渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開当初に観に行きました。
作家自体はこの映画で知ったのですが、作品も、その生き様もとても素敵でした。
ソール・ライターという写真家を知っていますか?1940年代から絵画のように豊かな表現力でニューヨークを撮影したカラー写真の先駆者であり、「ハーパーズ バザー」や「ヴォーグ」など有名ファッション誌の表紙も飾った写真家です。しかし、写真に芸術性よりも商業性が強く求められはじめた80年代、彼は表舞台から姿を消してしまいました。
ところが2006年、写真集で定評のあるドイツのシュタイデル社から、それまで封印されていた個人的な写真などをまとめた初の作品集が出版されると、80歳を超えた”巨匠の再発見”は世界中で熱狂的に迎えられ、今も多くの国で回顧展や出版が続いています。いま、彼の写真が私たちの心に強く響くのはなぜなのか?…
Intro 映画について | 映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』公式サイト http://saulleiter-movie.com/saulleiter-movie.com
この映画で強く印象に残ったのは、以下のポイントです。
- ライターの写真の格好良さ
- 何歳になっても写真と共にある、その生き様
- 大切な人がいて、好きな事が出来ればそれが幸せである
1.ライターの写真の格好良さ
まず、ここに衝撃を受けました。
60年以上前の写真とはとても思えない大胆な構図と鮮やかな色使い。
写真の紹介がメインの映画では無いですが、それでも劇中に彼の写真が映る度に、その素晴らしさに感嘆の声を上げてしまいました。
2.何歳になっても写真と共にある、その生き様
劇中で取材を受けているライターの年齢は80を越えています。
そんな歳でありながらも日々、街中をカメラを持って散策し、時に一人で、時には街の人とコミュニケーションを取りながら写真をシャッターを切り続ける。
彼に取ってはもはや、「写真を撮る」という行為が呼吸と同じく、生きるために欠かせない行為になっているようでした。
劇中で彼が言った「すべてが写真なのだ」という言葉を、正に体現していました。
3.大切な人がいて、好きな事が出来ればそれが幸せである
1980年代に一線から退いてから2006年に再び注目されるまで、ライターは写真界の表舞台からは姿を消していました。
彼は、例え人々から注目されなくても、大切な人がいて、好きな写真が撮れればそれで良い、と写真を撮り続けました。
ライターの奥さんは、彼より先に亡くなっていて、劇中では奥さんの部屋にある遺品を整理しようとするシーンがあります。
基本的には偏屈なおじいさん、という感じなのですが、その時のライターはとても寂しそうで、彼に取って奥さんの存在が如何に大きかったかが伝わってきます。
しかし、ライターはこのスタンスだったからこそ、写真界の流行にとらわれること無く、素晴らしい写真を撮り続けてこられたのだと思います。
映画の完成と同時期に、ライターは亡くなってしまいます。
しかし、この映画を通じて、ソールライターという写真家について、本人の口から語られるその人生と、何歳になろうと変わらない、写真家として生き様を見る事が出来て、とても良かったです。
コメント