関東大震災の朝鮮人虐殺事件にまつわる本のリスト

関東大震災の際に起きた朝鮮人虐殺事件についてリサーチをしています。

資料となる本について、個人的に気なるもの、かつ、現在Amazonで購入しやすいものをリストとしてまとめてみました。(中国人虐殺事件についての本も含む。)

順番は発行された年の順です。Kindle版があるものはそちらのリンクになっています。

購入して読んだものと、読んでいないものがあります。

関東大震災 (新幹社選書)(1975年 ※新装版2020年)

姜 徳相(原著, 著)

関東大震災の禍根―茨城・千葉の朝鮮人虐殺事件 (1980年)

桜井 優子(著), 五島 智子(著)

関東大震災朝鮮人虐殺―写真報告(1981年)

ペ 昭(写真)

関東大震災と朝鮮人虐殺―80年後の徹底検証(2002年)

山岸 秀(著)

関東大震災時の朝鮮人虐殺―その国家責任と民衆責任(2003年)

山田 昭次(著)

関東大震災・虐殺の記憶 (青丘文化叢書)(2003年)

姜 徳相(著, 原著)

Amazonの解説によると、上でご紹介している、中央公論社1975年刊「関東大震災」の改題新版とのことです。

関東大震災 (文春文庫)(2004年)

吉村 昭(著)

震災 戒厳令 虐殺(2008年)

関東大震災85周年シンポジウム実行委員会 (編集)

史料集 関東大震災下の中国人虐殺事件(2008年)

今井 清一(著), 仁木 ふみ子(編集)

関東大震災時の朝鮮人虐殺とその後―虐殺の国家責任と民衆責任(2011年)

山田 昭次(著)

地域に学ぶ関東大震災(2012年)

田中正敬編(著), 専修大学関東大震災史研究会編(著), 小笠原強(その他), 小薗崇明(その他), ノ・ジュウン(その他), 宮川英一(その他), 鈴木孝昌(その他), 稲垣裕章(その他)

習志野収容所周辺での虐殺事件を中心に、千葉で起きた事件をまとめた内容です。

九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響(2014年)

加藤 直樹(著)

編集者の加藤直樹さんが、東京の虐殺現場を訪れ、その場所で起きた事件を写真とともに紹介している内容。地図や写真なども豊富なので非常に読みやすかったです。

関東大震災の虐殺事件について学ぶ最初の一冊としてオススメしたい本です。

関東大震災時の朝鮮人迫害―全国各地での流言と朝鮮人虐待(2014年)

山田 昭次(著)

新聞社などメディアの「報道責任」についてフォーカスした内容。

関東大震災と朝鮮人虐殺(2016年)

姜 徳相(著, 原著), 山田 昭次(著), 張 世胤(著, 原著), 徐 鍾珍(著, 原著)

2013年にソウルで開催された日韓の研究者による国際シンポジウムの記録。

証言集 関東大震災の直後 朝鮮人と日本人 (ちくま文庫)(2018年)

西崎 雅夫(編集)

TRICK トリック 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち(2019年)

加藤直樹(著)

ネット上に蔓延する「虐殺否定」論に対して、反証をまとめた本です。

民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代 (中公新書)(2020年)

藤野 裕子(著)

新政反対一揆、秩父事件、日比谷焼き打ち事件、関東大震災時の朝鮮人虐殺事件、を取り上げ、日本近代の民衆暴力について考察している本。

関東大震災の項目が全てではありませんが、他の事件と通じる要素もあります。

ボリューム的にも読みやすいです。

<普及版>関東大震災朝鮮人虐殺の記録: 東京地区別1100の証言(2020年)

西崎 雅夫(著)

「一般社団法人ほうせんか」の西崎雅夫さんがまとめた本。事件にまつわる証言を、地域の図書館を巡り、自伝・日記・郷土資料などから収集したもので、ものすごいボリュームです。

関東大震災と中国人虐殺事件(2020年)

今井 清一(著)

中国人虐殺事件についての本。

関東大震災「虐殺否定」の真相 ──ハーバード大学教授の論拠を検証する (ちくま新書)(2021年)

渡辺 延志(著)

ハーバード大学教授による「虐殺否定」の論文について検証する内容。

増補新版 風よ鳳仙花の歌をはこべ(2021年)

ほうせんか(著)

1992年に刊行された内容を増補新版として復刊したもの。

墨田区を中心とした証言や、八広の追悼碑建立に至るまでのエピソードをまとめた内容。

関東大震災 描かれた朝鮮人虐殺を読み解く(2022年)

新井勝紘(著)

関東大震災を体験した画家たちの絵を収録した内容。

ひとまずは以上です。

また、気になった本があれば追記していきたいと思います。

関東大震災朝鮮人虐殺事件リサーチ:「ほうせんかの家」と墨田区八広の「追悼碑」を見に行きました

関東大震災の混乱の最中で起きた朝鮮人虐殺事件について、最近はじめてその詳細な内容を知り、衝撃を受けました。震災から100年が経とうとしている現在、この事件のさらなる詳細や、なぜこんなことが起きたのか?が非常に気になり、リサーチをしています。

先日、東京都墨田区八広にある「ほうせんかの家」と「関東大震災時 韓国・朝鮮人殉難者追悼之碑」を見に行きました。

その様子を写真でご紹介します。

「ほうせんかの家」とはどんな場所か?

関東大震災時に起きた、自警団・警察・軍隊による韓国・朝鮮人虐殺の調査をしている「関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会」こと、「一般社団法人ほうせんか」による資料館兼交流の場所です。

通常、毎週土曜日の13時から17時まで、開放しています。

私も2022年の2月の土曜日に、急遽お邪魔したのですが、快く入れていただきました。

ほうせんかの家
表札が素敵でした

「ほうせんかの会」の活動とは?

「一般社団法人ほうせんか」がどのような活動をおこなっているか、何のために活動しているかについて、他サイトからの引用ですが、以下にご紹介します。

40年間追悼を続けて

筆者●西崎雅夫(一般社団法人ほうせんか理事) 

 1923年9月1日に発生した関東大震災。この時、警察や新聞による扇動、人々の流言飛語によって罪のない朝鮮人たちが関東各地で虐殺された。

 1982年に私たちの市民運動が始まってから今年で40年になる。当初は、自警団や軍隊に虐殺されて荒川河川敷に埋められたままになっていると聞いた朝鮮人犠牲者の遺骨を発掘することに全力を注いだ。だが震災当時の警察が2度にわたって遺骨の発掘・移送を行なっていたことが判明し、以後は毎年の追悼式と「聞き書き」に力点が移っていった。

 証言を本にまとめ(92年)、追悼碑建立のための行政交渉をし、最終的には私有地に追悼碑を建立した(2009年。碑の所在地は墨田区八広6―31―8)。現在は追悼碑となりの「ほうせんかの家」を拠点としてフィールドワークや学習会などさまざまな活動を行なっている。

引用:寄稿・関東大震災時朝鮮人虐殺を忘れない(https://www.io-web.net/2022/09/%E5%AF%84%E7%A8%BF%E3%83%BB%E9%96%A2%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD%E6%99%82%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E4%BA%BA%E8%99%90%E6%AE%BA%E3%82%92%E5%BF%98%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84/)2023/06/13アクセス

「ほうせんかの家」では何が展示されているのか?

関東大震災で起きた朝鮮人虐殺事件について、当時の新聞記事や、1982年の荒川河川敷での遺骨発掘の試掘の写真などが壁一面に貼られています。

震災当時の新聞記事や試掘の際の写真など

荒川放水路の調査をする中で、関東大震災朝鮮人虐殺事件を知り、「関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し慰霊する会(のちに「~を追悼する会」)の初代代表となった絹田幸恵さん

ほうせんかの会、会報や資料もあります

証言や資料から事件の現場をまとめたマップ。すごいリサーチです。

本棚には関連資料が殆ど揃っているとのこと
独立新聞は韓国で発行されていたハングル語の新聞
コロナ前は様々なイベントが開催されていたようです
活動の様子が分かる写真がたくさん

韓国料理をつくるワークショップなども行われていたようです。

「ほうせんかの家」は、虐殺事件を風化させないという目的だけでなく、韓国文化を知ってもらうための交流の場所としても機能しているとのことで、それがとても素敵だと感じました。

近所のアーティストの方が描いた、追悼イベントの際の絵

気になった資料

「ほうせんかの家」にはたくさんの資料がありましたが、以下のものが特に気になりました。

関東大震災朝鮮人虐殺の記録: 東京地区別1100の証言

ほうせんか理事の西崎雅夫さんが集めた証言をまとめたもの。オリジナルと普及版があり、現在普及版の方は手に取りやすい価格で販売されています。

Amazonの情報を掲載しています

関東大震災朝鮮人虐殺の記録: 東京地区別1100の証言
オリジナルは厚さがすごい

関東大震災時の朝鮮人迫害—全国各地での流言と朝鮮人虐待

日本史学者の山田昭次さんによる著書。

震災が起きた東京以外の地域で、本件がどのように報道されたかをまとめた本。

関東大震災時の朝鮮人迫害―全国各地での流言と朝鮮人虐待

関東大震災時の朝鮮人迫害―全国各地での流言と朝鮮人虐待

山田 昭次
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関東大震災時の朝鮮人迫害—全国各地での流言と朝鮮人虐待

関東大震災朝鮮人虐殺—写真報告

フォトジャーナリストの裵昭さんによる写真集。

荒川での試掘調査の写真などが収録されています。

関東大震災朝鮮人虐殺—写真報告

羊の怒る時

小説家、江馬 修が関東大震災での体験を綴った記録文学。

羊の怒る時 ――関東大震災の三日間 (ちくま文庫 え-21-1)

羊の怒る時 ――関東大震災の三日間 (ちくま文庫 え-21-1)

江馬 修
924円(04/26 08:35時点)
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羊の怒る時

TRICK トリック 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち

フリーライター加藤直樹さんの著書。朝鮮人虐殺を否定する意見について一つ一つ丁寧に検証し、虐殺否定論がいかに間違っているかをを述べている本です。

TRICK トリック 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち

TRICK トリック 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち

加藤直樹
1,180円(04/26 08:35時点)
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TRICK トリック 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち

加藤直樹さんの本では、『九月 東京の路上で』というブログをまとめた本がとても有名です。私もほうせんかにうかがうまえにこちらの本を読み、衝撃を受けました。

関東大震災の朝鮮人虐殺事件について知るための入門書ともいえる一冊です。

九月、東京の路上で—1923年関東大震災ジェノサイドの残響

九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響

九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響

加藤 直樹
1,980円(04/25 21:47時点)
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隠された爪跡—関東大震災朝鮮人虐殺記録映画

呉充功(オウ・チュンゴン)監督による映像作品。

DVDなどになっておらず、イベントなどで上映される時のみ見られる作品のようです。

非常に見てみたいです。。。

隠された爪跡—関東大震災朝鮮人虐殺記録映画

追悼碑「関東大震災時 韓国・朝鮮人殉難者追悼之碑」とは?

1923(大正12)年関東大震災の時、東京の下町一帯で殺害された韓国・朝鮮人を追悼するため、2009年9月に建てられました。

ほうせんかの家の隣に立てられています。

関東大震災時 韓国・朝鮮人殉難者追悼之碑
韓国の飾り
韓国の神さま?の像

ほうせんかの家では理事の方に色々教えていただきました。

とても良い場所なので興味がある方は足を運んでみて下さい。

アクセス/開館時間

ほうせんかの家/関東大震災時 韓国・朝鮮人殉難者追悼之碑

住所:東京都墨田区八広6-31-8(京成電鉄八広駅徒歩5分)

開館日時:毎週土曜日/午後1時〜5時(詳細は下記ホームページなどをご確認ください。)

Webサイト

一般社団法人ほうせんか

https://housenka.jimdofree.com/

会の成り立ち、歴史や証言集なども掲載されています。

housenka1923の日記(ブログ)

https://housenka1923.hatenablog.com/

最新の情報などはこちらに掲載されています。