市ヶ谷にあるDNP(大日本印刷)が運営する博物館「市谷の杜 本と活字館」へ初めて行ってきました。
文字や紙、印刷に興味があるデザイナーさんに非常におすすめの素晴らしい施設でしたので、感想をご紹介します。

行って良かった点
1. 文字や製本についても知れる点が面白かった
製本器具の実物を見たり、上製本の分解された展示を見ることで、本への知識が深まりました。

2. 本を読めるコーナーが充実
「デザインのひきだし」のバックナンバーが読めるのは非常に良かったです。興味はあっても手に取る機会が少ないので、貴重な体験でした。
3. 充実の企画展
企画展「ようこそ魅惑の書籍用紙の世界」が、今の自分にとてもタイムリーな展示でした。
紙見本を無料でもらえたり、塗工紙や中質紙といった紙の種類を解説してくれるパネルが充実しており、全紙をそのまま展示するなど、頭で理解していたつもりの知識を体感として学べました。

4. 最新技術とレトロな雰囲気の融合
液晶パネルやタッチパネルなど、DNPの技術を活かした展示が素晴らしかったです。レトロな印刷文化と最新技術を同時に体験でき、充実感がありました。

5. リーズナブルな喫茶コーナー
1階にはコーヒーや軽食を販売している喫茶コーナーがありました。コーヒーは160円からとリーズナブルで、飲食スペースも用意されているので、展示の後に一息つけます。

その他、感じたこと
駅からは少し歩く
市ヶ谷駅から徒歩15分ほどで、坂道もあるので少し歩く印象です。ただ、途中には地域ならではの飲食店が並んでいるので、ランチや軽食を楽しむつもりで訪れるのも良いかもしれません。
学生の団体が多かった
平日は社会科見学的な中高生(?)の団体がいくつか見学していました。学生のうちからこのような展示に触れられるのは羨ましいと感じる一方で、活版印刷などの体験系は学生の列ができていて、一人で訪れた私は少し参加しづらい雰囲気でした。次回は、もっとゆっくり見られるタイミングで訪れたいと思います。
「市谷の杜 本と活字館」で学んだこと
- ハードカバーの糸かがり製本
機械を使う場合、糸を複数本使用して製本する。 - 微塗工中質紙の変色リスク
スマッシュやHSハミングなどの微塗工中質紙は変色の可能性がある。
→ 中質紙は全般的に変色しやすいことが分かりました。 - 新宿の「フコクペーパーサロン」
新宿にある「フコクペーパーサロン」という施設では、様々な紙見本が見られるらしい。
→ 今度訪れてみたいです。 - 「デザインのひきだし」50号付録「現代日本の印刷加工大全」がすごい!
→ 本誌より分厚い付録に印刷加工の見本が実物で綴じられており、ぜひ欲しくなりました。
気になった本
館内で見たり、販売されていた本の中で気になったものをまとめておきます。写真をクリックすると購入先に飛びます。
デザインのひきだし50 「現代日本の印刷加工大全」

毎回付録が豪華なデザインのひきだしですが、この号は特にすごかった!ぜひ欲しいです。
各種金銀&濃い墨編 オフセット印刷サンプルBOOK
油性・UVオフセット印刷での各種青金・赤金・銀、その上・下にCMYK印刷、 そこにグロスニス・マットニス・グロスPP・マットPPなどの表面加工テストや 各種濃い墨&マット墨の印刷見本をさまざまな紙に。

金インクや銀インクなどを印刷するとどう見えるか?用紙ごとに実物の印刷見本が収録されており、印刷仕上がりのイメージをつかみやすい!
図書館のための簡単な本の修理

ハンドメイドの本を販売していると、見本にしている本が壊れたり、傷んだりすることが良くあります。直せるなら直したいなぁ、と思う時もあるのでそんな時に役立ちそうな本だと思いました。
その他の館内写真
1F







こちらのインタラクションが非常に面白かったです!文字や製本にまつわる道具がキューブ状になっており、気になる道具のキューブをディスプレイの横に置くと、その道具についての解説が表示されます。


キューブも非常に美しいデザインでした。ただ、タッチパネルをタッチするだけでなく、「キューブを持ってセットする」という体験までデザインされていることを感じました。
非常に記憶に残るサービスです。







製本グッズのコーナー
こちらのコーナーは個人的に非常に興味を惹かれました!



プロの方が使うグッズを知れる点もいいですね。
上の段にはのりなど。瓶に入っているのはキューブ状ののりです。刷毛もいろいろなサイズを使い分けることがわかります。
金属のバットなども、私は持っていないので欲しくなりました。

こちらの商品が気になったので調べてみました。石塚産業のサクラノールというのりのようで、現在でも普通に買えるみたいです。
石塚産業 サクラノール V-4000L 18kg | 洗浄剤などケミカル製品の開発・販売【株式会社 東洋化学商会】 https://www.tksc.jp/shop/products/detail.php?product_id=385
本文と表紙を合体させる時に使うもののようです。

こちらのタブレット状ののりはホットメルトと呼ばれる種類のものだと思います。
熱で溶ける性質があり、背固めなどに使われます。




糸かがり製本をする機械。初めて見ました!自分はこの機械がやるような作業を手でやっているんだなぁ….。と手製本への感慨も深まります。














2F
企画展「ようこそ魅惑の書籍用紙の世界」

たくさんの書籍用紙が積み上げられています。一枚づつ貰うことができ、最後にまとめて製本してくれるというサービス。これはやるしか無いですね!

天井から幕の様に吊るされている用紙。大きいサイズで見ると柔らかさなどの違いが伝わります。











2階には企画展のほか、印刷機の展示や実演、グッズのショップなどがありました。


活版印刷機は体験もできます。












写真映えもしそうな素敵な場所だったので、次回は一眼レフカメラを持参して再訪したいと思います。
マップと会場情報
市谷の杜 本と活字館
〒162-8001 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1−1