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インデックス投資のバイブル「ウォール街のランダム・ウォーカー」を読了。NISAやiDeCoに興味を持った投資初心者にオススメの一冊!
「ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版> 株式投資の不滅の真理」という本を読みました。投資、それもインデックス投資のバイブルと呼ばれている本です。
ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版> 株式投資の不滅の真理 (日本経済新聞出版)
前々から興味があったのですが、たまたまAmazonでKindle版が50%ポイント還元になっていたので思い切って買ってみました。
本書に興味を持ったきっかけ
もともと、本書を知ったきっかけは、昨年のことです。世の中でNISAやiDeCoが話題になってきて「自分も検討したほうがいいのかな」と思いつつも、どうやって勉強したらいいか分からず、困っていました。
「できないのはあなたのせいじゃない―ブレインロック解除で潜在能力が目覚める」勝間 和代(著)
当時読んでいた勝間和代さんの「できないのはあなたのせいじゃない―ブレインロック解除で潜在能力が目覚める」という著書の中で「インデックス投資がおすすめ」と書かれており、勝間さんによると、「ほったらかし投資術」という本が投資初心者におすすめ、と書かれていました。
「ほったらかし投資術」山崎元(著), 水瀬ケンイチ(著)
そこで「ほったらかし投資術」を購入して、読んでみたところ、非常にわかりやすく、自分でも日常で実践できそうな投資の考え方、方法が書いてありました。
「ウォール街のランダム・ウォーカー」は「ほったらかし投資術」の中で著者の山崎元さんが、ご自身の投資のバイブル、として挙げていた本です。
「ほったらかし投資術」を参考にNISAとiDecoをインデックス投資で初めて一年ほど経ちました。やはり、もっと深く投資について勉強したいと思い、「ウォール街のランダム・ウォーカー」を読むことにしました。
Kindle版だと厚い本も読みやすい
書籍だと厚い本ですがKindle版だと、スマホにダウンロードしておけば出先でもいつでも読めるので、通勤中やちょっとした空き時間などに気軽に読み進めることができました。
本の詳細な内容については、ぜひ読んでいただきたいのですが、簡単に感想を書きたいと思います。
「ランダム・ウォーカー」とは?
書名に入っている「ランダム・ウォーカー」とは酔っ払いの足取りのことを指すそうです。
道路の真ん中に立たせた酔っ払いが1秒後にどういう行動を取るか?家に帰るために駅に向かうかもしれませんし、その場に座り込むかもしれませんし、思いもよらない方向に走り出すかもしれません。
著者のバートン・マルキールは株価の動きを、酔っ払いの足取りのように予想がつかないもの、として捉えました。
- 将来の株価の動きは、過去と全く関係なく動くことがあるため、本質的には予測不可能である。
- 株価に大きな影響を及ぼす社会的な事象(ニュースなど)は突然、ランダムに降り掛かってくる。
本書では、「未来の株価は誰にも予想がつかない」という事を様々な実験や、過去の事例を元に述べています。
インデックス投資について
本書でおすすめされているインデックス投資とは、TOPIX(東証株価指数)やS&P500といった代表的な株価指数に連動する投資を目指すインデックス・ファンドを購入する投資のことです。
その市場を構成されている複数の銘柄がパッケージ化されたファンド(投資信託)であるため、個別の株を買うよりも価格変動のリスクに強い、ということが書かれています。
また、多くの人が購入するため、管理手数料も他のアクティブファンド(投資会社のファンドマネージャーが独自に組み合わせたもの)よりも低価格に設定されていることが多いです。
本書では、このインデックス投資がどれほど良いのか、ということが様々な実例を元に述べられています。
本の内容(1)ー人類の歴史
個人的には本の前半に書かれている、過去の歴史の話が非常に興味深く、勉強になりました。
17世紀のオランダで起きたチューリップ・バブルから、近年のビットコインのバブルまで、私達人類がいかにバブルとその崩壊の繰り返しに踊らされてきたか、という実例がこれでもか、と書かれています。
チューリップ・バブル(蘭: Tulpenmanie、 Tulpomanie、 Tulpenwoede、 Tulpengekte、 bollengekte。英: Tulip mania、Tulipomania、チューリップ狂時代とも)は、オランダ黄金時代のネーデルラント連邦共和国において、当時オスマン帝国からもたらされたばかりであったチューリップ球根の価格が異常に高騰し、突然に下降した期間を指す。
チューリップ・バブル, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%96%E3%83%AB#cite_note-6 (2023/08/04アクセス)
歴史を学ぶことの重要性を改めて痛感させられます。
本の内容(2)ーインデックス投資の優れている箇所
そして本書の中盤では、ファンドマネージャーによる運用と、市場平均であるインデックスによる運用が結果においては大差がない(時にはインデックス運用の方が勝る)ということが様々な実験を元に書かれています。
このあたりは、個別株で大きく利益を上げている方や、ファンドマネージャーの方には不満を感じる内容かもしれません。ただ、かなり論理的に書かれているとは思うので、否定派の方にもぜひ読んでみていただきたいです。
本の内容(3)ーライフステージ毎の資産ポートフォリオの組み方
そして、後半では、年齢など人生のステージにおいて、実際にどのように資産ポートフォリオを組めば良いか、アドバイスが書かれています。この辺りは著者が住まうアメリカならではの制度なども出てくるので、日本で暮らす方にとってはポートフォリオの作り方は「ほったらかし投資術」の方が参考になるかもしれません。
まとめ
「ウォール街のランダム・ウォーカー」は、1973年に初版が出てから、私が購入した第13版まで、時代に合わせて改訂が続いている株式投資の名著です。
普遍的な内容だけでなく、近年の出来事までしっかりと織り込まれているので、非常に勉強になりました。
私のような投資初心者で、インデックス投資やNISA、iDeCoに興味がある方にはぜひ読んでいただきたい内容です。
ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版> 株式投資の不滅の真理 (日本経済新聞出版)
モダンデザインとタイポグラフィーを学ぶ:スイス・スタイルのグラフィックデザイナー達の著書
1950年代から60年代にかけて興った、スイス・スタイルのグラフィックデザインは、モダンデザインの基礎をつくり、グリッドシステムやHelveticaなどのサンセリフ書体など、現代のデザインにも大きな影響を与えています。
そして、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンやアーミン・ホフマン、カール・ゲルストナーなど、スイス・スタイルの時代に活躍したグラフィックデザイナー達は、デザイナーの仕事と並行して、デザイン学校で講師もおこなっていました。彼らは自らのデザイン理論を書籍にまとめています。
今回の記事では、スイス・スタイルのグラフィックデザイナー達による著書をご紹介します。
スイス・スタイルのグラフィックデザインとは?
スイス・スタイルのグラフィックデザインは、国際タイポグラフィー様式(International Typographic Style)とも呼ばれています。1950年代から1960年代にかけてスイスで生まれました。
その特徴は、グラフィックデザインに対するクリーンでミニマル、そして高度に構造化されたアプローチにあります。スイス・スタイルでは、明快さ、読みやすさ、客観性を優先し、グリッドシステム、サンセリフ書体、視覚的なレイヤーを重視しています。
また、スイス・スタイルのデザイナーたちは、わかりやすく効率的な方法で情報を伝えようとし、左右非対称のレイアウトや限定されたカラーを使用しました。
このムーブメントは、世界中のグラフィックデザインに多大な影響を与え、今日まで続くモダンデザインの原則を形成しています。
スイス・スタイルのグラフィックデザイナー達の著書
スイス・スタイルのグラフィックデザイナー達の著書をご紹介します。日本語版がある場合、基本的にはそちらをメインで紹介します。
グリッドシステム グラフィックデザインのために
ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン(著)、白井 敬尚(監修)、古賀 稔章(翻訳)
『Grid systems in graphic design』は、スイスのグラフィックデザイナーであり教育者であるヨゼフ・ミューラー=ブロックマン(Josef Müller-Brockmann)(1914-96)の主著であり、本書はその全訳です。
この本は、古代から現代までのヴィジュアルコミュニケーションの歴史的な視点から、グリッドシステムの方法と思想を豊富な具体例とともにわかりやすく解説し、グラフィックデザインの基本書としてデザイナーやタイポグラファだけでなく、デザインを学びたい全ての人々に向けて刊行されました。
Graphic Design Manual: Principles and Practice(英語版)
Armin Hofmann(著)
アーミン・ホフマンの作品は、点、線、形といったグラフィック・フォルムの基本要素に頼りながら、多様なバリエーションを生み出すことで高く評価されています。
この本は、グラフィックデザインの課題に対する方法論的なアプローチを提供する画期的な試みであり、イメージと形の要素は、それぞれの特有の法則に基づいて分析され、探求されています。
本書は1965年に出版されたデザイン・マニュアルの完全改訂版で、彼の考えを現代の技術的な応用に適応させた新しいセクションが追加されています。
明快でミニマルな幾何学的な形やパターンに回帰する時代において、彼の豊富な作品は、現代デザイン実践のための理想的なスタートポイントとなります。
タイポグラフィ─タイポグラフィ的造形の手引き
エミール・ルーダー(著)、ヘルムート・シュミット(監修)、岡本 淳(編集)、ニコール・シュミット(その他)、白井 敬尚(その他)、スミ・シュミット(翻訳)
この本は、1967年にニグリ社から発売され、エミール・ルーダー(Emil Ruder)の教育と実践から得られた創造的なタイポグラフィに関する知識がまとめられています。
その方法論は、半世紀以上経った現在でも世界中のグラフィックデザイナーやタイポグラファーにとって重要な考え方として参考にされ続けています。
この本は、総合的な章立て、説得力のある論証、豊富な図版、的確な解説によって高い完成度を示しています。また、掲載されている図版は単なる参考図ではなく、著者の洞察と哲学に基づいて選ばれ、構成されたものです。
これらの要素が、本書を単なる「技法書」を超えた名著として特別な存在にしています。
刊行から半世紀以上経ちながらも何度も改訂され、数カ国語に翻訳されながら世界中で読まれ続けていました。そして、ルーダーの精神を受け継いだヘルムート・シュミットが、生前に日本語版の構想を進めていたことから、この翻訳刊行が実現しました。
アシンメトリック・タイポグラフィ
ヤン・チヒョルト(著)、渡邉 翔(翻訳)
ドイツの書家、タイポグラファー、ブックデザイナーであるヤン・チヒョルト(Jan Tschichold)の著書。
この書籍は、活字の選択や組版の理論から始まり、色や紙の効果的な使い方にまで及ぶ、タイポグラフィと書物形成の基本的な原則を明快に解説しています。
その内容は今日でも有効であり、世紀を超えて読み継がれる不朽の書となっています。
デザイニング・プログラム
カール・ゲルストナー(著)、永原康史(監訳)(その他)、ヤーン・フォルネル(翻訳)
問題の解決ではなく、解決のためのアプローチを重視すると主張したスイス派の伝説的なデザイナー、カール・ゲルストナーの設計方法論。
彼の名著が新たな訳で復刊されました。
カール・ゲルストナー(Karl Gerstner)は、体系的かつプログラム的な思考をグラフィックデザインとアートに応用し、その考え方を先駆的に表現しました。
彼はグラフィックデザイナーとしても成功し、IBM、フォルクスワーゲン、スイス航空などのクライアントを持つ広告代理店の共同経営者でもありました。
彼のアプローチは個々の問題の解決策を追求するのではなく、解決のためのプログラムをデザインすることにあります。
この本では具体的な解説を通じて、デザインプログラムの概念が探求されています。現代デザインに興味を持つ人々にとって、非常に実践的な入門書となることでしょう。
図説 サインとシンボル
アドリアン・フルティガー(著)、小泉 均(監修)、越 朋彦(翻訳)
モダン・タイポグラフィの名匠、アドリアン・フルティガー(Adrian Frutiger)による「記号の形態学」は、長年の経験と研究を経て完成されました。
本書では、視覚的なサインとシンボルが人間の思考の重要な手段であり、伝達の本質であることを、多様な実例を交えて詳しく説明しています。
フルティガー自身による2500点以上の手書きイラストが収録されており、それぞれが魅力的で興味を引くものです。
古代の象形文字や中世の錬金術のサインから現代の企業ロゴまで、彼は世界中のグラフィック文化からエッセンスを取り出し、自在に論じています。
この本は、アートやグラフィックデザイン、装飾の分野だけでなく、文字の歴史、記号論、視覚文化全般、イメージの解釈に興味を持つすべての方にとって必読の書となっています。
まとめ
近年、スイス・スタイルのグラフィックデザイナー達の著書が日本語訳されたり、復刊されることが増えてきました。
電子書籍になっているものもあるので、気になった本があれば是非読んでみてください。
他にもオススメのスイス・スタイルのグラフィックデザイナー達の著書がありましたら、コメント欄などで教えていただけると嬉しいです。
これまでのグラフィックデザイナー人生において、私が非常に影響を受けた3冊の本
今回の記事ではこちらのお題に答えます。
影響を受けた本を3冊挙げてください。 なぜですか ?
私のこれまでのグラフィックデザイナー人生において、非常に影響を受けた3冊の本をご紹介します。
1.構成的ポスターの研究―バウハウスからスイス派の巨匠へ

ポスター共同研究会(著/文), ポスター共同研究会・多摩美術大学(著/文), 多摩美術大学ポスター共同研究会(著/文)
ISBN: 978-4-8055-0413-0 283頁
発行: 中央公論美術
奥付の初版発行年月: 2001-11
美術大学を目指して浪人している時に買ったポスターデザインの作品集です。
受験の勉強のためという事もありましたが、物事を抽象化して表現するする、とはこういうことなのか、と刺激を受けました。
ただ作品を掲載しているだけでなく、構成(コンポジション)やモチーフ、色などについても指針を作って分類、研究している本なので、ポスターデザインについて論理的に学ぶことができました。
当時の私にとっては金額的にかなり背伸びして買った本ですが、印刷も非常に美しく、今でも大切にしています。
その後の自分の好きなグラフィックデザインの傾向にかなり影響を与えた本です。
2.RE DESIGN―日常の21世紀

竹尾【編】/原 研哉/日本デザインセンター原デザイン研究所【企画・構成】
朝日新聞出版(2000/04発売)
サイズ A5判/ページ数 237p/高さ 23cm
商品コード 9784022574954
紙の商社、竹尾が主催するイベント『竹尾ペーパーショー』の展示をまとめた本です。
グラフィックデザイナー・アートディレクターの原研哉さんディレクションによる『RE DESIGN』という企画展。
トイレットペーパーやゴキブリホイホイ、マッチや出入国スタンプなど、私たちの生活の中で見慣れたプロダクトが、一流デザイナーの手によってリ・デザインされる企画。
まず、リ・デザインという考え方が衝撃的でした。さらに姿を変えたそれぞれのプロダクトは斬新なアイデアと美しさに満ちており、非常にインスパイアを受けました。
特に印象に残っているのは、プロダクトデザイナー、深澤直人氏による、まるでフルーツの表皮のようなジュースのパッケージデザインです。
また、造本のデザインも非常に美しいです。
写真をふんだんに使い、グリッドシステムによってレイアウトされた誌面は、平面の中にレイヤーを感じさせるデザインでした。綺麗に見える写真の撮り方も非常に参考になります。
そして、ブックデザインは、紙でできているにも関わらず、彫刻の様な存在感がありました。
本というのは立体のオブジェクトなのだと、この本のデザインで気づかされました。
プロジェクトのまとめ方の参考書として、今見ても非常に多くの発見があります。
3.デザイン解体新書

工藤 強勝(監修) ISBN: 978-4-948759-91-6 271頁 発行: ワークスコーポレーション 奥付の初版発行年月: 2006-03
本ブログでも何度が触れていますが、私が勤めていたデザイン事務所「デザイン実験室」の工藤強勝さんの著書。
工藤さんはご自身ではパソコンを使わず、写植の時代から使われていた「指定紙」というデザインの指示書を作成し、それを私達スタッフがデジタル化する、というデザインの方法を取っていました。
工藤さんのデザインのエッセンスが詰まった指定紙を惜しみなく公開し、本人による解説が書かれた贅沢な本。エディトリアルデザインやブックデザインをする方に取っては必読と言っても過言ではない本だと思います。
私は、工藤さんの事務所に勤める前からこの本を持っていたのですが、入社してから、先輩についていこうと必死でこの本を読みました。なので、家にある本書はカバーも無いですし、線を引いたりページを折ったりして使い込まれた感じになっています。
それでも耐久性が出るようにと、のデザイン設計により本書は糸かがり綴じ(糊ではなく糸での製本)になっているため、ページが取れたりすることはありません。
恐らく私が人生で一番集中して読んだデザインの本です。
まとめ
今回ご紹介した3冊の本は、掲載されているデザインが素晴らしいことに加えて、時代が変わっても色褪せない普遍的なデザインの考え方が書かれています。
イメージをパッと形に変えるデザイン大全/仕事でバリバリ使えるデザイン本でした!
最近読んで良かったデザインの本がこちら
イメージをパッと形に変えるデザイン大全/尾沢早飛(著)
「若者向け」「女性向け」「ピュア」「ミステリアス」など、テイスト毎にどのようなデザインをするべきか、ということが紹介されている本です。
色使いや、フォント選び、などのポイントでまとめられているので、仕事で使える実践性があります!
本のための作例と併せて、筆者の尾沢早飛(cornea design)さんが実際にお仕事で作られたデザインの実例も掲載されているので、よりわかりやすかったです。
こういった本は、本のための作例だけでなく、実例が掲載されているとグッと説得力が上がりますよね。
長く仕事をしていると「自分のデザインテイスト」のようなものが変に固まってきてしまうのでこの本を読んで、トレンドなどを取り入れつつ、自分のデザインをチューンナップしていきたいと思いました。
私が本書を読んで、早速使ったのが「若者向け」のデザインのTips。
自分が若者でなくなってしまったので、とても参考になりました(笑)
もちろん、お仕事をはじめたばかりの新人のデザイナーさんにもオススメできる一冊です!