モリサワフォントのMin2とは?Pro/Stdとの違いや注意点を解説

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モリサワフォントに写研の書体が追加されてから数年が経ちました。
その中でも、石井中明朝や石井中ゴシック、新聞特太明朝など、写研の名作と言われるフォントは、「写研クラシックス」として当時の字形を活かしたデザインで収録されています。
しかしこれらのフォント、フォント名の最後に「Min2」とついており、他の多くのモリサワフォントの「Pro」や「Std」とは文字セットが異なります。

モリサワのサイトに掲載されている写研のMin2書体の一例(https://morisawafonts.com/fonts/search/?maker=SHAKEN&page=2

「Min2」とはどのような文字セットで、デメリットなどはあるのでしょうか。
今回の記事ではこの内容をご紹介します。


Min2ってそもそも何?

簡単に言うと、Min2(ミニ2)はモリサワが用意している“コンパクトな文字セット”のひとつです。JIS2004の字形に合わせつつ、よく使う文字を中心に厳選して合計4,833字を収録した仕様になっています。見出しやロゴなどで使いやすいように設計された書体が多いのも特徴です。(モリサワ)

Min2は「軽く使える」一方で、Pro/Std(StdN/Pr6N 等)と比べると収録文字が少ないため、まれに必要な漢字が入っていないことがあります。モリサワではフォント名に「Min2」を付けて区別しています。(モリサワ)


Min2の実務上の注意点

  • 文字が足りないことがある:人名の異体字や旧字体、表外字、丸付き数字など、使用頻度は低いが重要な文字が抜けることがあります。(tama-san.com)
  • 互換性は完全ではない:Std/Pro 系と収録文字が異なるため、既存データと差し替えると字形違いや欠落が出る場合があります。(モリサワ)
  • 入稿時の確認が必要:PDF化したときに「〓」や四角が出ないかを必ずチェック。印刷所のフォント扱いルール(埋め込み可否・アウトライン化の可否)も事前に確認しましょう。(tama-san.com)

収録されていないことが問題になりやすい文字の具体例

以下は実務でよく問題になる(Min2で抜けやすい)文字の代表例です。あくまで“よく出る例”なので、必ずご自分の環境で確認してください。

人名で出やすい“異体字・人名外字”

(はしご高)

(立つ崎/崎の旧字)

(吉の異体)

→ 宛名や著者名で出ると致命的なので、名簿・カバー・奥付は特に要チェック。(tama-san.com)

旧字体・歴史的字形(書名や固有名に出やすい)

(斎の旧字)

(亀の旧字)

など。(ryougetsu.net)

丸付き数字・機種依存記号・特殊記号

など(アプリやフォント実装により挙動が変わることがあります)。(Morisawa Fonts)

Unicode拡張領域の珍しい字や絵文字系

  • CJK拡張領域の字や絵文字はMin2の想定範囲外です(必要なら代替策を検討)。(Morisawa Fonts)

本文組には向かない

写研の味が楽しめるMin2は見出しやロゴにはぴったりですが、本文組にはあまり向かないかもしれません。

収録文字が絞られているぶん、人名の異体字や旧字体、丸付き数字などが混ざると抜けや別フォントへの自動置換が起きやすく、校正や修正が手間になります。

さらに、用意されるウェイトや組版向けの微調整情報が限定的なことも多く、長文の行間や字間で違和感が出ることがあります。

本文で使いたい場合は、最初からPro/Std系を選ぶか、どうしてもMin2を使うなら原稿全体の事前チェックと代替運用を必ず検討してください。


まとめ

写研の字形がそのまま楽しめるMin2対応フォントは魅力的ですが、「使う文字がちゃんと入っているか」をひと手間確認することが肝心です。特に人名・固有名・特殊記号などは要注意。チェックさえすれば、写研由来の味わいをデザインにうまく活かせます。(モリサワ)

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