薬丸岳による小説「籠の中のふたり」を読みました。とても面白い物語でしたので感想をご紹介します。
暗い過去を抱えた二人の共同生活
「籠の中のふたり」は、過去に深い傷を抱える男性同士の絆を描いた物語です。
生真面目で人と関わることを避けてきた快彦と、明るく人懐っこい亮介が、とあるきっかけで共同生活を始めます。
二人の交流を通じて、快彦が少しずつ心を開いていく様子が非常に心に残ります。
快彦を変える亮介の存在
亮介が快彦の生活に入り込むことで、快彦の周りには次第に魅力的な人々が集まるようになります。その描写が温かく、読んでいてとても和やかな気持ちになれます。
人と人との関わり合いの大切さを感じる部分です。
事件の真相がもたらす緊張感
物語後半では、亮介が過去に起こした傷害致死事件の真相が明らかになります。
この事件は二つの家族を巻き込み、読んでいて胸が痛くなる展開です。
しかし、その真相が徐々に解き明かされる過程は、ミステリーとしての緊張感に満ちています。
クライマックスとタイトルの意味
カバーイラストに描かれている場面は、作中のクライマックスそのものです。
このシーンでタイトルの意味が明らかになります。
亮介が快彦に真相を伝える場面は、切なくも感動的で、読後も心に残りました。
後日談が読みたくなる余韻
快彦と亮介、そして彼らを取り巻く人々が物語の後にどのような人生を歩むのか、とても気になります。
この作品は、人とのつながりについて考えさせられる一冊でした。
満足度
90点/100点満点中
Header: ProtoculturaによるPixabayからの画像