InDesignの正規表現で「括弧と中身だけ」を選択する方法【GREP検索】

Adobe InDesignを使っていて、「括弧とその中の文字だけを選択・置換したい」というシーンは意外と多いものです。たとえば、

  • 原稿中の注釈や補足説明を強調したい
  • 特定の括弧書きだけにスタイルを当てたい
  • 括弧を含む表現を一括で削除したい

といった場面です。こうした作業に便利なのが GREP検索(正規表現検索)機能です。

この記事では、InDesignで 「括弧とその中の文字列だけを選択する」ための正規表現(GREP)をご紹介します。


全角の括弧と中身を選択する正規表現

日本語原稿では全角の「( )」がよく使われます。その場合は、次の正規表現で検索可能です:

(.+?)

解説:

  • :全角の括弧をそのまま指定
  • .+?:中に入る任意の文字列(ただし最小一致)

半角の括弧と中身を選択する正規表現

英語原稿やプログラミング関連の文章では、半角の「( )」が使われることが多いです。半角括弧を対象にする場合はこちら:

\(.+?\)

解説:

  • \(\):半角の括弧はエスケープ(バックスラッシュ)する必要があります
  • .+?:中に入る任意の文字列(最小一致)

全角・半角の両方に対応する正規表現

文中に全角と半角の両方が混在している場合、どちらも対象にするには次のように書きます:

[((].+?[))]

解説:

  • [((]:開き括弧(全角または半角)のどちらか
  • .+?:任意の文字列(最小一致)
  • [))]:閉じ括弧(全角または半角)のどちらか

注意点と補足

  • この正規表現は 改行を含まない括弧の中身にしかマッチしません。
  • 括弧の中にさらに括弧があるような「入れ子構造」には対応できません(正規表現の限界です)。
  • InDesignのGREP検索は「検索と置換」だけでなく、文字スタイルの自動適用にも使えます。たとえば、括弧内のテキストだけにイタリックを自動で適用する、といった使い方も可能です。

まとめ

InDesignで括弧と中身をまとめて検索・処理したい場合は、正規表現(GREP検索)を活用することで、手間を大幅に削減できます。

処理対象正規表現
全角括弧(.+?)
半角括弧\(.+?\)
両方対応[((].+?[))]

細かいルールに応じて、正規表現を使い分けて効率的なドキュメント編集をしていきましょう!

InDesignで正規表現検索を使い段落先頭に一文字空けを作る方法

InDesignで正規表現検索を使い、段落先頭に一文字空けを作る方法をご紹介します。

正規表現検索・置換する際にどのような文字列を入れれば良いのか、手順を記載。文字組アキ量設定や段落インデントなど他の一文字空け方法との違い(メリット・デメリット)もご案内します。

今回はこちらの文章をサンプルに使い、説明していきます。

1.検索と置換で「\r」を「\r」+「全角スペース」に置換

メニューバーから「編集」>「検索と置換」のウィンドウを開きます。

正規表現のタブを選択し、

検索文字列に「\r」

置換文字列に「\r」と「全角スペース」

を入力します。

\はバックスラッシュです。Macだとoptionキーを押しながら¥のキーを押すことで入力できます。正規表現では一般的にこのバックスラッシュを先頭に入れます。

「\r」の記号は「改行」を意味します。

つまり「\r」を「\r」と「全角スペース」に検索・置換することで、改行の次(新しい行の始まり)に全角スペースが入ることになります。

これで置換をかけるとこのようになります。

2.一行目は手動でスペースを入れる

この検索・置換だとテキストボックスの一行目にはスペースが入らないのでそこは手動でスペースを入力します。

3.全角スペースが2個連続している箇所を検索し、1個に置換する

基本的にはこれで完成です。ただしテキストデータの段階で全角スペースが入っていたりすると、スペースが重複たりする可能性もあるので全角スペースが2つ連続している場所を検索して、1つにします。

検索文字列に「全角スペース」+「全角スペース」

置換文字列に「全角スペース」(1つのみ)

これで完成です。

まとめ

InDesignで段落先頭の一文字空けを入れる際のやり方は他にも色々あります。

文字組アキ量設定や段落のインデントで段落スタイルとして設定する方法、などです。

今回ご紹介した正規表現で空ける方法は、編集の人とInDesignデータを共有する場合や一段落目だけ一文字空けない、などの時に私は使用しています。

設定で自動的に空ける方法の場合、イレギュラーな箇所(カギ括弧の時は一文字空けしない)やデザイナー以外の人とデータ共有する場合、設定を理解し変更するのが難しいというデメリットがあります。

今回のようにスペースを入れる方法であれば、融通が利きやすいです。

他にもオススメの方法などあれば、コメント欄で教えて頂けると幸いです。

今回の作業環境

  • mac OS Sierra
  • Adobe InDesign CC 2018