[読書感想]『新版 大学4年間のマーケティング見るだけノート』|たっぷり描かれたイラスト、難解なマーケティング理論やフレームワークを学べるオススメの一冊!

平野敦士カールさんが監修を務めるマーケティングの参考書『新版 大学4年間のマーケティング見るだけノート』を購入しました。

購入した動機

学校でデザイナーの視点でマーケティングを教える講師をしているので、自分自身の勉強のために買いました。

以前の版の本を持っていたのですが、かなり分かりやすく、愛読していたので新版が出たと知り、早速購入して読んでいます。

◎オススメできる点

マーケティングの考え方や、STP、4P、SWOT、PEST、など、様々なフレームワークについて、イラストをたっぷり使って解説がされています。
ほぼ、イラスト集といっていいくらい、絵がたくさんあって非常に理解がしやすいです。
また、イラストのテイストも親しみやすく、ターゲットを選ばない感じなので様々な人にオススメできます。

新版となり、紹介されている商品やサービスの事例も時代に合わせて更新されています。

△惜しい点

ほとんどありませんが、イラストがメインなので、より詳細に理論などを知りたい方は、フィリップ・コトラーの本などを読んだほうが良いと思います。

まとめ

マーケティングを学んだり、興味を持っている若者はもちろんのこと、個人事業主や起業家など、マーケティング理論が必要になる多くの方にオススメの一冊です!

新版 大学4年間のマーケティング見るだけノート(単行本)

満足度(100点満点

98点

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THE LAST SUMMIT |手作り本の製本手順(2024年5月版)

私のアーティストブック、「THE LAST SUMMIT」の製本手順を、以前本ブログに書いた時から更新したので、2024年版としてメモしておきます。

かなり特殊な、斜めに折る製本の手順ですが、本作りしている方の参考になればと思います。

主に本文ページの製本手順なので、カバーはできている前提です。

I have updated the binding procedures for my artist book, “THE LAST SUMMIT”, since I previously wrote about it on this blog, so I am making a note of them here for the 2024 version.

These are fairly unique binding procedures that involve folding diagonally, but I hope they will be helpful for anyone making a book.

These are mainly binding procedures for the main text pages, so it is assumed that the cover is already in place.

1. センタートンボで折り筋をつける

折り筋入れを一番はじめにおこないます。折り筋を入れる際は丸鉄筆を使っています。

丸鉄筆だと、厚めの紙にもしっかりと折り筋を入れることができ、先が丸いことから紙が切れたりすることも無いので使いやすいです。

2.天地をトンボで切り落とす

天地のトンボをカッターナイフで切り落とします。

3.折り筋に沿って折る

1.で入れた折り筋に沿って、ヘラを使って折っていきます。

4.糸を通す穴を開ける

千枚通しで穴を開けます。

5.扉と奥付を見返しに糊で接着する

ここではスティックのりを使っています。

表/裏の見返しを扉と奥付に接着します。接着した後でこの折にも穴を開けます。

6.折丁の順番を整える

順番を間違えないようにデータに通し番号を振って印刷しています。

7.糸かがり綴じで折丁を縫っていく

リンクステッチという縫い方で縫っています。

針はカーブ針が使いやすいのでこれを使っています。絡まった糸をほどく時も使うので4本くらいあると便利です。

糸はこちらのダルマ糸を使用しています。

糸には蝋引き用のワックスをつけてから縫います。

8.台紙を使い、小口をカッターで切り落とす

私の本は、半折丁ごとに小口を切る必要があるので、この段階で小口をカッターで切ります。

9.背を糊付けする(背固め)

MDF板で束を挟み万力で固定。

背を製本用の強力な糊で接着します。

10.カバーを接着する

カバーは、フエキノリと木工ボンドを水で溶いたオリジナルの糊で接着します。

その後、MDF版で挟んで1日ほど置いておきます。

11.完成

これで完成。

Audible(オーディブル)を半年間契約している私が、オーディオブックの魅力とイチオシの小説をご紹介します!― 逢坂冬馬、朝井リョウ、川上未映子、早見和真、凪良ゆう、など

Amazonが提供するオーディオブックサービス、Audible(オーディブル)は、本を読みたいけれど時間がない人や移動中に“ながら”で本を楽しみたい人にとって、革命を起こしています。

今回の記事では、Audibleのサブスクリプションを半年間継続している私が、その素晴らしさについてご紹介していきます。

Audibleとは?

Audibleは、プロのナレーターが朗読した本をアプリで聴けるサービスです。移動中や作業中など、いつでもどこでも読書ができ、オフライン再生も可能です。

https://www.audible.co.jp/ep/audiobook?source_code=GPSSRCHALLW0710150001&ipRedirectOverride=true&gclid=Cj0KCQjwqpSwBhClARIsADlZ_Tm_yRqS7UIcq7-MbhGui042uvelO8bpieqLJASt86z2q-OfhGWFQggaAteqEALw_wcB&gclsrc=aw.ds

月会費1500円で聴き放題。初めての方には30日間の無料体験があります。

Audibleの無料体験はこちらから↑

Audibleの魅力

ナレーションの魅力

Audibleの最大の魅力は、ナレーションによるストーリーテリングの体験です。プロのナレーターや俳優・声優が物語を生き生きと演じることで、物語がよりリアルで感情的になります。これにより、読者は物語に非常に没入しやすくなります。

多様なジャンルと選択肢

Audibleには、小説、自己啓発書、ビジネス書、歴史書など、さまざまなジャンルの本が豊富に揃っています。さらに、古典文学やベストセラーから、未知の著者の作品まで、多くの選択肢があります。

文芸作品から自己啓発、金融・経済まで、多彩なジャンルの本が揃っています

移動中や家事の合間など、隙間時間に活用できる

Audibleは、通勤やジョギング、家事の合間など、普段の生活の中で手軽に楽しむことができます。本を読む時間がないと感じる人にとって、この便利さは特に魅力的です。

実際に私も、通勤時間、PCでのデザイン作業中、ジムでのトレーニング中、料理や掃除を始めとした家事の最中など、様々な時間でAudibleの物語を楽しんでいます。
通常の本の場合は、買っても読む時間が無かったりする場合、積読になりがちですが、Audibleは耳さえ空いていれば楽しめるので、気になったコンテンツを”ながら”で楽しむことができます。

広告が入らない

耳で楽しむ、という意味ではラジオなども近いですが、ラジオの視聴だと随所に広告が入るのが結構気になっていました。

Audibleは広告が入らないので、集中して聴くことができます。

ダウンロードして読むことができる

携帯端末にダウンロードをして読む(聴く)ことができるので、ネットワークのないオフライン環境でも読書を楽しむことができます。

比較的新しい話題作を楽しめる

本屋大賞受賞作品など、比較的近年の受賞作品がすぐに登録されるので、新しい話題作を読むことができます。

また、映画放映中の作品の原作などもプッシュされているので、オーディブルで原作を聴いて、映画を見ることでより作品を楽しむことができます。

本屋大賞や直木賞・芥川賞受賞作品などが豊富に揃っています

聴覚を使った新しい学びの方法

Audibleは、視覚に頼らずに聴覚を使って情報を取り込むことができるため、新しい学びの方法としても注目されています。通勤中や運動中に学びたいと思っている人にとって、理想的な学習ツールです。

英語を始めとした外国語でナレーションをしている作品を集めたページ。語学の勉強になります

著名人や著名な声優によるナレーション

一部のAudibleには、著名な声優や著名人によるナレーションがあります。彼らの独特の声や表現力によって、物語がさらに深みを増すことがあります。

湊かなえ『未来』こちらの作品は俳優の、のんさんが朗読しています

Audibleの短所

長所はそのまま短所になることが多いのですが、不便を感じる点も書いておきます。

ダウンロードにひと手間かかる

新しい作品をいつでも読みたければ、Wi-Fi環境でダウンロードすることが推奨されます。

忘れて出先でダウンロードをおこなおうとすると、モバイル通信の通信量を結構消費するので、やや煩わしいです。

寝落ちすると読み返すのが大変

電車などで聴いていて、寝落ちしてしまうと、そのまま内容が進んでしまいます。

本と違ってページ数が振られているわけでは無いので、寝る前に読んでいた部分まで戻るのがちょっと大変です。

ナレーションが作品の良さを左右する

本なのでもちろんコンテンツありきではありますが、ナレーションが作品の良さの半分くらいを占めていることも事実です。

例えば、自分が好きな物語であっても、ナレーションが好きな感じでない場合、作品全体の印象が“惜しい”感じになってしまいます。

耳が疲れる

これは、紙や電子の本であればずっと読んでいると目が疲れると思いますが、Audibleも同様で、面白いからと行ってずっと聴いているとやはり耳が疲れてきます。

適度な休憩は必要ですね。

私のAudibleイチオシ作品

私のイチオシ作品をご紹介します。商品リンクはAmazonのボタンをクリックすると商品ページにAudible版のリンクが記載されています。

同志少女よ、敵を撃て|逢坂 冬馬(著)

第二次大戦中、旧ソ連軍の女性狙撃兵セラフィマと仲間たちの壮絶な戦いを通して、女性にとっての戦争を描く大作。

史実を元にした緊迫感のある内容と、セラフィマの仲間の狙撃兵のキャラクター描写がとても魅力的で引き込まれます。

こちらの記事で詳細な感想を書いています

正欲|朝井リョウ(著)

様々な登場人物の視点を通して、性欲や、性的志向、その正しさとは何か?を問いかける作品。

Audible版はナレーターさんの数も多くて、大作映画を観ているような体験ができます。

初めはそれぞれの登場人物たちは全く関係ないストーリーを歩んでいるように見えるのですが終盤になるにつれてストーリーが絡み合い伏線を回収する様は圧巻です。

こちらの記事で詳細な感想を書いています

黄色い家|川上未映子(著)

事情を抱えながらも共同生活をする女性たちが主役の物語。

女性の貧困問題を、実際に夜の仕事をしていた著者ならではの視点で濃密に描いています。

壮絶な出来事が起きているのですが、どこかユーモアを感じる描写なので、エンターテイメントとしても楽しみながら読めます。

ナレーションも非常に上手です!

こちらの記事で詳細な感想を書いています

店長がバカすぎて|早見和真(著)

書店で働く主人公が、どこか抜けている店長に振り回されるコメディ作品。

軽快なノリで、ナレーションも明るい声なのでAudible入門に相応しい作品です。

ギャグ多めですが、登場人物達が本や書店への想いを語るシーンは非常にグッときます。

汝、星のごとく|凪良ゆう(著)

離島生まれの2人の主人公の人生を描いた作品。人気の作家の代表作ともいえる作品です。

主人公達に押し寄せる苦難がとにかく壮絶で、読んでいて胸が苦しくなります。

ただその長い苦しみのストーリーの果てに本のタイトルである「汝、星のごとく」という言葉を回収するシーンは素晴らしいカタルシスがありました。

こちらの記事で詳細な感想を書いています

ザリガニの鳴くところ|ディーリア・オーエンズ(著)

海外作家による小説は、私はこれまで食わず嫌いなところがあったのですが、Audibleのナレーションだと、隙間時間に物語を楽しむことができました。

アメリカ南部の街で起きた殺人事件。容疑者とされたのは、社会から断絶された「湿地の少女」と呼ばれる女性でした。

ホワイトトラッシュと呼ばれるアメリカ南部の貧困階層に目を向けた物語。

主人公・カイアの置かれた境遇の辛さと、湿地の自然の美しさの対比が感傷に訴える、名作です。

こちらの記事で詳細な感想を書いています

デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士|丸山正樹(著)

聾の方が事件に巻き込まれた際に、法定で手話で通訳をする手話通訳士の物語。

タイトルにもあるデフ・ヴォイスとは聾の方が発する音なのですが、それがAudibleではしっかりと音として聴くことができます。

「聴く読書」であるAudibleの特徴を最大限に発揮した物語です。

手話の世界を知ることもできるので非常に勉強になります。

こちらの記事で詳細な感想を書いています

以上です。

どの作品も非常に面白く、聴き進めることが止まらなくなりました。

Audibleは、本を読む時間がない人々や、新しい学びの方法を探している人々にとって、素晴らしい選択肢です。

ナレーションの魅力や多様な選択肢、隙間時間に活用できる利便性など、さまざまな魅力が詰まっています。ぜひ、Audibleを通じて新しい世界を発見してみてください。

Audibleには30日間の無料体験があります!

Audibleの無料体験はこちらから↑

[読書感想]「ザリガニの鳴くところ」ディーリア・オーエンズ|家族に捨てられ孤独に生きる”湿地の少女”を通して描く自然と人間の悲喜

ディーリア・オーエンズ による小説「ザリガニの鳴くところ」をAudibleで読みました。

ザリガニの鳴くところ

感想をご紹介します。

Audible」は無料体験を実施しています!

あらすじ

ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。
6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。
読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。
以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。
しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と交錯するとき、物語は予想を超える結末へ──。

Amazonより

面白かったポイント

自然の美しさが伝わる情景描写

主人公のカイアは、周りの人間に見捨てられて湿地で一人で暮らしています。

その生活は孤独そのものなのですが、木々や動物など人間以外のたくさんの生き物と共にその殆どの時間を過ごしています。

過酷な状況に置かれているのですが、湿地の自然や生き物の描写がとても素晴らしく、美しさを感じてしまいました。

著者のオーウェンズは、本作で作家としてデビューするまでは生物学の博士号を持っている研究者であるため、動植物の生態が非常に詳細に書かれています。物語にも大きく関わる要素でもあり、本作の特徴となっています。

様々な差別の構造を描いている

主人公のカイアは「(ホワイト)トラッシュ」とも呼ばれるアメリカの低所得者層の白人です。

見捨てられて湿地で暮らすことから、外の人間からバカにされ、蔑まれています。

学校に行っても当然いじめられるため、勉強して良い学校に入って豊かになる、という道も閉ざされてしまっています。

また、カイアの母親やカイヤ自身は、女性であるということから強者の男性から差別・虐待を受けます。この描写は著者が女性であることからも非常にリアリティのある描き方になっています。

また、カイア以外にも白人と黒人の人種差別についての描写も登場します。

この様に社会に存在する様々な差別の構造をストーリーに取り入れています。

カイアが自分の力を発揮し、報われる

基本的に、カイアは常につらい状況にあるのですが、中盤以降、自分のこれまでの湿地での暮らしと、彼女を大切に思う幼馴染・テイトの尽力を経て、彼女の能力が社会的に認められます。

逆転劇とも言える成功のシーンは、読者としても安心します。

裁判と事件の顛末

街の人気者でカイアと噂のあったチェイスの死亡事件。

被疑者となり逮捕されたカイアが、外部の人間を拒絶しつつ臨む裁判のシークエンスはとても緊張感がありました。

カイアの結末が気になり、このあたりから最後まで一気に聴いてしまいました。

そして事件の顛末と、アマンダ・ハミルトンの詩の意味、、、。

最後まではっとさせられる物語でした。

惜しい点

終盤まで、カイアの生まれてからこれまでの成長のストーリーと、チェイスの死亡事件の捜査のストーリー、異なる時間軸が章ごとに交互に展開されていくのですが、Audibleだからかもしれませんが、ちょっと混乱してしまいました。

まとめ

海外の作家の小説をしっかりと読んだのはかなり久しぶりだったのですが、とても様々な問題を定期している内容で、考えさせられました。

自然の中で生きる事も、人間社会で生きる事も、種類は違えど、喜びと試練が共存しているのだと教えられました。

満足度

87点/100点満点中

ザリガニの鳴くところ

Audible」は無料体験を実施しています!

映画版

本作は2022年に映画にもなっているようです。

Amazon Prime Videoにも入っていたので近々観てみたいと思います。

Amazon.co.jp: ザリガニの鳴くところを観る | Prime Video
https://amzn.to/4b61qBR

Header: Bruno MüllerによるPixabayからの画像

[読書感想]「汝、星のごとく」凪良 ゆう|閉鎖的な人生を打破しようと足掻く、二人の創作者の物語

凪良 ゆうさんの小説「汝、星のごとく」をAudibleで読みました。
感想をご紹介します。

あらすじ

その愛は、あまりにも切ない。
正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。
本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。
ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。
風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。
ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。

Amazon.co.jp: 汝、星のごとく 電子書籍: 凪良ゆう: Kindleストア

エグいバクマン

主人公の一人、櫂は漫画原作者として成功して島を出て東京で暮らします。
その過程で都会やビジネス、出会う人やお金によって変わっていきます。
昔人気だった、漫画家を描いた少年漫画「バクマン」をよりリアルに、救いようがない感じにした作品だと思いました。

暗い描写が長く続く

二人の主人公、特に暁海の方にはひたすら悲惨な展開が訪れます。
その展開が長いので、真綿でじわじわと首を絞められる感じで、途中は読んでいてかなり重い気持ちになりました

登場人物にヘイトが集まったところでバチが当たる展開

本作はどんな登場人物をも、善としても悪としても描いていないので、良いことが続き、調子に乗っていたキャラクターに対して読者がだんだん嫌な印象になってきたところで天罰のように落とす展開が入ります。

サブキャラに共感

主人公2人と先生は物語上バフがかかってる印象があり、結構ファンタジック(ご都合主義?)とも言える出来事が起こります。
それよりも、暁海と櫂の親や、櫂の相棒の漫画家、編集の人や暁海の刺繍の先生(瞳子さん)などには、わりとリアリティがある感じで、成功や苦難が訪れるので、私はサブキャラクターの方により共感をしました。

物語の終わり方の難しさ

途中まで、衝撃的な展開の連続でかなり物語の風呂敷を広げていくので「この話はどうやって終わるのだろうか?」と不安になるのですが、後半になるにつれて、良い意味でも悪い意味でも物語が収束していくので、最後はうまくまとめた、という印象になりました。
何が正解か、は作者が決めれば良いと思うのですが、物語の終わり方って難しいと感じました。
ですが、「汝、星のごとく」という本作のタイトルを最後に回収するシーンがあるのですが、そこは非常に良くて、鳥肌が立ちました

一番印象に残ったシーン

本作で一番印象に残ったのは、暁海が閉鎖的な島の生活の中で刺繍と出会い、雑誌に掲載されていたパリのメゾンに想いを馳せるシーンです。
私の頭の中に、その情景が浮かんで、アート(作品制作)によって閉鎖的な自分の人生が変わり、世界と繋がっていくような、非常にドラマチックな描写でした。

まとめ

この感想を書いていて思ったのですが、本作は二人の主人公の人生や愛憎を描きながらも、ものづくり「クリエイティブ」について描いているのかもと思いました。
櫂を支える二人の編集者もそれぞれ矜持があってとても魅力的です。
重い物語ですが、創作活動によって世界を広げる、「クリエイティブ」の力を感じさせられました。

満足度

83点/100点満点中

長い物語なので、読後の満足感はすごいです。

Header: Rene TittmannによるPixabayからの画像