ディーリア・オーエンズ による小説「ザリガニの鳴くところ」をAudibleで読みました。

ザリガニの鳴くところ

感想をご紹介します。

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あらすじ

ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。
6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。
読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。
以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。
しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と交錯するとき、物語は予想を超える結末へ──。

Amazonより

面白かったポイント

自然の美しさが伝わる情景描写

主人公のカイアは、周りの人間に見捨てられて湿地で一人で暮らしています。

その生活は孤独そのものなのですが、木々や動物など人間以外のたくさんの生き物と共にその殆どの時間を過ごしています。

過酷な状況に置かれているのですが、湿地の自然や生き物の描写がとても素晴らしく、美しさを感じてしまいました。

著者のオーウェンズは、本作で作家としてデビューするまでは生物学の博士号を持っている研究者であるため、動植物の生態が非常に詳細に書かれています。物語にも大きく関わる要素でもあり、本作の特徴となっています。

様々な差別の構造を描いている

主人公のカイアは「(ホワイト)トラッシュ」とも呼ばれるアメリカの低所得者層の白人です。

見捨てられて湿地で暮らすことから、外の人間からバカにされ、蔑まれています。

学校に行っても当然いじめられるため、勉強して良い学校に入って豊かになる、という道も閉ざされてしまっています。

また、カイアの母親やカイヤ自身は、女性であるということから強者の男性から差別・虐待を受けます。この描写は著者が女性であることからも非常にリアリティのある描き方になっています。

また、カイア以外にも白人と黒人の人種差別についての描写も登場します。

この様に社会に存在する様々な差別の構造をストーリーに取り入れています。

カイアが自分の力を発揮し、報われる

基本的に、カイアは常につらい状況にあるのですが、中盤以降、自分のこれまでの湿地での暮らしと、彼女を大切に思う幼馴染・テイトの尽力を経て、彼女の能力が社会的に認められます。

逆転劇とも言える成功のシーンは、読者としても安心します。

裁判と事件の顛末

街の人気者でカイアと噂のあったチェイスの死亡事件。

被疑者となり逮捕されたカイアが、外部の人間を拒絶しつつ臨む裁判のシークエンスはとても緊張感がありました。

カイアの結末が気になり、このあたりから最後まで一気に聴いてしまいました。

そして事件の顛末と、アマンダ・ハミルトンの詩の意味、、、。

最後まではっとさせられる物語でした。

惜しい点

終盤まで、カイアの生まれてからこれまでの成長のストーリーと、チェイスの死亡事件の捜査のストーリー、異なる時間軸が章ごとに交互に展開されていくのですが、Audibleだからかもしれませんが、ちょっと混乱してしまいました。

まとめ

海外の作家の小説をしっかりと読んだのはかなり久しぶりだったのですが、とても様々な問題を定期している内容で、考えさせられました。

自然の中で生きる事も、人間社会で生きる事も、種類は違えど、喜びと試練が共存しているのだと教えられました。

満足度

87点/100点満点中

ザリガニの鳴くところ

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映画版

本作は2022年に映画にもなっているようです。

Amazon Prime Videoにも入っていたので近々観てみたいと思います。

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Header: Bruno MüllerによるPixabayからの画像

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