モリサワパスポート搭載の「游ゴシック体B」と定番の欧文書体で合成フォントを作る

2020年の更新でモリサワパスポートに、字游工房の大人気フォント「游ゴシック体」が追加されました。

私も早速、仕事で使い始めているのですが、そこで少し悩む点が….

見出し用に「B」のウェイトを使うときに合成フォントの欧文がいまいち決まらない。

私はUniversを良く使うのですが、游ゴシック体のBとUniversのRoman、Boldがイマイチ合わない感じ….

折角の機会なので、游ゴシック体Bと欧文フォントの組み合わせをガッツリと調べてみました。

【前提条件】

  1. 使用する游ゴシック体はモリサワパスポートに搭載されている「游ゴシック体 Pr6N B」とする
  2. 欧文フォントは和文フォントのサイズに合わせて適宜拡大する(ベースライン調整はしない)
  3. ツメはベタ組み
  4. 欧文フォントはOpentypeのものを使用する

という事で、テストした結果が以下となります。

1. 游ゴシック体B(Pr6N)と欧文フォントの組み合わせ〈基本編〉

游ゴシック体B(Pr6N)と欧文フォントの組み合わせ〈基本編〉
游ゴシック体B(Pr6N)と欧文フォントの組み合わせ〈基本編〉

青文字がフォントの組み合わせ名、赤文字が私の感想です。

①【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】游ゴシック体 Pr6N B

*従属欧文(デフォルト):デフォルトなのでもちろんバランスは一番良いです。数字が読みやすくなるようにスラブセリフっぽくなっていますね。

②【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Univers LT Std 55 Roman(110%)

*欧文細い:和文より欧文がちょっと細いので、バランスが悪い感じです。どちらかと言うと和文より欧文が太い方がバランスが良く見えるというのが基本的セオリーです。

③【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Univers LT Std 65 Bold(110%)

*欧文やや太い:こちらは欧文が太めな印象。やはりUnivers LTを游ゴシックBに合わせるのは難しいという印象です。

④【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Futura (OTF) Demi (120%)

*欧文ほんの少し太いが良い感じ:このくらいだと和文と欧文の太さが良い感じです。

⑤【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Neue Haas Unica Pro Medium(120%)

*完璧に近いバランス:Neue Haas Unica Pro Mediumは従属かと思うくらい完璧なバランス!

⑥【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Frutiger LT Std 65 Bold(110%)

*欧文やや太い:欧文やや太めですが、わりと良いバランスだと思います。

⑦【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Helvetica LT Std Bold(115%)

*欧文やや太い:HelveticaもLTのものはちょっと太めです。

⑧【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Helvetica Neue LT Std 65 Medium(115%)

*完璧に近いバランス:こちらのHelvetica Neueはかなり完璧なバランスでした!

⑨【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Myriad Pro Semibold(120%)

*欧文ほんの少し太いが良い感じ:Myriadも良い感じ。

⑩【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Officina Sans ITC Pro Medium(120%)

*完璧に近いバランス:Officina Sansも完璧に近いバランス!数字は游ゴシック従属のものにそっくりですね。

大体のフォントが合成フォントで使えそうですが、やはりUnivers LTは、55 Romanだとやや細くて65 Boldだと太い印象なのでちょっと組み合わせが難しいかと感じました。

2. 游ゴシック体B(Pr6N)と欧文フォントの組み合わせ〈コンデンス体編〉

コンデンス体との組み合わせも調べてみました。〈基本編〉で使えそうな書体のみで試しています。

游ゴシック体B(Pr6N)と欧文フォントの組み合わせ〈コンデンス体編〉
游ゴシック体B(Pr6N)と欧文フォントの組み合わせ〈コンデンス体編〉

⑪【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Univers LT Std 57 Condensed(110%)

*欧文やや細い:やはりUniversは難しいですね。細く見えます。

⑫【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Univers LT Std 67 Bold Condensed(110%)

*欧文結構太い:こちらも、違和感を感じるくらい太いです。

⑬【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Futura Cond (OTF) Medium(120%)

*完璧に近いバランス:太さのバランスはバッチリです。コンデンスの度合いが他のフォントに比べて高く、細長いですね。

⑭【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Frutiger LT Std 67 Bold Condensed(110%)

*完璧に近いバランス:かなりバッチリです。読みやすいのでインフォグラフィックスなどに使えそうな組み合わせ。

⑮【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Helvetica Neue LT Std 67 Medium Condensed(110%)

*完璧に近いバランス:〈基本編〉で完璧だったHelvetica Neueは今回も完璧です。

⑯【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Myriad Pro Semibold Condensed(120%)

*欧文ほんの少し太いが良い感じ:欧文がほんの少し太いですが、ほぼ完璧です。

Universは〈基本編〉よりもさらに難しさを感じました。

現状、販売されていないのですが、Neue Haas Unicaのコンデンス体があればそれでも試してみたくなりました。

感想については、あくまでも私の個人的な印象なのですが、游ゴシック体Bで合成フォントを作る際の参考にしていただければと思います。

Header: Willi HeidelbachによるPixabayからの画像

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関連書籍

タイポグラフィ・ハンドブック

合成フォント:エムニュースエム L + Discourse Wide Light

合成フォントの組み合わせ研究。

今回はモリサワパスポート搭載の『エムニュースエム』とAdobe Fontsに搭載の『Discourse Wide』を組み合わせて、未来的な印象のフォントを作成します。

完成見本

漢字・かな

エムニュースエム L

モリサワパスポートに搭載のフォント。

毎日新聞社が新聞の本文組用に開発した字面の大きな文字です。

エムニュースエム L | 書体見本 | モリサワのフォント | 株式会社モリサワ
https://www.morisawa.co.jp/fonts/specimen/1169

数字・アルファベット

Discourse Wide Light

Adobe Creative Cloudを契約していると追加料金無しで様々なフォントを使用できるAdobe Fontsに搭載の欧文フォント。

このフォントのWideというウェイトが近未来感があって使用したかったので、まずこの欧文フォントを選び、欧文フォントから逆算して合う日本語フォントとしてエムニュースエムを使用しました。

Discourse | Adobe Fonts
https://fonts.adobe.com/fonts/discourse

設定画面

illustratorの合成フォント設定画面

半角欧文と半角数字に設定したDiscourse Wideはそのままだとエムニュースエムより小さく見えるので「110%」にサイズを拡大します。

上記の設定で作成した合成フォントの書体見本は以下の様になります。

エムニュースエム L + Discourse Wide Light

和文と欧文のフォントが良い具合に調和したと思います。

このままでも良いのですが、もう少し尖った印象にしたいので文字設定ウインドウで「平体80%」に加工します。

文字設定ウインドウ
エムニュースエム L + Discourse Wide Light(平体80%)

これで完成。

なかなか特徴的な合成フォントになりました。

合成フォントのイメージ・キーワード

  • 未来的
  • シャープ
  • スマート

合成フォントの使用シーン・媒体

  • 雑誌の見出し・本文
  • Webサイトやブログのタイトル・見出し
  • フライヤーの見出し

シャープな印象や未来的な印象にしたい時にオススメの組み合わせです。

気になった方は是非お試しください!


合成フォントやフォントの設定についてさらに詳しく知りたい方に、オススメの一冊!

文字組デザイン講座
雑誌・書籍・ポスターにおける巧みな文字の使い方をリアルな指定紙から解説

新人デザイナーさんに!入手しやすく高品質なFrutiger互換フォント

特に駆け出しの新人デザイナーさんに向けた記事です。

デザイナーに人気のFrutigerフォント。

スイスの書体デザイナー、アドリアン・フルティガー(Adrian Frutiger)によりシャルル・ド・ゴール空港の案内標識向けに開発されたこの書体は、その読みやすさと普遍的な美しさのある書体デザインにより、誕生から現在に至るまで数多くのデザイナーに愛され、私たちの身近で見かける書体となっています。

そんなFrutigerのフォントですが、販売元のライノタイプ(Linotype)のオンラインストアで購入しようと思うと、1ウェイト3,991円〜。全19ウェイトセットで購入すると34,093円かかってしまいます。(2019年2月9日現在の価格です)

Linotype社のFrutiger販売ページ(画像クリックでサイトにジャンプします)

購入したら一生使えるフォントだと考えれば決して高くない(むしろ安い)価格だと思うのですが、駆け出しのデザイナーさんに取っては他にも揃えるべき機材などがあったりして手が出せないかもしれません。

Frutigerを使いたい時に代わりに使えるような互換性の高いフォントを、アプリケーションやOSのバンドル、無料のGoogle Fontsなどの中から入手しやすい物をご紹介します。

書体見本

Frutiger

まず、基準となる本家のFrutigerがこちら。Frutigerは「ヒューマニスト・サンセリフ」と呼ばれています。画像はLynotypeで購入したFrutiger LTのシリーズです。

Myriad Pro

入手方法|Illustrator、Photoshop、CC(Creative Cloud)など、Adobeの有料アプリケーションに添付

Adobeの有料ソフトをインストールすると使用可能になるフォント。

字形はかなり似ています。フォントのウェイトも本家Frutigerに負けず豊富なので使い勝手も良い書体。

Frutigerっぽい書体を使いたいけど、本家よりは変化をつけたいな〜、と思った時などに良く使用しています。

Lucida Grande

入手方法|Mac OSXに標準搭載

OSX 10.10まではMacの標準フォントだった書体。

“明瞭”“わかりやすい”という意味を持つ『lucid』から命名されており、小さなサイズでの印刷や低解像度の画面に表示されたとき視認性の高さを目的にデザインされたフォントです。

とても見やすいフォントですが、ウェイト展開がRegularとBoldの2種類しか無いので注意が必要です。

Calibri

入手方法|Windows標準搭載。Microsoft Officeに同梱

こちらはMicrosoftが作成したフォントで、Windowsに標準搭載されているフォントです。MacでもMicrosoft Officeをインストールすると使用可能になります。

Futuraと文字の骨格はかなり似ていますが、Calibriの方がほんの少し角が丸くなっているので柔らかい印象です。

Tahoma

入手方法|Mac・Windows共に標準搭載

TahomaはMac、Windows共に標準搭載されているフォントで、こちらもMicrosoftが開発した書体。Lucida Grandeにかなり似ています。

TahomaもLucida Grandeと同様、ウェイト展開がRegularとBoldの2種類のみとなります。

Open Sans

入手方法|Google Fonts:以下のURLから無料ダウンロード
https://fonts.google.com/specimen/Open+Sans

Googleが提供するオープンソースフォントサービスGoogle Fontsのフォントなので無料でダウンロードして使用する事が出来ます。

「g」の形などは本家Frutigerとは異なりますが、数字など基本的には似ています。

ウェイト展開も10種類あるので本文から見出しまで使い勝手が良く、統一されたデザイントーンを作る事が可能です。

Google Fontsで提供されているフォントは、デザインされた年代が最近の物が多いのでフォントの表情に新しさを感じます。

Fira Sans

入手方法|Google Fonts:以下のURLから無料ダウンロード
https://fonts.google.com/specimen/Fira+Sans

こちらもGoogle Fonts提供のフォント。

有名なWebブラウザ『Mozilla Firefox』およびFirefox OSの為に開発されたフォント。

ウェイト展開が18種とかなり豊富です。

数字の表情の固さなどFrutigerとの類似度は今回紹介したフォントの中ではそこまで高くはありませんが、より未来的な雰囲気を持っているので「Frutigerっぽいフォントを使いたいけどもっと新しい雰囲気にしたい」時に私は使っています。

Hind

入手方法|Google Fonts:以下のURLから無料ダウンロード
https://fonts.google.com/specimen/Hind

Google Fonts提供のフォント。

このHindはかなりFrutigerに似ています!!数字や、「g」の形なども含め相当なFrutigerファンでなければ並べて観たら間違えてしまうのでは無いでしょうか。

Frutiger互換度はとても高いのですが残念ながらイタリック体が無く、正対のみのウェイト展開になります。イタリックが必要な時はアプリケーションの斜体効果などで、加工する必要がありそうです。

まとめ

今回紹介したFrutiger互換フォントはFrutigerとの類似度はそれぞれですが、どのフォントもクオリティは高いので、怪しいフリーフォントサイトなどからダウンロードせずにこういったフォントを使ってデザインを上達させて欲しいと思います。

そして是非本家Frutigerを購入してみてください!

本物を使う事でFrutigerがなぜこれほどまでに多くのデザイナーに愛されているのか、実感できると思います。

関連書籍

Adrian Frutiger – Typefaces: The Complete Works


合成フォント研究002:活字の雰囲気を感じさせる明朝系の組み合わせ

活字の雰囲気を感じさせるデザインにしたい時に作成した合成フォントです。

InDesignでの設定画面は以下の様になっています。

欧数字に使用している Adobe Garamond Pro は、そのままだと和文のフォントより小さく見えるので110%拡大しました。

築地体一号はウェイトが一つしか無いので使い所が難しいのですが、今回は違和感なくハマりました。

「KOたおやめ」フォントを購入

久しぶりにフォントを購入しました。

欣喜堂の「KOたおやめ」シリーズ。

「た」や「い」の平たい字形が秀英明朝と似ています。

秀英明朝もだいぶ使われているのを見かけるようになったので、変化をつけたい時に秀英明朝の漢字と組み合わせて使おうと思います。

「の」とかもシャープでカッコイイですね。

購入はこちらなどから
https://designpocket.jp/dl_font_category/detail.aspx?bid=8805