スタンフォード監獄実験とは?“普通の大学生”が加害者と被害者になるまで

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はじめに

1971年の夏、スタンフォード大学の地下室がちょっと変わった“仮設刑務所”に大変身しました。

大学生たちを「看守」と「囚人」に分けて、一週間ほどの小さなドラマを繰り広げたのが、フィリップ・ジンバルド教授の“監獄実験”です。

日常の延長にあるはずの大学生が、ほんの数日でまるで別人のように振る舞ってしまった…そんな驚きの実験を、簡単に解説していきます。


実験の目的

  • 背景
    当時はベトナム戦争の真っ只中。命令に従うことや権威に服従するというテーマが社会で熱く議論されていました。ジンバルド教授は「ふだんの自分が、状況次第でどう変わるのか」を確かめたいと思いました。
  • お金はどこから?
    意外にも、米国海軍研究局(ONR)の後押しがありました。軍隊でも「命令」と「服従」の関係が鍵になるから、社会心理学の知見が役立つかも…という話だったようです。

実験の手順

1. メンバー集めと役割決め

広告を見て集まった75人の中から、健康な大学生24人をピックアップ。
くじ引きで12人を「看守」、残り12人が「囚人」役に。ちなみに日給は15ドルでした。

2. 逮捕シーンからスタート!

本物の警察官が被験者の家を訪れて「逮捕」。囚人役はびっくりして手錠をかけられ、持ち物を全部没収されたそうです。

3. 仮設“監獄”のセットアップ

地下室に独房スペースや共同エリアを作り、囚人たちには番号札が与えられました。看守はサングラスや警棒で「自分らしさ」を消しました。

4. 思わぬ展開…!

2~3日目には看守役がエスカレートし始め、囚人役は抗議からストライキを起こしました。しかし看守は退けず、どんどん厳しく。囚人役の学生たちはストレスで情緒不安定になってしまいました。

5. 予定より早く終了

当初、実験は2週間の予定でしたが、学生たちの精神状態が心配になり、6日目には実験ストップ。


実験から見えたこと

  • 「役割」が人を大きく変える!
    看守は強気に、囚人はおとなしく…。個人が持っている元々の性格より“状況”が行動を左右することがわかりました。
  • 匿名の恐ろしさ
    サングラスや制服で顔が隠れていると、人は平気で乱暴になってしまう。責任の感覚が薄れることがわかりました。
  • 研究者の影響にも注意
    実はジンバルド教授自身も監獄長役で参加していて、“こんなふうに振る舞って”と無意識に示唆してしたのかも…という指摘もあります。

その後と現代の教訓

  • 方法の議論
    「実験参加者が演技してたのではないか?」という批判や、同じ結果が再現できないという指摘も多いです。
  • 今に活きるヒント
    1. 組織やチームでは権力をチェックする仕組み作りを
    2. 研究でも倫理を大切に!被験者の安全第一
    3. 普段の私たちも、“知らず知らず役割”を演じているのかも?意識してみましょう。

まとめ

“役割の演技”で思いがけない一面が引き出されたスタンフォード監獄実験。

遊び感覚の中にも、本来の自分とは違う行動を引き出してしまう状況の力や、研究の“裏側”に潜む倫理的な課題がたくさん詰まっています。

今回の記事では、実験の流れを簡単に振り返りつつ、その教訓を日常や組織運営にどう活かせるかまで一緒に考えてきました。

権力構造や役割に対する新たな視点を持ち帰ってもらえたら嬉しいです。


監獄実験をモチーフにした映画

本実験をモチーフにした映画作品をご紹介します。

es [エス](2002年)


エクスペリメント(2010年)

es[エス] のリメイク版。各配信サイトで配信されています。

高額報酬を得られるはずの14日間の心理実験はわずか6日間で終わってしまった……。広告募集で集められた被験者24人。囚人役と看守役に分けられ、刑務所と同じ環境でルールに従って過ごす仕事。始まりはただの役割に過ぎなかったのだが、2日目には崩壊。常識者であるはずの被験者たちが変化し、閉ざされた場所で極限状態になっていく。やがて、理性の奥底にひそむ狂気が目覚め始める……。いったい何が起こったのか?

参考文献・参考資料

  1. Zimbardo, P. G., Haney, C., & Banks, W. C. (1973). “Interpersonal Dynamics in a Simulated Prison.” International Journal of Criminology and Penology, 1, 69–97.
  2. Zimbardo, P. G. (2007). The Lucifer Effect: Understanding How Good People Turn Evil. Random House.
  3. Stanford University. “The Stanford Prison Experiment.” Stanford Prison Experiment Official Site.
  4. BBC. “The BBC Prison Study.” 2002.
  5. Haney, C., Banks, W. C., & Zimbardo, P. G. (1973). “A Study of Simulated Prison.” Naval Research Reviews.
  6. “Stanford Prison Experiment.” Wikipedia. https://en.wikipedia.org/wiki/Stanford_prison_experiment
  7. Maslach, C. (1975). “Reflections on the Stanford Prison Experiment: Genesis, Transformations, Consequences.” Social Problems, 22(3), 409–417.

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