関心領域|楽園の裏で響く“ホロコーストの気配”を斬新な映像で描く

Movie

映画「関心領域」を観ましたので、感想をまとめます。

観賞のきっかけ

2024年に話題になった作品で、知人から「面白い」と聞いていました。Amazonプライムビデオに追加されたのを機に鑑賞を決めました。

関心領域

あらすじ(概要)

アウシュヴィッツ強制収容所の隣にある所長・ルドルフ・ヘス一家の暮らしを描く物語。
所長である父親の地位ゆえに、家族の住まいは豪華で庭も手入れが行き届いているが、遠くから収容所の音や煙が微かに響き、不穏さが常に漂う──。

アウシュヴィッツ強制収容所の隣で平和に暮らす所長一家を描く…映画『関心領域』予告編

登場人物

  • ルドルフ・ヘス:アウシュヴィッツ強制収容所の所長。一家の父親。
  • ヘドウィグ・ヘス:ルドルフの妻。自宅のコーディネートに余念がない。

ネタバレ解説

以下、私が映画を一度見て分からなかった箇所について、他の解説サイトなどを見て理解した内容を記載します。ネタバレが含まれますのでご注意ください。

白黒反転シーン

映像がソラリゼーション風に白黒反転する場面が何度かあります。

  • 果物を土に埋める女性:非ユダヤ系ポーランド人の使用人が、食材をこっそり収容所側に届けようとする行動。
  • ピアノ演奏のシーン:ユダヤ人を讃える曲を弾き、ささやかな抵抗を表現している。
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ヘドウィグの母親の訪問

母親が自宅に泊まり、最初は庭や建物の美しさに感動。しかし次第に咳や倦怠を感じ、最後には遺書を残して去っていく。
→ 収容所の燃焼炉から立ち上る煙や音によって、心身が蝕まれていったことが示唆されている。

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ルドルフの部屋に現れる不思議な女性

仕事の電話後、見知らぬ女性が突如部屋にやってくるシーン。
→ ルドルフが妻とは別の女性とも関係を持っていたこと、さらには自宅と収容所を結ぶ地下道の存在を示唆。もしかすると女性は収容者で、選別の対象だった可能性もある。

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ネタバレ込みの感想

この作品は、ホロコーストの具体的な残虐描写を避けつつ、音響と映像表現で異常事態を強烈に伝えてきます。

私はイヤホンを付けて鑑賞していたのですが、常に下記の様な微細な効果音が聴こえます。

ゴオォォン  
パンパン  
アァー  
パパパパ  

これらの音が、幸福そうな家族のシーンの裏で鳴り続け、観る者の心をざわつかせます。

このような音に毎日さらされているヘスの家族は、果たして正常でいられるのでしょうか。

後半では一家の精神状態が徐々に壊れていきます。

  • ルドルフ:咳や胃痛に苦しみ、ドイツ人が集まるパーティーで「どうしたら効率よく全員を毒殺できるか」を考えてしまうほど、心を蝕まれる。
  • ヘドウィグ:今の暮らしを「楽園」と信じ込み、ルドルフからの転勤の提案にも固執。ミスをした使用人に対して「灰にして地面に撒くわよ。」などと、脅迫じみた言葉を吐くほど追い詰められる。
  • 子どもたち
    • 女の子は不眠症に。
    • 弟は収容所の音を真似して口にし、兄はまるで「収容所ごっこ」の様に、弟をビニールハウスに閉じ込めるなど、心の影響が行動に現れる。

面白かった点

  • 斬新な映像表現:直接的な残虐シーンを一切映さず、音だけで恐怖を盛り上げる手法が新鮮です。ソラリゼーションの映像も効果的です。
  • 正常性バイアスの描写:隣で虐殺が続く中でも「いつも通り」に固執しようとする一家の心が徐々に壊れていく様が、純粋なホラー以上に怖いと感じました。

まとめ

オススメ度:9.0/10点

アーティスティックな映像表現やナチス・ホロコーストの歴史に興味がある方には、ぜひご覧いただきたい一作です。

関心領域

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