私が業務でロゴデザインをする時に特に参考にしているデザイン本を5冊、ご紹介します。5冊とも実際に購入した実戦的な内容の本です。
ロゴデザインは、小さい面積の中にグラフィックデザインやタイポグラフィのテクニックが凝縮されています。今回紹介する本を読むことでグラフィックデザインの実力が上がることは間違いありません。
CONTENTS
- ロゴをデザインするということ。成功と失敗から伝える、君へのアドバイス-ロゴデザイン・ラブ! [改訂第2版]
- ロゴロジック―実例から学ぶロゴデザイン
- フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?
- Logo Modernism
- タイポグラフィ・ハンドブック
- まとめ
1.ロゴをデザインするということ。成功と失敗から伝える、君へのアドバイス-ロゴデザイン・ラブ! [改訂第2版]
Logo Design Love というロゴデザイン紹介サイトを運営している北アイルランド出身のグラフィックデザイナー、デイビッド・エイリー(David Airey)による著書。
ブランドアイデンティティー専門のデザイナーとして、イエローページ(Yellow Pages)、アジア開発銀行(the Asian Development Bank)、ブリンクボックス(blinkbox)、ルップ社(Rupp)、BBCという名だたる企業の仕事を手がけたデイビットのデザイン哲学が凝縮された一冊。
ロゴにとどまらず、グラフィックデザインに興味がある人全員が読むべき、マスターピースとも言える著書です。
クライアントとのヒアリングからラフスケッチ、デザインの1stプレゼンテーション、ブラッシュアップして完成するまでの過程を実際の仕事で生まれた資料を惜しみなく公開することで紹介しています。
シンプルなデザインのどこにその企業らしさを込めるのか?有名な企業のロゴのリブランディングで気をつけた事は?
彼の思考の過程と仕上がったロゴのクオリティにワクワクさせられます。
改訂された第2版は、より作例の図版が増えているので、初版を購入した人も買い替える価値ありです!
オススメ度:★★★★★ 5/5点
ちなみに、初版はこちら
ロゴデザイン・ラブ! -僕の失敗と成功、みんなの話からわかるブランド・アイデンティティのつくり方
タイトルはこちらの方が明快でわかりやすいと思います。表紙デザインも初版の方が明るくて買いやすいような。。。
デイビットの著書ではこちらも面白いです。フリーランスデザイナーとして独立する際の心構えについて書いてある1冊。
デザイナーとして起業した(い)君へ。成功するためのアドバイスーWork for Money, Design for Love
2.ロゴロジック―実例から学ぶロゴデザイン
有限会社CID研究所の代表であり、日本タイポグラフィ協会の理事でもある高田雄吉さんによる著書。
京都ブライトンホテル、京都橘大学、山陽電気鉄道など高田さんが実際に手がけたロゴデザインを作例として、ロゴの発想元となった図版や、カラーパターンの紹介、デザインコンセプトの解説など、とてもロジカルにわかりやすくまとめられた1冊です。
この本で、個人的に勉強になったのは、クライアントにロゴデザインを提出する際の『プレゼンテーションシート』も掲載されていた点です。
ロゴマークとロゴタイプの組み合わせやカラーパターンといったロゴの展開例や、制作コンセプトの書き方などとても参考になり、自分自身の仕事の際も活用する事が出来ました。
この本も、ロゴデザインに興味がある方には学びが多い1冊だと思います。
オススメ度:★★★★ 4/5点
3.フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?
ドイツの書体メーカー、ライノタイプ社(Linotype)のタイプディレクターである小林章さんによる著書。
BVLGARI、GODIVA、DEAN & DELUCA、Lufthansaといった世界的に有名なブランド・企業のロゴを取り上げ、ベースとなった欧文フォントやその組み方を分析。
なぜ上質に見えるのか?を追求しています。
日本の街中でも見かけるような誰でも知っているブランドの話が多いので、日常の話題のタネにもなります。
オススメ度:★★★★ 4/5点
4.Logo Modernism(ロゴ・モダニズム)
ドイツの美術・建築・デザイン出版社、TASHEN(タッシェン)社から出版された企業ロゴデザインカタログ。
1940年〜1980年にデザインされた企業ロゴデザインを約6,000種類、432ページに渡り紹介しています。
この本で特に優れているのはロゴの分類方法。A、B、C、D…といったアルファベット毎に分類しているページや、2つ、または3つといったオブジェクトの組み合わせ数による分類、さらには、角の尖ったシャープな形状や角丸のラウンド形状、といった様に形状による分類まで。
自分がロゴデザインの依頼を受けたときに、企業名の頭文字や、思い描く形のイメージに近いロゴを即座に閲覧する事が出来ます。
掲載されているロゴの年代が1940年〜1980年という事で古く感じるかもしれませんが、印刷技術が今よりも劣る昔だからこそ、シンプルな色と形で魅せるデザインが多く、時代の古さを感じさせない強さがあります。
シンプルな形にどれだけのバリエーションを持たせられるのかという展開例の参考にもなる1冊。
これもデザイナーなら1家に1冊の名著です!
オススメ度:★★★★★ 5/5点
5.タイポグラフィ・ハンドブック
当ブログで何度もご紹介しているこちらの本。
グラフィックデザイナー、タイポグラファーである小泉均さんによる欧文書体・組版(タイポグラフィ)のすべてが分かるハンドブック。
前述のLogo Modernismがロゴマークのマスターピースだとしたら、こちらはロゴタイプ(文字)のマスターピース。
企業名などに使われるアルファベットは、どんな書体を選び、どのように組むのが美しいのか。
スイス・バーゼルのデザイン学校で偉大なグラフィックデザイナーWolfgang Weingartに師事した小泉均さんの経験から感覚では無く論理的に優れたタイポグラフィの在り方を提示してくれます。
こちらも、持ってると安心な1冊。
まずは基本を身につけた上で自分流にアレンジする事が大切です。
オススメ度:★★★★ 4/5点
6.まとめ
私の仕事や興味範囲もあり欧文のロゴにまつわる本が多くなってしまいましたが、どの本も実際に購入し、業務に活用した書籍です。
充実した内容の書籍ばかりなので興味を持たれたら是非読んでみて欲しいです!
関連書籍
小林章さんによる欧文書体の本。こちらもオススメです。
欧文書体 2 定番書体と演出法(タイポグラフィの基本BOOK)