追ったもの。独自の文化を守り、「国民総幸福量」を標榜するブータンは、時の止まったおとぎの国のようなイメージで知られていますが、実際には近代化が進み、他の都市と同様、街にはヒップホッパー達がいます。私たちの勝手なイメージを裏切るギャップに溢れた作品からは、彼らの社会に対するメッセージを読み取ることができます。

Ginza Sony Park | Program | #005 PHOTO Playground – 写真と出会う、写真と遊ぶ –

こちらの4台並ぶトイレの個室が展示となります。この日は、一番左側の部屋は調整中という事で観られず。

「female」の個室を開けると…

このようにブータンの若いラッパーを関さんが撮影した写真、その上に彼ら自身がグラフィティを施した「GOKAB」プロジェクトの写真が現れます。※GOKABとはブータン語で『チャンス』という意味だそうです。

床にはブータン式の便器も!

こちらのmonk(僧侶)の扉を開けると…

それぞれメッセージを持ったラッパー達の写真が現れます。

なぜラッパーが僧侶なのか?

以前に作家である関さんに聞いたところ、「ブータンのラッパー達はその歌で若者達に希望を与えている。国内各地を巡りながらポジティブなメッセージを届けるその姿が、僧侶のように感じます。」と仰っていました。

こちらのyouの個室には何があるのでしょうか、、、?

扉を開けると….

このような強烈なイメージが!

元から展示されている関さんの作品の上に来場者が自由にペンでメッセージを描けるインスタレーション作品になっているのです!

私が訪問したのは展示が始まってから1週間経った時だったのですでにたくさんのメッセージが描かれていました。

この部屋はとても人気で訪れた家族連れや若者達が次々と入っていき、思い思いのメッセージを描いていました。

こういった来場者とコラボレーションする作品はすごく良いですね!

個人的には難しいテクノロジーなどを使わずに、ペンで描くだけというアナログな方法で誰もが気軽に楽しめる展示になっていたことがとても面白く感じました。

その他で気になった作品

3連休中日に訪問したのでかなり混雑したためゆっくりとは観られなかったのですが、関さんの作品以外で気になった作品を写真でご紹介します。

小池健輔(Kensuke Koike)「Ikebana」(2018)

顔のパーツが植物のようにニョキニョキ生えてます。

始め見た時は遊び方が分からなかったのですが、この顔の裏からのぞいて顔ハメみたいにして撮影している方が多かったです。なるほど!

木藤富士夫 「公園遊具」(2015)

夜の公園の遊具をライティングして撮影した作品。この作品もかなり好きです!日常で意識せずに観ている物が、写真の力によって彫刻作品の様にその存在感が際立ってきます。

スフィンクスの遊具など、強烈ですね。

かなり世界観があるシリーズなので、この作品だけの展覧会を観てみたくなりました。

小山泰介 「RAINBOW VARIATION」(2009-2019)

自動販売機に掲示された虹色のポスターを接写したグラフィック作品。

藤原聡志「Untitled(Timeline #1)」(2019)

パトカーと馬をモチーフにした写真を巨大なターポリンに印刷しオブジェのように丸めて積み重ねた作品。

この作品もとても面白いと思いました!展示会場となっている駐車場の天井につきそうなくらいの巨大さに圧倒されます。

この場所に来ないと体感できない作品といった感じで見に来た甲斐がありました。

他にもVRを活用した作品などがあったのですが、会場の混雑もあり体験型の展示はなかなか難しかったです。

会期終了までに平日にもう一度行けたら、今回観られなかった展示も体験したいと思います。

展示情報

Webサイト:https://www.ginzasonypark.jp/program/009/
開催日:2019年2月1日(金)- 3月3日(日)
※地下3階の小山さんと藤原さんの作品は2月27日(水)まで
時間:10:00ー20:00
会場:GL / 地上階、B1〜B3 / 地下1階〜地下3階
料金:無料

世田谷用賀の人気店『Ryoura』でショートケーキとフォンダンショコラを

東急田園都市線の用賀駅にある人気ケーキ店『Ryoura』でショートケーキとフォンダンショコラを購入しました。

フランスで修行したオーナーの菅又亮輔さんによる繊細で上品な口当たりのケーキは、見た目も彫刻作品の様な美しさがあります。

連休の混雑具合も含めて写真と文でご紹介します。

お店について

オーナーの菅又亮輔さんは1976年新潟県生まれ。高校卒業後にお菓子の世界に入り、26歳で渡仏。フランス各地で3年にわたって修行し、帰国後、ピエール・エルメ サロン・ド・テにてスー・シェフを務めました。

2007年12月にオープンした「ドゥーパティスリーカフェ」ではシェフパティシエを務め、2010年春には2号店「ドゥーパティスリーアトウキョウ」を東京駅構内にオープン。

『Ryoura』はその後に世田谷の用賀にオープンした店舗です。

店名の由来

Qu’est-ce que Ryoura ?
ryo + aura = Ryoura
未来形を表す時フランス語では【ra】を付けて変化させることから、【ryo + ra】で自身を前進させる意味を込め、またさらに【aura(オーラ:雰囲気の意)】を重ねています。 自分自身のフィルターを通すことで、「自身のオーラをまとった個性的なお菓子を生み出し続けたい」という想いを店名『Ryoura(リョウラ)』に込めました。

リョウラ – Ryoura –

15時少し前にお店に着いたのですが、三連休の最終日で天気が悪かったからかいつもよりは空いていてじっくり見ることが出来ました。

今回買ったケーキはこちらの二つ

イチゴのショートケーキ

シンプルにショートケーキを買ってみました。

ふわっとしたクリームは見た目よりもさっぱりした食感で、とても食べやすかったです。

スポンジの部分も軽めなのでジューシーなイチゴとの食感のコントラストを楽しむことが出来ました。

ショートケーキはシンプルなだけにお店の特徴が出ますね!


フォンダンショコラ

時期も時期なのでチョコレートケーキも購入。

しっとりとしたチョコレートがパテの様に詰まっていて、小さく見えますがとても密度があります。

こちらもryouraさんらしく、丁度良い甘さで上品な後味が残ります。

どちらのケーキもryouraさんらしい丁寧さとさっぱりとした甘さでとても満足できました。

また是非他の商品にもチャレンジしてみようと思います。

店舗情報

Ryoura