身の回りの印刷物やWebデザインから、気になった混植(合成フォント)に着目し、所有しているフォントの中から近いイメージの書体を使い、再現してみます。
使用アプリケーションはInDesign。[漢字]、[かな]などの表記が無い字種は、基本的に漢字で使用している書体の従属のままです。
Contents
- [漢字]本明朝Book+[かな]築地L+[英数字]Baskerville
- [漢字]こぶりなゴシックW3+[かな]行成L
- [漢字]こぶりなゴシックW6+[ひらがな]築地体一号太仮名+[カタカナ]ヒラギノ角ゴオールドW6+[と]築地体三号太仮名
1.[漢字]本明朝Book+[かな]築地L+[英数字]Baskerville
- 書体イメージ:優しさ、柔らかさ、透明感、上品さ
- 用途:小説や詩集の本文など
エッセイ風の写真集の本文に使用されていた書体のイメージ。
英数字は漢字と合わせてリョービのRoBaskervilleを使用しました。
2.[漢字]こぶりなゴシックW3+[かな]行成L
- 書体イメージ:繊細さ、知的、哲学的、古風
- 用途:小説や短歌の本文、小見出しなど
記号論の本。表紙につぶやきの様に入っているテキストに使用されていた書体のイメージ。羽良多平吉さんが装幀をされているだけあって、かなり独特な組み合わせです。
3.[漢字]こぶりなゴシックW6+[ひらがな]築地体一号太仮名+[カタカナ]ヒラギノ角ゴオールドW6+[と]築地体三号太仮名
- 書体イメージ:力強さ、古風
- 想定用途:書籍のタイトル、見出しなど
2.と同様の書籍の帯に使用されていた、金属活字の様な書体のイメージ。ひらがなとカタカナで書体を変えて、さらにひらがなの「と」のみ書体を変えており、かなり細かい調整がされています。
カタカナには[ヒラギノ角ゴオールドW6]を使用しましたが、そのままだとこぶりなより大きく見えてしまうので95%縮小しました。
「と」に関しては、[築地体一号太仮名]のものだと、「古い」イメージが強調されすぎてしまうので、ひらがなの中でこの文字だけ書体を変えたのだと思われます。
参考文献 1. 石川祐樹『蝶々の心臓』宝島社(2014) 2.3. 向井周太郎『かたちのセミオシス (セリ・ポイエシス)』思潮社(1986)