垣谷美雨『あきらめません!』レビュー|「老害」に立ち向かう女性たち

Book

垣谷美雨さんによる小説『あきらめません!』を読みました。非常に面白かったので内容と感想を書きたいと思います。

男尊女卑の文化が根強く残る地方都市に定年後に移住した夫婦―霧島郁子とその夫。郁子が「政治家を志す」という新たな挑戦を始めることで、町の人々の意識を少しずつ変えていく物語です。

あきらめません! (講談社文庫) Kindle版

主な登場人物とその印象

霧島郁子(60代)
のんびりした老後を過ごそうと考えていたにもかかわらず、いつの間にか人前に立ち、自然とリーダーシップを発揮してしまう主人公。その飾らない言動と情熱にぐっと引き込まれました。

市川ミサオ(80代)
歯に衣着せぬ物言いで、郁子や町の女性たちを力強く導く先輩議員。時に厳しく、時に頼もしい助言者として物語を支えています。

落合由香(30代)
地元で普通の主婦として暮らしていたが、郁子との出会いをきっかけに政治に目覚める若き母親。最初は戸惑いながらも、自分なりの声を上げて変化へ踏み出す姿に共感しました。

ほかにも、夫に嫌気がさして家出した落合瑞恵や、男性中心の議会でセクハラ・パワハラに耐え忍び、最終的に声を上げる勇気ある女性議員など、多彩な女性たちがチームを結成。男性優位の地方政治に切り込んでいく様子は、読んでいて本当に爽快です。

対立構造

物語の敵役として登場する高齢の男性議員(いわゆる“老害”)が、読者のヘイトを見事に買ってくれるので、主人公たちの活躍がより際立ちます。

男性側の葛藤

郁子の夫をはじめ、これまで男性優位の社会システムに甘んじてきた町の男性たちも、自分のパートナーや町の未来のために揺れ動きながら行動する姿が描かれ、考えさせられます。

時節に合わせた読後感

ちょうど地方選挙の直後に読み始めたため、物語を通して政治への関心がさらに高まりました。

社会問題に切り込みつつもユーモアが散りばめられ、軽やかに読み進められる一冊。名作だと感じましたので、興味のある方はぜひ手に取ってみてください!

あきらめません! (講談社文庫) Kindle版

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