フォントが消える?Adobe Fontsを安全に使う方法

Adobe Fontsは、Adobe Creative Cloudのサブスクリプションに含まれており、追加料金なしで膨大なフォントを使用できる非常に便利なサービスです。
そのラインナップには、有料で購入すると高価なハイクオリティなフォントも数多く含まれており、私自身も日常的に活用しています。
しかし、このサービスを利用する際には、いくつか注意すべき点があります。今回は、その中でも特に重要なポイントをお伝えします。

膨大な数のフォントを追加料金無しで使用できるAdobe Fonts

Adobe Fontsの重大な注意点とは?

Adobe Fontsの最大の特徴のひとつに、収録フォントの追加や削除が随時行われることがあります。これにより、一度使っていたフォントが突然使えなくなる可能性があるのです。

仮にサービスからフォントが削除されると、デスクトップにダウンロードしていた場合でもそのフォントは利用不可となります。では、具体的にどのような問題が生じるでしょうか?

  • 単発のデザインの場合:
    イベントポスターやチラシなど一度きりの用途であれば、大きな影響はないかもしれません。
  • 継続的に使用するデザインの場合:
    書籍の本文やブランドデザインのように長期間再利用する媒体では、大問題につながる可能性があります。

実際に起こりうるケース

たとえば、Adobe Fontsのフォントを使用して書籍をデザインし、初版を印刷したとします。後日、クライアントから「内容を一部変更したい」というリクエストが入った場合、すでに使っていたフォントがサービスから削除されていたらどうなるでしょうか?

  • 使用していたフォントが見つからずエラーが発生します。
  • 似たフォントに置き換えた場合、クライアントへの説明や変更後の文字組みの再調整が必要になります。

これには多大な手間とコストがかかるだけでなく、デザインの一貫性にも影響を与える恐れがあります。想像するだけで恐ろしい事態です。


安全にAdobe Fontsを活用するには?

Adobe Fontsには「フォントが削除されない」という保証がありません。そのため、以下のような使い分けをおすすめします。

  1. 一時的なデザインに限定して使用する:
    イベントポスターやフライヤー、短期的なプロモーション用デザインなど。
  2. 長期利用が前提のデザインには避ける:
    書籍、企業ロゴ、再販の可能性がある商品パッケージなどには、削除リスクのない購入済みフォントや商用ライセンスフォントを使用する。

まとめ

Adobe Fontsは非常に便利なサービスですが、収録フォントがいつ削除されるかわからないというリスクを理解したうえで利用することが重要です。特に、長期的な使用が見込まれる媒体では慎重に検討することをおすすめします。

皆さんもAdobe Fontsを活用する際は、この点を意識してデザイン制作を進めてください。

【フォント】Proxima Novaの魅力に迫る:現代デザインにマッチする理由とは?ーおすすめの合成フォントも紹介!【オススメ】

最近、欧文フォントの「Proxima Nova」にすっかりハマっています。

今回は、この美しいフォントについて少し詳しくまとめてみたいと思います!

Proxima Nova / Bold

Proxima Novaってどんなフォント?

Proxima Novaは、サンセリフ書体のひとつで、見た目はモダンでありながら、どこか幾何学的な印象も残しています。手掛けたのはデザイナーのMark Simonsonで、彼がこのフォントの開発を始めたのは1981年のことです。

Proxima Novaの特徴として、クラシックなHelveticaやAkzidenz Groteskのような、オーソドックスなプロポーションやストローク(線)のバランスを取り入れつつ、FuturaやKabel、Copperplate Gothicのような幾何学的なディティールも持っています。

そうして誕生したのが、このハイブリッドなフォント、Proxima Novaです。

1994年には「Proxima Sans」という名前で6つのスタイルをリリース。

その後、2005年にOpenTypeフォーマットへの対応とともにデザインを改良し、字数も大幅に増やして「Proxima Nova」として再リリースされました。

このフォントは非常に汎用性が高く、BuzzFeed、NBC、TikTok、Wiredなどのメディアでも広く使用されています。

引用:BuzzFeed – バズフィードジャパン
引用:NBC News – Breaking News & Top Stories – Latest World, US & Local News | NBC News
引用:TikTok – もっと世界を好きになる
引用:Business | WIRED.jp | WIRED.jp

Proxima Novaと日本語フォントを組み合わせた、おすすめの合成フォント

Proxima Novaと日本語フォントを組み合わせる際のおすすめの合成フォント設定をご紹介します。

こぶりなゴシックW3 + Proxima Nova Regular

モリサワフォンツに搭載のこぶりなゴシックW3との組み合わせ。本文などに使用できます。

Proxima NovaはRegularを使用。

こぶりなW3に対して110%拡大してベースラインを-2に下げています。

こぶりなゴシックW6 + Proxima Nova Semibold

小見出し等で使用できる中太字の合成フォント。

こぶりなゴシックW6にProxima NovaのSemiboldを合わせます。

W3と同様にProxima Novaを110%拡大してベースラインを-2に下げています。

凸版文久見出しゴシック + Proxima Nova Bold

大見出し等で使用できる太字の組み合わせ。

凸版文久見出しゴシックにProxima NovaのBoldを組み合わせます。

Proxima Novaは115%拡大にしてサイズを合わせます。ベースラインは-2%のまま。

Proxima Novaを無料で使える方法は?

残念ながら、Proxima Novaは無料で利用できるフォントではありません。

しかし、Adobe Fontsのライブラリに収録されているため、Adobe Creative Cloudのサブスクリプションを契約している方ならば、追加料金なしで利用できます。

https://fonts.adobe.com/fonts/proxima-nova#about-section

デザインに活用する際は、ぜひAdobe Fontsでチェックしてみてください!


Proxima Novaのクリーンでモダンな魅力は、さまざまなデザインにフィットしやすく、プロジェクトにスタイリッシュさを加えてくれること間違いなしです。

皆さんも、機会があればぜひ一度試してみてください!

参考サイト

Proxima Nova | Adobe Fonts https://fonts.adobe.com/fonts/proxima-nova#about-section
Mark Simonson – Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Mark_Simonson

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フォントサブスクリプションサービスの利便性とデザインへの影響を考察

定額でフォントを使い放題になるフォントのサブスクリプションサービスが、デザイン業界に広く普及してきました。

これにより、もちろん便利になった点もあれば、一概に良いとは言えない点もあります。

今回は、その両面についてまとめてみたいと思います。

フォントサブスクリプションサービスの便利な点

コストパフォーマンス

昔は、日本語フォント1ウェイトで30,000円程度することもありました。しかし、現在ではサブスクリプションサービスに契約するだけで、年間約5万円で膨大な数のフォントを利用できるようになっています。コストパフォーマンスの面では、今の状況は圧倒的にお得です。

アップデート性

さらに、毎年新しいフォントが追加されるため、最新の文字もすぐに使えるようになります。フォントの字数追加やバージョンアップへの対応も簡単に行えるため、常に最新の状態を保てる点も便利です。

フォントサブスクリプションサービスの問題点

買い切りではない

サブスクリプションサービスなので、フォントを購入するわけではなく、使い続けるためにはサービスを継続的に契約しなければなりません。

そのため、「仕事を続ける限り、一生サービスを契約し続けるのか?」と不安になることもあります。

デザインのコモディティ化

私がデザイナーになった頃は、フォントは買い切り型で、どのフォントを所有しているかがデザイナーの表現に直結していました。フォントの独自性がそのデザイナーの個性にもつながっていたのです。

しかし、今ではサブスクリプションサービスの普及により、多くのデザイナーが同じフォントを簡単に使えるようになりました。

良いデザインがあれば、そのフォントをすぐに真似できるという状況です。これが、デザイナーの個性を薄める結果になっていると感じます。

また、独自のデザインを持つフォントを気に入って買ったとしても、数年後にはそのフォントがサブスクリプションサービスに追加されることがあります。こうなると、買い切りで購入することが損に感じられることもあります。

近年では手描き文字や作字が流行っているため、文字にこだわりたいデザイナーはそちらの方向に向かうのかもしれません。

しかし、個性的なフォントを見つけて購入し、自分のデザインに活かす楽しみは、以前と比べて少なくなったと感じます。

写植の時代に近いかも?

現在の「誰もが同じフォントを使える」という状況は、昔の写植の時代に似ているとも言えるかもしれません。

まとめ

私がデザインを始めた頃から、フォントのあり方は大きく変わってきました。これからどのように文字と向き合っていくのか、改めて考えさせられるところです。

A P-OTF、Std、Pr6、Pr6Nなど…モリサワのフォントについている英数字の意味をまとめました

A P-OTFA-OTFStdPr6Pr6N、など、モリサワのOpenTypeフォントについている英数字について、いつも何だか良くわからずにインストールしたり使用したりしているので、その意味を調べてまとめてみました。

モリサワのOpenTypeフォントについている英数字とは?

IllustratorやInDesignでフォントを選ぶ際にフォント名の前後についている英数字です。

Illustratorでのフォント選択画面

例えば以下のような、パターン

A P-OTF A1ゴシック Std

A1ゴシック」がフォント名なのでその前についている「A P-OTF」 や 後ろについている「Std」 という英数字です。

モリサワのWebサイトやnoteなどを参考に英数字の意味をまとめてみます。

フォント名の“前”についている英数字について

A P-OTF

  • OTFはOpenTypeフォントを意味する
  • A P-OTF で始まる書体は「AP版書体」を表す
  • 「AP版書体」とは、和文・欧文のペアカーニングと最新のIVSに対応している書体のこと
  • 2015年に登場。以降のOpenTypeフォントは全てこの「AP版書体」となっている

ペアカーニングとは、隣り合う文字の組み合わせごとに設定されている「文字詰め情報」のこと。

IVSとは異体字をより正確に表示する技術のこと。

適切な文字詰めと異体字の表示ができるフォント、ということになります。

A-OTF

  • Adobe規格の文字セットのフォント
  • A P-OTFフォントとの互換性は無い

「A-OTF リュウミン」と「A P-OTF リュウミン」は、文字の形は似ていても互換性は無いということです。

U-OTF

  • UはU-PRESSを意味する
  • U-PRESSとは、共同通信社による文字コードのセット
  • おもに報道関係に使われる

新聞や週刊誌、テレビ報道などに使われるイメージでしょうか。

報道以外のデザイン業務で選ぶ必要は無さそうですね。

UD-OTF

  • UDは「ユニバーサルデザイン書体」を表す
  • 「ユニバーサルデザイン書体」とは「読みやすさ」や「読み間違えの少なさ」を目指した書体
  • 高い視認性と可読性

企業のパンフレットや官公庁の書類など、多くの方に読まれる媒体に適している「ユニバーサルデザイン書体」。

私も良く使います。

フォント名の“後”についている英数字について

Std

  • 文字セットの仕様を表す
  • Std仕様(Adobe-Japan 1-3準拠)は9,354文字を収録

Pro

  • 文字セットの仕様を表す
  • Pro仕様(Adobe-Japan 1-4準拠)は15,444文字を収録

StdN

  • 文字セットStdにNが追加された形式
  • Nは“漢字の字形が2004年に改定されたJIS規格に対応している”ことを表す
  • Nあり、とNなし、では同じ文字でも字形が異なる場合がある

Pr5

  • 文字セットの仕様を表す
  • Adobe-Japan1-5準拠、2,0317文字を収録

Pr6

  • 文字セットの仕様を表す
  • Adobe-Japan1-6準拠、23,058文字を収録

Pr6N

  • 文字セットがPr6、かつ、字形がN(漢字の字形が2004年に改定されたJIS規格に対応)であることを表す

Min

  • コミック等での使用に適したポップな装飾書体の文字セット
  • 収録字数が5,000字以下と少ない
  • MinとMin2がある(収録字数の違い)

まとめ

  • 基本的には文字詰めや異体字が豊富なA P-OTFを使用する
  • 文字セットが多いフォントがあればそれを使う(Pr6など)
  • N付きのフォントとN無しのフォントは、字形が異なる場合があるので注意
  • Stdは収録文字数が少ない替わりに、独特な凝ったデザインのフォントがある

記事に間違っている箇所があればコメントなどで教えていただけたら助かります。

参考サイト

AP版書体について – Home https://mp-support.morisawa.co.jp/hc/ja/articles/26935103784857-AP%E7%89%88%E6%9B%B8%E4%BD%93%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6(2024/07/02アクセス)

A-OTF?Pr6? メニュー名からわかる! フォントの仕様と選び方|モリサワ note編集部 https://note.morisawa.co.jp/n/n1221b67fd50f(2024/07/02アクセス)

Std、Pro、Pr6、Nってなに?意味を知って賢くフォントを選ぶ!フォント名による違いと使い分け徹底解説|ヒラギノフォント公式note https://note.screen-hiragino.jp/n/n677df9b54262(2024/07/02アクセス)

ゼロから学ぶ「フォントのしくみ」③:Std、Pro、Pr5、Pr6……フォントの文字セットとは?|フォントワークス × Monotype 公式note https://note.fontworks.co.jp/n/nac674af6beb1?gs=c353c9fc7e39(2024/07/02アクセス)

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「ゴシックMB101」に似たおすすめのフリーフォントをご紹介します!

モリサワの人気フォント、「ゴシックMB101」に似た、おすすめのフリーフォントをご紹介します。

ゴシックMB101とは

ゴシックMB101はモリサワの伝統的なフォントで、以下のような特徴があります。

  • 「ゴシックMB101」は、伝統的なゴシック体の流れを引き継ぐ、風格あるフォント。
  • 骨格がしっかりしており、ハネやハライの先端まで力強さと流れを感じさせるエレメント(要素)があり、親しみやすく信頼感がある。
  • 太いウエイトはタイトルやコピーに向き、肉声をイメージさせる骨太な表情で定評がある。
  • 細いウエイトは雑誌などの本文組みから中見出しといった幅広い用途に対応し、実力を発揮する。

参考:https://www.morisawa.co.jp/fonts/specimen/1197

ゴシックMB101は、LからUまでフォントのウェイト(太さ)が7段階用意されており、非常に使い勝手の良いフォントです。

しかし、使おうと思うとモリサワのフォントサブスクリプションサービスに加入することが必要となり、1年間で6万円程度の費用がかかります。(もちろん、他のフォントも使えますが。)

そこで、ゴシックMB101のようにウェイトが豊富で、使い勝手の良い日本語のゴシック体フォントをフリーフォントでご紹介します。

ゴシックMB101に似た、おすすめのフリーフォント

私がおすすめするゴシックMB101に似たフリーフォントをご紹介します。

似ている、という具合については、あくまでもデザイナーでは無い一般の方の目で見て、という範囲ですので、グラフィックデザイナーや書体デザイナーの方からすると完全に別フォントと思われるかと思います。

こちらのフォントです。

Noto Sans JP
https://fonts.google.com/noto/specimen/Noto+Sans+JP

Google Fontsにラインナップされている日本語のフォントです。

Noto Sans JPとは

  • NotoフォントはGoogleが開発したオープンソースのフォントファミリー。
  • 世界中のすべての言語と文字に対応することを目指している。
  • Noto Sans JPは日本語を含む多くの言語をサポートしている。
  • Noto Sans JPは、ウェブや印刷物など、さまざまなデザインプロジェクトで利用されている。

参考:https://fonts.google.com/noto/specimen/Noto+Sans+JP

ゴシックMB101とNoto Sans JPの比較

ゴシックMB101とNoto Sans JPの比較

ゴシックMB101は7ウェイト、Noto Sans JPは9ウェイトあるので、Noto Sansの方がウェイトが多いです。

ゴシックMB101/BとNoto Sans JP/ExtraBoldの比較

上の画像はゴシックMB101で最もよく使われるBのウェイト(太さ)とNoto Sans JPのExtraBoldの比較。

太さは近いですが、ゴシックMB101の方が「はね」や「はらい」、「打ち込み」などの形が強く出ており、古風な印象があります。

Noto Sans JPはゴシックMB101よりもクセが少なく、ニュートラルな印象です。

Noto Sans JPの入手方法

以下のWebサイトからダウンロードができます。
https://fonts.google.com/noto/specimen/Noto+Sans+JP

Get fontをクリック
Download allをクリック

ダウンロードしたらOS毎に適した方法でフォントを有効にします。

まとめ

モリサワの人気フォント「ゴシックMB101」に似たフォントをフリーフォントで探している方には、Google Fontsの「Noto Sans JP」は非常におすすめです。

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