【2024-2025年最新版】プロが選ぶ合成フォント10選|設定・制作レシピ完全ガイド

グラフィックデザインの現場で私が実際に制作・活用した合成フォントをご紹介いたします。設定画面や実際に使用した媒体についても具体例を交えながら解説していますので、ぜひ制作の参考にしていただければ幸いです。

【補足事項】

  • 複数ウェイトで制作した合成フォントもございますが、今回の記事では1ウェイトのみをご紹介しています。
  • 設定画面は業務で使用したそのままのものであり、必ずしも同様の設定が必要であるとは限らない点をご理解ください。
  • HelveticaやUniversなどの有名フォントは、販売しているメーカーによってデザインが異なる場合があります。本記事での設定例は、あくまで私自身の設定に基づくものであることをご承知おきください。
  • 設定画面はInDesignのものとなります。

明朝体の合成フォント

[和字]本明朝新がなBook + [欧数字]Adobe Garamond

設定画面

用途

写真集の本文書体として使用。

コンセプト

写真集の本文書体として読みやすい合成フォントを使いたいと思い、作成しました。

写真が主役として映えるようにしたかったので、明朝体としてクセが少ない本明朝新がなBookを選びました。

本明朝新がなBookは書籍用に設計された読みやすく、美しい書体です。欧文には活字の趣を残したAdobe Garamond Proを使用。欧数字は110%拡大して和字とサイズ感を合わせています。

[和字]秀英明朝 + [欧数字]Adobe Garamond

設定画面

用途

学校案内パンフレットの本文書体として使用。

コンセプト

文学系の歴史を学べる学校案内の本文書体として制作しました。

秀英明朝はかな文字(特に「に」や「は」などのひらがな)に流麗な筆の名残が反映されているデザインなので和風の雰囲気が出ます。そこにAdobe Garamondを組み合わせました。

横組のパンフレットだったので、可読性の点からも秀英明朝は優れていると感じます。

本文用書体としてより読みやすくしたかったので、カギ括弧やローマ数字にリュウミンを設定しています。

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

[和字]本明朝 + [英数字]Carmina

設定画面

用途

学校案内パンフレットの本文、および見出し書体として使用。

コンセプト

和字はオーソドックスで読みやすい本明朝新がなを使用。欧数字にはより、活字の雰囲気を出したかったのでCarminaを使用しました。

Carminaは多少クセがある欧文書体なので見た人の印象に残りやすい合成フォントになりました。

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

ゴシック体の合成フォント

[和字]こぶりなゴシック + [欧数字]OpenSans

設定画面

用途

学校案内パンフレットの本文書体として使用。

コンセプト

Open SansはGoogle fontsから無料でダウンロードできるフォントです。2011年にリリースされた比較的新しい書体。

Open Sans – Google Fonts
https://fonts.google.com/specimen/Open+Sans

こぶりなゴシックには普段、FrutigerやUniversを合わせることが多いのですが、この時は現代的な印象にしたかったので欧文にOpen Sansを使用しました。

[和字]こぶりなゴシック + [欧数字]Helvetica

設定画面

用途

写真展告知チラシの本文、および見出し書体として使用。

コンセプト

チラシの表面をスイスタイポグラフィっぽいデザインにしたかったので、フォント名がそのまま「スイス」を意味するHelveticaを使用。

和文はニュートラルなこぶりなゴシックと合わせました。

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

[和字]こぶりなゴシック + [欧数字]DIN

設定画面

用途

ビジネス書籍の本文、見出し、表紙書体として使用。

コンセプト

教育機関によるマーケティング理論をまとめた書籍のデザインのために制作した合成フォントです。

英文が多く登場するので、ややコンデンス気味で読みやすいDINを欧数字に使用しました。

Adobe fontに搭載されているURW DINはウェイトが非常に豊富なので、様々な場面で使用できます。

URW DIN | Adobe Fonts
https://fonts.adobe.com/fonts/urw-din#recommendations-section

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

本文レイアウトは以下のAmazonリンクより、数ページ分のデザインをご覧いただけます。

デザインアート思考 使い手のニーズとつくり手のウォンツを同時に実現する10のステップ

[和字]こぶりなゴシック + [英数字]Myriad

設定画面

用途

学校案内パンフレットの本文書体として使用。

コンセプト

本文ではなく、コラムや表組み、データ部分で使用しました。

FrutigerをベースにしたMyriadは文字サイズが小さくなっても読みやすく、視認性が高いです。

実際のデザイン作例(Behanceより)

二度目の紹介となりますが、以下パンフレットのデータ部分で使用しています。

秀英角ゴシック金 + Avenir

設定画面

用途

イベントチラシのキャプションテキストとして使用。

コンセプト

歴史にまつわるイベントチラシの、情報などのキャプションテキストとして、読みやすく、かつ、少し趣がある印象にしたかったため、活字のエッセンスを取り入れた秀英角ゴシックを使用。

秀英角ゴシックには金と銀がありますが、横組の際は金の方が読みやすい印象があるのでこちらの使用しました。

タイトルのフォントなどにクセがあるので、キャプション用の英数字にはニュートラルなAvenirを組み合わせました。

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

[和字]あおとゴシック + [英数字]Univers

設定画面

用途

写真展告知チラシのタイトルと本文に使用。

コンセプト

特殊詐欺をテーマした写真プロジェクトの展覧会チラシで使用。 ”痕跡を消す”ということをデザインコンセプトに、限りなくクセがないモリサワのあおとゴシックと、多彩なウェイトを持つ変幻自在なフォントであるUniversを組み合わせた合成フォントを作成しました。

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

[和字]くれたけ銘石 + [英数字]Ferryman

設定画面

用途

イベント告知チラシのタイトル、見出しとして使用。

コンセプト

悲劇的な事件にまつわる追悼式のチラシデザインに使用。重厚さと古風な印象を出したかったので、和字にはくれたけ銘石を使用しました。和字のデザインに合いつつ、さらに日付などの数字にインパクトを持たせたかったので英数字にはAdobe fontsのFerrymanというフォントを合わせました。

Ferryman | Adobe Fonts
https://fonts.adobe.com/fonts/ferryman

重厚でありながら現代的な雰囲気もある、良い合成フォントになったと思います。

実際のデザイン作例(Behanceより)

以下の画像リンクより、私が実際に業務で制作したデザインをご覧いただけます。

まとめ

今回ご紹介した合成フォントは以上です。

合成フォント機能は、組み合わせや設定に手間がかかりますが、丁寧に作り込むことで、デザインにオリジナリティを加えることができます。

本記事を参考に、ぜひ皆様もオリジナルの合成フォント作りに挑戦してみてください。

合成フォントの作例が紹介されているオススメのデザイン書

文字組デザイン講座: 雑誌・書籍・ポスターにおける巧みな文字の使い方をリアルな指定紙から解説

InDesignの合成フォントで、「ひらがな」と「カタカナ」に異なるフォントを設定する方法

InDesignの合成フォントで、ひらがなとカタカナを異なるフォントにしたい場合の設定がすぐに分からなかったので調べてみました。

合成フォントの例と共にご紹介します。

目標とする合成フォント

  • 漢字とカタカナ→凸版文久見出しゴシック 
  • ひらがな→秀英四号太かな
  • 英数字→Gill Sans/Bold

このような設定です。

日本語は、ひらがなだけを「秀英四号太かな」にしたいです。

InDesignでの設定方法

1.書式→合成フォント→新規→合成フォントの名前をつけてOK

新規合成フォントを作成

2.漢字とかな、半角欧数字を設定する

漢字とかな、英数字を設定

漢字とかなに「凸版文久見出しゴシック」、英数字に「Gill Sans MT/Bold」を110%で設定しました。

このままだとひらがなも文久見出しゴシックになっているので、、、

3.特例文字をクリック

特例文字のボタンをクリックします

4.新規をクリック

新規をクリック

5.新規特例文字セット→元とするセットひらがなを設定

元とするセットで「ひらがな」を選択。「カナカナ」にすることもできる

保存する。

6.ひらがなのフォントを変更する

最下部に「ひらがな」の設定が表示されるので、ここでフォントを設定します。

7.完成

完成しました。

まとめ

特例文字で追加をするので、初見だと悩みますね。

ひらがなとカタカナでフォントを変える意識がつくと、合成フォントにも広がりが出るので、今後は積極的に使用していきたいと思います。

モリサワパスポート搭載の「游ゴシック体B」と定番の欧文書体で合成フォントを作る

2020年の更新でモリサワパスポートに、字游工房の大人気フォント「游ゴシック体」が追加されました。

私も早速、仕事で使い始めているのですが、そこで少し悩む点が….

見出し用に「B」のウェイトを使うときに合成フォントの欧文がいまいち決まらない。

私はUniversを良く使うのですが、游ゴシック体のBとUniversのRoman、Boldがイマイチ合わない感じ….

折角の機会なので、游ゴシック体Bと欧文フォントの組み合わせをガッツリと調べてみました。

【前提条件】

  1. 使用する游ゴシック体はモリサワパスポートに搭載されている「游ゴシック体 Pr6N B」とする
  2. 欧文フォントは和文フォントのサイズに合わせて適宜拡大する(ベースライン調整はしない)
  3. ツメはベタ組み
  4. 欧文フォントはOpentypeのものを使用する

という事で、テストした結果が以下となります。

1. 游ゴシック体B(Pr6N)と欧文フォントの組み合わせ〈基本編〉

游ゴシック体B(Pr6N)と欧文フォントの組み合わせ〈基本編〉
游ゴシック体B(Pr6N)と欧文フォントの組み合わせ〈基本編〉

青文字がフォントの組み合わせ名、赤文字が私の感想です。

①【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】游ゴシック体 Pr6N B

*従属欧文(デフォルト):デフォルトなのでもちろんバランスは一番良いです。数字が読みやすくなるようにスラブセリフっぽくなっていますね。

②【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Univers LT Std 55 Roman(110%)

*欧文細い:和文より欧文がちょっと細いので、バランスが悪い感じです。どちらかと言うと和文より欧文が太い方がバランスが良く見えるというのが基本的セオリーです。

③【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Univers LT Std 65 Bold(110%)

*欧文やや太い:こちらは欧文が太めな印象。やはりUnivers LTを游ゴシックBに合わせるのは難しいという印象です。

④【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Futura (OTF) Demi (120%)

*欧文ほんの少し太いが良い感じ:このくらいだと和文と欧文の太さが良い感じです。

⑤【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Neue Haas Unica Pro Medium(120%)

*完璧に近いバランス:Neue Haas Unica Pro Mediumは従属かと思うくらい完璧なバランス!

⑥【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Frutiger LT Std 65 Bold(110%)

*欧文やや太い:欧文やや太めですが、わりと良いバランスだと思います。

⑦【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Helvetica LT Std Bold(115%)

*欧文やや太い:HelveticaもLTのものはちょっと太めです。

⑧【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Helvetica Neue LT Std 65 Medium(115%)

*完璧に近いバランス:こちらのHelvetica Neueはかなり完璧なバランスでした!

⑨【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Myriad Pro Semibold(120%)

*欧文ほんの少し太いが良い感じ:Myriadも良い感じ。

⑩【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Officina Sans ITC Pro Medium(120%)

*完璧に近いバランス:Officina Sansも完璧に近いバランス!数字は游ゴシック従属のものにそっくりですね。

大体のフォントが合成フォントで使えそうですが、やはりUnivers LTは、55 Romanだとやや細くて65 Boldだと太い印象なのでちょっと組み合わせが難しいかと感じました。

2. 游ゴシック体B(Pr6N)と欧文フォントの組み合わせ〈コンデンス体編〉

コンデンス体との組み合わせも調べてみました。〈基本編〉で使えそうな書体のみで試しています。

游ゴシック体B(Pr6N)と欧文フォントの組み合わせ〈コンデンス体編〉
游ゴシック体B(Pr6N)と欧文フォントの組み合わせ〈コンデンス体編〉

⑪【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Univers LT Std 57 Condensed(110%)

*欧文やや細い:やはりUniversは難しいですね。細く見えます。

⑫【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Univers LT Std 67 Bold Condensed(110%)

*欧文結構太い:こちらも、違和感を感じるくらい太いです。

⑬【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Futura Cond (OTF) Medium(120%)

*完璧に近いバランス:太さのバランスはバッチリです。コンデンスの度合いが他のフォントに比べて高く、細長いですね。

⑭【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Frutiger LT Std 67 Bold Condensed(110%)

*完璧に近いバランス:かなりバッチリです。読みやすいのでインフォグラフィックスなどに使えそうな組み合わせ。

⑮【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Helvetica Neue LT Std 67 Medium Condensed(110%)

*完璧に近いバランス:〈基本編〉で完璧だったHelvetica Neueは今回も完璧です。

⑯【漢字・かな】游ゴシック体 Pr6N B 【欧文】Myriad Pro Semibold Condensed(120%)

*欧文ほんの少し太いが良い感じ:欧文がほんの少し太いですが、ほぼ完璧です。

Universは〈基本編〉よりもさらに難しさを感じました。

現状、販売されていないのですが、Neue Haas Unicaのコンデンス体があればそれでも試してみたくなりました。

感想については、あくまでも私の個人的な印象なのですが、游ゴシック体Bで合成フォントを作る際の参考にしていただければと思います。

Header: Willi HeidelbachによるPixabayからの画像

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合成フォント:エムニュースエム L + Discourse Wide Light

合成フォントの組み合わせ研究。

今回はモリサワパスポート搭載の『エムニュースエム』とAdobe Fontsに搭載の『Discourse Wide』を組み合わせて、未来的な印象のフォントを作成します。

完成見本

漢字・かな

エムニュースエム L

モリサワパスポートに搭載のフォント。

毎日新聞社が新聞の本文組用に開発した字面の大きな文字です。

エムニュースエム L | 書体見本 | モリサワのフォント | 株式会社モリサワ
https://www.morisawa.co.jp/fonts/specimen/1169

数字・アルファベット

Discourse Wide Light

Adobe Creative Cloudを契約していると追加料金無しで様々なフォントを使用できるAdobe Fontsに搭載の欧文フォント。

このフォントのWideというウェイトが近未来感があって使用したかったので、まずこの欧文フォントを選び、欧文フォントから逆算して合う日本語フォントとしてエムニュースエムを使用しました。

Discourse | Adobe Fonts
https://fonts.adobe.com/fonts/discourse

設定画面

illustratorの合成フォント設定画面

半角欧文と半角数字に設定したDiscourse Wideはそのままだとエムニュースエムより小さく見えるので「110%」にサイズを拡大します。

上記の設定で作成した合成フォントの書体見本は以下の様になります。

エムニュースエム L + Discourse Wide Light

和文と欧文のフォントが良い具合に調和したと思います。

このままでも良いのですが、もう少し尖った印象にしたいので文字設定ウインドウで「平体80%」に加工します。

文字設定ウインドウ
エムニュースエム L + Discourse Wide Light(平体80%)

これで完成。

なかなか特徴的な合成フォントになりました。

合成フォントのイメージ・キーワード

  • 未来的
  • シャープ
  • スマート

合成フォントの使用シーン・媒体

  • 雑誌の見出し・本文
  • Webサイトやブログのタイトル・見出し
  • フライヤーの見出し

シャープな印象や未来的な印象にしたい時にオススメの組み合わせです。

気になった方は是非お試しください!


合成フォントやフォントの設定についてさらに詳しく知りたい方に、オススメの一冊!

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合成フォント研究002:活字の雰囲気を感じさせる明朝系の組み合わせ

活字の雰囲気を感じさせるデザインにしたい時に作成した合成フォントです。

InDesignでの設定画面は以下の様になっています。

欧数字に使用している Adobe Garamond Pro は、そのままだと和文のフォントより小さく見えるので110%拡大しました。

築地体一号はウェイトが一つしか無いので使い所が難しいのですが、今回は違和感なくハマりました。