革新的なアプローチでデザイン界を切り拓く女性たち。
世界各国で活躍する20名のグラフィックデザイナーによる、伝統と現代性を融合した多彩な作品をご紹介します。
各デザイナーの独特なクリエイティブに触れ、デザインの未来を感じてください。
- 1. ポーラ・シェア(Paula Scher):1948-
- 2. ジェシカ・ウォルシュ(Jessica Walsh):1986-
- 3. ルイーズ・フィリ(Louise Fili):1951-
- 4. マリアン・バンチェス(Marian Bantjes):1963-
- 5. エイプリル・グレイマン(April Greiman):1948-
- 6. スーザン・ケア(Susan Kare):1954-
- 7. デビー・ミルマン(Debbie Millman):1962-
- 8. 石岡 瑛子(Eiko Ishioka):1938-2012
- 9. イルマ・ブーム(Irma Boom):1960-
- 10. ジェンマ・オブライエン(Gemma O’Brien)
- 11. マーゴ・チェイス(Margo Chase):1958-2017
- 12. モーリー・ハッチ(Molly Hatch)
- 13. アニー・アトキンズ(Annie Atkins)
- 14. マリーナ・ゴニ(Marina Goñi)
- 15. ティナ・ロス・アイゼンバーグ(Tina Roth Eisenberg : Swissmiss)
- 16. 粟辻美早(Misa Awatsuji)& 粟辻麻喜(Maki Awatsuji)
- 17. ローレン・ホム(Lauren Hom)
- 18. ダナ・タナマチ(Dana Tanamachi):1985-
- 19. シペ・ピネレス(Cipe Pineles):1908-1991
- 20. モラグ・マイヤースコウ(Morag Myerscough):1963-
- まとめ
1. ポーラ・シェア(Paula Scher):1948-
ポーラ・シェアは、アメリカを代表するグラフィックデザイナーとして知られ、デザイン業界におけるアイコン的存在です。
彼女の大胆なタイポグラフィと鮮やかな色使いは、公共空間や企業のブランディングに革新をもたらしました。
デザイン・スタジオPentagramの主任として、数々のプロジェクトで伝統と現代性を融合させた作品を生み出し、視覚的なインパクトと知性を兼ね備えたデザインで世界中のファンを魅了しています。
彼女の仕事でも特に有名な、ニューヨークのパブリック・シアターの告知デザイン。文字を情報としてではなく表現の一部として用いている。
2. ジェシカ・ウォルシュ(Jessica Walsh):1986-
ジェシカ・ウォルシュは、独創的なビジュアルと感性あふれる発想で業界に新たな風を吹き込んでいます。元Sagmeister & Walshでのキャリアを経て、自らのスタジオ「&Walsh」を設立。
彼女の作品は、広告、ブランドキャンペーン、デジタルメディアなど多方面で展開され、その斬新なアプローチと感情に訴えるデザインは、見る者に強い共感と刺激を与え続けています。
オーストリアにある照明メーカーの年次報告書デザイン。
3. ルイーズ・フィリ(Louise Fili):1951-
ルイーズ・フィリは、その洗練されたタイポグラフィとエレガントなビジュアルで広く認知されています。
特にレストランや食品関連のブランディングにおいて、手書き風の文字やクラシックなレイアウトを巧みに取り入れることで、視覚的なストーリーテリングを実現。
彼女の作品は、温かみと伝統美を感じさせ、ブランドに独自の個性と信頼感を付与しています。
ニューヨークにあるイタリア系レストランのアートディレクションの内、調味料ラベルのデザイン。
4. マリアン・バンチェス(Marian Bantjes):1963-
マリアン・バンチェスは、カナダ出身のデザイナーで、装飾的で緻密なデザインが特徴です。
雑誌、ブックカバー、広告など、多様なメディアで彼女の独自の美学が光り、細部へのこだわりと独創的なパターンは、従来のデザインの枠を超えた表現として高い評価を受けています。
彼女の作品は、芸術性と実用性が融合した逸品として、国内外で多くのデザイナーに影響を与えています。
バンチェス自身の個展フライヤー。
5. エイプリル・グレイマン(April Greiman):1948-
エイプリル・グレイマンは、デジタルデザインの先駆者として知られ、コンピュータ技術を活用した革新的なビジュアル表現で業界に新たな地平を切り拓きました。
彼女は、従来の紙媒体中心のデザインからデジタル時代への移行を先導し、実験的なレイアウトや色彩の使い方で多くの後進のデザイナーに刺激を与えています。
彼女の取り組みは、デザインが持つ無限の可能性を象徴しています。

米国郵政委員会、米国憲法修正第19条、女性投票権記念切手、ワシントンD.C.、1995年8月26日。
6. スーザン・ケア(Susan Kare):1954-
スーザン・ケアは、Appleの初期アイコンやフォントのデザインを手掛けたことで、そのシンプルで機能美に富んだ作品が世界中で愛されています。
デジタル時代の幕開けにおいて、ユーザーインターフェースの視覚的な言語を確立し、直感的でありながら洗練されたデザインが、今日のコンピュータ文化の礎となりました。彼女の仕事は、シンプルさの中に深い意味を込めた名作として評価されています。
古のAppleファンにはおなじみの、こちらのアイコンを手掛けています!
7. デビー・ミルマン(Debbie Millman):1962-
デビー・ミルマンは、デザイン、ブランディング、教育の各分野で多才なキャリアを持つデザイナーです。彼女は「Design Matters」というポッドキャストのホストとしても広く知られ、業界内外のクリエイティブな対話を促進。
自身のデザイン理論や実践を通じて、若い世代のクリエイターに多大な影響を与え、デザインに対する情熱と探究心を伝え続けています。
8. 石岡 瑛子(Eiko Ishioka):1938-2012
石岡瑛子は、日本出身のデザイナーとして、映画、舞台美術、広告の分野で国際的な評価を受けました。
彼女の作品は、視覚的なドラマと大胆な表現力に満ち、映画や演劇の世界に独自の世界観を提供。革新的なアートディレクションと細部にまでこだわる姿勢は、伝統的な美意識と現代の感性を見事に融合させ、多くのクリエイターに影響を与えています。

9. イルマ・ブーム(Irma Boom):1960-
オランダを代表するブックデザイナー、イルマ・ブームは、革新的なレイアウトとタイポグラフィで書籍デザインに革命をもたらしました。
彼女は、読者がページをめくるたびに新しい発見があるような作品作りを追求し、伝統的な書籍の概念に挑戦。国際的な賞を多数受賞しており、その作品は芸術作品としても高く評価されています。
アートブックのデザイナーとして日本を含めて世界的に人気です!
10. ジェンマ・オブライエン(Gemma O’Brien)
オーストラリア出身のジェンマ・オブライエンは、情報グラフィックやデジタルアートを得意とするデザイナーです。
彼女は、複雑な情報を視覚的に分かりやすく表現する手法を開発し、SNSやデジタルメディアを活用した革新的なプロジェクトで多くの支持を集めています。彼女の作品は、データの美しさと機能性を同時に追求する点で一線を画しています。
ライブペインティングなどをおこない、アーティストとしても活動している。
11. マーゴ・チェイス(Margo Chase):1958-2017
アメリカのグラフィックデザイナーで、エンターテインメント業界のデザインに大きな影響を与えました。
特に、マドンナやプリンスのアルバムカバー、テレビドラマ『バフィー 〜恋する十字架〜』のロゴデザインなど、個性的で装飾的なスタイルが特徴です。
音楽やファッションの分野で活躍し、独自の世界観を築き上げました。

12. モーリー・ハッチ(Molly Hatch)
アメリカ出身のモーリー・ハッチは、陶芸家、テキスタイルデザイナー、作家として幅広く活躍しています。陶器を使ったインスタレーション作品や、花柄をモチーフにしたテキスタイルデザインが有名です
また、花言葉やシンボリックな意味をイラストと共に紹介するギフトブックも出版しており、動くギミック付きのイラストパーツでブーケを作れるのが特徴です。彼女の作品は、伝統的な技術と現代的なデザインを融合させた、独創的で美しいものとして評価されています。
モーリー・ハッチがティファニーのために制作した作品。
13. アニー・アトキンズ(Annie Atkins)
アニー・アトキンズは、映画やテレビ業界で活躍するアイルランド出身のグラフィックデザイナーです。
彼女は、ウェス・アンダーソン監督作品『グランド・ブダペスト・ホテル』や『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン號』などで、劇中に登場する手紙、ポスター、看板などの小道具をデザインしました。
アニー・アトキンズによる小道具のラベル。
14. マリーナ・ゴニ(Marina Goñi)
マリーナ・ゴニは、スペインを拠点に活動するグラフィックデザイナーです。彼女のスタジオ「Marina Goñi Estudio」は、ミニマルで遊び心のあるデザインで知られています。
特徴的な点は、楽しい色彩とシンプルな形状を組み合わせた、視覚的に魅力的な作品です。彼女のデザインは、ポスター、書籍、ウェブサイトなど、多岐にわたる媒体で見ることができます。
屋根の外装に使う塗料のパッケージデザイン。シンプルで素敵です。
15. ティナ・ロス・アイゼンバーグ(Tina Roth Eisenberg : Swissmiss)
ティナ・ロス・アイゼンバーグは、スイス出身のグラフィックデザイナーで、ニューヨークを拠点に活動しています。
彼女は、人気ブログ「Swissmiss」や、世界的な朝食付きのクリエイティブコミュニティ「CreativeMornings」の創設者として知られています。
また、タトゥーインクの会社「Tattly」や、共同作業スペース「Friends Work Here」も設立しました。
tattlyのinstagramより。
16. 粟辻美早(Misa Awatsuji)& 粟辻麻喜(Maki Awatsuji)
粟辻美早、粟辻麻喜姉妹を中心とした「粟辻デザイン」は、1995年に設立されたグラフィックデザインスタジオです。粟辻美早が設立し、粟辻麻喜が1998年より参加しました。
パッケージデザイン、エディトリアルデザイン、ブランディングなど、幅広い分野で活動しており、洗練されたデザインと繊細な表現が特徴です。
明治の辻利シリーズ「お濃い抹茶サンド」のパッケージデザイン。
17. ローレン・ホム(Lauren Hom)
ローレン・ホムは、レタリングとイラストレーションを専門とするアメリカのアーティスト、デザイナーです。
彼女は、カラフルで遊び心あふれるスタイルで知られており、食品、旅行、ライフスタイルなど、さまざまなテーマの作品を手がけています。
また、ワークショップやオンラインコースを通じて、レタリングの技術を共有しており、世界中の人々にインスピレーションを与えています。
バレンタインなどに限らず、パートナーと一年中いつでも愛を祝うことができる(そして祝うべき)「理由なんていらない」キャンペーンのタイポグラフィ。
18. ダナ・タナマチ(Dana Tanamachi):1985-
ダナ・タナマチは、テキサスを拠点とするチョークアーティスト、タイプデザイナーです。
彼女は、手描きのチョークレタリングで知られており、その作品は、国内外の多くの企業やブランドで使用されています。
また、彼女は、ワークショップや講演を通じて、チョークレタリングの技術を広めており、多くの人々にインスピレーションを与えています。
ニューヨークのエンパイアステートビルに入っているスターバックスコーヒーショップの壁面グラフィック。
19. シペ・ピネレス(Cipe Pineles):1908-1991
シペ・ピネルスは、20世紀アメリカのグラフィックデザイン界を牽引した女性デザイナーです。
彼女は、女性として初めてアートディレクターとして大手雑誌社で活躍し、写真とイラストレーションを融合させた革新的なレイアウトで、雑誌デザインの可能性を広げました。
また、パーソンズ美術大学で教鞭を執り、後進の育成にも尽力しました。彼女の功績は、現代のグラフィックデザインにも大きな影響を与えています。

シペ・ピネレスによるイラストをふんだんに用いたレシピ本。もともと、ピネレスは自分用に描いていたレシピメモであったが、古書イベントでそのレシピを発見した編集者の強い想いから編集の上、書籍化された。
20. モラグ・マイヤースコウ(Morag Myerscough):1963-
イギリス出身のモラグ・マイヤースコウは、グラフィックデザインと大規模なインスタレーションアートを融合させるアーティストです。彼女の作品は、公共空間や商業施設に鮮やかな色彩とパターンを持ち込み、都市空間に新たな生命とエネルギーを吹き込むものとして高い評価を受けています。
建築や環境デザインとのコラボレーションを通じ、日常生活にアートを取り入れる可能性を広げています。
2024年のパリオリンピックでの案内板デザイン。
まとめ
これら20名の女性デザイナーは、それぞれの視点とスタイルでデザインの可能性を広げています。美しいビジュアルを生み出すだけでなく、私たちの日常にインスピレーションを与える存在です。
彼女たちの作品に触れ、デザインの奥深さを感じてみてください。