定額でフォントを使い放題になるフォントのサブスクリプションサービスが、デザイン業界に広く普及してきました。

これにより、もちろん便利になった点もあれば、一概に良いとは言えない点もあります。

今回は、その両面についてまとめてみたいと思います。

フォントサブスクリプションサービスの便利な点

コストパフォーマンス

昔は、日本語フォント1ウェイトで30,000円程度することもありました。しかし、現在ではサブスクリプションサービスに契約するだけで、年間約5万円で膨大な数のフォントを利用できるようになっています。コストパフォーマンスの面では、今の状況は圧倒的にお得です。

アップデート性

さらに、毎年新しいフォントが追加されるため、最新の文字もすぐに使えるようになります。フォントの字数追加やバージョンアップへの対応も簡単に行えるため、常に最新の状態を保てる点も便利です。

フォントサブスクリプションサービスの問題点

買い切りではない

サブスクリプションサービスなので、フォントを購入するわけではなく、使い続けるためにはサービスを継続的に契約しなければなりません。

そのため、「仕事を続ける限り、一生サービスを契約し続けるのか?」と不安になることもあります。

デザインのコモディティ化

私がデザイナーになった頃は、フォントは買い切り型で、どのフォントを所有しているかがデザイナーの表現に直結していました。フォントの独自性がそのデザイナーの個性にもつながっていたのです。

しかし、今ではサブスクリプションサービスの普及により、多くのデザイナーが同じフォントを簡単に使えるようになりました。

良いデザインがあれば、そのフォントをすぐに真似できるという状況です。これが、デザイナーの個性を薄める結果になっていると感じます。

また、独自のデザインを持つフォントを気に入って買ったとしても、数年後にはそのフォントがサブスクリプションサービスに追加されることがあります。こうなると、買い切りで購入することが損に感じられることもあります。

近年では手描き文字や作字が流行っているため、文字にこだわりたいデザイナーはそちらの方向に向かうのかもしれません。

しかし、個性的なフォントを見つけて購入し、自分のデザインに活かす楽しみは、以前と比べて少なくなったと感じます。

写植の時代に近いかも?

現在の「誰もが同じフォントを使える」という状況は、昔の写植の時代に似ているとも言えるかもしれません。

まとめ

私がデザインを始めた頃から、フォントのあり方は大きく変わってきました。これからどのように文字と向き合っていくのか、改めて考えさせられるところです。

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