【展覧会】グラフィックデザインの潮流を体感!「TDC 2025」展レポート at ギンザ・グラフィック・ギャラリー【タイポグラフィ】

先日、ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の「TDC 2025(TOKYO TYPE DIRECTORS CLUB EXHIBITION 2025)」展を訪れました。本展は、2024年度の優れたタイポグラフィ作品が一堂に会する展覧会です。

見どころ

  • 実物の質感を楽しめる
    ポスターなどの実物作品を見ることで、紙質や印刷の質感など、実物ならではの迫力を体感できます。
  • 海外デザイナーの作品展示
    海外の優れたグラフィックデザイナーの作品が多数展示されており、日本ではなかなか触れられない異文化のデザインに触れることができます。これにより、非常に良い刺激を得ることができました。
  • パッケージデザインの充実
    お菓子の箱など、パッケージデザインも多く取り上げられており、立体の作品は見応えがあります。
  • デザインの潮流が見える
    私自身、毎年ではありませんが定期的にこの展覧会を訪れており、継続して見ることで、グラフィックデザインの流行や変遷を感じ取ることができます。

展示の様子

以下は、会場で撮影した写真の一部です。実際の展示の雰囲気や作品のディテールをぜひご覧ください。

1階

ブックデザインの受賞作。実際に本を手にとって読むことができます

こちらの本は印刷が素敵でした。文字は銀のインクで刷られているようです。

写真もキラキラと光っています。

こちらの本は蛍光色の紙の使い方が非常に上手でした。

こちらは建築の本。

建築図面をリソグラフのような多色の特色で印刷しています。

通常では地味になりがちな図面のページが非常にカラフルで、ポップな印象になっています。

文字ページもカラフルで楽しげです。

この写真集は文字の入れ方や写真と文字の配置が独特で、参考になりました。

リズムを感じるタイポグラフィ。

ノンブルの位置も絶妙です。

こちらは作品集。

素直に、作品が美しいと感じました。印刷も美麗!

舟山貴士さんによる書体「しゅうれん かな」。美しい!

レコードジャケットなどもあります。

京都名物、西尾の八つ橋パッケージデザイン。

地下1階

まとめ

グラフィックデザインやタイポグラフィに興味がある方には、必見の展示です。もし機会があれば、ぜひ会期中に足を運んでみてください。

展覧会情報

  • 会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
  • 住所:〒104-0061 東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル 1F/ B1F
  • 会期:2025年4月4日(金)ー5月17日(土)
  • 開館時間:11:00am-7:00pm 日曜日、4月29日、5月3日-6日休館 入場無料

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下町の魅力再発見!リニューアルした『したまちミュージアム』でタイムスリップ体験

東京都台東区にある「したまちミュージアム」を先日訪れました。元々「下町風俗資料館」として親しまれていたこの施設は、上野公園内・不忍池の脇に位置し、改装工事を経て2025年3月に「したまちミュージアム」としてリニューアルオープンしました。

魅力的だった点

  • 下町の歴史に触れる展示
    下町由来の資料や、生活道具、玩具の実物が展示され、当時の生活様式が感じられました。
  • 昭和30年代の下町再現
    館内では昭和30年代の東京・下町の街並みが再現され、まるでその時代にタイムスリップしたかのような体験ができました。
  • 実際に体験できる住宅模型
    住宅模型に実際に入って、当時の住環境を肌で感じられるのは特に印象的でした。
  • 大型スクリーンによる映像展示
    大型スクリーンを使った映像展示が、視覚的に下町の歴史を豊かに伝えてくれました。
  • 美しくリニューアルされた館内
    改装により館内はとてもきれいになり、展示品が一層引き立っていました。
  • 昔ながらの遊びの体験
    けん玉など、懐かしい昔の遊びを実際に体験できるコーナーもあり、子どもから大人まで楽しめる工夫が感じられました。

改善を望む点

  • 外国人観光客向けの案内表示の不足
    多くの海外からの観光客も訪れていましたが、案内表示が日本語のみの箇所が散見され、外国人にとっては分かりにくい部分があったように感じました。多言語対応が進むと、より多くの方に楽しんでもらえるのではないかと思います。

それでは、館内の雰囲気を感じられる写真をご紹介します。

館内写真

1階

1階には昭和30年代の東京下町の街並みが模型で再現されています。

住宅内には靴を脱いで上がることができます

2階

2階には歴史を学べる展示のようになっています。

3階

3階には昔の玩具で遊べるコーナーもありました。

まとめ

今回のリニューアルで新たな魅力を手に入れた「したまちミュージアム」は、下町の歴史と文化を体験できる貴重なスポットです。

下町の風情を感じながら、懐かしさと新しさが共存する魅力的な空間をぜひ体験してみてください。

施設情報

  • 開館時間:9時30分から16時30分(入館は16時00まで)
  • 休館日:月曜日(祝休日と重なる場合は翌平日)、12月29日から1月3日、特別整理期間等 ※詳細はWebページをご確認ください(https://www.taitogeibun.net/shitamachi/
  • 入館料:一般300円(200円)、小・中・高校生100円(50円) ※入館料( )は20名以上の団体料金

【庭園美術館】「戦後西ドイツのグラフィックデザイン」展で出会うモダニズムポスターの美【レポート】

庭園美術館の入場と施設について

東京都庭園美術館で開催された「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」を訪れました。久しぶりの庭園美術館でしたが、今回は事前予約制(入場時間指定)となっており、下記の公式サイトから前売り券を購入して入場しました。

東京都庭園美術館|公式オンラインチケット(予約)
https://www.e-tix.jp/teien-art-museum/

当日は予定時刻の15分前に到着しましたが、スムーズに入館できました。また、館内のロッカーは100円硬貨が必要なので、事前に用意しておくと便利です。庭園美術館は、展示だけでなく建物自体も非常に見応えがあり、美しい空間の中でアートを鑑賞できるのが魅力です。

展示内容と印象的だった点

本展示では、戦後西ドイツのグラフィックデザインがどのように発展していったのかを、ポスターを中心に紹介していました。作品は以下の4つのカテゴリーに分類されており、この構成が非常に分かりやすかったです。

  • 幾何学的抽象
  • タイポグラフィ
  • イラストレーション
  • 写真

この分類によって、デザインのアプローチや特徴を明確に比較しながら鑑賞できました。また、初めて知るデザイナーの作品も多く、自分の知見を広げられた点も大きな収穫でした。

さらに、ポスターだけでなく、パンフレットやチケットなどのステーショナリー類も展示されており、実物を間近で見ることでサイズ感や印刷の美しさをより実感できました。

展示の写真

会場は、基本的には写真撮影禁止なのですが、2箇所の部屋のみ撮影が可能でした。

そこで撮影した写真をご紹介しますので、どのような展示か参考にしてください。

オトル・アイヒャー

ドイツのグラフィックデザイナー、オトル・アイヒャーが手掛けた1972年のミュンヘンオリンピックにまつわるポスターのコーナー。

キールウィーク

ドイツで毎年夏に開催される世界最大のセーリング・フェスティバル「キールウィーク」にまつわるポスターのコーナー。

このコーナーは初めて見る作品が多く、非常に面白かったです。

シンプルなデザインのポスター
パンフレットなど

新館へ

新館へ向かう渡り廊下。天気が良い日で非常に気持ちよかったです。

イラストレーション

新館では、イラストレーションと写真のカテゴリーが紹介されています。まずはイラストレーションコーナーから。

T2というシェービングクリームの広告。展示の最後にあるキュレーターの方の動画では、この作品が本展の中でも特に重要なデザインだと感じている、とのことでした。

男性のシルエット、T2の商品名がシェービングクリームのようにデザインされています。確かに秀逸!

映画のポスター。日本映画のものもあります
テレビ局のステーショナリーデザイン。素敵です

写真

最後は写真のコーナー。私自身、写真という表現が好きなので非常に面白かったです。

模様の入れ方、勉強になります
明暗の使い方が面白い

まとめ:デザイン好きには必見の展示

今回の展示では、デザインの教科書や資料集でよく見かける有名なポスターから、普段あまり目にする機会のない貴重な作品まで、多彩なグラフィックデザインを鑑賞できました。

グラフィックデザインに興味のある方にはぜひ訪れてほしい展示です。西ドイツのデザイ

ンの特徴や、戦後のグラフィック表現の変遷を知ることができ、非常に有意義な体験となりました。

イベント公式サイト

戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見 | 東京都庭園美術館
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/250308-0518_backtomodern/

三菱一号館美術館『不在』展レビュー:ロートレックとソフィ・カルの魅力

三菱一号館美術館で開催中の再開館記念展覧会「『不在』―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」を訪れました。

再開館した三菱一号館美術館
歴史を感じる美術館
階段のデザインも趣があります

ソフィ・カルの展示は2020年に予定されていましたが、新型コロナウイルスの影響で延期となり、今回ようやく実現しました。

会場の一部は撮影可能エリアもあり、写真とともにご紹介します。

トゥールーズ=ロートレック

ロートレックの作品は有名なので知っているつもりでしたが、生で見ると印象が全く異なります。

ドローイングのようなデッサンが多数展示されており、描写力の高さに見入ってしまいました。特に黒い影の部分の濃淡が、立体感を巧みに表現していて感嘆しました。

ロートレックの撮影可能エリア
ロートレックの名作!
手描きの文字もとても味わいがあります

ソフィ・カル

最近、現代美術に興味がある私にとって、ソフィ・カルの展示は非常にタイムリーな内容でした。以下、特に印象に残った作品をいくつかご紹介します。

ソフィ・カルの撮影可能エリア
右上の写真はカルのお母さん?。母についてのプロジェクト
カルが将来自分を埋葬する土地を買い、撮ったその場所の写真
棺桶の時計
自身の父の死の翌朝、悲しみが目の下にクマとなって現れた
こちらもカルの父の死にまつわる作品
父と母の死にまつわる作品

《海を見る》Voir la mer

初めて海を見る人々の表情を撮影したこのプロジェクト。彼らがどんな感情を抱き、どんな言葉を発したのか、想像が膨らみます。その表情だけでも心を揺さぶられる作品でした。

《あなたには何が見えますか》Que voyez-vous?

盗まれた絵画の額縁だけを展示し、その前で学芸員が語るという作品。人々を巻き込んで物語を紡ぎ出す手法が非常に印象的でした。

《監禁されたピカソ》Les Picasso confinés

コロナ禍でピカソ美術館が閉館していた際、紙で覆われたピカソ作品を撮影したシリーズ。その背後に隠されたピカソの存在を感じさせる手法と視点に圧倒されました。

《なぜなら》Parce que

テキストが刺繍された布をめくると写真が現れる作品。自分の頭で想像したイメージと現実の写真とのギャップが興味深い体験をもたらします。


トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル。時代や表現方法は異なりますが、どちらも刺激的な展示でした。ぜひ足を運んでみてください!

美術館の外や東京駅周辺はクリスマスムード満載でした!

展覧会情報

再開館記念「不在」 ―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル
会期:2024年11月23日(土)—2025年1月26日(日)
開館時間:10:00-18:00(祝日を除く金曜日と会期最終週平日、第2水曜日は20時まで)
※入館は閉館の30分前まで
※年末年始の開館時間は美術館サイト、SNS等でご確認ください
休館日:月曜日、 年末年始[12/31と1/1]
ただし、トークフリーデーの[11月25日・12月30日]と1月13日・20日は開館
会場:三菱一号館美術館
公式Webサイト:https://mimt.jp/ex/LS2024/

展覧会図録

こちらは本展(ロートレックの方のみ)の図録です。行きそびれた方や遠方の方は本書で展示の雰囲気を体験するのも良いかと思います。

「不在」トゥールーズ=ロートレック

伝統と現代アートが交差する「いけばな龍生展2024」鑑賞記

渋谷ストリームホールで開催されていた「いけばな龍生展2024」に行ってきました。

この展覧会は前期と後期に分かれており、それぞれ2日間ずつ展示替えが行われます。私は前期の初日に訪れました。

渋谷ストリーム、かなり久しぶりに来ました

「いけばな龍生展」は、いけばなの流派「龍生派」が主催する年に一度の大規模な花展です。

初日の会場は、出展者であるいけばな作家やその知人と思われる方々で賑わっており、活気に満ちていました。

2つのスタイルが楽しめる展示

「いけばな龍生展」では、大きく分けて2種類のいけばなスタイルを鑑賞できます。

1.自由花

その名の通り、自由な発想や素材を活用したいけばなです。一般的ないけばなのイメージを覆すようなアバンギャルドな作品も多く、現代アートのような魅力を持っています。非常に見応えのある展示です。

花器も素材もアバンギャルドな「自由花」

2.古典華

伝統的なスタイルを踏襲したいけばなで、静謐な中にも植物が持つエネルギーを感じさせる作品が並びます。繊細で美しい表現が特徴です。

伝統を感じる「古典華」

会場の構成と展示空間

会場は3つのフロアに分かれており、それぞれ「自由花」と「古典華」に大まかに区分されています。

自由花のフロア

天井が高く、広々とした空間に作品が展示されています。

ライトボックスを使用し、下から照明を当てた作品など、ユニークな演出が見られます。

光を効果的に使った作品

古典華のフロア

照明は控えめで、花にスポットライトが当てられ、影の美しさも際立っています。

落ち着いた雰囲気の中でじっくりと鑑賞できます。

古典華
作品の影までもが美しい

大作

巨大な「大作」と呼ばれる作品も展示されており、そのスケール感には圧倒されます。植物の力強さと、それを活けた作家の技術に感嘆せずにはいられません。

巨大な「大作」

会場で撮影した写真

気になった作品をいくつか写真撮影したので、ご紹介します。

花器が人の形に!藁人形的な雰囲気でインパクト大!
面白い集合体
近づくと、卵の殻でした!
近づいてみると植物の多様な表情が伝わります
花器も面白い
大作
大作

渋谷ストリームホールでの開催4年目

渋谷ストリームホールでの開催は今年で4年目。

前期と後期で展示替えを行う形式は、この会場では今回が初めてとのことです。

後期の展示ではどのような作品が並ぶのか、とても気になります。

今回は前期だけの鑑賞となりましたが、機会があれば後期も訪れてみたいと思います。

展覧会情報

[会期]2024年11月22日 〜 2024年11月25日
[会場]渋谷ストリーム ホール(東京都渋谷区渋谷3-21-3)
[時間]開場時間:10時〜18時 ※入場は閉場の30分前まで ※23日・25日は16:30閉場
[入場料]入場料:当日1,700円(前売り1,300円)高校生以下無料
*身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方と、その付添者(原則1名)は無料
[公式Webサイト]https://www.ryuseiha.net/event-info/ryuseiten_2024/