2025年の本屋大賞を受賞した話題作『カフネ』。
読み始めたら止まらず、一気に読了しました。とにかく面白い。そして、心に優しく染み入る物語でした。

あらすじ
最愛の弟が急死した。29歳の誕生日を祝ったばかりだった。姉の野宮薫子は遺志に従い弟の元恋人・小野寺せつなと会うことになる。….
魅力的な主人公たち
主人公の薫子とせつなは、どちらも“スパッとした”性格の持ち主。
物言いはハッキリしていて、行動も潔い。そんな彼女たちのやりとりがとにかく魅力的で、ページをめくる手が止まりません。
キャラの立ち方が抜群で、会話のテンポや空気感に引き込まれました。
食と人生の交差点
物語の前半では、せつなが腕をふるう料理の描写が印象的。
ただの料理シーンではなく、丁寧な調理過程や食材の描写が生き生きと描かれていて、読んでいるだけで食欲が刺激されます。
中でも、ある「肉を食べるシーン」は強く印象に残りました。五感をフルに使って描かれていて、臨場感がすごい…!
本作では「食べること」がテーマの中心に据えられており、料理を通して心が癒やされていく様子が丁寧に描かれています。
“料理が人を救う”というメッセージが静かに、しかし力強く伝わってきました。
後半の展開と感動のクライマックス
物語後半では、さりげなく散りばめられていた伏線が回収され、ミステリー的な面白さも加速。
そしてクライマックスの食事シーン——ここは本当に素晴らしかったです。
優しさと愛情が詰まった描写に、自然と涙がこぼれました。
登場人物たちの“生”が響く
主役だけでなく、脇役たちもそれぞれにクセがありながら、皆懸命に生きている。
嫌なキャラクターが一人もおらず、読後感もとても良かったです。
人生の痛みや孤独、再生のきっかけを、静かにそして確かに描いた物語。
2025年の本屋大賞受賞もうなずける、心に残る一冊でした。
こんな人におすすめ
- 美味しいものが好きな人
- 料理に癒されたい人
- 人生に挫折を感じた経験がある人
- 静かな感動に浸りたい人
オススメ度
9.5点(10点満点中)
生きる力をもらえる物語です。ぜひ読んでみてください!

Header: Mansour ObaidiによるPixabayからの画像