映画『でっちあげ』感想|実話を基に“噂”の恐怖を描いた社会派ドラマ

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映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』を鑑賞しました。

実在の事件をモチーフに、噂や風評被害の恐ろしさを描いた作品です。観終わった後、ずっしりとした余韻とともに、色々な感情が押し寄せてきました。以下、ネタバレを含む感想です。


あらすじ(※一部ネタバレあり)

ある小学校教師が、教え子に体罰を加えたとして学校を辞職させられ、世間からバッシングを受けます。報道は過熱し、ついには児童の親から裁判まで起こされることに。
しかし、それらはすべて――児童とその親による“でっちあげ”だったのです。


印象に残った点・見どころ

◆ 「真実」がねじ曲がる社会の怖さ

本作が突きつけてくるのは、「真実とは何か」という問いです。
どれだけ無実でも、多くの人が「黒だ」と信じてしまえば、それが“事実”として扱われてしまう。
噂や風評が一人の人生を崩壊させる恐ろしさが、ひしひしと伝わってきました。

◆ 柴咲コウの圧倒的存在感

被害児童の母親を演じた柴咲コウさんの演技が圧巻でした。
狂気と執念をはらんだ目つき、言葉の節々からにじみ出る威圧感。彼女が登場するたび、まるで魔女のような緊張感が画面に走ります。

◆ 救いを与えてくれる存在たち

主人公を支える妻や息子、そして希望の光となる弁護士の存在がとても印象的でした。
四面楚歌の状況でも、信じて寄り添ってくれる人がいることの心強さ――重たいテーマの中にも、人間の温かさがしっかり描かれていたと思います。


惜しかった点・気になった部分

◆ マスコミに“報い”がなかったことへのモヤモヤ

マスコミは事実確認をせず、センセーショナルな報道で主人公を社会的に抹殺していきます。
にもかかわらず、彼らがその責任を問われたり、何かしらの報いを受ける描写はありませんでした。
報道の持つ力の大きさが強調されていただけに、終盤でもう一歩踏み込んで描いてほしかったと感じました。

◆ 被害児童の母に挿入された“同情”の余白

中盤で描かれる、被害児童の母親の幼少期のエピソード。
彼女がなぜここまで歪んだのかを示す意図かもしれませんが、個人的には「悪役には悪役として徹してほしかった」という思いがあります。
同情の余地を挿入されたことで、少し煮えきらない印象になってしまいました。

◆ いじめ・虐待の描写があまりに過激

「でっちあげられた内容」であるにもかかわらず、映像としてのいじめシーンが非常に過激に描かれていました。
大人が子どもに対して加える暴力、ある種の“虐待”に近い描写もあり、観ていて苦しくなる場面が多かったです。
また、多数の子どもが出演していることもあり、演技とはいえ心のケアがなされているか心配にもなりました。


まとめ:この映画が問いかけるもの

『でっちあげ』は、「噂とは何か」「正義とは何か」「誰が真実を決めるのか」といった、本質的な問いを観客に突きつける作品でした。
私は「風評被害」や「集団心理」といったテーマに関心があるので、この作品は非常に考えさせられる内容でした。
重く、苦しい。でも目を逸らしてはいけない――そんな現実が描かれています。
観る人によって受け取り方はさまざまだと思いますが、間違いなく“考えるきっかけ”を与えてくれる一作です。

おすすめ度

7.5/10点

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