Mac OSに搭載されている標準フォントの中から、私がデザイン制作でも良く使用するおすすめのフォントを紹介。(OSはSierra)
前回の和文フォント編に引き続き。今回は欧文フォント編。
欧文:セリフ体
「セリフ」とは文字のストロークの端にある小さなでっぱりの事。セリフ体はローマン体とも呼ばれ、和文で云えば明朝体のようなデザイン。
Baskerville ファミリー
イギリスの John Baskerville によるデザイン。究極の活版印刷用の本を目指した彼が作成したトランジショナル(過渡的)な書体。主に本のデザイン使用されている、とても人気がある書体。
Bodoni ファミリー
イタリアの印刷工、 Giambattista Bodoni によってデザインされた書体。カリグラフィ的な有機的な要素を排除した幾何学的な構成から「モダンフェイス」とも呼ばれる。19世紀半ばまで最も一般的な書体として使用されていた。
Bodoni には改刻したデザイナー毎に様々な種類があり、Macに標準搭載されているのはITC(International Typeface Corporation)社が改刻した「Bodoni 72」というフォント。「72」は、文字サイズ72ポイント程度の大きいサイズでの使用を目的としたデザインであるという事を表している。見出しや、デザインのアクセント的に使用するのがおすすめのフォント。
Didot ファミリー
フランスの Firmin Didot と Pierre Didot によってデザインされたエレガントなローマン体。Bodoni と同様、モダンフェイスと呼ばれる事が多い。Cahiers d’Art や Harper’s Bazaar 、Vogue など、女性誌のタイトルデザインに多く使用されている。
Palatino ファミリー
ドイツの書体デザイナー、Hermann Zapf によりデザインされた最初の書体。イタリアのルネサンス様式に則ったオールドフェイスな書体で、完成度が高く、デザイナーにも大変人気がある。
欧文:サンセリフ体
セリフを持たない書体を「サンセリフ体」と呼ぶ。和文で云えばゴシック体のようなデザイン。
Avenir & Avenir Next ファミリー
スイスの書体デザイナー Adrian Frutiger が自身の最高傑作と読んでいるサンセリフ体。「avenir」はフランス語で「未来」を表す。オランダのアムステルダムでは都市のコーポレートフォントとしても使用されている。
Avenir Next は Avenir のウェイトを拡張し、更に様々なシーンで使用出来るようにしたもの。
Futura ファミリー
ドイツのデザイン学校「バウハウス」の非常勤講師を務めていた Paul Renner による「ジオメトリック(幾何学的な)サンセリフ」。こちらの「futura」もラテン語で「未来」を表す。
ルイ・ヴィトンのロゴにも使用されている有名なフォント。
Gill Sans ファミリー
イギリスの彫刻家兼、書体デザイナーである Eric Gill がデザインしたヒューマニスト(人間的な)サンセリフ。彫刻家がデザインしただけあり、古代ローマの碑文体(石碑に彫りつけた文字)をモチーフにした有機的なフォルムを持つ。
Helvetica & Helvetica Neue ファミリー
スイスの書体デザイナー、Eduard Hoffmann と Max Miedinger により発表されたサンセリフ体。31種類ものウェイトを持つ汎用性の高い書体で、世界で最も有名な書体とも云われている。
Helvetica Neue は1983年に改刻された書体で、そのウェイトは51種類まで拡充された。
アメリカン航空、BMW、マイクロソフト、トヨタなど、数多くの企業が自社のロゴタイプとしてHelveticaを採用している。
Optima ファミリー
Palatino と同じく、Hermann Zapf によるデザイン。サンセリフ体に分類されるが、他の多くの書体と異なり、抑揚のある線が特長。とてもエレガントな印象を持っており、化粧品のパッケージや広告などで多く目にする事ができる。
欧文:スクリプト体
「手書き風」の字形をした書体を「スクリプト体」と呼ぶ。
Snell Roundhand
Matthew Carter によってデザインされたエレガントなスクリプト体。それなりの長さのある小見出しや、タイトルなどでの使用に適している。
Zaphino
Hermann Zapf によるデザイン。Zapf 自身が第二次世界大戦中に書いたカリグラフィ作品を元に作成された。
まとめ
今回挙げたフォントはどれも伝統と歴史があり、優れた書体デザイナーがデザインしたものなので、デザインのクオリティを上げるのにかなりの力になるだろう。
フォントの使用方法は自由であり、絶対的なものは無いが、書体が設計された背景や歴史を知ると、文字を使うのもより楽しくなる。
Macに搭載されている標準のフォントでもかなり多様なタイポグラフィ・デザインが出来るはずなので、是非試して頂きたい。
ほんとに、フォント。フォントを活かしたデザインレイアウトの本