モリサワの気になるフォント「あおとゴシック」/ニュートラルさが特徴の使い勝手が良さそうなゴシック体

モリサワパスポートのフォントで、シンプルなゴシック体が無いかを探していました。

新ゴやUD新ゴだとちょっと機械的すぎるし、

游ゴシックやこぶりな、秀英角ゴシックだとウェイトの少なさが気になる、、、

そんな中、モリサワのサイトを見ていたら良さそうなフォントを見つけました。

2021年の新書体として搭載された「あおとゴシック」です。

あおとゴシックの特徴

オンスクリーンでの本⽂利用を目的に開発されたゴシック体です。ややモダンなスタイルで、シンプルかつクリーンな骨格に、小さめの字面を採用することでUD書体などの従来のモダンゴシック体とは異なる表情の組版が可能になります。なお本書体の欧文はSharoa Proをベースに作成され、イタリック体も搭載されています。

https://www.morisawa.co.jp/fonts/specimen/6553

オンスクリーン向けという文言を見てこれまでスルーしていたのですが、クセのない字形が今風で良さそうです。

ウェイト展開もEL、L、R、M、DB、B、EBとかなり豊富!

モリサワ以外の会社のフォントだと今後の文字数の拡張などが不安ですがこの「あおとゴシック」はモリサワ純正。今後のサポートも期待できます。

モリサワのnoteにもフォントの紹介記事が掲載されいます。

自然な文字の形を追求した「あおとゴシック」【2021年新書体】https://note.morisawa.co.jp/n/n4804e381ff47

記事によると、「ニュートラル」さを追求したフォント、とのことで今求めているものにぴったりです。「あおと」は天然砥石の「青砥石」から取った名前だそうです。

ぜひ試しに使ってみたいと思います。

欧文がFrutiger/Myriad系な点が、Univers/Helvetica系に置き換えるか悩ましいです。

合成フォント:エムニュースエム L + Discourse Wide Light

合成フォントの組み合わせ研究。

今回はモリサワパスポート搭載の『エムニュースエム』とAdobe Fontsに搭載の『Discourse Wide』を組み合わせて、未来的な印象のフォントを作成します。

完成見本

漢字・かな

エムニュースエム L

モリサワパスポートに搭載のフォント。

毎日新聞社が新聞の本文組用に開発した字面の大きな文字です。

エムニュースエム L | 書体見本 | モリサワのフォント | 株式会社モリサワ
https://www.morisawa.co.jp/fonts/specimen/1169

数字・アルファベット

Discourse Wide Light

Adobe Creative Cloudを契約していると追加料金無しで様々なフォントを使用できるAdobe Fontsに搭載の欧文フォント。

このフォントのWideというウェイトが近未来感があって使用したかったので、まずこの欧文フォントを選び、欧文フォントから逆算して合う日本語フォントとしてエムニュースエムを使用しました。

Discourse | Adobe Fonts
https://fonts.adobe.com/fonts/discourse

設定画面

illustratorの合成フォント設定画面

半角欧文と半角数字に設定したDiscourse Wideはそのままだとエムニュースエムより小さく見えるので「110%」にサイズを拡大します。

上記の設定で作成した合成フォントの書体見本は以下の様になります。

エムニュースエム L + Discourse Wide Light

和文と欧文のフォントが良い具合に調和したと思います。

このままでも良いのですが、もう少し尖った印象にしたいので文字設定ウインドウで「平体80%」に加工します。

文字設定ウインドウ
エムニュースエム L + Discourse Wide Light(平体80%)

これで完成。

なかなか特徴的な合成フォントになりました。

合成フォントのイメージ・キーワード

  • 未来的
  • シャープ
  • スマート

合成フォントの使用シーン・媒体

  • 雑誌の見出し・本文
  • Webサイトやブログのタイトル・見出し
  • フライヤーの見出し

シャープな印象や未来的な印象にしたい時にオススメの組み合わせです。

気になった方は是非お試しください!


合成フォントやフォントの設定についてさらに詳しく知りたい方に、オススメの一冊!

文字組デザイン講座
雑誌・書籍・ポスターにおける巧みな文字の使い方をリアルな指定紙から解説

Adobe Illustrator[.ai]形式で印刷入稿する際の私の入稿データ作成手順

Adobe Illustratorの[.ai]形式で印刷入稿する時の、私の入稿データ作成手順をまとめました。

データのパッケージやフォントのアウトライン化時の注意点など。また、私が新人デザイナー時代、印刷入稿時に起こしてしまったミスの中で特に気をつけたい4つについてもご紹介しています。

前回の記事(Adobe Illustrator 印刷入稿前に確認したいデータのチェック項目)の続きです。

“Adobe Illustrator[.ai]形式で印刷入稿する際の私の入稿データ作成手順” の続きを読む

2018年に業務で活用した実戦的なタイポグラフィ本5冊

2018年の1年間に私がグラフィックデザインの業務で活用した実戦的なタイポグラフィの本を5冊ご紹介します。

駆け出しのデザイナーさんや文字に興味がある方に是非参考にしてもらいたい珠玉の5冊です。

1. 定番フォント ガイドブック

和文・欧文の定番フォント、和欧混植のフォントなど約700種類の定番フォントの組見本を収録したガイドブック。タイトル向けの大きいサイズ、本文用の小さいサイズ、五十音、記号、アルファベットなどの組見本を掲載…

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定番のフォントの書体見本が掲載されている本。業務でフォントを選ぶ時は、スケジュールの都合上、時間が無い時も多いので、こういった本の形になっているとパラパラとめくって、案件に合ったフォントを見つける事が出来ます。

自分のアンテナだけだと、どうしてもいつも使うフォントが偏ってきてしまうので、デザイン表現の幅を広げるという意味でも持っておくと良い一冊です。

おすすめ度:8点

2. 欧文組版 組版の基礎とマナー

『欧文書体』『欧文書体2』に続く、「タイポグラフィの基本BOOK」シリーズ第三弾。デザイナー、編集者、企業担当者向けに、実務的な欧文の組み方を指導した本。実際にコンピュータ上で欧文を組んでみる練習問題や、欧文を組むときの具体的な19の注意事項などを掲載。デザイナーが組む機会の多い名刺、レターヘッド、招待状などの組版事例や海外のいい組版事例も多数掲載…

Amazon – 商品の説明より

昨年くらいから業務で欧文の組版をする事が増えたので、前から持っていた本ですが、再度、制作時に熟読しています。英語がネイティブの国では無いので難しい部分もありますが、出来るだけ、英語圏の人が見てもおかしくないようなデザインにしたいので、こちらの本はとても頼りになります。

長い英文を組む機会の無い方でも、キャッチコピーなどで欧文を扱う事は多いと思うのでそういった時に、やはりこの本を一冊持っておいた方が良いと思います。

おすすめ度:9.5点

3. タイポグラフィ・ハンドブック

★欧文書体・組版(タイポグラフィ)のすべてが分かるハンドブック
★著者自ら組版も手がけた、まさに本そのものが「お手本」

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2016年の記事でもご紹介している一冊ですが、今年も何度となく参照してきたので再びご紹介します。

2016年に私が最も助けられたデザイン書トップ3

まさにタイポグラフィ本のマスターピース

紙や印刷媒体のみならず、文字を扱う全てのデザイナー必携の一冊です。

アルファベットの文字の構造、書体の種類、欧文組版の基礎、グリッドシステム、レイアウトフォーマット、伝統的な欧文書体のリストなど、文字を理解して使うための情報が凝縮されています。

タイポグラフィや文字組に苦手意識がある方でも、この本を熟読すればほぼ間違いなく上達出来ると思います!まだ読んでいない方はぜひ!!

おすすめ度:10点

4. 文字組デザイン講座

2012年よりデザインノートで連載した「文字組デザイン講座」を再構成し、大幅に加筆修正して工藤流の「文字組方法論」を多角的に解説した一冊。…(中略)…本書を隈なく紐解くことにより、グラフィックデザイナーとしての文字組の知識やスキルが確実にアップするプロ必携の一冊だ。

Amazon – 商品の説明より

グラフィックデザイナー、デザイン実験室主宰の工藤強勝氏による著書。こちらも以前の記事でも紹介しています。

『文字組デザイン講座』by 工藤強勝:超マニアックな文字組本が発売されました!

私が考える本書のポイントは、以下のような点です。

point 1. 実際の仕事で制作されたデザインを作例としている

こういったデザイン解説書では、本の為に作例を作っている様な物も見かけますが、その場合、仕事で制作されたデザインではないため、クオリティが今ひとつだったりします。

ところが、この「文字組デザイン講座」は、トップデザイナーの工藤氏が実際に仕事で制作した本や雑誌のデザインを、本人が分析しているのでクオリティは勿論のこと、超実戦的な内容になっています.

point 2. 判型が大きくて見やすい

本の判型(サイズ)が、天地286mm × 左右222mmのA4変形で大きいです。

本書は、工藤氏がスタッフに渡す指定紙と呼ばれるデザイン指示書を分析しながら解説していくスタイルで進むのですが、判型が大きいおかげで指定紙に書かれた緻密な指示(フォントやレイアウト、色など)を細部まで読み取る事ができます。

ルーペなどを使用して、指定紙に書かれている手書きの指示も読み込んでいったら、ものすごい量のデザインのノウハウを身につける事ができます。

point 3. 価格が安い

このサイズでオールカラー159ページ、この内容で2400円+税という価格はとても安いです。

本の紹介文ではプロのグラフィックデザイナー向けと書かれていますが、デザインを勉強中の学生さんにも十分買える値段ではないでしょうか。

情報の密度もものすごく高いので、デザイナーではないけど文字や本が好き、という方でも楽しめる内容だと思います。

おすすめ度:9.5点

5. Otl Aicher(オトル・アイヒャー作品集)

ドイツのデザイナー兼教育者、Otl Aicherは、20世紀のグラフィックデザインのパイオニアであり、数多くの企業のヴィジュアルアイデンティティとサインシステムに関する仕事で有名です。 この本は重要な記録資料を元に、Aicherの知的で重要なデザイン哲学を紹介しています。

Amazon – 商品の説明をGoogle翻訳で意訳

最後の1冊は変わり種、ドイツのグラフィックデザイナー、Otl Aicher(オトル・アイヒャー)のグラフィックデザイン作品集です。

20世紀ドイツを代表するグラフィックデザイナーとして、ドイツのルフトハンザ航空のロゴマークやミュンヘンオリンピックのサイン・ピクトグラムシステムRotis書体の開発など、後年のタイポグラフィデザインやインフォグラフィックスに大きな影響を与える仕事をしてきた偉大なデザイナーです。

本書にはポスターの作品もたくさん収録されていて、シンプルかつひと目を引く仕掛けを施されたデザインで見ていてとてもワクワクします。

洋書でボリュームもあるので、これまでの4冊に比べると値段は高いですが、グラフィックデザインに興味があるなら持っていて損は無い一冊だと思います。

おすすめ度:7.5点

どの本も、読んでみて損の無い内容です!

Adobe InDesignでフォントのアウトラインを取る方法

Illustratorをメインに使用されている方には意外と馴染みが無いかも知れない、InDesignでのフォントのアウトライン方法をご紹介します。

1. テキストを選択する

アウトラインを取りたいテキストを選択ツールで選択するか、 [command + A]で全てのオブジェクトを選択します。

テキストオブジェクトを選択した状態

2. アウトラインを作成する

メニューバーから[書式]>[アウトラインを作成]、またはショートカット[shift + command + O]

これでアウトラインが作成出来ます。

アウトライン作成時の注意点

アウトライン作成したテキストは、その後の文字の打ち換え、編集は不可能

アウトラインをかけたテキストはその後、文字の打ち換えは不可能です(図像扱いになるので)。なので、アウトラインをかける場合はファイルをコピーし、一方をアウトライン用としてわかるようにファイル名を変えておきましょう。

InDesignならではの注意点

Illustratorではアウトライン化により、テキストが崩れる事はあまり無いかと思いますが、InDesignのアウトライン機能では予期せぬエラー(テキストの崩れ)が起きる場合があります。

case1. 文字詰めが崩れる

カーニングをかけていた場合などに、アウトラインをかけると文字詰めが崩れる場合があります。

case2. 段落境界線が消える

テキスト装飾に便利な[段落境界線]の機能ですが、テキストオブジェクトに対しての機能なので、アウトラインをかけてしまうと効果が消えてしまいます。

case3. 表機能で作成した表にアウトラインをかけると、文字だけにアウトラインがかかり、アウトライン前のオブジェクトも残る

表組み周りのアウトラインに一番エラーが起きやすいです。

例えば、上の様な表を選択してアウトラインをかけると、、、

なにかおかしい、、、?

何故か前面に複製されて文字だけがアウトラインに。罫線とセットの物はアウトラインがかかっていない状態で残ってしまいました。

なんとかしようと思い、テキストカーソルで表内のテキストを選択すると、、、

なんとか、罫線を活かしたままアウトラインが取れました。

まとめ:InDesignではアウトラインを取るのはオススメはしない!

まとめとしては、こうなります。InDesignのアウトライン機能は、エラーが起きる可能性がかなり高いので、できればアウトラインは取らないワークフローで進めるのが良いです。

  • フォント環境を揃えて、ネイティブデータで
  • フォントが揃わない場合は、フォントを埋め込んだPDFデータで

上記2つの方法などで入稿データのやりとりをする事がオススメです。


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