ポスターデザイナー、A.M.カッサンドルがデザインした書体やブランドロゴデザイン

アール・デコ時代のポスターデザイナーとして有名なA.M.カッサンドル。

これまで、彼がデザインしたポスターはよく知っていたのですが、書体やロゴデザインまで手がけていた事は知りませんでした。

今回の記事でご紹介したいと思います。

カッサンドルとは?

アドルフ・ムーロン・カッサンドル (Adolphe Mouron Cassandre、1901年1月24日 – 1968年6月17日)は、フランスのグラフィックデザイナー、舞台芸術家、版画家、タイポグラファーです。

1920年代から1930年代にかけて、キュビズムの影響を受けた多くのポスター作品を生み出しました。
彼の作品は、直線や立体感など幾何学的構成・エアブラシを使った点描的画法により構成されています。

アール・デコの時代を代表するデザイナーです。

カッサンドルによるポスターの代表作

  • 北方急行 (NORD EXPRESS) – 1927年
  • アトランティック号 (L’ATLANTIQUE) – 1931年
  • DUBO / DUBON / DUBONNET – 1932年
  • BONAL – 1933年
  • ノルマンディ号 (NORMANDIE) – 1935年
CASSANDRE (1901 – 1968), Etoile du Nord Pullmann, 1927, Pierre noire sur papier, 39,5 × 24 cm, collection privée, Paris, https://commons.wikimedia.org/wiki/File:CASSANDRE_Etoile_du_Nord_Pullmann.jpg

カッサンドルがデザインした書体

Acier Noir (1936)

Acier Noir

Acier BAT/Adobe Fontsにある類似フォント
https://fonts.adobe.com/fonts/acier-bat

Acier BAT

Bifur (1929)

Bifur

P22 Bifur/Adobe Fontsにある類似フォント
https://fonts.adobe.com/fonts/p22-bifur

P22 Bifur

Peignot (1937)

Peignot

Pinot Grigio Modern/Adobe Fontsにある類似フォント
https://fonts.adobe.com/fonts/pinot-grigio-modern

Touraine (1947)

カッサンドルがデザインしたブランドロゴ

ファッションブランドのイヴ・サンローラン(Yves Saint-Laurent)のロゴ、モノグラムとロゴタイプをカッサンドルがデザインしています。

ブランドのアイデンティティとしてこれだけ長い間使用されるデザインをしているのは凄いですね。

SVG erzeugt mit AI, Public domain, via Wikimedia Commons

グラフィックデザイナーの私がオススメする「サンセリフ書体」10選

はじめに

タイポグラフィは、グラフィックデザインにおいて重要な役割を担っており、デザイントーンを設定し、メッセージを伝え、視覚的な魅力を高めます。

様々なフォントの中でも、サンセリフ書体はそのクリーンで現代的な印象から人気を誇っています。

今回は、グラフィックデザイナーである私がオススメするサンセリフ書体10書体を厳選してご紹介します。

これらの書体は汎用性が高いだけでなく、あらゆるデザインプロジェクトにおいてモダンさとエレガントさを与えてくれます。

それでは、珠玉の書体をご紹介します!

1. Helvetica(ヘルベチカ)

不朽の名作として知られるHelveticaは、多くのデザイナーに愛用されている書体です。

読みやすさとニュートラルさで知られるこの万能な書体は、ブランディングからウェブデザインまで、さまざまなデザイン分野で広く使用されています。

2. Gotham(ゴッサム)

大胆でありながら親しみやすい印象のGothamは、近年ますます人気が高まっています。

モダンな美意識を感じさせるこの書体は、印刷デザイン、パッケージ、デジタルインターフェースなど幅広い用途に適しています。

3. Avenir(アベニール)

Adrian FrutigerがデザインしたAvenirは、エレガントさと読みやすさのバランスが絶妙な、幾何学的なサンセリフ書体です。

すっきりとしたラインと均整のとれた字形で、見出しにも本文にも使える信頼性の高い書体です。

4. Futura(フーツラ)

Futuraは、シンプルさとモダンさを体現する幾何学的なサンセリフ書体です。

幾何学的な形と円形のストロークで知られるこの万能なフォントは、ロゴからポスターまで、さまざまなデザインの文脈で活躍します。

5. Proxima Nova(プロキシマ・ノヴァ)

Proxima Novaは、現代的なサンセリフ書体で、その多用途性と読みやすさで広く評価されています。

バランスのとれた字形と豊富なウェイトとスタイルで、印刷物にもデジタルプロジェクトにもシームレスに適応します。

6. Montserrat(モンセラート)

Montserratは、ブエノスアイレスの伝統的なMontserrat地区の看板からインスピレーションを得たオープンソースの書体です。

そのクリーンで幾何学的なデザインは、多数のウェイトとスタイルと相まって、見出しと本文の両方に優れた選択肢となります。

7. Roboto(ロボト)

元々Androidオペレーティングシステム用にデザインされたRobotoは、そのクリーンでモダンな外観から、多くのデザイナーに人気のある選択肢となっています。

このサンセリフ書体は可読性が高いため、ウェブデザインやモバイルインターフェースなど、さまざまな用途に適しています。

8. Gilroy(ギルロイ)

Gilroyは、独特の個性を持つ現代的なサンセリフ書体です。

洗練されたミニマルなデザインに加え、さまざまなウェイトと幅を備えているため、インパクトのある見出しやロゴの作成に多用途に使用できます。

9. Univers(ユニヴァース)

Adrian Frutigerによって作られたUniversは、汎用性と読みやすさで知られるクラシックなサンセリフ書体です。

ウェイトと幅のバリエーションが豊富で、さまざまなデザインプロジェクトに柔軟に対応することができます。

10. Lato(ラト)

Latoは、ヒューマニズムのサンセリフ書体で、その暖かく親しみやすい外観で人気を博しています。

印刷物でもデジタルメディアでも使えるので、ウェブデザイン、ブランディング、エディトリアルレイアウトなど、幅広いデザイン用途に適しています。

まとめ

サンセリフ書体の選択は、視覚的に説得力のある効果的なデザインを作るために不可欠です。

今回取り上げた10種類の書体は、汎用性、読みやすさ、モダンな美しさにおいて、グラフィックデザイナーに高く評価されています。

時代を超えたエレガンスさを持つHelveticaから、現代的な魅力を持つGilroyまで、これらのフォントは、デザイナーに幅広い選択肢を提供し、インパクトのあるデザインを生み出します。

ブランディング、ウェブデザイン、印刷物のいずれにおいても、これらの書体をデザインに取り入れることで、全体のビジュアルアピールを高め、印象に残るものにすることができます。

欧文書体―その背景と使い方 (新デザインガイド)

欧文書体―その背景と使い方 (新デザインガイド)

小林 章
2,750円(05/05 19:50時点)
Amazonの情報を掲載しています

[知っておきたい]タイポグラフィを学ぶ上で重要な5人の海外デザイナー

タイポグラフィを学ぶ上で知っておきたい、5名の海外デザイナーをご紹介します。

書体デザイナーや、文字を活用することに秀でたグラフィックデザイナーです。

アドリアン・フルティガー/Adrian Frutiger

アドリアン・フルティガーはスイスの書体デザイナーで、20世紀で最も広く使われた書体のいくつかを作ったことで知られています。

彼の最も有名な書体にはUnivers、Frutiger、Avenirがあります。

1950年代に制作されたUniversは、現代タイポグラフィーの古典となったサンセリフ書体です。

Univers

1970年代に作られたFrutigerは、可読性に優れたヒューマニズムのサンセリフ書体です。

Frutiger

1980年代に制作されたAvenirは、クリーンでモダンな印象の幾何学的なサンセリフ書体です。

Avenir

ヘルマン・ツァップ/Hermann Zapf

ヘルマン・ツァップはドイツの書体デザイナーで、20世紀を代表する書体のいくつかを生み出しました。

彼の最も有名な書体には、Palatino、Optima、Zapfinoがあります。

1950年代に作られたPalatinoは、古典的でエレガントな外観を持つセリフ書体です。

Palatino

Optimaは1950年代に作られたサンセリフ書体で、幾何学的な特徴とヒューマニズム的な特徴が融合したユニークな書体です。

Optima

1990年代に作られたZapfinoは、カリグラフィと装飾的な外観を持つスクリプト書体です。

Zapfino

エリック・シュピーカーマン/Erik Spiekermann

エリック・シュピーカーマンは、革新的で影響力のあるデザインで知られるドイツの書体デザイナー、タイポグラファー。代表的な書体として、FF Meta、FF Unit、ITC Officinaなどがあります。

1990年代に制作されたFF Metaは、幾何学的な構成が特徴的なサンセリフ書体です。

FF Meta (引用元)https://www.fontshop.com/families/ff-meta

2000年代に制作されたFF Unitは、クリーンでミニマルな印象のサンセリフ書体です。

FF Unit(引用元)https://www.fontshop.com/families/ff-unit

1990年代に制作されたITC Officinaは、高い可読性と機能性を追求したセリフ書体です。

ITC Officina

ポーラ・シェール/Paula Scher

ポーラ・シェールはアメリカのグラフィックデザイナーで、大胆で表現力豊かなデザインで知られています。

シティバンクのロゴの様に、既存の書体を有効に活用したデザインから、The Public Theater NYCのタイトルのように、オリジナル書体にも見えるデザインまで、非常に多彩な表現が特徴的です。

Citibank Identity – Fonts In Use
https://fontsinuse.com/uses/5238/citibank-identity

マシュー・カーター/Matthew Carter

マシュー・カーターはイギリスの書体デザイナーで、デジタル時代に最も広く使われている書体のいくつかを制作しています。

彼の最も有名な書体は、Verdana、Georgia、Tahomaなどです。

Verdanaは1990年代に作られたサンセリフ書体で、コンピュータ画面での可読性が高いように設計されています。

Verdana

Georgiaは1990年代に作られたセリフ体で、クラシックでエレガントな印象の書体です。

Verdana

1990年代に作られたTahomaは、小さなサイズでも読みやすいようにデザインされたサンセリフ書体です。

Tahoma

まとめ

このようにまとめて見ると、書体やグラフィックデザインにデザイナーの個性が反映されていることがわかり面白いですね。

これからも、気になった文字やデザインがあったら制作したデザイナーが誰なのか?調べてみたいと思います。

Header: stempowによるPixabayからの画像

タイポグラフィの基礎:文字の調整方法

タイポグラフィの基礎、文字の調整方法について、変化の付け方をご紹介します。

文字をただ打つだけでなく、組み方を工夫するだけで、既存の書体を使っても多彩な表情を出すことが出来ます。

“タイポグラフィの基礎:文字の調整方法” の続きを読む