グラフィックデザイナーの私がオススメする【フェミニズム】【ジェンダー問題】にまつわる本

フェミニズムやジェンダー問題に関心を持ち、本を読んだり動画を見て勉強しています。

私が読んだフェミニズム/ジェンダー問題にまつわる本をご紹介します。

順番はおおまかに、私が読んだ順になっています。

マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か #MeTooに加われない男たち

男性作家である杉田俊介さんが男性が持つ社会的特権について考える本。読みやすく、自分自身がマジョリティ男性でもあるので共感できる点も多かったです。

男性がフェミニズムを学ぶ際の入門編ともいえる一冊。

「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ

本ブログでも以前の記事で紹介しました。写真家・長島有里枝さんによる著書。写真界で起きた「女の子写真」ブームについて渦中にいたご本人の視点で界隈のジェンダー不平等について記述されています。

写真界だけでなく芸術・デザイン界全てに通じる印象もあり、ある意味衝撃的でした。

もう空気なんて読まない

BBC「100人の女性」に選ばれた「#KuToo」の発信者、俳優、フェミニスト、アクティビストである石川優美さんの著書。

まず、タイトルが最高だと思いました。今の時代、「空気を読む」ということが良い事の様に言われることが多いですが、自分を守り、世界を変えるためには「声を上げる」ことや「怒る」ことが必要になります。

石川さんの自伝的な内容ですが、男性優位社会でいかに苦しんできたか、フェミニズムを知って世界の見え方が変わっていく過程がとても熱い文章で書かれています。

#KuToo(クートゥー): 靴から考える本気のフェミニズム

石川優美さんの著書。発行された順番としてはこちらが先になります。

#MeToo運動は知っていたのですが、こちらのハッシュタグ#KuToo運動は恥ずかしながらリアルタイムでは知りませんでした。

こちらのツイートから始まり、世界にも広まった#KuToo運動。女性のパンプスがいかに足に負担がかかっているか、本書を読むまでは私は全く気づいていませんでした。

同じ仕事をするのに、男性とは異なる身体的な負担を強要されている状況がある事を知り、とても衝撃を受けました。

本書では#KuToo運動にまつわるバックラッシュ(反動)である誹謗中傷との戦いも記録されていて、その内容にも驚かされました。

ぜんぶ運命だったんかい—おじさん社会と女子の一生

青い顔に花を持ったアイコンが印象に残る、広告業界で働いている笛美さん。

広告業界で働く中で受けた女性差別についてかなりリアルに描写しているエッセイ本です。

私自身、デザイン業界にいるので分野が近いこともあり、かなりあるあるな内容が多かったです。これまでモヤッとしていたことも、男性優位社会であることに起因していたように思えてきました。

デザインや広告に携わる人は是非全員読んで欲しい本です。

インスタグラムでフェミニズムについてイラスト付きの記事で発信しています。とても勉強になる内容が多く、オススメです!

また新たに読んだ本があれば記事を書こうと思っています。

最近読んだ本〈2021年10月〉- スマホ脳、人を動かす、慈雨

スマホ脳

アンデシュ・ハンセン (著), 久山 葉子 (翻訳)

現代のスマホ社会に警鐘を鳴らす一冊。

ベストセラーになっていたので購入しましたが、さすが!という内容でした。

前半はスマホというよりも人類の歴史と脳の構造にまつわる話から始まります。一読すると関係が無さそうですが、後半のスマホ脳の解説に入ったときに一気に説得力が増しました。

この本の内容をどれだけ信じるかは人それぞれだと思いますが、私はこれを読んでから「スマホと距離を置かないと」と思ってしまいました。

現代人が読むべき一冊だと思います!

人を動かす

D・カーネギー (著), 山口 博 (翻訳)

以前から書名と、カーネギーの名前は知っていたのですがどんな本かは分からず。オリエンタルラジオ中田さんの帯に惹かれて購入しました。

帯には「営業に使える」とありましたが、まさにその通り、人付き合いを円滑にするための本でした。

とても勉強になります!

目次の章立てが明快なので気になった箇所をピックアップして読む事ができました。

ただ、改訂されているとはいえ初版は80年近く前の本なので事例などはさすがに歴史を感じました。

慈雨

柚月 裕子 (著)

ミステリー小説。

お遍路さんをしている元刑事と現在進行形で起こった少女誘拐事件。

最初はお遍路パートがどう事件と関係するかわからなかったのですが、読み進めていく内に「こういう形でストーリーが展開するのか!」と納得させられるような内容でした。

家族もテーマになっていてその視点も興味深かったです。

今週買った本:ちいかわ、デス・ゾーン

今週買った本をご紹介します。

ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ(1) 

LINEスタンプなどでおなじみのイラストレーター、ナガノさんによる新キャラクター「ちいかわ」の漫画です。Twitterに投稿されたものを再編集+書き下ろしを加えたもの。

とにかく出てくるキャラクターがかわいくて、シニカルな部分などもあり癒されます。

ナガノさんTwitter
https://twitter.com/ngntrtr?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

ちいかわTwitter
https://twitter.com/ngnchiikawa

デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場 

2018年にエベレストで登山中に滑落死した登山家・栗城史多さん。彼がなぜ山に登ったのかにせまったノンフィクション小説。

私は、栗城さんについてはテレビなどで話題になっていた姿しかしらないので、登山をエンターテイメント化した人だな、という印象だったのですが、本書を読むとその行動原理などが理解できるところも多かったです。

自分が今作っている本にも関わりがある内容なので共感もできました。

ポスターやフライヤーなどの制作時に参考にしている7冊のグラフィックデザイン書

私がポスターやフライヤーなど、一枚物のグラフィックデザインを制作する際に良く見ている、オススメのデザイン参考書を7冊ご紹介します。

オランダ、東欧、イタリア、スイスなど、ヨーロッパで活躍したデザイナー達の作品集はシンプルでありながら強さとユーモアを兼ね備えていてとても印象に残ります。

CONTENTS

  1. シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン
  2. ZWARTE BEERTJES: Book Cover Designs by Dick Bruna
  3. チェコの映画ポスター
  4. チェコ ポーランド ハンガリーのポスター
  5. 構成的ポスターの研究—バウハウスからスイス派の巨匠へ
  6. Max Huber
  7. Otl Aicher

シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン

オランダのグラフィックデザイナー「ディック・ブルーナ(Dick Bruna)」さんのポスターや本のデザインを集めた展覧会のカタログ。

日本ではウサギのミッフィーちゃんのデザインでお馴染み、ディック・ブルーナさんについては当ブログでも以下の記事でご紹介しています。

オランダのミッフィーミュージアム(Nijntje Museum)へ行きました
http://watanabedesign511.info/2018/12/14/nijntje-museum/

一見するとただ可愛いデザインに見えますが、対象が対象らしく見える極限まで構成要素を絞り、この場所以外ありえない、と感じさせるほどの緊張感を持ったレイアウトでデザインされています。

使用している文字のタイポグラフィや、紙を破ってコラージュの様にレイアウトするなど、テクスチュアも効果的に使っています。

オールカラーで価格も安いのでオススメの一冊!

ZWARTE BEERTJES: Book Cover Designs by Dick Bruna

こちらもディック・ブルーナさんの作品集。

ブルーナが手がけたペーパーバックスタイルの書籍シリーズ「ZWARTE BEERTJES(ブラック・ベア)」。彼が手がけた2000冊のカバーデザインの中から選りすぐりのデザインが掲載されています。

2000冊全ては掲載されていませんが本書の444ページに渡り、ブルーナさんの平面デザインの宇宙が広がっています。

彼のデザインを気に入った人は持っておいて損の無い一冊です。

チェコの映画ポスター

東欧チェコの映画ポスターデザインを集めた本。

なぜチェコ?と思われるかもしれませんが、チェコの映画ポスターは独特の構図感覚やタイポグラフィでグラフィックデザイナーには人気があるのです。

『羅生門』や『ゴジラ』など日本の映画作品のポスターをチェコ版にリ・デザインしている物も掲載されていて、日本版との違いに驚きを受けました。

以下のURLから2013年に東京国立近代美術館フィルムセンターで開催された『チェコの映画ポスター テリー・ポスター・コレクションより』という展示で掲示されたポスターデザインを何点か見ることが出来ます。

独創的なチェコの映画ポスター82点を紹介、世界各国の名作を豊かな想像力で大胆に異化 – アート・デザインニュース : CINRA.NET
https://www.cinra.net/news/2013/08/06/184403

本書に掲載されている作品も見られるので参考にしてみてください。

チェコ ポーランド ハンガリーのポスター

こちらも東欧のデザインシリーズ。

前述のチェコに加えてポーランドやハンガリーのデザインも掲載されています。

表4の紹介文によると、チェコスロバキア、ポーランド、ハンガリーなどの社会主義体制下にあった国々では芸術家が自由に表現活動を行うことが出来ないという背景があったようです。

そのため、ポスターなどのグラフィックデザインが芸術性を発揮できる数少ない場所だったようです。

判型は小さく値段も手頃ですが、オールカラーで233点の作品が掲載されているのでかなり充実した内容になっています。

構成的ポスターの研究—バウハウスからスイス派の巨匠へ

私が十代の美術予備校生だった頃に購入し、未だに参考にし続けているポスターデザインのマスターピース!

バウハウスやスイス派と呼ばれるポスターについて、デザインの構造や社会的背景、印刷技法に至るまで分析している1冊。

エル・リシツキー、モホリ=ナギ、ハーバート・バイヤー、ヤン・チヒョルト….といったグラフィックデザインのレジェンド達の名前と代表作について、私はこの本を見て学びました。

判型も大きめで印刷もとても綺麗なので、グラフィックデザインが好きな全ての人にオススメしたい本です!

Max Huber

前述の『構成的ポスターの研究』を読んで私が一番自分の感性でカッコイイ!と感じたデザイナー、Max Huber(マックス・フーバー)さんの作品集。

インパクトのあるタイポグラフィと透明感を活かした色使いで、シンプルながらも見ていて明るい気持ちになれます。

flotsambooksさんによる本マニアへのインタビュー記事『book-go-around』に答えた際にも好きな本として紹介しています。良かったらこちらも合わせてご覧下さい。

book-go-around #010|flotsambooks|note
https://note.mu/flotsambooks/n/ne0d84a068d6e

私が持っているのはハードカバーの物ですが今はペーパーバック版も出ているようで、そちらは少し価格が安くなっていますね。

Otl Aicher

ドイツのデザイナー兼教育者、20世紀のグラフィックデザインのパイオニアとも呼ばれたオトル・アイヒャー(Otl Aicher)さんの作品集。

こちらも以前、当ブログで紹介しています。

私が2018年にデザイン業務で活用した実戦的なタイポグラフィ本5冊
http://watanabedesign511.info/2018/12/23/2018-typography-books/

ポスターやブックデザインなどの一般的なグラフィックデザインに加えて、ピクトグラムやサインシステムなどのインフォグラフィックス、さらには書体の開発まで。

グラフィックデザイン博士ともいえる彼の活動を総合的に知る事が出来る一冊です。

こちらもペーパーバック版は安く買えます。

まとめ

グラフィックデザインの中でもポスターやフライヤーといった平面の媒体は、本の形態になったときにとても見やすいので、仕事とは関係なく眺めているだけでも楽しめます。

デザインに興味を持ったばかりの方も、今回ご紹介した様な本を読むことで自分の好きなデザイナーが見つかるとデザインの世界がより楽しくなります。

気になった一冊があれば是非読んでみて下さい。