私が手製本で制作しているアーティストブック「THE LAST SUMMIT」について、カバーの接着に使用している糊の配合をご紹介します。
木工用ボンドとフエキノリを混ぜて作るため、製本をする人からは「糊ボンド」と呼ばれることもあります。
50冊以上の製本を経験しており、その中で試行錯誤を繰り返し、現在は安定した配合が完成しました。
使用場所
「糊ボンド」は、以下の場面で使用しています:
- カバーを板紙に貼る際
- カバーと本体を接着する際
配合元の糊
以下の糊材を使用し、水と混ぜ合わせます:
木工用ボンド
小学校の図画工作などで使う一般的なものです。
フエキノリ(でんぷんのり)
ヤマト糊と見た目が似ていますが、ヤマト糊は時間が経つと黄色く変色するため、製本にはフエキノリが適しています。
配合手順
1.フエキノリと水を1:1で混ぜる
フエキノリに少しずつ水を加え、ダマにならないようしっかり混ぜます。
例:フエキノリ40gに対して水40gを使用すると、約3〜5冊分の糊が作れます。
2.混ぜた糊に対して木工用ボンドを10〜20%加える
木工用ボンドを加え、さらに混ぜます。
例:1.で作った80gのフエキノリ+水に対し、木工用ボンドを8g〜16g加えます。
3.糊ボンドが固ければ水を少量ずつ加える
刷毛で塗る際にムラが出ないよう、糊ボンドは少し緩めに調整します。
糊ボンドを刷毛に付け、持ち上げた際に糸状に垂れるくらいが目安です。
製本後に余った糊ボンドはどうするか?
- 数日内に使用する場合
密閉容器に入れて保管すれば問題ありません。 - 長期間使わない場合
糊ボンドは水が混ざっているため腐敗しやすいので、使い切れない分は廃棄しましょう。
他の部分の糊について
背固めには以下の糊をそのまま使用しています。
フィルムルックス 製本のり ブックグルーミニ 01539 200g
参考図書
今回の糊ボンドの配合は以下の本を参考にアレンジしています。
素材を活かした手製本の教室―革装・布装・和装の作り方から本の直し方まで (HAND BOOKBINDING LESSON)
写真付きで解説があり、製本に使える他の糊の作り方も載っているため、製本に興味がある方にはおすすめです!