美大やデザイン系大学を推薦入試で受験する場合、ほぼ必須になるのがポートフォリオ。
最近では、高校生の中にも「iPad版Illustratorで作れば十分では?」と考える人が増えています。
私はこれまで美術予備校で高校生のポートフォリオ制作を直接指導してきました。
その経験から言えるのは――
本格的なポートフォリオを作るなら、デスクトップ版Illustratorが圧倒的に有利だということです。
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1. iPad版とデスクトップ版の違い
| 項目 | iPad版Illustrator | デスクトップ版Illustrator |
|---|---|---|
| 操作方法 | タッチ&Apple Pencil | マウス・キーボード |
| アートボード数 | 最大約20枚 | 最大100枚以上 |
| 文字組み機能 | 簡易的(禁則処理など弱い) | 本格的(禁則処理・段落スタイル・縦書き対応) |
| 画像の扱い | 埋め込みのみ(容量が重くなる) | リンク画像管理が可能(軽量化できる) |
| 印刷対応 | RGB中心、CMYKは簡易対応 | CMYK完全対応、印刷入稿に強い |
| ファイル管理 | クラウド保存前提 | ローカル・クラウド両方OK |
| 複数ページ管理 | 並び替えや一括設定ができない | 一括管理・並び替え自由 |
2. iPad版のメリット
- 直感的操作:Apple Pencilで描き込みや装飾がしやすい
- 持ち運びやすい:移動中や授業中に軽快に使える
- 価格が安い:Illustrator iPad版は月額1,080円(税込)で利用可能
3. デスクトップ版のメリット
- 多ページ管理が快適:10〜20ページ構成のポートフォリオも整理しやすい
- 文字組みがきれい:説明文やキャプションを読みやすく仕上げられる
- 画像のリンク管理が可能:大容量化を防ぎ、動作も軽く保てる
- 印刷クオリティに対応:入稿用データ作成に必須のCMYK設定やトンボ作成ができる
- InDesignなど他ソフトとの連携:将来的な作品集制作や出版物にも対応可能
4. 実際の指導経験から感じること
美術予備校で高校生のポートフォリオを指導していると、
iPad版Illustratorだけで制作している学生は最終段階で困ることが多いです。
例えば…
- ページ数が増えると動作が重くなる
- 文字組みが整わず、説明文が読みづらくなる
- PDFに書き出したときに色やレイアウトが崩れる
一方、デスクトップ版を使った学生は、最終調整がスムーズで、印刷物としての完成度も高くなります。
5. 価格と学生版の条件(2025年現在)
iPad版のみ
- 月額1,080円(税込)
- Illustrator単体で、デスクトップ版は含まれない
デスクトップ版(iPad版も含む)
- Illustrator単体プラン:月額2,728円(税込)
- Creative Cloudコンプリートプラン(学割):
- 初年度:月額2,178円(税込)
- 2年目以降:月額3,278円(税込)
- Illustrator・Photoshop・InDesignなど20種類以上のソフトが使える
学生版の条件
Adobeの「学生・教職員版」は、Adobeが認める教育機関に在籍している学生または教職員であれば利用可能です。
美術系予備校・専門学校・通信制高校・高等専門学校なども対象になる場合があります。
ただし、社会人向けカルチャースクールや趣味講座は対象外です。
(申込み時に学生証や在籍証明書の提出が必要)
教育機関・学生・教職員向け 購入対象チェック
https://helpx.adobe.com/jp/x-productkb/policy-pricing/cq081918191.html
導入プラン早見表
| プラン名 | 月額(税込) | 利用できる端末 | 含まれるソフト | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| Illustrator iPad版のみ | 1,080円 | iPad | Illustrator(iPad版のみ) | 軽作業・ラフ作成中心。短いページ数のポートフォリオを作る人 |
| Illustrator単体プラン | 2,728円 | PC(Mac/Windows)、iPad | Illustrator(デスクトップ&iPad版両方) | 本格的にIllustratorを使いたい人 |
| Creative Cloud コンプリート(学生版) | 初年度 2,178円2年目以降 3,278円 | PC(Mac/Windows)、iPad | Illustrator、Photoshop、InDesignなど20種類以上 | 写真編集、冊子制作、動画編集など幅広く学びたい人 |
利用イメージ
- 授業中(学校PC) → デスクトップ版Illustratorでレイアウト調整、印刷用データ作成
- 自宅・外出先(iPad) → 素材作成、写真配置、ラフデザイン作り
- クラウドで同期 → 学校と自宅の作業をシームレスにつなぐ
[自宅・外出先]
iPad版 Illustrator
↓(Creative Cloudで同期)
[学校PC教室]
デスクトップ版 Illustrator
↓
印刷用PDF完成
💡 ポイント:
- iPadはスケッチブック的に活用、
- デスクトップ版で最終仕上げ・多ページ管理・印刷設定。
- クラウド同期を使うと、USBやメールでのデータやり取り不要。
6. 結論
- 短いページ数・軽作業 → iPad版でもOK
- 本格的な多ページポートフォリオ → デスクトップ版一択
- 予算が許せばCreative Cloud学割でデスクトップ+iPad両方使える環境がおすすめ
私が指導してきた経験からも、
受験で提出するポートフォリオは「見た瞬間に読みやすい・完成度が高い」ことが重要です。
そのためには、デスクトップ版Illustratorの環境を整えておくことが、合格への近道になります。
7. どうしてもIllustratorを無料で使いたい場合
Illustratorを完全に無料で使う方法は限られますが、新規ユーザーは1回のみ、7日間の無料体験を利用できます。
7日が経過すると自動的に有料プランに移行して料金が発生するため、無料で使いたい場合は期間内に解約してください。
どうしてもという場合は、この7日間でポートフォリオのデザインを作成し、PDFなどで書き出して保存しておくのが現実的な使い方です。
※無料体験の内容や条件は予告なく変更されることがあるので、申し込み前に公式ページで必ず確認してください。
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