伝統と現代アートが交差する「いけばな龍生展2024」鑑賞記

渋谷ストリームホールで開催されていた「いけばな龍生展2024」に行ってきました。

この展覧会は前期と後期に分かれており、それぞれ2日間ずつ展示替えが行われます。私は前期の初日に訪れました。

渋谷ストリーム、かなり久しぶりに来ました

「いけばな龍生展」は、いけばなの流派「龍生派」が主催する年に一度の大規模な花展です。

初日の会場は、出展者であるいけばな作家やその知人と思われる方々で賑わっており、活気に満ちていました。

2つのスタイルが楽しめる展示

「いけばな龍生展」では、大きく分けて2種類のいけばなスタイルを鑑賞できます。

1.自由花

その名の通り、自由な発想や素材を活用したいけばなです。一般的ないけばなのイメージを覆すようなアバンギャルドな作品も多く、現代アートのような魅力を持っています。非常に見応えのある展示です。

花器も素材もアバンギャルドな「自由花」

2.古典華

伝統的なスタイルを踏襲したいけばなで、静謐な中にも植物が持つエネルギーを感じさせる作品が並びます。繊細で美しい表現が特徴です。

伝統を感じる「古典華」

会場の構成と展示空間

会場は3つのフロアに分かれており、それぞれ「自由花」と「古典華」に大まかに区分されています。

自由花のフロア

天井が高く、広々とした空間に作品が展示されています。

ライトボックスを使用し、下から照明を当てた作品など、ユニークな演出が見られます。

光を効果的に使った作品

古典華のフロア

照明は控えめで、花にスポットライトが当てられ、影の美しさも際立っています。

落ち着いた雰囲気の中でじっくりと鑑賞できます。

古典華
作品の影までもが美しい

大作

巨大な「大作」と呼ばれる作品も展示されており、そのスケール感には圧倒されます。植物の力強さと、それを活けた作家の技術に感嘆せずにはいられません。

巨大な「大作」

会場で撮影した写真

気になった作品をいくつか写真撮影したので、ご紹介します。

花器が人の形に!藁人形的な雰囲気でインパクト大!
面白い集合体
近づくと、卵の殻でした!
近づいてみると植物の多様な表情が伝わります
花器も面白い
大作
大作

渋谷ストリームホールでの開催4年目

渋谷ストリームホールでの開催は今年で4年目。

前期と後期で展示替えを行う形式は、この会場では今回が初めてとのことです。

後期の展示ではどのような作品が並ぶのか、とても気になります。

今回は前期だけの鑑賞となりましたが、機会があれば後期も訪れてみたいと思います。

展覧会情報

[会期]2024年11月22日 〜 2024年11月25日
[会場]渋谷ストリーム ホール(東京都渋谷区渋谷3-21-3)
[時間]開場時間:10時〜18時 ※入場は閉場の30分前まで ※23日・25日は16:30閉場
[入場料]入場料:当日1,700円(前売り1,300円)高校生以下無料
*身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方と、その付添者(原則1名)は無料
[公式Webサイト]https://www.ryuseiha.net/event-info/ryuseiten_2024/

gggで大原大次郎さんの個展「Daijiro Ohara HAND BOOK」を鑑賞|膨大な量の手描きスケッチとgggとは思えない屋台のような空間デザインに圧倒されました!

ギンザグラフィックギャラリー(ggg)へ、グラフィックデザイナー・大原大次郎さんの個展を観に行きました。

どんな展示?

ギンザ・グラフィック・ギャラリー第399回企画展
Daijiro Ohara HAND BOOK
2023年12月11日(月)~2024年01月31日(水)
「大原大次郎」という名前を見て、聞いて、どんな景色を思い浮かべるでしょう。大原さんはその職能を一言で表せば「グラフィックデザイナー」となるのですが、グラフィックデザインが内包する、あるいはそこから想起させる概念やイメージでは捉えきれない存在感を放っています。
大原さんの創作活動に通底するのが「手」=HANDを使うということです。「手遊び」や「手探り」でつくり出されたものたちは、依頼主の声だけでなく、大原さんの感情や気分をも表出しているかのようです。
「HAND BOOK」と銘打たれた本展、彼の活動の様がまさに表されたタイトルとなっています。音楽関係の仕事はもちろん、文字や作字をキーワードに、これまでの仕事や自主活動の、完成までのプロセスを出し惜しみすることなくご紹介します。大原さんが「手」を動かす中で見えてくる風景が立ち上ってくるに違いありません。

Daijiro Ohara HAND BOOK | ギンザ・グラフィック・ギャラリー https://www.dnpfcp.jp/gallery/ggg/jp/00000826

大原大次郎さんのこれまでの活動をまとめた大回顧展のような展覧会です。

面白かったポイント

圧倒的なデザイン量!

完成したポスターやCDジャケットの見本だけでなく、そこに至るまでのスケッチも大量に展示されています。スケッチのクオリティと量もすごい!

展示会場のインスタレーションデザイン

木枠で組まれた什器を中心に、屋台のような空間デザインになっており、何度も行っているggg(ギンザグラフィックギャラリー)とはとても思えない展示会場になっていました。

アトリエ風のエリアが興味深い

地下階には、大原さんの使っている画材が並んだ、アトリエの一部を切り取ったかのようなエリアがあり、非常に面白かったです。どのような画材を使っているのか気になりました。

展示の写真

展示の雰囲気を写真でご紹介します。

ギンザグラフィックギャラリー入り口

1階

入ってすぐ、木枠で組まれた什器に圧倒されました
展示パネルも面白いデザイン
手描きスケッチの数々。試行錯誤の量が半端ないです
写真では見えづらいですが、手描きスケッチのクオリティもすごいです
星野源さんのお仕事
とにかくスケッチの量がすごい!
SAKEROCKのお仕事
写真左の台車には販売中のカタログが並んでいます

地下階

地下も、いつものgggと全く雰囲気が違います!
紙をくり抜いてローラーで色を着けている表現、とその試行
大原さん使用の画材が展示されているコーナー
個人的に非常に興味深かったです
観音状のパンフレット
看板のデザイン
今回の展示の図録についてのエリア
クレジットが描かれた黒板

まとめ

とにかくデザインの“量”に圧倒される展示でした。

お仕事自体もそうですが、完成に至るまでの試行錯誤の量も圧倒的で、

大原さんはきっと、24時間デザインのことを考えているんだろうな

と深く納得しました。

また、大原さんの文字デザインは、伝統的なタイポグラフィとは少し違った印象で、文字を描いているのに本当に絵のように見えます。

会場に並んだたくさんの手描き文字を見ていると、リズムのある音楽が聞こえてくるようでした。

2024年の1月30日まで開催しているので、今回の記事を読んで興味を持たれた方はぜひ会場に足を運んでください!

自分も、時間が取れたら会期終了までにまた訪問したいと思っています。

展覧会情報

Daijiro Ohara HAND BOOK
ギンザ・グラフィック・ギャラリー (ggg)
〒104-0061 東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル 1F/ B1F
tel. 03.3571.5206
MAP
2023年12月11日(月)ー 2024年01月31日(水)
開館時間:11:00am-7:00pm 
日曜・祝日、2023年12月28日(木)ー 2024年1月8日(月・祝) 休館 
入場無料

展覧会カタログ

本展に合わせて、カタログ的な作品集が刊行されました。

こちらも展覧会に負けず劣らず、ものすごいクオリティとボリュームでした!遠方で足を運べない方は本で作品を楽しんでください!

HAND BOOK 大原大次郎 Works & Process

2023年の夏に観に行きたい展示/美術館―国立公文書館、高麗博物館、国立ハンセン病資料館、など

2023年の夏に観に行きたい展覧会や美術館を備忘録としてメモしておきます。

「大正時代―公文書でたどる100年前の日本―」, 国立公文書館

会期:令和5年7月22日(土)〜9月18日(月・祝)
会場:国立公文書館 東京本館
Webサイト:https://www.archives.go.jp/exhibition/index.html

 今から約100年前、大正時代(1912~1926)には、政党を基盤とした議会政治の確立、男子普通選挙の実現、女性の社会進出、教育の充実と子どもの保護、国際連盟の発足といった、現在の私たちともつながりのある動きが生まれていました。一方、第一次世界大戦や、発生から100年を迎える関東大震災など、現在も多くの人々に記憶される出来事も起きています。  本展では、今から約100年前の日本がどの様な時代だったのか、国立公文書館が所蔵する資料からご紹介します。

https://www.archives.go.jp/exhibition/index.html

関東大震災について調べているので、こちらの展示は気になります。大正時代は期間が短かったこともあり、他の時代と比べて資料が少ないので色々見られると良いなと思っています。

関東大震災100年ー隠蔽された朝鮮人虐殺, 高麗博物館

会期:2023年7月5日(水)~12月24日(日)
会場:高麗博物館
Webサイト:https://kouraihakubutsukan.org/

1923年の関東大震災朝鮮人虐殺から100年。
虐殺の起きた背景には何があるのか、
そして事実の隠蔽行為はなぜ今も続いているのか。
高麗博物館は関東大震災朝鮮人虐殺をテーマとした企画展を過去3回行い、資料の蓄積があります。
さらに今回は、新たに発見された
淇谷「関東大震災絵巻」を本邦初公開します。
100年の記憶と歴史を継承するための多角的な展示です。
高麗博物館は今回の企画展を通して、
いわれなく殺された人々を追悼すると同時にご来場の皆さんと一緒に考える時間と空間を提供したい。

https://kouraihakubutsukan.org/

今年は関東大震災、そしてそこで起きた朝鮮人虐殺事件から100年。新大久保にある高麗博物館でも大々的な展示が開催されます。

本邦初公開の「関東大震災絵巻」という資料も展示されるとのこと、非常に楽しみです。

国立ハンセン病資料館

Webサイト:https://www.nhdm.jp/

ハンセン病問題に関する中核施設として、各療養所と連携を図りながら、医学的知識、治療の歴史、患者・元患者とその家族に対する偏見・差別の歴史、その苦難の体験についての情報を社会に示し、ハンセン病問題への理解を広く伝えています。そして、それをもとに来館者が人権等の問題について考えていただける場を提供しています。

https://www.nhdm.jp/

こちらは、企画展というよりも、前々から気になっていたので常設展を観に行きたいと思っています。

偏見、差別、人権といった問題にどのようにアプローチしてくか、展示の参考になりそうだと感じています。

まとめ

ひとまずは以上です。

また気になる展示や美術館があったら追加していきたいと思います。

Header: Gerd AltmannによるPixabayからの画像

『粘土道20周年記念 片桐仁創作大百科展』を鑑賞。片桐さんのセンス炸裂の粘土作品から創作のエネルギーをもらいました!

東京ドームシティ、Gallery AaMo(ギャラリーアーモ)で開催されている元ラーメンズ・片桐仁さんの粘土作品展『粘土道20周年記念 片桐仁創作大百科展』を観に行きました。

片桐さんらしさ溢れる濃厚な粘土作品からとてもエネルギーをもらいました。

巨大作品やインタビュー動画も含め大満足!

会場撮影可でしたので、写真で雰囲気をご紹介します。

入り口。

入場前に入り口脇にある旧チケット販売ブースに貼ってあるQRコードから、コロナ対策のGoogleフォーム登録をする必要がありました。

土曜日の10:00過ぎに会場に着きました。並ぶかと思ったのですがそんなこともなくすんなり入れて良かったです。

作品タイトルやキャプションも面白いので読み応えあります

これはかなり迫力ありました!
エレ片観音!「エレ片のコント太郎」からのリスナーとしてはグッとくる作品です

地域コラボ

縄文シリーズ

動画

こちらの動画がとても良かったです。

片桐さんへの20の質問、という形式で作品制作やアーティストとしての考え方などに応えてくれています。

「とにかく見て楽しんでもらえる作品を目指している」というのが、お笑い芸人かつアーティストの片桐さんらしい作家感で、すごく良いなと思いました。

イラストも上手!
大型作品のゾーン

アンガーマネジメント片桐号!エレ片のイベントの時に作られた作品。この時のラジオがとても面白かったので印象に残っています。すごい迫力!

FIATとのコラボ
実際に片桐さんは社用車としてこれを使っているそうです
運転席にも作品が!

公園魔

これが、今回のイベントのためにクラウドファンディングを募って制作された超大型公園遊具作品『公園魔』です!

タイルの部分には座ることができるのでフォトスポットにもなっています。

表面にも小さな顔が
裏側は怒りの顔になっています
ド迫力でした!

その他

こちらは、プラモデル雑誌『ホビージャパン』とのコラボ企画で制作された作品。プラモデルの廃パーツを組み合わせて顔になっています。

今回、会場がかなり広いので粘土作品だけではなく、片桐さんの学生時代の作品や自宅のモデルが展示されていて、より深く人となりを知る事ができました。

小学生頃の絵。この頃から上手でした
左が美術予備校で描いた自画像
部屋の模型
他のアーティストとのコラボ作品

お土産コーナー

お土産コーナーで販売されている粘土
展示とコラボしたカレー!

とても見応えのある展示なので、時間に余裕を持って観に行くことをオススメします。アートの持つ力を感じられる大変良い内容でした!!

ランチ:TOKYO MERCATO

ランチは東京ドームシティー内のTOKYO MERCATOというお店でパスタを食べました。開放感のある店内でとても気持ちが良かったです!

ランチセットのサラダ
牛肉をじっくり時間をかけて煮込んだラグーペンネ:ランチセット(1400円)
「illy」ブレンドコーヒー(500円)※ランチセットにはドリンクはついていません

illyが提供しているだけあり、コーヒーも美味しかったです。

この記事の撮影に使用したカメラとレンズ

カメラ:α7S

レンズ:FE 35mm F2.8

関連書籍

粘土道 完全版/片桐仁(著)

関連ラジオ

エレ片のケツビ!
https://www.tbsradio.jp/elekata/

エレ片のケツビ!Podcast

展示鑑賞:ritsuko matsushita『いつか宇宙に還る』

銀座のソニーイメージングギャラリーritsuko matsushitaさんの写真展『いつか宇宙に還る』を観に行きました。

ritsuko matsushita『いつか宇宙に還る』
ritsuko matsushita『いつか宇宙に還る』

アルバムの写真の、ご自身が写っている箇所に砂を置き、存在が宇宙に溶けていくようなイメージを表現した作品。

とても面白かったです。

とりわけ、私には子供時代の写真が興味深かったです。

ポーズや構図も、なぜこれ?というものが多く、まるで座敷童というか、精霊の様にも見えました。

子どもというのはまだ人格が未成熟で、エレメンタルな存在に近いのかもしれません。

作品に使用している砂も、様々な種類を試されて、JISの標準砂としても登録されていた無着色のものにたどり着いたそうです。

こだわりが凄い!

ritsuko matsushita『いつか宇宙に還る』
ritsuko matsushita『いつか宇宙に還る』
ritsuko matsushita『いつか宇宙に還る』
ritsuko matsushita『いつか宇宙に還る』
ritsuko matsushita『いつか宇宙に還る』

本作品は引き続き継続されるとの事なので、今後の展開が楽しみです。